千ヶ滝を訪ねて清里へ出かけた折、小淵沢へと戻る小海線を惜しいところで逃してしまい、1本待つことに。夏休みでもないので臨時列車も走っていない平常時ダイヤ、時間帯によっては1時間以上待つことになるわけです。こうしたときにこれまでは、駅前通りの角にある喫茶店でコーヒーを飲みながらゆったり待つことにしていたのですが、あたり一帯、あいにくと木曜定休日のお店ばかり(どうぞ清里を訪ねる方は木曜を気に留めておいてくださいまし)。そこで、時間つぶしを兼ねて(失礼)観光案内所を覗いたのでありましたよ。いろいろな観光施設のリーフレットなどが置いてありますのでね。

 

八ヶ岳への本格登山とまではいかないハイキングのマップなどに目を止めつつ、案内所内をひと巡りしたところで、かような案内を発見!曰く「清里の歴史巡り History Walk」というものです。

 

 

駅前通りを中心に「清里の歴史や象徴的な建物、自然景観が素晴らしいビュースポットなどをイメージしたシンボルサインを取り付け」てあると紹介されておりましたので、全23カ所という全ては周れないものの、ちょうどいい時間つなぎとばかりに駅近辺の探索に繰り出したのでありました。

 

 

駅近でまず最初に見つけたシンボルサインのテーマは「開拓」と。ずいぶんと前に『清里開拓物語』なる一冊を読みましたけれど、八ヶ岳の裾野に広がる原野を拓いた開拓者たちがいたのですよね。しかも、自分たちが望んでこの場所に来たのではなくして、東京の水がめ用に造られた小河内ダムによって今は奥多摩湖の底に沈んでしまった集落の住民たちに代替地として宛がわれたのが清里であったと。気候も土壌も農業に適していないところでの移住生活は難儀を極めたことでありましょうね。

 

 

続いて登場したのはポール・ラッシュ博士。アメリカ人宣教師で、清里の開拓に惜しみない助力をした人ですな。元来は「学生のための研修施設として」、清泉寮を作ったのがこの人ですけれど、清里と言えば清泉寮というくらいの観光スポットにもなっているとは、やはりポール・ラッシュさまさまではありましょう。

 

ちなみに、やはり駅の近くにはこのように背高のっぽの時計塔が立っていますけれど、これを「ポール博士の時計塔」と。からくり時計として作られたものながら、今は「故障中」と大きな貼り紙が…。

 

 

いつからこの状態なのか、果たして再び動く日は来るのか…。清里の斜陽には何度も触れておりますが、こんなことからも「壊れ窓理論(割れ窓理論)」を思い出してしまいますなあ。ともあれ、次のシンボルサインへ。

 

 

少々趣きを変えて自然の景観から「美し森のレンゲツツジと富士山」というテーマで。美し森は標高1542mにある展望台でして、背後には間近に八ヶ岳、見渡せば遥かに富士山(この日の天気では望めるですが)を眺めやることができるところですが、6月にはレンゲツツジの群落が開花するようですね。

 

 

有名な清泉寮は美し森よりはちょいと下ったあたり。三角屋根の建物に付いたばってん印は聖アンデレ十字ですな。清泉寮からさらに駅の方へと下ってきますと、聖アンデレ教会が建っておりますね。

 

 

と、ここでまた趣きが変わってお次は清里ピクニックバス。形としては昔走っていたものでしょうか、トラムを模したような車体になっています。今は代替わりしていかにもバスですけれど、昔のバス2両は駅前広場に静態保存されておりますよ。

 

 

周辺に点在するスポットを巡ってくれるピクニックバスですけれど、オフシーズンには土日のみ運行で、ルートも限定的になりますので、必ずしも使い勝手がいいわけではありませんね。観光客が来ないから走らない、走らないから観光客は来ない…いずこにもある「負のスパイラル」ですなあ。

 

 

とまれ、そんなピクニックバスを利用して、夏に出かけてみたのがこの吐竜の滝でしたなあ。今回、観光案内所で入手した案内に「NHKの大河ドラマのオープニングタイトルに使われたとあって「?」と思い、検索してみたら『利家とまつ』だったようで。見てなかったので、そりゃピンとはきませんですね。

 

 

ピクニックバスはこのような大自然の中を走り抜けたりもするわけで、東沢大橋越しに八ヶ岳の主峰・赤岳がなんとも立派に聳えておりますなあ。自然に溢れたこのあたり、森の中を歩いてみればヤマネくんに出くわすかも。

 

 

この日も千ヶ滝から戻る道すがら、ふいと足元のがさごそに気付いてみれば、「おお、ヤマネくん!」と。要するにネズミの仲間だとは思うのですけれど、何やら感じる「愛いやつ」という印象はその小ささもありましょうなあ。そういえば、清泉寮近くには「ヤマネミュージアム」が。以前、一度訪ねたことがありましたっけ。

 

…と、列車待ちのぶらぶらだけの話でひっぱるのもなんですが、思いのほか長くなってきましたので、今日はこのくらいにして「後半へ続く~」です(ヤマネくん=山根くんで、『ちびまる子ちゃん』を思い出してしまい、つい…(笑))