355.乾清宮の火災~罠だった 気付いた時には遅かった | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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に引き続きシン目線です

 

 

王族達が渋々退席するのを見届けたのち 勤政殿に静けさが戻ると

父上は俺とユルをじっと見詰めて 長いこと言葉を探していたが…

大きなため息をひとつつき…

ともかく…と漸く口を開いた

 

ショックを受けたおばあ様を見舞って詫びるようにとの命を受け…

俺は チェギョンを伴い 東宮殿の主となって十五年 殆ど休むことなく毎朝通ったおばあ様のお住まいである大殿(慈慶殿/チャギョンジョン)を 嘗てない程の重い足どりで訪れた

 

 

「妃宮…なぜあのような言葉を口にしたのだ…」

「おばあ様…ごめんなさい いいえ

太皇太后さま…本当に なんと申し上げてもお許しいただけない事をしてしまいました」

チェギョンを庇いたくても 擁護する言葉ひとつ出てこない

俺が あんなに頼んだのに…これじゃあの時となにも変わっちゃいないじゃないか…

(159.ぬくもりⅡ ~馬鹿な…この俺が…人前で泣くなんて…)

あの頃に比べれば格段に互いを思い言葉を交わし解り合えていると思っていたのは俺だけなのか?

 

其処へ皇帝皇后両陛下 恵政殿皇太后とユルもやってきた

 

「シン いくらチェギョンを庇う為とはいえ 急に無責任な事言わないでよ」

カチンと来た

わざとらしくフランクなフリしやがって!

チェギョンに”離婚”という言葉を言わせたのはお前だろう!?

 

出て行く覚悟は出来ているという俺と それは許さないという御三方の押し問答

恵政殿皇太后はと言えば…

自分の蒔いた種だというのに 収穫を刈り取る気が無いのかだんまりで…

ユルも 口を噤んでいる


「私が…一人で出て行きます」
「そんなこと!この俺が許さない!」
しまいにはそんなチェギョンと俺の押し問答が始まる
「ええい黙れ!兎に角謹慎だ!
皇太子夫妻は全ての公務をキャンセルせよ
妃宮は…許しが出るまで東宮妃の部屋から出ることはならん!良いな!?」

 

 

不気味なまでに傍観していた恵政殿皇太后の殿閣である乾清宮(コンチョングン)が…その夜 煙に包まれたのだった

 

乾清宮の主である恵政殿皇太后は… 俺の護衛の為に居合わせたペク翊衛司(イギサ)に助け出された

王立病院へ緊急搬送された恵政殿皇太后は 煙を吸って気管に熱傷を負ったものの外傷は無く 一酸化炭素中毒の症状もみられず 大事には至らなかったし

乾清宮の火も 翊衛司(イギサ)や内人たちによる初期消火ののち 駆け付けた消防に消し止められ ボヤ程度にとどまった

乾清宮は 日本統治時代に取り壊され 近年復元された建物であったため 文化遺産では無かったのも不幸中の幸いだった

しかしもし 乾清宮が焼け落ち 皇太后が命を落としでもしていたなら… きっと俺は即座に警察に連行されていただろう

 

それでなくとも 乾清宮に不似合な俺がこのタイミングで其処に居たという事実は それだけで疑われる理由に充分だった

何しろ俺と恵政殿皇太后が犬猿の仲なのは 皇室も王族も 国民さえも周知の事実なのだから

俺はそのまま 宮廷内に有る皇室警察の聴取室に拘束された

 

 

罠だった 気付いた時には遅かった

皇室警察の事情聴取に対し 黙秘を貫いた俺は 翌朝まで東宮殿へ戻ることも 内官や尚宮と連絡を取ることも許されなかった

何故黙秘なんか…って?

있구요. 그런 이유가/イックヨ.クロンイユガ(有るんだよ そうする理由が)

 

 

慣れない狭い部屋の慣れない硬いベッドの上で…自分の置かれた危機を如何にして回避しようかと考えるよりもずっと 心配なある事の所為で 一睡もできなかった

嗚呼…そういや…夢に見た吸血鬼の俺も…無実の罪で捕まり黙秘して 投獄されたっけ…

ちょうどあの時のように…窓から細く輝く美しい月が見える

不思議だな…色んなことが此処ではない何処かの世界と繋がってる気がする

PHD2014運命「吸血鬼」Ⅲ~黒いコートを翻す後ろ姿を…呆然と見送るしかなかった

SideStory「吸血鬼」より


昨日持ち越された廃妃の件は 後回しとなり 査問委員会が開かれ昨夜の火事の件を問いただされる事になったが 俺に話せることなど何も無かった

そもそも昨夜乾清宮を訪れるに至った理由は 出来ることなら嘘を言わずに 隠したかった

 


「皇室警察の聴取に応じず黙秘したと聞いたが…

そなたは昨夜なぜ乾清宮の庭に出向いたのだ?」

陛下の問いで始まった査問委員会には 王族会のタヌキジジイ達が意気揚々と並んでいた
「何も…

眠れず 夜風の中を散歩しているうちに乾清宮(コンチョングン)まで足が向いていただけです」
「嘘だ!」

「畏れ多くも皇帝陛下にそのような雑把な受け答え…いかに皇太子殿下といえど許される事では御座いませぬぞ」

「そうだそうだ」

「殿下…どうかお答えください 黙秘なされては御身をお守りできません」

チェギョンの叔父にあたるキム・スヒョン氏の心配そうな顔を目にすると 胸が痛む

きっとチェギョンと何か話したはず…

チェギョンはなんと言ってた?

「答えろ!」
「此処は査問委員会 きちんとご説明頂きませぬと 再び皇室警察へ御身を引き渡さねばならなくなりますぞ?」

 

俺は プリンススマイルも皇太子の仮面もかなぐり捨て 思い切り顔を顰めてみせる
「そうなさったらいい
第一おかしくありませんか?

恵政殿皇太后さまは私のイギサに救出された事をお忘れですか?
私は 自ら火を放った屋敷からその主を助け出したのですか?」

 

王族達は言い淀む

俺も其処が理解できなかったんだ

自作自演ならさっさと避難すればいいのに なんでペクイギサに助け出されたのか…

もしや恵政殿皇太后に媚びへつらって置きながら 俺と同時に皇太后まで排除しようとする輩まで居るのか?
「火を放った者は他に居る 故に私が手を下したような証拠など出ては来ません」

正直 俺が其処に居た本当の理由を話せば チェギョンの廃妃は再び議会が招集されることもなく決定されるだろう

だからこそ知らぬ存ぜぬを押し通す俺に根負けし 休憩を挟んだ

それなのに… 

休憩から戻ると 事態は急変した

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ
ううう…
「えぇっ!なんでよ!?」
ですよね?
続きをお待たせして ちょんまるみあねよ
 

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