令和2年の年頭にあたり、県民の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。今年は小生が地方政界に身をおくようになって30年目となります。最年少の若者も還暦を過ぎたベテランとなりました。父が生前に「お前も年を取ればわかる」とよく言っていましたが、頭髪が薄くなり、視力が衰え、足腰が痛み、体力の低下を実感するようになると、見えていなかったものが見えるようになるのは真実だと思います。道元禅師の正法眼蔵に「愛語能く廻天の力あることを学すべきなり」「愛語は愛心よりおこる 愛心は慈心を種子とせり」とあります。これは「愛のある言葉は人生を根底から変える力がある」「愛語は心から相手を思う心から生まれるもので、それは慈しみの心、つまり自分そのものと思う心が大本である」という意で、相手の立場を自分に置き換え、真心を尽くして発した言葉は大きな力になるという教えです。言葉は政治家の力量そのものであり、五識を磨き、ものごとの本質を見極める努力を尽くすことが本分としてきましたが、齢六四にして、『愛語能く人を生かす』ということを付加した生き方を心がける年にしたいものです。

 今年の始りに「変」すなわち、大きく変わる年にしたいと言う所感を書きました。県政では溝口知事から丸山知事への交代があり、県議会の構成も世代交代や知事選後の保守系会派の分裂、また、自民党県連の機能不全長期化など、予期せざることも生じました。小生は春の県議選で5選を果たさせていただき、引き続き、地方政界に身を置くことになりました。4人の子がすべて結婚して子を生し、親としての務めを終えさせていただきましたが、そこは齢八八の年でもあり、腰痛に悩まされて腰椎手術を受け、辛うじて自宅で年末を迎える浮沈の大きな1年でもありました。

 「島根創生」を掲げ、『人口減少に打ち克つ』とする知事の言葉とは裏腹に、島根県は年間5,000人の人口減少が続く極めて厳しい状況にあり、離島、海岸、中山間地域などの集落の多くが消滅の危機に瀕しています。県議会で、中山間地域・離島振興特別委員長として小生に与えられた役割は「前例や法令の枠を超えた、斬新かつ実効性のある取り組みの提言」であり、言い換えれば、「『できない』から『どうすればできるか』」への思考転換ですが、まだまだ、道半ばと言うより、歩みを始めたばかりで、来る年に、しっかりとした道筋を見つけなければと思っています。

 この1年、皆様から頂きましたご高誼に心から感謝を申し上げますとともに、変わらぬご叱正と来る年が県民の皆様にとりまして良き年となることをお祈り申し上げます。

厚生労働省は2019年の出生数が864,000人程度で、昨年を5.92%下回る1899年の統計開始から最大の減少幅と発表しました。また、死亡数は1,376,000人程度で、自然減は50万人を超え、外国人世帯の出生数や外国人労働者の受入数を加えても1年間の人口減少は30万人を超えると見込まれています。若年女性の減少に加え、未婚率の上昇や晩婚化が政府機関の予測を上回る進行を見せており、人口減少はいよいよ地方の問題から全国的な問題に発展してきました。すなはち、都市部の人口が減少に向かうという状況は、従来、都市部からの人口移転を課題解決のプランとしてきた多くの地方自治体にとっては、政策転換が必要になることを示しています。今年「ワン·チーム」として、日本中を熱狂させたラグビーのオールジャパンには多くの外国出身選手の姿がありましたが、私たちは地域文化や伝統を保持しつつ、外国出身者の受け入れを進める方策を真剣に考える必要を感じます。