「二月の勝者」でも取り上げられていたように、平方数を暗記させる(よく聞くのは25×25まで)という進学塾は多いはずですが、これは避けて通れない必要悪だと私も思います。ただ、その理由としてよく挙げられる「計算が速くなるから」という言い方は正確ではなく(そんなストレートな計算問題は入試ではまず出ない)、そうではなくて「平方数のもとの数を考えることが大きなヒントになる問題が出されることがあるから」です。
図形問題でもたとえば次のような問題があります。
図5のように、2つの直角二等辺三角形ABC、ADEがあります。三角形ABCと三角形ADEの面積の比は25:98です。ABとAEの長さの比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。(吉祥女子2021)
平方数をきちんと暗記できている小学生なら「25:98」という数字を見てすぐに「25は5×5、98は2倍すると196=14×14。これがヒントだな」と考えるはずです。
「三角形ABCと三角形ADEの面積の比は25:98」より、とりあえず三角形ABC=25、三角形ADE=98とそのままおいてみる。
このとき、三角形ABCは、対角線の長さ10の正方形(その面積は10×10÷2=50)を対角線で半分に切った形になっている。つまりAC=10となる。
また三角形AEDは、一辺の長さ14の正方形(その面積は14×14=256)を対角線で半分に切った形になっている。つまりAE=14となる。
よって求める「ABとAEの長さの比」は10:14= 5:7
平方数の知識があると早く解ける問題を取り上げた過去記事はこちら