総務省は昨年秋に行われた国勢調査の速報値を公表し、2025年10月1日の日本の総人口は123,049,524人で、5年間で300万人超が減少し、人口の30%強が東京都、埼玉県、神奈川県および千葉県の首都圏への集中傾向が続いていることが明らかになりました。国勢調査の数値が公表されるたびにクローズアップされるのが「いわゆる一票の格差」で、衆・参の選挙区が云々されるのが通例となっており、2015年には参議院で10増10減および「鳥取・島根」「徳島・高知」の選挙区を合区する公職選挙法改正案が可決されました。都道府県代表と職能的代表で構成する参議院の存在意義や2院制の基本理念よりも、「違憲回避」の技術論を優先させ、当面の暫定措置とされた隣県合区ですが、10年を経過して、なお、解消の目途は見えません。本来、国勢調査は国のあり様を明らかにすることが目的のはずで、首都圏への人口集中による弊害は都道府県の人口格差からくる国会議員の定数のみならず、社会インフラや住民サービスにまで及んでいる現状を一顧だにせず、国勢調査=議員定数是正の世論形成は「木を見て森を見ず」の典型のように感じます。地方の疲弊は国力を低下させる因であり、国会は首都圏に集中する産官学を地方に分散させる方途を早急に示すべき責務があるはずで、一極集中の是正を法律で義務付けすることが一票の格差是正の処方箋であることは言うまでもありません。

 

 5月26日、政府の情報収集などインテリジェンス機能の強化に向けて「国家情報会議」を創設し、政府の意思決定を支える情報収集・分析の役割を担う「国家情報局」を設置する法律案が参議院の内閣委員会で可決されました。法案には個人情報やプライバシーの保護に十分な配慮を行うことなどが付帯決議として盛り込まれましたが、「スパイ天国」などと揶揄される日本で、ようやく「国益」を守るための法制に着手されたことは評価すべきだと考えます。ところで、プロ野球読売巨人軍の阿部慎之助監督が暴行容疑で現行犯逮捕されたとの報道に驚きました。姉妹の喧嘩の仲裁で口論となり、18歳の長女の襟元をつかんで投げ飛ばしたとのことで、長女が生成AI「ChatGPT」のアドバイスで児童相談所に相談し、警察に通報され、逮捕に至ったとのことで、「家庭内の暴力であっても第三者に対する暴力と同等」との視点はDV等への行政や警察の介入が前進する端緒になると思われます。読売巨人軍の山口寿一オーナーが「暴力を振るった事実は重く、監督を続けることは許されない」として監督辞任を即断したことは当然と思いますが、子どもたちから「独立国家の元首や罪なき人々を殺戮している国家指導者になぜ何のお咎めもないのか」と問われた際に明快な答えを持ち得ないことに歯がゆさを感じています。

 

 沖縄県名護市辺野古沖で小型船2隻が転覆し、同志社国際高校の生徒ら2人が死亡した事故から2か月が経過しました。5月22日の会見で、松本洋平文部科学相は、同校が実施した平和学習は政治的中立性を欠くもので、教育基本法違反にあたるとの見解を示し、「研修旅行については、事前の計画や当日の対応、安全管理、教育活動の状況などの面で著しく不適切」と述べたと報道されました。この事故は、3月16日に生徒18人を含む21人が海に投げ出されたもので、転覆した2隻はともに海上運送法に基づく事業登録がされておらず、引率教員の乗船はなく、死亡した船長が波浪注意報発令中の出航判断を行ったとあり、海上保安庁は業務上過失致死傷での立件を検討しているとのことです。一方、5月6日に福島県郡山市の磐越道で北越高校の男子ソフトテニス部員20人を乗せたバスがガードレールに衝突し、男子生徒1人が死亡し、17人が重軽傷を負った事故では、運転手が自動車運転処罰法違反の疑いで即座に逮捕されました。この2つを比較すると、あまりに違う事件処理に戸惑いを感じざるを得ないところですが、いずれの事案も当事者となる学校側の及び腰が気に掛かります。