明日の日本と自分が今日よりちょっぴり成長するために ~某経済官庁若手キャリアの政策ブログ~ -5ページ目
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2007年問題(「技術」と「技能」について(2))

少し間が空いてしまいましたが、今回は前回に引き続いて、「技術」と「技能」について、特にどのように「技能」を受け継いでいくかについて、ちょっと考えてみようと思います。


「技能」の伝承が難しいのはいくつか理由があると思います。これがすべてではないと思いますが、思いつくものを以下に3つあげさせていただきますので、今回はそれらについて考えていきたいと思います。

①「技能」を持つ熟練工がその「技能」を「技能」として認識していないこと。

②各企業ごとに「技能」を持っているため、公開・共有化が難しいこと。

③「技能」を受け継ぐ人材がいないこと。


まず、①「技能」を持つ熟練工がその「技能」を「技能」として認識していないこと、ですが、例えば、製造工程で用いる薬品を保存する際に温度や湿度を一定に保つのは日本では当然として考えられていますが、アジアの国々ではそれが当たり前になっていないことも多いそうです。こういった原料の扱いも、製品に大きな影響を与える「技能」であることは間違いないと思います。ただ、日本人はそれが他国の人と比べて優れた「技能」であることを認識していないことも多く、それは非常にもったいない状況と言えるのではないでしょうか。


こうした問題を解決するためには、日本人も海外のライバル他社を、その製造工程の段階までしっかりと研究していく必要があると思います。日本人の気質は「(自分が)いいものを作る」という意識が非常に強く(プロジェクトX的ではありますが)、「(他の人よりも)いいものを作る」という意識については、アメリカを製造業として追い抜いたと思った時点で非常に弱まってしまっているような気がします。アメリカが「ジャパンアズNo.1」と考えたように、追い抜かれてから相手を分析するのではなく、追いつかれつつある今の時点から自分と相手の比較をしっかりと行い、自分たちの「技能」による付加価値の維持を図らなくてはいけないと思います。


次に②各企業ごとに「技能」を持っているため、公開・共有化が難しいこと、について考えたいのですが、この「公開」も「共有化」も実は表裏なのではないかと思います。日本にも数多くあるような「伝統的」な「技能」については、模倣(共有化)が困難であるため、公開できるのですが、一般の製造企業にある「技能」は模倣(共有化)が可能であるので、なかなか公開できず、その結果として当然共有化もできていません。


これについては、共有化することが個別企業の利益にはならず、国の利益になることから、論ずること自体が非常に公務員的であり、ナンセンスな感じもします。しかし敢えて、この問題について考えるとすると、衰退産業において、個別企業がそれぞれの保有する「技能」を隠しあうことの結果として、すべての企業が共倒れになることだけは塞がなくてはいけません。デジタル家電はもかく旧来の白物家電において、多くのメーカーが付加価値を得れていないのは、この問題に直面しているからではないでしょうか。


産業構造論的にそういうコモディティ製品分野は、他の国にすぐ追従され、付加価値を取れなくなるといえば、それまでですが、そういう分野こそ、もっと大規模な再編・統合をますます進めていくべきだと思います。エルピーダメモリのような大規模な設備投資のための統合とは少し違う、ノウハウの共有によるシナジーを目指す再編というものも経営者は着目するべきではないでしょうか。その意味で、現場レベルの「ものづくり」のわかる経営者の出現が待たれる気がします。


最後に、③「技能」を受け継ぐ人材がいないこと、ですが、これについては、「技能」を持つ「熟練工」に対して若い人が魅力を感じないということが最大の原因ではないかと思います。そのため、各企業は外国の人材を使わざるを得なくなっています。ただ、外国人労働者問題は非常に難しい問題ですので、またの機会に考えたいと思います。ここでは、若い人がいかに「技能」を持つ「熟練工」に魅力を感じるかを少し考えたいと思いますが、やはり基本は「熟練工」に対する社会的な評価を確立することにしか解はないと思います。


その意味で、ドイツにあるようなマイスター制度というのは非常に注目すべき制度ではないかと思います。ただ、国と企業が独りよがりで制度を作っても、それは実効性のある制度とは思えません。消費者としての国民の人々も「ものづくり」の重要性をしっかりと理解し、自らに優れた製品を与えてくれる熟練工への敬意を感じるようになるよう、官民を上げて取り組んでいくことが必要ではないかと思います。


とりあえず、今考えたことをざっと書きましたが、皆さんからのコメントを踏まえつつ、この問題については、もっと深く考えて整理していければと思いますので、よろしくお願いします。では、今回はこのへんで失礼します。


2007年問題(「技術」と「技能」について(1))

ちょうど役所もお休みなので、連日ですが更新させていただきます。

今回は「技術」と「技能」の話を書きたいと思います。


「技術」と「技能」をきっちり分けるのは難しいところですが、とりあえず今回は、「技能」とは与えられた設備能力の中で、設備を活用し、生産性を上げること、「技術」とはその設備自体の能力を上げて、生産性を上げること、とします。


2007年問題による人手不足への警鐘が新聞に頻繁に取り上げられています。団塊世代は労働量としても確かに重要ですが、この団塊世代の「技能」が後の世代に受け継がれず退職してしまうのが、今後、大きな問題となる気がします。


それは、やはり製造業ということになると、中国の台頭との比較にどうしてもなってしまうのですが、実は中国の工場には2面性があり、1つは人手を駆使した労働集約的な工場、そして、もう1つは最新鋭の設備を導入した資本集約的な工場です。

その2つのうち、今後日本の競争相手になるのは後者の資本集約的な工場となってくるはずです。


中国には最新鋭の設備は導入したものの、それを動かす「技能」がないために、1年以上も稼働していない工場があるという話も聞きます。そして、その問題解決のために、高額で日本の退職した労働者を再雇用しようとしている中国の企業もいるようです。


こうした背景には日本には世界最強のプラント(製造設備)製造企業がいて、メイドインジャパンの機械が中国を始め全世界へと輸出されているという現状があります。


今後も日本が競争力を維持・強化するためには、実は製造設備が海外へと輸出されることで、容易に追いつかれてしまう「技術」ではなく、同じ製造設備を使っても競争に勝つために、「技能」を重視し、受け継いでいくことが必要不可欠だと思います。


いかに「技能」を受け継いでいくかは難しい問題ですが、次回ちょっと考えてみようと思います。


中国リスクの顕在化について

初めまして&明けましておめでとうございます。

これから、明日の日本と自分が少しでも成長できるようにと考えたことを書いて行きたいと思います。

ご意見やコメントがありましたら、バシバシよろしくお願いします。


最初の話題としては、顕在化してきた中国リスクについて書きたいと思います。中国の都市計画の修正に基づいて、日本企業が立ち退きを求められたというニュースを先ほどテレビで見ました。また、別の記事で中国はITや医薬品のような高付加価値で技術移転を期待できる産業の工場は認めるが、その他の組み立て工場のようなものの立地は制限しているという記事も読みました。


政府主導だけでなく、中国の民間工場の方でも日本向け製品の品質要求水準の高さから、日本向け製品の受注を毛嫌いしつつあるそうです。ただでさえ、中国の急速な経済成長に伴い、中国の労働者の賃金水準が急激に上がっている中で、日本製品のサプライチェーンに当たり前のように中国を組み込んでいていいのでしょうか。賃金面でコストが上がるだけならともかく、工場の立地や作業の受注で問題が起こるのは致命的です。


そうした中で当然中国+1という議論も進んでいますが、今のところ、中国で行っている仕事の一部を移転することは可能でも、全てに近いところを移転するのは不可能と言わざるを得ません。


したがって、日本としては、中国の安い論動力を当てにした安易な中国進出をそろそろ見直して、労働力に依存しない新しいビジネスモデルを官民一体で考えていく時期が来ている気がします。これについても、これから色々考えていければと思います。


長くなりましたが、今回はこれで失礼します。


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