実は女子美や県立相模原公園には決して近くないのですけれど、まあ、相模原ついでにと立ち寄ったところがもう一つありまして。以前、やはり相模原市内の津久井湖あたりを車便乗で巡った際に、立ち寄り損ねた場所が少々ひっかかっていたものですので、この際に。行先は「相模川ふれあい科学館アクアリウムさがみはら」、つまりは水族館でありますね。されど何故ここに?というほどの目玉があるでもないのでして、なんとなく水族館は楽しいからかもです(笑)。
なにしろ水の中には変わった生きものがたくさんおりますしね。JT生命誌研究館で見たような進化・適応の歴史が水の中では違った形で展開していったからでもありましょう。とまれ、こちらのアクアリウムでも奇妙な生きものがお出迎えしてくれておりまして。
上を「トラフカラッパ」、下を「メガネカラッパ」というそうな。まあ、カニの仲間なのでしょうけれど、特にトラフカラッパの何とまるまるとしていること。愛嬌たっぷりです。「カラッパ」という名称も実にユニーク。「トラフ」というのは「南海トラフ」とか、そういう地学的なところから来ているのかとも思いましたが、甲羅の模様から「虎斑」なんだそうでありますよ。それにしても、カラッパの仲間をシーボルトがわざわざヨーロッパに持ち帰ったということですので、やっぱり珍しい生きものなのでしょうねえ。
ところで、こちらの施設の本来は「相模川の持つ魅力と豊かさを、相模川とその周辺に生息する淡水魚を中心に、 約100種類の生き物たちの展示を通してご紹介」(同館HP)するものですので、カラッパのような海の変わった生きものはいわば人寄せパンダ的なるものと言えましょうか。ですので、メインの展示水槽はこちらになります。
長~く続いた水槽は相模川をイメージして、手前側がその上流、先へたどるにしたがって中流、下流、そして海に至るという想定の下、それぞれの流域に棲息する水生生物が見られるようになっておりますよ。上流域のイワナ、ヤマメから始まって、中流域にいはコイ、フナ、ナマズなど。そんな中、「ああ、これがゲンゴロウブナであるか?!」と。
動きについていけずにブレてしまってますが、いわゆる普通のフナよりも胴の部分に高さがあるという特徴は分かっていただけようかと。小学校の頃に教科書だかで人が変身して源五郎鮒になってしまった…てな話を読んだことがあったやに思うのですが、これがそれだったのですなあ。ちなみにナマズという魚は結構大きなものだったのですねえ。
立派なコイと十分太刀打ちできる大きさであるとは。ひところウナギの品薄にあたってナマズが注目されたこともありましたですが、食用として十分に身はとれそうな感じですね。以前、埼玉県の吉川というところまで、わざわざナマズを食しに行ったことがありますけれど、そりゃウナギとは違うにしてもおいしくいただける食材ではありましたですよ。
とまれ、てな具合に相模川に棲息する魚を見ていったわけですが、淡水魚メインといいつつ、魚には海と川を行き来するものもおりますね。水槽にいたのはサクラマスですけれど、その名前にはカッコ書きで「サクラマス(ヤマメ)」とあったのですなあ。
河川で一年半を過ごし、その後一年間海で生活したのちに河川に戻り繁殖を行う。サクラマスのうち、海へくだらず川にとどまる生活型(陸封型)のものをヤマメと呼ぶ。
解説を読んで、そうであったのかと。本当に知らないことはたくさんあるもので。ちなみにもそっと詳しい解説もありましたですよ。
時に館内はこれまた小学校の校外学習でもありましょうか、子どもたちがたくさんワークシートのようなものを手にわーわー言ってましたですが、そんな子供たちには川魚よりもやっぱり珍しい生きものの方が目にとまるようですな。ま、大人もまたしかりですが。
例えばこのチンアナゴとか。Eテレ『ピタゴラスイッチ』で、♪どうしてチンアナゴ、みんな同じ向き…と歌われていますので、子どもにもおなじみなのでしょう、見つけるなり「チンアナゴ!」と言ってましたですよ。ですが、ここのチンアナゴは同じ向きを向いていない…。水槽の中では海流が無いからなのでしょうね。本来であれば、海流によって流されてくる小さな餌をキャッチするために、みんな同じ向きになっているわけですが。
で、このチンアナゴってよくよく見ておりますと、砂地の中に隠れている部分があるとは想像するも、その隠された部分がやけに長いのですなあ。かほどに長いとは思いもよらずでして、そんなあれこれ含めて楽しく過ごした相模川ふれあい科学館のひとときなのでありました。