358.廃妃~あんな女が俺の妃だったなら | かおり流 もうひとつの「宮」

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前のお話→ 357.東宮殿から消えたモノ~俺を 完膚なきまでに叩きのめす必要が有ったのかよ? に引き続きシン目線です
 

 

皇室は窮地に追い込まれた

 

乾清宮の火災現場で見つかった ちぎれた王冠のネックレスと 皇帝陛下宛に届いた手紙は 乾清宮の放火を決定付ける証拠とされ

 

「皇太子妃恵韻宮(ヘウングン)を東宮妃の位より廃し 慈駕(ジャガ)に降格 準王族とする」

 

チェギョンは所在不明のまま弁明の余地もなく 乾清宮放火事件の容疑者として全国に指名手配されるや 廃位された

 

 

”皇太子妃乾清宮放火容疑 廃妃 慈駕に降格”

翌朝は 韓国中のどの新聞も チェギョンの放火容疑を一面に掲載した


チェギョン…
俺は お前を守れなかったのか?
お前は 俺を信じられなかったのか?

 

 

皇太子及び皇太子妃に予定されていた公務は全てキャンセル

俺は 東宮殿に引きこもりたいくらいだったが…

皇帝陛下は無情にも 俺に大学へ通学することを命じた

そうなると…姉さんがイギリスに留学して孤独に陥った時と ちょうど同じように 平気な顔を取り繕って大学へ通ったが…

胃痛を堪えて食べては吐き 眠れず… うまく笑えている気がしなかった

 

指名手配中のチェギョンは 一向に見つからなかった

ワイドショーは元皇太子妃を中傷し 国民はそれに同調し この俺を声高に憐れんだ

 

「よ」

王立大のカフェテリア奥の一室  窓の外の曇り空を睨みつけて腕組みしていた俺は
ノックの後 いつもなら置く間を 今日は置くことなく入ってきたのが誰だか解っていながらも つい笑顔を作る

「ようギョン 久しぶり」

「シン…俺の前でまで無理すんなよ」

プリンススマイルがわざとらしいと ギョンにまで心配された

 

トントントンというノックのあと ユルが顔を出す

「あれ?ユル兄さん 久しぶりっすね」

「ああ ギョン居たんだね…お邪魔してもいいかな?」

「俺は全然いいですけど…」

ユルを振り返らず窓の外に視線を戻す俺を横目に 肩をすくめるギョン…

 

ユルとは…あれ以来ちゃんと話してない

354.勤政殿に居並ぶ顔~天のお決めになる事ならば  異論はありません

  355.乾清宮の火災~罠だった 気付いた時には遅かった

避けられてるのかって?

いや…逃げ回っているのは 寧ろ俺の方だ

裏切られたくない相手に 裏切られた事実に…直面したくなくてさ…


「シン…いいかげん目を覚ませよ」
「…」うるさいな
「しっかりしろよ!いつまで僕に君の責務を負わせるのさ?」

「…」消えてくれ

俺の公務を代行するユルが 忙しそうなのは知ってる

でもさ それ お前が望んだんじゃないのか?

「シン!」

目を合わさない俺に苛立ちこの肩に手を掛けるユルを まだ見ることが出来ない
ああくそっ!


「なんでお前は平然と知らん顔が出来るんだ?」

「?」

「生放送の直前に チェギョンに電話したのはユル兄さん…いやイ・ユル お前だろう?」

終に これまで口にしたくなくて避けていた言葉を吐露した

「…」

空気が変わった… 

「もしかして 俺が気付いてないと思ってたのか?」

ユルは口籠る

「何故なんだ?何故?チェギョンに離婚する気だなんて言わせた?」

「シン!何言ってんだよ ユル兄さんがそんな事するわけないだろ!」

沈黙していたユルが くすっと…哂った…?
「何故?

チェギョンが窮屈な宮廷を出たがっていたのは 君だって知ってたじゃないか」

ユルの声色が 明らかに変わった いつもの優しい声と違って 低く…冷徹な響き

身震いしそうになる空気を振り払い 平常心を掻き集める

「い…今は 違ったはずだ」

「本気でそう信じてたの?呆れた!

君の為に彼女がどれだけ我慢してたか知っててそう言えるの?

完治しない大怪我もしたし… いつも可哀想だった

僕はずっと自由なチェギョンの笑顔を取り戻したかった」

「嘘だ!

チェギョンは…俺の傍に居ると言った もう離れないと…」

「可哀想だけど それは…誰にも心を見せられない君への憐みであって 本心じゃないでしょ?」

 

「俺は!此処を出て行く覚悟くらい有ると言っただろう?」

「そんなのダメだよ…チェギョンは君が皇位に付くことを望んでる

皇太子の君と結婚して 皇太子の君を好きになった

だからって 皇太子妃で居るのは楽じゃない

君に皇太子で居て欲しいから 黙って此処を去ることにしたんじゃないの?

彼女は君を好きだからって 自分と一緒に庶民になって欲しいなんて思っちゃいない」

俺は首を横に振る

「違う…俺は…元々皇太子なんかじゃなかった…ユル 俺はお前の代わりでしか…」

「それを言っちゃダメだよ…

だったらチェギョンは皇太子である僕の妃だった って事になっちゃうじゃん

随分冷静さを欠いてるね…」

違う!それは違うんだユル チェギョンは最初から俺の…

「シン…僕は君から皇位を奪おうなんて思ったこと本当に無かったんだよ?

でも流石にあの黒猫の件は 本当にガッカリだったよ…

チェギョンにご執心のあまり 君の持つカリスマは曇ってしまった

そんなんじゃダメなんだ!チェギョンもそれを感じたんじゃない?

イギリスから帰国した頃 まだ中学生だった君は 僕をゾクゾクさせた

なのに どうしちゃったのさ」

 

ユルの目は 俺を見ているようで俺を通り越して遠くを見ていた

どうかしてるのはユル…お前の方だろう…?

「なんでだよ!チェギョンが俺の支えになるって言ったのはユル お前じゃなかったか?!

なんで急にチェギョンを邪魔者扱いして唆したりしたんだよ!」

あの時…チェギョンとユルの両方を傍に置くと決めたのは…間違いだったのか…

俺が欲張ったから…二人とも 俺から離れて行くのか?

結局俺は…両方を失ってしまったのか?

155.茗禪堂(ミョンソンダン)の秘密~今以上チェギョンとユルの心が近付く前に 一刻も早く

「ユルお前… チェギョンを宮から逃がす手助けをしたんだな?

じゃなきゃアイツ一人で 逃亡なんて…」

「変な言いがかり付けないでよ

確かに僕は君に以前のような輝きを感じられないのが残念ではあった でも僕じゃないよ

大分混乱してるみたいだね…乾清宮の火事はどう説明する?

他の人はどうか知らないけど 僕は自分の母親の家に火は点けられないよ?

チェ尚宮も居なくなったんだろう?だったら…彼女を疑ったら?」

チェ尚宮を…疑えだって…?

チェギョンがチェ尚宮を連れて行ったんじゃなくて チェ尚宮がチェギョンを連れ去った…?

そんなことが 有るわけ無いだろう?

有るわけ… 無い よな?

”とにかく いい加減公務を遂行してくれなきゃ困る”と言い捨てて立ち去るユル

息を潜めて見守っていたギョンは 唖然としていた

「ど…どうしちゃったの…あれ…ホントにユルヒョン(兄さん)?」

 

 

ギョンが驚くのは無理もないが… 皆も ユルが突然手のひらを返したように思うか?

俺には解る ユルはキム・ミルとの婚姻を決めて以来 少しずつ変わっていった
キム・ミルは 高慢ちきだが 口先だけでは無い なかなかに頭の良い女
一見ただユルの容姿に惚れて あざとい振りをしているが 実は物事を的確に捉えて行動する しかも判断力もあるらしい 奥の深い女
チェギョンとは正反対の女だ
あんな女が俺の妃だったなら 俺は気が休まらなかっただろう…
でもユルにはきっと丁度良い

彼女と結婚してからのユルはもう以前のユルじゃない

 

いいんだ 皇太子になるのはそもそもユルだったんだから…
隠し持ってるカリスマを あの女なら 充分引き出してくれるだろう
どうせチェギョンには皇后なんて重責を背負わせたくなかったんだから この際キム・ミル お前が皇太子妃になれよ

ユルと二人 理想的な皇太子夫妻になってくれりゃあ 俺はそれでいい

 

世の中は立場が変われば善と悪が逆転する
いつだったかチェギョンがそんな事を言ってた

126.新しい物語~辛い事は辛いと 悲鳴を上げなきゃ

人は皆自分の人生の主役で 自分の為に有益な言動を取っているだけで 真の悪なんか存在しないのだと

恵政殿皇太后の物語ではあっちが正義でこっちが悪役なんだっけな…

ユル お前が皇帝に成れば恵政殿皇太后の目的は達成されるんだったら それで終わりにすればいい
どうせ法で縛られた立憲君主なんだ お飾りの皇帝に成るのが俺であろうがユルになろうが この国にとって 別に大差は無い



チェギョンと景福宮を出られるんなら 俺はそれで構わなかった
なのになぜ…なにも言わずに消えたりするんだ?
本当にそれがお前の意志なのか?
なんでも隠さず話してくれと言ったくせに 自分はどうなんだよ?
あの夜聴取室の窓から見た雲の向こうの細かった上弦の月は 少しずつ満ちていくというのに チェギョンはまだ見つからない

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ

 

チェギョンは行方不明のまま…ついに廃妃とされてしまいました

 

慈駕(ジャガ) というのは 原作漫画らぶきょんの16巻に登場したのですが
皇太子妃殿下に代わる尊称として 側室や王女に付ける尊称を付けたというわけです
ユルくん…シンくんに失望したからってそんな…
チェギョンはホントに自ら出て行ったの?

 

明日は広島に原爆が投下された日で

9日は長崎に原爆が投下された日です
被爆三世の私は
日本は二度と戦争をしてはならない国だと思っています
なんでもない平凡な日々は 約束された物では有りません
みんなで守りましょう

 

8/10(水)は本編の予定でしたが変更します

“Love” make a detour16~俺は…言葉を失くす  マジかよ…

 


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