以前の記事と同じく立体図形がテーマです。
立体図形の単元のなかに「水位の変化」というものがあります。水の入った容器をいろいろ動かすと水位はどう変わるかという問題です。
動かす容器が密閉されているパターン(水はこぼれず水量一定)とそうでないパターン(水はこぼれて量が減る)がありますが、今回取り上げるのは前者の容器密閉パターン(水量一定)です。
結論からいうと、このタイプの問題のほとんどは「空気部分の方に注目する」ことがポイントになります。
たとえば次のような問題。
容器の向きを変える(白陵中2021)
直角三角形を底面とする三角柱の密閉された容器に水が入っています。机の上で、図1から図2のように置き換えると、机から水面までの高さが5㎝になりました。
水の体積は▢㎤です。
また、図1のときの机から水面までの高さは▢㎝です。
「密閉された容器」なので水の体積は変わらず、空気部分の体積も変わらないことに注目する。
まず容器の底面積を図1で考えると タテ10㎝×ヨコ4㎝÷2=20㎠
一方、空気部分の底面積(右側の三角形の)を図2で考えると、タテ5㎝(「机から水面までの高さが5㎝」の残り)、ヨコ2㎝(容器の底面と相似な三角形で相似比2:1)より5㎠。ここから空気部分の体積は20㎤(=底面積5㎠×高さ4㎝)とわかる。
この空気部分の体積20㎤は図1でも変わらないので、図1の空気部分の高さは1㎝。ここから「図1のときの机から水面までの高さ」は3㎝、「水の体積」は空気部分の体積の3倍で 60㎤ とわかる。
容器をかたむける(洛星中2022)
図1のような三角形ABCを底面とし、高さが12㎝である三角柱の透明な容器ABCーDEFがあります。この容器に水を入れ、図2のように三角柱の面BCFEが下になるようにして、水平な机の上に置いたところ、水面の高さが2㎝になりました。
(ア)入れた水の体積を求めなさい。
容器の体積から空気部分の体積を引いて求める。
❶まず容器の体積を求めると、三角柱の体積=底面積×高さより、
底面積(図1の△ABCの面積)…底辺6㎝×高さ4㎝÷2=12㎠
高さ(図2のAD)…12㎝
したがって 12×12=144㎤。
❷空気部分の体積は❶の¼倍(底面積が×¼、高さが×1より)で36㎤。
よって108㎤
(イ)次に、この容器を持ち上げてかたむけると、図3のように水面は三角形CGHになりました。このとき、HDの長さを求めなさい。ただし、三角すいの体積は (底面積)×(高さ)÷3 で求められます。
図3の空気部分(三角すい)と図2の空気部分(三角柱)について、空気部分の体積は変わらないことに注目する。
まず図3の空気部分(三角すい)の底面積(△AGCの面積)は9.6㎠(=12×⅘。底辺比が△ABCの⅘倍なので面積比も⅘倍)。
高さをそのままAHとすると、空気部分の体積は 9.6×AH÷3 で求められる。これが36㎤なので AH=11.25㎝。
よって「HDの長さ」は 12-11.25=0.75㎝