146.孝経 ~皇后陛下より上の皇太后陛下に命を受けてきたのです | かおり流 もうひとつの「宮」

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「チュ・ジフン&イ・ジュンギな毎日」のまほうの手・かおりが
こっそり書き溜めた「宮」の二次小説を今更公開(四十の誕生日2013/08/18にOPENしました)
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「何度言わせるのだ 妃宮さまは勉強中だと申したであろう」
「チェ尚宮こそ おわかりでない
すぐにお連れしろと皇太后陛下のご命令です」
「クァク尚宮!そなたは太皇太后陛下の尚宮であろう」
「ご存じないようですね
その太皇太后陛下より 皇太后陛下へ仕えよとの命を受けたのです」
「取次は出来ぬ 今は 皇后陛下のお決めになった時間だ」
「私は皇后陛下より上の皇太后陛下に命を受けてきたのです」
「なんだと?今なんと申した?
そなた いつからそのような不遜な言葉遣いをするようになったのだ」
「皇太后陛下のご指示です 皇族の方以外には古語を使うなと この場でも使いません」
「伝統とは一朝一夕に変わるものでは無い
太皇太后陛下の尚宮が どうしてそれを忘れたのか?」
あわあわ… ど…どうしよう… 尚宮のお姉さん達が言い争ってるよぉ~
あたしが「行きます」って言えば済むことだけどぉ…怖くて行けないのも事実だし…

結局…
チェ尚宮お姉さんに軍配があがり 一旦 恵政殿皇太后さまの殿閣に帰ったクァク尚宮が 今度は皇太后様と共に書筵堂(ソヨンダン)に舞い戻った

「妃宮 未だに勉強中なのか?」
未だにって…まだまだだよぉ…(泣)
「皇太后陛下 妃宮さまは…」
「私は チェ尚宮に聞いておるのではない」
うひゃぁ…
「妃宮 今までどんなことを学んだのだ?」
「え… 孝経と 論語 それから…」
「なぜ自分が学んだことなのに すぐに応えられないのだ」
おっとけぇ~
「申し訳ありません…」
「妃宮様は 孝経を含む四書五経 論語 詩経を学ばれました」
結局 チェ尚宮お姉さんが答えてくれた
「そうか それでは…
子曰 夫孝 徳之本也 教之所由生 この意味を答えよ」
「え…っと…それは…」
あわわ…えっと…孝経はもう完璧だったはずなのに 緊張して頭が真っ白にぃ~
「妃宮 この程度の文章も解らぬのか?」
いや 覚えたんです 覚えてます はっ!そうだ!
「思い出しました 媽媽 ―孝は徳行の基であり 教化をもたらす―」
「そのとおりです 媽媽」
やたっ!チェ尚宮お姉さんが褒めてくれた!
うふ どうだ!…と思ったら
「よろしい
私は皇太后としてこれから 妃宮が勉強を怠っておらぬか確認する
尚宮は妃宮が学んだ本を全て持ってきなさい」
「ええ!全部ですか?」
ひえぇ~
「何をしておる!皇太后陛下のお言葉が聞こえなかったのか?」
クァク尚宮が女官のお姉さん達へ指示した
うっそ い 今からなの?!

戻って来た女官のお姉さん!どおしよう…と 思ったら…
ユル先輩が一緒だった
「皆出ていて」
いつになく硬い表情のユル先輩…
「皇太后陛下 尚宮達の前での叱責は 皇室の仕来り以前に 道理に反します」
「そなた…」
「ユル先輩…」
あたしを庇ってお母さまにそんなこと 言わなくていいのに…
「皇室の秩序を守る為に 何が大切かを お考えください」
「行こう」
「え?で…でも…」
ユル先輩に手を引かれて 書筵堂を出たけど…大丈夫かなぁ…
なんだかちょっと不機嫌そうに黙ったまま あたしの手を引くユル先輩… あたしはただ付いて行くしか無くて 庭園を歩く

「ここは?」
軋む階段を登ると 本がいっぱい並んだ図書室みたいな部屋だった
「茗禪堂(ミョンソンダン)といって 古い図書室みたいなものでね 僕が皇太孫だったころ 時々遊んでいた場所だよ」
初夏の風が吹き抜けて心地いい…
「久しぶりに此処で本を読もうかと思ったら 山ほど本を抱えた女官達が書筵堂のへ向かっていくのが見えて… 母さんが色々と…ごめんね…辛いだろう?」
「平気です…皇太后陛下のおっしゃるとおりだもの…私が悪いの」
切ない表情のユル先輩に両手の平をむけて全然!と言ったものの どうも気まずい…
そこにふと目に留まった楽器を手に取る
「それより…これはなあに?ギターに似てるけど…違うみたい」
「マンドリンだよ」
ティラリラリン…
「細くて…物悲しい音ね」
ティラリラン ティラリラリラ ティラリラン…
哀しい音だけど…綺麗…なんて美しい音色…
寂しそうだけど その奏でる音はとても美しくて心惹かれる… シンくんに似てるかも…


それからあたしは時々 東宮殿に遊びに来るユル先輩と 茗禪堂(ミョンソンダン)で本を読んだり 私の知らない宮中のこと 皇帝陛下や皇后さま 太皇太后さま それから シンくんやヘミョンお姉さまのこと あと 王立大学の美術科で どんな講義があるのかなんかも 教えて貰ったりして…
中でも マンドリンの弾き方を教わって…大声で歌うと 気持ちが晴れて楽しかった
だけど…
時間を忘れてしまって うっかりお仕事から帰ったシンくんより 遅くなっちゃって…
「何処を遊び歩いていたんだ!」
なんてイキナリ怒鳴るから つい売り言葉に買い言葉で「理不尽だわ!」と言い返したものの…
実はシンくん 体調がすぐれなかったようで 食事の途中で「もう休む」と部屋へ篭ってしまって…
あちゃ…そうだった…チェ尚宮お姉さんが言ってたよね…
殿下には容易く心を開けない事情があるから あたしの方から歩み寄ってあげてって…
なのにあたしってば… また シンくんを他の同級生と同じ感覚で責めちゃった…
ちょっと反省…
大きな心で優しくしてあげなきゃ!と思ってはいるんだけど あたしはやっぱ大きな心の持ち主じゃないんだろうな…


キラキラいつも ありがとうございますキラキラ


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