売買損益の問題(損益算)を苦手とする小学生が多いという話は過去記事でもしましたが、次のようなシンプルな問題に苦労している子もまだいるようで、受験生正答率62.2%(学校発表)となっています。
1600円の商品を2割増しの値段にした後、15%値引きすると利益は□円になります。(昭和女子中2022・D日程)
次のとおり正解は32円(=1632-1600)
損益算では、線分図*を使うより、上記のような表を使うのがオススメです。問題パターンもいろいろ多いので、ポイントを3つの言葉と順番だけにしぼって解法手順を覚えやすく忘れにくいものにしておくということです。シンプルにこの3つさえしっかりおさえておけばあとは現場で対応できる(利益や割引はその場で計算できる)はずです。
これを線分図でやろうとすると通常、二本の線分を書いてそこに「仕入値」「見込み利益」「定価」「売価」「値引き」の情報をてんこ盛りすることになります。相当算や年令算などで使う線分図より複雑なものになってしまうため、損益算の線分図の書き方を苦労してマスターしたはずの子でも、久しぶりに売買損益の問題を前にすると「あれ、この線分図どう書くんだっけ?」と戸惑う状況を目にすることもあります。
最近の入試問題を使って補足説明すると次のような感じになります。
その2(普連土中2022算数)
定価1500円の商品を15%引きで売ると、仕入れ値の25%の利益があります。このとき、仕入れ値は何円ですか。
利益について式をたてると □×(1+0.25)=1275
よって仕入れ値は □=1275÷1.25=1020円
その3(東洋英和2021B日程)
定価□円の商品を定価の1割引きで売ると600円の利益があり、定価の25%引きで売ると360円の損になります。
仕入れ値について式をたてると □×0.9-600=□×0.75+360 □×0.15=960 □=6400円
その4(世田谷学園2021)
ある品物の仕入れ値に20%の利益を見込んで定価をつけました。その後、売れなかったので定価の10%引きにしたところ、すぐに売れました。このとき、実際の利益は、仕入れ値の□%になりました。
仕入れ値をいったん○円とおく。利益について式をたてると
○×1.2×0.9-○=○×1.08-○=○×0.08
よって □=8%
こちらは受験者正答率89.8%(合格者正答率97.6%)の問題となっています(学校発表)。
その5(品川女子学院2020第2回)
ある品物を120個仕入れ、仕入れ値の2割増しの定価をつけて売りましたが、48個売れ残りました。そこで、定価の3割引きにしたところ、すべて売れて利益が全部で1680円になりました。この品物1個の仕入れ値は□円です。
ここから先の問題(個数が出てくる)は、表のなかを1個あたり単価にした方がわかりやすいのでそうなっています。
残った利益について考えると
☆定価で売った分の利益… (□×1.2-□)円×(120-48)個=□×0.2×72=□×14.4
★3割引きで売った分の損失…(□-□×1.2×0.7)円×48個=□×0.16×48=□×7.68
ここで残った利益(☆-★)について式をたてると
□×(14.4-7.68)=1680 より □=1680÷6.72=250円
その6(東京女学館中2019第2回)
仕入れ値が1個500円の品物を100個仕入れ、仕入れ値の□%ましの定価をつけました。この品物を100個のうち、25個は定価で、50個は定価の2割引で、20個は定価の3割引で売り、5個売れ残りました。その結果、9250円の利益がありました。
定価を1個あたり○円とすると
☆利益…(○×25個+○×0.8×50個+○×0.7×20個)-500円×100個=○×(25+40+14)-500円×95個=○×79-47500円
★損失…500円×5個=2500円
ここで残った利益(☆-★)について式をたてると
○×79-47500-2500=9250 ○=(9250+50000)÷79=750円
つまり定価750円だったとわかる。これは仕入れ値の 50% まし
その7(田園調布学園中2021第2回)
ある商品を原価1200円で40個仕入れ、8%の利益を見込んで定価をつけて販売しました。しかし、いくつか売れ残ってしまったため全く利益はなく、逆に、仕入れる前と比べて1344円の損になりました。何個の商品が売れましたか。
売れ残った商品を□個とすると
☆利益…(1296-1200)円×(40-□)=96×(40-□)=3840-96×□
★損失…1200×□
これで損失が残ったというのだから、残った損失(★-☆)について式をたてると
1200×□-(3840-96×□)=1344 1296×□=5184 より □=4
よって売れた商品は 40-4=36個
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