オイヒャリウスベルクとアルテンベルク
シュテファン・ミュラーの2022年産ウォッチもいよいよ大詰め。
正月休みからこの方、休養も充分、体調万全で臨む今年最初のブラインド・テイスティング。
クレットナッハのオイヒャリウスベルクとアルテンベルク、2つの畑からのリースリング・トロッケン飲み比べ。
位置的には北がオイヒャリウスベルク、南にアルテンベルクで、両畑は隣接している。
向かって左がオイヒャリウスベルク、右がアルテンベルク
ワインの外観にまったく差は無いが、香りは全然違う。
両者ともにやや閉じ気味ながら、一方は鉱物感の目立つ割と平凡な香りに対して、他方はフローラル。
果実味と酸のバランスが良く気候に恵まれた印象の前者に対し、スマートな果実味と淡白なミネラル感の後者。
2021年産飲み比べの印象から判断すると、前者がアルテンベルクで後者がオイヒャリウスベルクなのだが...
正解は逆!バランスの良い方がオイヒャリウスベルクで、フローラルな方がアルテンベルクであった。
う~ん、ヴィンテージによって果実味の乗りの優劣が変わるのか...
おまけにこのフローラルな香りは2021年産には無かったので毎年あるとは限らないし、明確な差が把握し難い。
2022 Krettnacher Euchariusberg Riesling Qualitaetswein trocken
Weingut Stefan Mueller (Konz-Krettnach/Saar)
A P Nr 3 525 542 06 23,Alc 11%vol
スクリューキャップ。少し黄金色がかったレモンイエロー。
軽い鉱物感と非特異的な果実感を感知するのみで、香りは閉じている。
口当たりは引き締まったrassigな酸とsaftigな果実味の緊張感のあるバランス。酸がキュンキュンする。
ミネラル感は酸と果実味の背後に隠れているのか吟味し辛く、総じて無機質。
相対的にはバランスが良く、気候に恵まれた畑の印象。
2杯目に入ると酸がシャープさを増すが、果実味もこれに応じてそこそこバランスが取れている。
相対的に直球勝負な印象でどんどんストイックになって行く感じ。終始凝縮感で勝る。残糖7.2g/l、酸量9.0g/l。
開栓2日目。微かに蜂蜜感のあるリンゴ系の果実味とシャープな酸、透明感のある味わいで
仄かに青い風味がある。舌の上にカテキンっぽい収斂味の余韻。86/100
(過去のヴィンテージ→2021年産、2020年産、2019年産、2018年産)
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2022 Krettnacher Altenberg Riesling Qualitaetswein trocken
Weingut Stefan Mueller (Konz-Krettnach/Saar)
A P Nr 3 525 542 07 23,Alc 12%vol
スクリューキャップ。少し黄金色がかったレモンイエロー。
トップノーズは予想外にフローラルで、こちらも閉じていてこれ以外の要素は検知し辛い。
相対的に酸が若干緩く、果実味も細め、ミネラル感も若干淡白。
もちろん酸主体のザール産らしいリースリングだが
果実味がスマートで淡白なせいか、ミネラル感がより目立つ気がしないでもない。
2杯目に入るといよいよ酸が走ってシャープさを増す。残糖7.0g/l、酸量8.0g/l。
シュテファンのワインは開栓してから本領を発揮するまで若干の時間が必要な気がする。
時間とともに凝縮感が増して果実味も肉付きを増すが、やはり相対的にこっちはスマート。
そして酸の伸びが良くなっている。生産者の言葉通り、2021年と違って2022年は熟し難かったか。
開栓2日目。香りに僅かな鉱物感を留め、フローラルなニュアンスもまだ微かに残る。
スマートな果実味と、ストレートに伸びるが相対的にやや穏やかな酸、そしてやや硬さのある味わい。
相対的に明るい印象。86-/100 (過去のヴィンテージ→2021年産、2020年産)
シュテファンは2つの畑のテロワールの違いを以下のように説明してくれた。
「オイヒャリウスベルクの土壌は、典型的な灰色粘板岩に珪岩が混じったもので
被覆層は非常に薄く、石が多く、乾燥している。ワインは常に非常にクリアな果実味を持ち、繊細だ。
オイヒャリウスベルクは南向きと西向きの畑があるやや広い谷である」
「アルテンベルクは狭くて涼しい渓谷で、北側には森がある。これは相対的に常にゆっくりと熟す事を意味する。
土壌は灰色粘板岩にディアバス(輝緑岩、緑色粘板岩)が混ざっている。
これは常に、より豪華さとジューシーさにつながり、またここの水の供給は他の場所に比べて格段に良い」
解ったようで、今ひとつピンと来ないなぁ...。(;^ω^)