こんなザールが欲しかった
去年初めて飲んで気に入った、ザールのシュテファン・ミュラー醸造所。
2013年に家業を引き継いだばかりの未だ若い生産者だが
モーゼル・ザール・ルーヴァー流域のリースリングにも地球温暖化の影響が色濃く反映されるようになった昨今
昔ながらのザールの厳しくて冷涼な面影を留めるリースリングは貴重な存在である。
辛うじて1本だけ入手が叶った2019年産は、前年産と同じく
クレットナッヒャー・オイヒャリウスベルクのリースリング・シュペートレーゼ・トロッケン。
灰色~青色粘板岩から成る土壌の、樹齢55年の葡萄の木からの収穫。
スクリューキャップ。外観はレモンイエロー。アプリコット系の黄色い果実香に柑橘のニュアンス。
口当たりまずは中肉の果実味。次いで鋭角的に伸びる酸が徐々に迫力を増してなかなかのボリューム。
そして柑橘の薄皮系のミネラル感。「古き良きザール・リースリング」という風情だが
昔はこんなに果実味はしっかり乗ってなかった筈だよな...とは思う。
クラシックなザール・スタイルでありながらボディもなかなかあるし
シュペートレーゼにしては度数が低いにもかかわらず、残糖も全然気にならないレベルなのが見事。
開栓3日目。相変わらず酸の凝縮感とキレが秀逸。酸の余韻も力強くて素晴らしい。
八朔を食べているかのような柑橘感。
酸ばかりに目が奪われがちだが、実はなかなかミネラリッシュなのにも気付く...まさに柑橘。
開栓4日目もシャープな酸は健在。いや~本物だな、このシュテファン・ミュラーって。コスパも最高。87/100
(過去のヴィンテージ→2018年産)
2019 Krettnacher Euchariusberg Riesling Spaetlese trocken
Weingut Stefan Mueller (Konz-Krettnach/Saar)
A P Nr 3 525 542 02 20,Alc 11.5%vol,11.50€