自動車は内燃機関であるエンジンの効率化と制御の電子化が飛躍的に進み、新しい技術を搭載したクルマは、メーカーの科学技術の進歩を象徴し、多くの産業分野をけん引してきましたが、電気自動車と自動運転車の出現によって10年後の産業構造は大きく変化する可能性があると言われています。昨年11月に日産自動車のトップを務めてきたゴーン氏の逮捕は驚きでしたが、司法取引での内部告発には経営陣の将来に対する路線対立も感じられます。さて、山陰では年明けから穏やかな日が続き、1月6日の「小寒」を過ぎてなお10℃を超える日がありますが、札幌ではドカ雪で航空機がストップし、年末年始にNYや東京の株式市場のダウ平均が乱高下する事象は社会、経済の不安定さを如実に顕しているように思います。今年は社会のリスクにきちんと対応した変化が必要で、経済3団体のトップが、昨日の賀詞交換会で一様に「日本は大丈夫」とのコメントを発したことには、いささか違和感を覚えました。  

1月5日、新春恒例の出雲市平田地域互礼会で、ほんの5~6年前まで200名前後で推移していた平田地域の出生数が平成27年ごろから急落し、平成30年の出生数は全体で100名ほどと聞き、大きな衝撃を受けました。

 戦後の日本は経済成長による所得水準や社会保障、医療技術の向上など、生活環境の整備により多産少死から少産少死への人口転換が進み、1975年に合計特殊出生率が2.0を割り込み、人口置換水準(2.07)との乖離が大きくなっていますが、この傾向は島根県も同じです。  

男女雇用機会均等法の成立によって女性の社会進出は促進されましたが、高齢者に対する社会給付に比べて保育環境の整備は大きく立ち遅れてきました。男性の非婚化と女性の晩婚化・晩産化が進行する中で、デフレによる所得水準の停滞や非正規雇用の増加は若年世代の未婚化を加速させた可能性が強く、コンビニに象徴される単身生活の利便向上や結婚、家族に対する価値観の変化も未婚化・晩婚化に無関係ではありません。
  島根県は、昨年からしまねコンピューターマッチングシステムを稼働させるなど、結婚対策を加速・充実させていますが、高齢者の多い地域での出生数低下は人口の自然減を加速させ、地域の活力を大きく低下させることは必至ですから、若年世代のマッチングに地域ぐるみで取り組んでほしいと思います。  

加えて、外国人労働者等によって定住人口が増加傾向にある出雲市にあって、医療や教育、商業などの都市基盤が整備されている平田地域は良好な居住環境にありますから、早急に、宅地開発や空き家の活用、リフォームなどの住宅対策が必要です。

 

 天皇のご退位により平成の御代は今春をもって新しい時代に移ることになります。平成を振り返ると、世界は「ベルリンの壁の崩壊」「湾岸戦争」「同時多発テロ」「リーマンショック」まで、アメリカがかかわるものがほとんどでしたが、近年の中国の台頭は、アメリカをして「自国主義」に走らせるなど、パワーゲームの変化が感じられます。

一方、日本では「消費税」「バブル景気崩壊」「阪神・淡路大震災」「地下鉄サリン事件」「政権交代」「東日本大震災」など、自然災害と経済の停滞は、少子高齢化で人口減少社会を迎えた日本社会の翳りであり、「地方創生」の取り組みが新しい時代の大きな課題であることを物語っています。

 中国に伝わる『易経』に「易窮則変、変則通、通則久(窮ずれば則ち変じ、変ずれば則ち通じ、通ずれば則ち久し)」とあります。これは、「事態が行き詰まってどうにもならなくなると、必ず変わらざるを得なくなる。その結果、情勢の変化が起こり、新しい展開がひらける。」という意で、新たな変化すなわち、新しい発想と行動が新しい道を切りひらくという教えですが、「通ず」とあるのは、客観的なではなく「自らの成長と変化」を求めたものです。  

 島根県は昭和30年の929,066人をピークに人口減少が続き、平成30年に68万人を割り込み、いまも少子高齢化が進行する極めて厳しい状況にあります。しかし、私たちには、先人からお預かりしたかけがえのないふるさとを次代につなぐという大きな使命があり、「若い人たちが、夢と希望をもって、島根で暮らし、生き生きと働き、明るい家庭の中で、健やかに老いる」という「島根の地域力」をブラッシュアップさせる必要を感じます。

 若者が希望を持って働き、家庭を持つためには着実な収入が必要で、そのためには地域の産業競争力を高め、収益を上げることが求められます。また、島根は全国有数の高齢者県ですが、元気印の高齢者を増やし、社会や家庭で役割を果たしていただくためには健康寿命を伸ばしていく取り組みが不可欠です。さらには、次代の島根を背負う子どもたちの能力を高め、社会の役に立つたくましい人材に育て上げるためには、相応の教育力が必要です。

  この14,5年、島根県は財政的な困難の克服が県政の重要事項とされてきました。ようやく、平成29年度に収支均衡達成を宣し、公債比率など数値的には危機を脱したように見えますが、税収などの自主財源は稀少で、国依存の状況に大きな変化はなく、今後もこうした状況は続くと思われます。しかし、為政者の戒めに「苦節は貞にす可からず。」とあるように、閉塞感の打破には、硬軟織り交ぜた取り組みが必要で、「変化」を求める所以です。  

 「少子高齢化は仕方がない」「人口は減るもの」との意識から「若年者を確保して、人口を増やす」という意識への転換は、「出来ない理由より出来る方法を考える」という可能思考への変化が必要で、「島根の地域力を『伸ばす』」という思想も同じで、地域の危急存亡の危機であるからこそ、過去にとらわれない、思い切った発想と「前例のない」施策の展開が可能になると思います。時代の変わり目となる新しい御代にふさわしい「変」を果たす年にしたいと思っています。