357.東宮殿から消えたモノ~俺を 完膚なきまでに叩きのめす必要が有ったのかよ? | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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前のお話→356.黙秘の理由~月に叢雲…花に風… に引き続きシン目線です

 

 

秒針の刻む音が耳の中に響き渡り 気が狂いそうになる

チェギョンの居ない広いベッドで…アルフレッドが居なきゃとても眠れる気がしない

そんな状況なのに今 俺の寝室にはアルフレッドが居ない

蒼い箱の上のアルフレッドに 縋りつきたい一心で手を伸ばしたのに 無かったんだ

 

―誰が何処へ隠したんだ!?―

 

叫びだしたい衝動を抑えて 考えを巡らせる

違う…

 

あの日…アルフレッドが箱の上に居なくて振り返ったら 俺のベッドにアルフレッドを抱いたチェギョンが眠っていた

120.行方不明~一体誰が…

今のベッドとは違うけれど…

振り返るとそこに チェギョンが眠って… 居るわけないか

 

だが…?

이것…뭐야?/イゴ…ムォヤ?

ベッドの右側に 手のひらサイズの…アルフレッドそっくりの小さな…チェギョンのアルフが ちょこんと寝かせてある

今年の四月 アイツの誕生日に済州島に確認しに行った

はっきり思い出したけど アイツには話せなかった過去

俺がそれまで記憶から消し去っていたあの嫌な思い出と ちょうど同じように…

幼い頃…済州島で 俺が渡したアルフレッドをベッドの中に忘れて行ったチェギョンを…

”僕の事なんか忘れて 新しい友達の元へ去って行ったんだ!

これっきり永遠に会えなくなる”

そうみっともなく泣いた自分を 俺は 記憶から消したんだ

278.二人きりの済州島旅行~眠ってもいいぞ 着いたら起こしてやるから

なのに これは…なんだ?

今度のコレも やっぱりチェギョンが こうしたのか?

そうだとして これで 俺に何を伝えようとしている?

チェギョンからの無言のメッセージではないかと思うのに その意味が解らない

あの時と同じく さよならって事なのか?

あの時お前にやった方のアルフレッドを持ち去って…許嫁の約束として貰った小さい方は 俺に返すってのか?

なんなんだよチェギョン!?はっきり言ってくれよ!!

 

東宮殿から持ち去った物のうちの一つはアルフレッドで 代わりに…小さい方を置いて行った

だが チェギョンが東宮殿から持ち去った物のもう一つは 正しくは 物ではなく者(人)だ

代わりなんて他に居ない
俺にとってコン内官とチェ尚宮は幼い頃から俺を見守る親や姉のような存在で 厳しく叱られることはなくとも 窮地に追い込まれた俺に諫言し 前向きにしてくれる大切な存在だ

それはチェギョンも充分解っているはずなのに こんな状況でチェ尚宮を連れ出すなんて…

 

お前を失った俺が アルフレッドとチェ尚宮無しにまともに暮らせると思うのか?

俺がそんなに強い人間じゃないって事…誰が知らなくともお前は知ってた筈だよな?

153.美術館の落成式~いつから震えている?拙い…こんなところを人目に晒しちゃいけない

160.茗禪堂(ミョンソンダン)の改装~堅い口調と鋭い瞳に あたしは凍りつきそうになる

なんなんだよ!

俺を 完膚なきまでに叩きのめす必要でも有ったのかよ?

 

あるいは…

逆なのか?
チェギョン…俺を捨てたんじゃないのか?
自分の身代わりとして置いて行ったと そう信じたくなる小さなテディベアのアルフを握り締めて訴えかける

「でも いったいどうして 黙って出て行ったんだよ?離れないと…

離れないと言ったじゃないか!!!」



翌十日の俺とチェギョンの二年目の結婚記念日は チェギョンが行方不明のまま…

火事と廃妃の件で目の色を輝かせたタヌキジジイ達によって 忘れ去られた



俺が現場に行った理由は…無論ずっと隠していた

なのに 火の中にチェギョンが居るのではと焦るあまりに落としてしまったらしい俺の携帯電話も現場検証で見つかり…その受信メールで 発覚してしまった

 

離婚を実現するために 妃宮が火を放ち 皇太子に濡れ衣を着せて逃亡したのではという噂が宮中を駆け巡り 外部にも漏れた
噂を鵜呑みにするわけは無いが…俺の贈った王冠のネックレスが乾清宮の火災現場付近に落ちていたせいで チェギョンを信じることが難しい状況にあった俺は 黙秘する以外に為す術がなく

誰の仕業なのか いったいどう解決すべきなのか 何から始めるべきか 考える事も出来ない状態の俺は まるで抜け殻のようで…

おじい様が崩御し 姉さんがイギリスに留学して 酷く孤独を味わったときとちょうど同じように 食べても吐き 横になっても眠れなかった


何も語らない俺が 真相究明を遅らせているという非難の声も浴びた

反対に 妃に裏切られた皇太子を憐れむ声も聞いた
だが俺にはそんなこと どうでも良かった
チェギョンが 火を放ったのだとしたら それでも良かった 寧ろ良くやったと褒めてやりたいくらいだ
なのに…何処へ行ったんだよ?
なぜ俺を置いて行ったんだ?
チェギョン…
教えてくれ…皇室というよりももう 俺に うんざりしたのか?

 


失踪したチェギョンが戻らぬまま チェギョンが真犯人として捜査は進む

「人を疑う事も知らない世間知らずの妃宮が 一人でどうやって身を隠すのです!?」
思政殿(サジョンジョン)に呼ばれた俺は 妃宮は我々を陥れようとする者によって連れ去られたのだと主張し続けるが チェギョンが犯人であると思わせる状況証拠とされたあのネックレスと俺の携帯以外には何も見つかっておらず

「父上 妃宮は チェギョンは違います
どれほど憎い相手でも人を殺めようなど絶対に考えもしません
彼女は 自分を傷付けた相手さえも容易く許してしまうような女なのですよ?!」

326.初恋~女の子は気持ちの篭って無いキスなんてできない

「シン…私もそうは思うが 信じたくても 当のチェギョンが手紙を送って来たのだ…」

!?

ばかな この俺に一言のメモさえも残さなかったのにそんなわけが…
「なにを仰って…」
机の上に置かれた白い封筒を開封せよと文字通り頤使(イシ)され…
甘んじて手に取り開封する おそるおそる中の便箋を広げると…

―私は 到底お許し頂けない罪を犯しました
  全てを放棄致します故 どうか探さないでください
                     皇太子妃 シン・チェギョン―

見覚えのある チェギョンの丸い可愛い字だった

こんな事が…あるか?
こんな事…
小刻みに首を振る俺の耳に 陛下の諭すような声が届く

「違ったとしても 自分を犯人としてこの問題を解決するように望んでいるのだ…
だから姿を消したのであろう…」

そんなはずは無い… そんなはずは…無い
離れないと言った…俺の傍に居ると言ったのに…

 

 

妃宮の離婚発言以前に 皇太子の俺が巫女を買収した事も隠密だったはずなのに…スパイが居るんだから当然なんだが… 王族達の耳に入っていた為に

 

―仕来りを軽んじる皇太子夫妻―

―相次ぐ波紋で世間を揺るがした上に 逆恨みして皇太后さまのお命を狙った―

―とんでもないことだ―

―すぐにも皇太子夫妻を廃位に いや皇室を廃止しようではないか―

 

皇室は窮地に追い込まれた

 

 

今日もありがとうございますカムサハムニダ
チェギョンはチェ尚宮とアルフレッドを連れ出して何処へ行ってしまったのか…
お待たせしてみあねよ
その前にギョンくんのお話を3話ほどお送りします↓

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