聞こえないパフォーマー・もりおか見帆
こんにちは、
生け花作家のもりおか見帆です。
先日、
FacebookとInstagramで、
10月に開催される
日本ろう博覧会(デフエキスポ)の
出展作品について、
皆さまにアンケートをお願いしました。
サイレントJAPAN
https://silentjapan.tokyo/index.html
「A案」と「B案」、
どちらの作品が見たいですか?と
呼びかけたところ、
本当にたくさんの方が投票してくださり、
温かいコメントまで寄せてくださいました。
心から感謝しています。
投票結果は、
僅差で A案が勝利 という形になりました。
正直、この結果を見たとき、少し驚きました。
そして、皆さんの期待に応えるなら
A案を選ぶべきだろうか…と、少し迷いが生じたのも事実です。
でも、最終的に私が選んだのは、
投票で少数派だった B案 でした。
なぜ、私はこの「ワガママな選択」をしたのか。
今回はその理由について、少しお話しさせてください。
完璧な美しさより、「遊び心」を大切にしたい
A案の作品は、
360度どこから見ても
完璧な美しさを追求するものです。
高度な技術と、
気の遠くなるような時間をかけて、
一切の妥協を許さずに作り上げる、
まさに「優等生」のような作品。
それはとても魅力的ですが、
同時に制作過程で
自分自身を追い込んでしまう
可能性も秘めています。
一方、
B案は野菜や果物を取り入れた、
遊び心のある作品です。
正面から見たときの驚きを大切にして、
あえて裏側には余白を残す。
それは、見る人に
「あれ?裏側はどうなっているんだろう?」
という想像力を
掻き立ててもらうためでもあります。
人生も同じだと思うのです。
完璧な人なんていません。
ちょっとした欠点や、
思いがけない一面があるからこそ、
人間は魅力的で、興味深い。
今回のB案には、そんな私の
「不完全さ」や
「ちょっと変わったもの好き」な
一面を、素直に表現したいという
気持ちがありました。
作品に込める、小さな哲学
今回のデフエキスポでは、
多くのろう者や難聴者、中途失聴者の方、
そして様々なバックグラウンドを
持つ方々が集まります。
そんな場所で、私は作品を通して
何を伝えたいのか?と考えたとき、
「みんな違ってみんな良い」という
メッセージを届けたいと思ったのです。
花と野菜、一見すると異質なものが、
一つの器の中で調和し、新しい美しさを生み出す。
B案は、
そんな多様性を表現するのに
ぴったりだと感じました。
完璧なものだけが美しいのではなく、
予想外の組み合わせや、
ちょっとした「ズレ」の中にこそ、
面白さや感動が隠されている。
私の作品が、
見てくださる方の心を少しでも軽やかにし、
「なんだか面白いな」「笑顔になったな」
と感じてもらえるなら、これ以上の幸せはありません。
制作過程も、一つの物語として
これから、
B案の作品制作が本格的に始まります。
旬の食材を求めて
スーパーや直売所を巡ったり、
珍しい花材を見つけたりする、
まるで宝探しのような日々が待っています。
作品が完成するまでには、
きっと試行錯誤の連続でしょう。
でも、その一つひとつが、
私にとって大切な経験であり、
作品の物語を紡いでいく上で
欠かせない時間です。
制作の様子も、このアメブロで時々、
皆さんにご紹介できたらと思っています。
10月11日(土)のイベント当日、
心を込めて生けた作品を、
皆さまに見ていただけることを
楽しみにしています。
サイレントJAPAN
https://silentjapan.tokyo/index.html
どうぞ、これからも
温かく見守っていただけると嬉しいです。