…ということでリューベックに到着 してすでに2泊していながら、
シュヴェリン
に行ったり、メルン
に行ったりしていたものですから、
ようやく初めてリューベックの街に足を踏み出すこととなりました。
改めてリューベックの中央駅を背にして歩き出すわけですけれど、
中央駅はまだ旧市街の外側なのですね。
駅前からヴィルヘルム1世とビスマルクの銅像が向きあう芝地の間を通り抜け、
プッペン橋でかつての城壁の壕を渡りますと、とにもかくにもリューベックといえば!
というふうに登場するのがホルステン門でありますよ。
実はこのホルステン門という建物、
全く個人的な思いですけれど、「なんとも鈍重な印象だな」と。
もそっと率直に言いますと「カッコ悪い…」と思っていたのでして、
そうした思いの余り、この夏直前までは
ほとんど積極的にリューベックに行こうという気にはならないでいたというのが本当のところ。
当初の想定ルートはハノーファーに入って、近くの町々を訪ねながら、
最後はハンブルクに入るというものだったですが、
寄ろうと思ったブラウンシュヴァイクの美術館(フェルメール
を所蔵している)が改装中と知り、
所蔵品は別会場で展示しているらしいとはいえ、これを先送りにした結果、
ハノーファー自体もここと絡めてとの思いから外れることに。
ハンブルクだけではもの足りないし、ブレーメン
には一応行ったことがあるし…となると、
自ずとリューベックが浮上してくるわけですな。
いつまでも考えていても仕方がないとハンブルク、リューベックの組み合わせで行こうと
決めた折も折、たまたまにして出くわした「魚で始まる世界史 」で
ハンザ貿易のことを読んでしまったらもう、ああた、
手のひら返しでリューベック行きの興味が俄然高まったのでありましたよ。
ま、こうした経緯はともかくとして、
濠なのか、運河なのか、川なのか、そんな水辺に取り囲まれたと中州のような旧市街、
これの守りのひとつがこのホルステン門なのですね。
で、今回のタイトルをリューベック入門編としてあるのは、
「初心者向けの記事ですよ」とかそういうことではなくしてですね。
リューベック旧市街への第一歩はこのホルステン門をくぐるところから始まる…
ということで「入門」、それだけのことですが…。
実際に潜って裏側に回ってみると、趣きの違いが面白いような。
(たった今、鈍重でカッコ悪いと言ったばかりですが…)
ただただ鈍重に思えていたこの建物は、双眼鏡を立てて置いた形というのが
一番的確かもしれませんですね。
ちなみに建物内はリューベックの歴史を伝える博物館として使われていました。
ここでやおらリューベックの歴史をつらつらするんでなくって、
あちこち回りながら追々触れていきたいと思いますが、
展示の中にはこんな干魚がぶらさげてあったりするところを見ても、
ハンザ貿易の重要品目のひとつが魚であったことが窺えるところではなかろうかと。
さて、ホルステン門からの入門を果たしたわけですけれど、
門の後にはもうひとつ小さい橋でトラヴェ川を渡ります。
この流れがずずっと北へ、バルト海へと繋がっているのでありますよ。
そして、反対側の南側は中継地点メルンを経て、
塩の産地リューネブルクとも繋がっているのでしょう。
何せこの水路に沿って、ホルステン門から南側、
ずいぶんと古い煉瓦造りの建物が並んでますが、
これがリューネブルクから運んでした塩の倉庫だそうなのですよね。
と、普通の旅行者ならばここホルステン門からまっすぐ伸びる道をゆるゆる登り、
これまた有名な市庁舎に出るところでしょうけれど、
素直でない性質としては?水路沿いに旧市街の南側を探索しに。
まあ、目的地がそっちということもありますが…。
それにしても、先ほども言いましたようにどこが川やら濠やら運河やらというくらいに
流れは穏やかで波立つこともありません。
およそ観光客らしき人たちとすれ違うこともなく、
突如サーっと降ってきたシャワーに慌てて河原に洗濯物を取り込みに走る人の姿などを見ると、
何やら普段着のリューベックという気がしてきますですね。
こうして旧市街の南端を周っていきますと、やがて大きな建物が見えてきます。
裏側からの眺めで、見目が今一つですけれど、これがリューベックの大聖堂。
話の流れからしてお気付きとは思いますけれど、
リューベックの大聖堂は旧市街の南の端っこにあるという。
だいたい大聖堂と言えば、町の中心にどっかと鎮座ましましていると思うところですが、
リューベックにはそんなヨーロッパの常識(?)は通用しないのでして、
大聖堂よりももっと重要な教会が他にあるからなのですね。
重要でないからというわけでなく、単に何故か閉まっていたというだけで
大聖堂は覗けませんでしたが、まあ、それはそれ。
そこをスキップすると、旧市街南回りの目的地も程近くになってきました。
次は、その目的地たる聖アネン博物館の探訪を記すことにいたします。