【400文字作文】下半身は地球を救う。 -10ページ目

【400文字作文】 お・さんぽ

【400文字作文】下半身は地球を救う。-090415


 小さい川を囲うように、しっかり造られた
遊歩道には、きちんと桜が植えられている。  
 自転車で遊歩道を走っていた私は、小さい
川を縁取るように咲いている菜の花を見て、
菜の花たちと同じ目線に立ちたくなった。
 自転車を遊歩道の柵にもたせかけ、川のほ
とりに下りると、ゆっくり風が吹いている気
がした。最近、髪を短くした私は、髪を切っ
てよかったな。と、思った。
 人がひとり歩けるくらいの川沿いの一本道
を、菜の花を撫でながら歩いていると、ずっ
と向こうで老夫婦が、花を背景に写真を撮っ
ているのが見えた。その光景を見て私は、な
んだか照れてしまい、自分の靴ヒモを見なが
ら一本道を歩く。
 一本道は曲がっているけど、「まっすぐ」
という言葉が似合うな、と思った。途中で曲
がっていても、まっすぐはまっすぐなのだ。 
 遊歩道沿いにある家の窓からヤキソバよ、
という声と、子供の笑い声が流れてきた。 

【動画で読む400文字作文】サクラサクナリサクラチル

【400文字作文】サクラサクナリサクラチル

【400文字作文】下半身は地球を救う。-090411


 桜の真下にいるワタシは、散ってしまった
小さな花びらしか見えない。ワタシは、その
花びらだけでじゅうぶんだ。
 桜の前を通り行く人たちは、白くて白くて
ほのかにほのかに紅い、桜の花の美しさに見
惚れている。
 顎を上げ、ほうけたように口をあけ、艶や
かな桜にナニかを奪われている人たちの頬も
ほのかにほのかに紅いが……その人たちの視
線の焦点は、桜の花びらのもっともっと向こ
う側にあるようでワタシは身ぶるいした。桜
の花の向こう側にあるモノがみんなには見え
てワタシには、見えない。
 ちいさな子供が、つながれていた母親の指
をほどきしゃがんで、地に堕ちた桜の花びら
で遊びだした。花びら気持ちいい?と聞くと
子供は、手のひらにくっついた花びらをワタ
シに見せ、こくりとうなずいた。
ワタシもこくりとうなずき、サクラサクナリ
サクラチル。と、声に出さずにつぶやいた。 

【動画で読む400文字作文】 ひばり

【400文字作文】 ひばり

true-090331


 僕は、何も決めず北へ向かっていた。車が
少ない高速道路はどこかマヌケで、流れゆく
景色もどこか無機質な感じがする。灰色の空
のせいかもしれない。
 これより北へ行っても、何も変わらないと
思い、高速道路を降りた。隣で眠っている彼
女をおこさないように、ゆっくりブレーキを
踏んだけど、彼女は窓側に向けていた顔をこっ
ちに向け、着いちゃった?と、きいた。
 料金所の男に、まだ雪が残っているから気
を付けるよう声を掛けられ礼を言った後、ま
だだから寝てていいよ。と言うと彼女は目を
閉じたまま僕を見て、すっと微笑んだ。
 彼女の、三日月のようなまつ毛をもう少し
見たくて僕は車を寄せタバコに火を点け、窓
を少しだけ下げた。
 窓の隙間からタバコの煙は逃げ、鳥の鳴き
声だけが入ってくると彼女は、ヒバリね。と
言い、黒い髪を指でなぞって、白くて紅い耳
を僕に見せてくれた。