聞こえないパフォーマー・もりおか見帆
こんにちは、
生け花作家のもりおか見帆です。
いつもは、凛とした花や、可憐な花々を活けることで、
見る人の心を豊かにするお手伝いをさせていただいています。
でも、今回はちょっと違った、
皆さんの人生にも通じるような、
特別な作品をご紹介させていただければと思います
先日、2回の生け花の習作で使ったニューサイラン。
いつもなら、役目を終えれば捨てられてしまうはずの葉っぱです。
テキストたった15分で和の空間に。心を整えるおうち生け花のススメ
直線や曲線の美しい姿を活かし、
これまでも様々な作品を生み出してきました。
しかし、その葉っぱが、
枯れて「藁(わら)」のようになった時、
私はある光景が頭に浮かんだのです。
それは、藁で編まれた縄文時代の土器や、
民藝品の素朴で温かみのある佇まいでした。
「これを活かせないだろうか?」
そう思った私は、
捨てられるはずだったニューサイランの藁を使い、
花瓶を作ることにしました。
ニューサイランを細く梳(す)いたものを
花瓶に仕立てる作業は、
まるで、これまで自分が生け花で学んできたこと、
そして、人生で経験してきた様々な出来事を、
一つひとつ丁寧に紡いでいくようでした。
曲がった葉、色が変わった葉。
一見、無駄に思えるような部分も、
梳いたり編み込んだりしていくと、
唯一無二の模様となり、作品に深みを与えてくれます。
そして、ついに完成したのが、この写真の作品です。
いかがでしょうか?
力強く咲くひまわりや、鮮やかなケイトウ、
そしてしとやかなコスモスといった、
生き生きとした花々を包み込むように、
ニューサイランの藁の花瓶が、
温かく、そして優しく見守っています。
これは、ただの花瓶ではありません。
私はこの作品を通して、
皆さんに一つのメッセージをお伝えしたかったのです。
それは、
「人生に無駄なことなんてひとつもない」ということ。
これまで歩んできた道、
経験してきたこと、
時には辛かった出来事も、
すべてが今のあなたを形作る大切な 土台 です。
このニューサイランの藁のように、
一見、無意味に思えるようなことでも、
それがあるからこそ、今のあなたが輝くのです。
私は、このニューサイランの最終形態を
「人生の最終形態」になぞらえています。
私たちの人生も、
美しく輝いている時期もあれば、
色あせて見える時期もあります。
しかし、その「移りゆく時間」そのものが、
かけがえのない美しさを生み出しているのです。
この作品を見て、
あなたもご自身の人生を振り返ってみてください。
過去の経験に、胸を張ってほしいのです。
そして、今の自分に、心からの誇りを持ってほしい。
「移ろう自然の中に生じる、
変化していく美しさ」
それは、
人から見れば哀愁を感じさせるかもしれません。
でも、それは、
あなただけが持つ、特別な輝きなのです。
誰もが持つ、唯一無二の輝き。
この作品が、あなた自身の人生を、
もっと愛おしく、誇らしく思えるきっかけになれたら、
これ以上嬉しいことはありません。
これからも、生け花を通して、
皆さんの心にそっと寄り添えるような作品を
創り続けていきたいと思っています。
最後に、
作品を彩ってくれた花材たちをご紹介します。
ひまわり
透かし百合(すかしゆり)
鶏頭(けいとう)
コスモス
女郎花(おみなえし)
ドラセナ
ペニセタム パープルファウンテングラス
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品について、もし何か感じることがあれば、
ぜひコメント欄で教えてくださいね