JR中央本線の上諏訪駅から北澤美術館、サンリツ服部美術館と、ふたつの美術館を訪ねたわけですが、も少し駅に近いところに諏訪市美術館というものも。立ち寄ろうとしたところ、あいにくと展示替えで休館中だったもので、「さて、いずこで昼飯をとろうかいね…」と思いながらぶらりとしたあたり、余談として少々。
思い返せば…というほど遠い昔ではない昨秋に同じ2館を訪ねた際には、北澤美術館のカフェでランチとしたですが、また今度もでは工夫もないので…とは思うも、近辺には昼食処が見当たらない。やむなく…といってはなんですが、前回も立ち寄ることだけはしたタケヤ味噌会館のお世話になることに。
看板にはみそ汁、コーヒーくらいしか書かれてありませんが、信州味噌ラーメンが食せることは先に立ち寄った先に気付いておりましたのでね。陽気的には酷暑の中で「ラーメンか?!」と思わなくもなかったですが、一度は試してみようということで。当然に建物の中は冷房が効いておりましょうしね。
会館2階の食事処は「信州味噌ラーメン 竹屋本店」という看板だけに味噌ラーメン一点推しのメニューでしたですね。味噌ラーメンというと、赤味噌がっつりの「こんなに塩分摂っていいのかしらん」系をお好みとする方々もおいでとは思いますが、個人的にはここのような白味噌あっさり、旨味で勝負の方がありがたい。実においしくいただきましたですよ。
で、同じフロアには前回見たとおりに味噌の製造工程を解説するパネルが展示されていたりするわけですが、これの繰り返しは避けるといたしまして…と、この時、も少し奥に「ギャラリー」なるものがあることに気付いたのでありますよ。
その部分だけ照明が落ちて暗い室内が垣間見えるばかりながら、入口脇には「入ってはいけんよ」とは書かれておりませんし、むしろ「入ると照明が点ります」的な案内も。いささか恐る恐るながら、入り込んでみた次第です。
企業による美術コレクションのギャラリーと考えれば、先に訪ねた北澤、サンリツ服部という美術館と同系ながらも、学芸員を置いてそれらしくというところもまでのことはしておらないのでありましょう。ただ、「ほおほお、こんな作品が」と思ったりするものに遭遇したりしたという。
上は先に北澤美術館でも涼をもらった奥田元宋の『山湖清澄』、下が元宋の師匠であった児玉希望の『水辺雨霽』(って、最後の文字、ちゃんと表示されましょうか…)。児玉希望には色彩豊かな印象を持っていたのですけれど、この水辺の雨がまさに晴れんとしてきている空気感、これはまたいいですよねえ。
こちらは美術作品コレクションというよりも、創業家と個人的なつきあいでもあったか、立ち寄ったおりにか、「先生、ぜひひとつ揮毫を」なんつう求めに応じ、遊び心を交えて筆をとったものでもあろうかと。描いたのは陶芸の人間国宝・荒川豊蔵だそうですし。多治見市美濃焼ミュージアムを訪ねたときにも荒川がものした掛け軸が飾ってありましたっけ。
これまた似た類の展示品ですな。そういえば諏訪の出身であった作家・新田次郎が寄せたのが上の色紙でして、「ふるさとに自慢がひとつ竹屋味噌」と。で、下はもう、タケヤ味噌の看板ともいうべき女優・森光子が「ひと味ちがいます」と。ま、そんなタケヤ自慢のコレクション(?)を並べたギャラリーの締めくくりは当然に?こんな作品になりましょうかね。ラーメンついででしたが、そこそこ楽しめるギャラリーでありましたよ。