ということで、本業窯のお隣に建つ瀬戸・ものづくりと暮らしのミュージアム「瀬戸民藝館」を覗いてみることに。ま、こちらの入館料を払うと本業窯を間近で見ることができるわけで…。

 

 

ともあれ、窯のお隣が民藝館であることの謂われのほどは、このように同館HPに紹介されておりますよ。

(窯の担い手であった)先代・六代水野半次郎は、学生時代に柳宗悦の著書より名もなき職人による手仕事の美しき日用品に光を当てた「民藝運動」に感銘を受けました。後に陶芸家・濱田庄司とバーナード・リーチが瀬戸本業窯を訪れ、仕事を高く評価されたことが、ものづくりへの大きな励みとなり、同時に、瀬戸でつくられてきたうつわを見つめ直し蒐集していくきっかけにもなりました。

いわゆる「せともの」という言葉が日常的な雑器の総称とされるほどに大量生産されていたであろう瀬戸のやきもの。それは「用の美」と言われる民藝の意に沿うようでいて、些か離れたものにも思えたものですが、本業窯の仕事は濱田庄司やバーナード・リーチにも高く評価されていたのでしたか。

 

館内にはそんな瀬戸で生み出されたうつわがたくさん展示されているわけですけれど、必ずしもこれ見よがしに展示するというでもなく、東京・目黒の日本民藝館を思わせる、日本の住まいの中に溶け込むように器たちが日用遣いを待って置かれている雰囲気とでも申しましょうかね。

 

 

 

 

さまざまなモノの配置がさりげないので、眺めやったままうっかりと通り過ぎてしまいそうになりますが、瀬戸のうつわとともどもに室内空間の演出には民藝運動ゆりの作家たちの作品が混じっておりますね。上のベンチにあるクッションは柚木沙弥郎の型染が使われているのでしょう。柚木作品では、このようなものもまたさりげなく壁に掛けられていたり。

 

 

また、階段の踊り場にはやはり民藝運動と関わり深い棟方志功の版画作品があり、二階の長押のところには河井寛次郎の詩(版画)があり。

 

 

仕事が仕事をしています
仕事は毎日元気です
出来ない事のない仕事
どんな事でも仕事はします
いやな事でも進んでします
進むことしか知らない仕事
びっくりする程力出す
知らない事のない仕事
きけば何でも教へます
たのめば何でもはたします
仕事の一番すきなのは
くるしむ事がすきなのだ
苦しい事は仕事にまかせ
さあさ吾等はたのしみましょう 河井寛

額装されて飾られた河井の詩の下に置かれたガラス・ケースには、六代水野半次郎の遺品と思しき品々とともに河井とやりとりした手紙が収められておりました。単に職人といった場合とは異なるような仕事との向き合い方も含めて、民藝運動に刺激を受けた六代半次郎の「意思を引き継ぎ、現在は七代・八代後継を中心に10名以下の体制で作陶を行なっています」とは、瀬戸本業窯のHPに。瀬戸に宿った民藝の心は連綿と受け継がれているようでありますね。