日本ファミリーオフィス協会 -84ページ目

三菱商事の槙原稔さんとハーバードクラブー今月の日経「私の履歴書」

今月の日経「私の履歴書」は槙原稔さんだ。この方は戦後すぐにハーバードに留学した数少ない日本人として知られている。三菱商事の社長、会長を経て経団連の副会長もされていたので、私も仕事で何度かご説明などさせて頂いたことがある。しかし、実際にお話をさせて頂いたのは専ら、ハーバードクラブの会合だ。


今でこそ、アメリカの有力大学はどこでも日本同窓会があるが、ハーバードで日本同窓会を組織化したのは槙原さんだ。初代会長で、仕事が多忙になってから、私が日常的にお世話になっている加藤祐一さんにバトンタッチされた。でもハーバードクラブではやはり槙原さんの存在感が大きい。


いつもウィットに富んだ話をされ、日経「私の履歴書」の初回にも書いておられたが、「誰も私が三菱商事の社長になるとは思わなかったが、社長就任を聞いて一番驚いたのが私だった」などといって周囲を笑わせている。なかなか日本で教育を受けていただけの人では出せない味だ。


日本の会社では、商社などでも国際派といわれる人はトップにはなれないことが多い。だから国際会議などでは困るのだ。三好正也(元経団連事務総長)がよくいうのだが、財界人で英語が流暢な人が昔はほとんどおらず、自分が代理でスピーチをすることもあったそうだ。財界人の英語使いの双璧は槙原さんと亡くなられたソニーの盛田さんだろう。


ともかく、槙原さんにもまだまだお元気で、後進のご指導を頂きたいものだ。





日本の政治は20年間小沢一郎に支配されてきた

かつて田中角栄が「闇将軍」と言われ、日本の政治を支配してきた。これは田中が総理になった1972年から中曽根政権の1986年くらいまでだ。しかし、その弟子である小沢一郎は自民党の幹事長になった1989年以来、20年間も日本政治を表に裏に支配しているといっても過言ではない。これだけ世の中、あるいは政界が激動する中で、ある意味、奇跡的な粘り強さだ。


これを東北人の粘りという人もいるが、彼は東京生まれだ。高校も小石川高校で、私はたまたま高校の同級生の方に高校時代の小沢一郎の話を聞いたが、全く目立つ存在ではなかったという。特に勉強ができたわけでもなく、有力政治家の息子がいるな程度の記憶しかないそうだ。政治家になってから伸びたのだろう。


かつての海部政権のときも、細川政権の時も総理より小沢の方が力があった。そのことは国民は誰でも知っていた。そして、今度もまた、鳩山首相よりも小沢幹事長の方が力があることは日本人なら誰でも知っている、という事態が起きているのだ。


小沢一郎の力の源泉がどこにあるのか、話しをしたこともない私には全く分からないが、その側近に聞くと実行力だという。確かに、経団連の元会長の平岩外四氏は小沢一郎を高く評価し、日本の政治を変えてくれると考えていた。「玄人好み」の政治家とも言われている。政界で最後に残った実力者であることは間違いない。


民主党のマニフェストに盛り込まれた、官僚主導から国民主権へという大改革は、まさに小沢が真剣に取り組まないと他の誰にもできない。官僚も小沢に睨まれたらさすがに恐いだろう。他の政治家は、官僚たちは基本的に

どうにでもなると思っているようだ。麻生首相がそうだったように。


今後、小沢支配が吉とでるか凶とでるか、吉とでることを祈るのみだ。




自民党大敗の理由ー天下りを廃止できなかった

「天下り」という言葉は何とも人を見下した言葉だ。役人が民間企業や団体に再就職することがなぜ「下る」ことになるのか。日本の役所体質を最もよく表した言葉だ。私の知り合いの官僚には、こんなことを考えている人間はいないが、役所の特に出世しない人は自分の拠り所として「民間より上」という意識を持っている人が多いことも確かだ。


日本が途上国だった時代はそれもよかったかもしれない。しかし、先進国の仲間入りをしてもずっと「天下り」は続いてきた。自民党は口先では「天下りの根絶」を言っていたものの、麻生さんを初め誰一人メスを入れた人はいない。田中真紀子が人気が高かったのも役人と戦ったからだ。しかし、最後はけんか両成敗になったが。それほど、官僚の上の方の人は権力闘争は上手だ。大臣すら辞めさせることができるのだから。あの小泉さんでさえ、官僚の見方だった。


ともかく、自民党は「天下り」をやめさせることはできず、むしろ天下り団体は増殖して国の財政赤字を膨張させる一因にすらなっている。もう限界にきており、天下り根絶を約束したことが、今回の民主党大勝利の大きな要因だろう。民主党はどこまで天下りを抑えられるか、お手並み拝見だ。


当然のことながら役所の抵抗は想像を絶するものだろう。若手はそんなことはないが、課長クラス以上だと天下りがあるからここまで安月給でやってきたのに、という人もいるだろう。そういう幹部は命がけで抵抗してくる。役所の出世の基準の一つに「天下り団体をいくつつくったか」がある。本当に国民をナメタ話だ。


もちろん自民党の若手議員でも、本当に天下り根絶をしなきゃいかん、と考え有力議員に働きかけをしている人もいる。しかし、幹部に抑えられ、結局は党全体の方針にならない。渡辺喜美さんのケースがいい例だ。

同様に、役所の若手がいくら上司に天下り根絶などといっても、飛ばされるのが落ちだ。


国民の民主党への「天下り根絶」の期待は大きい。我々の血税は有効に使ってほしいという思いでもある。

でも本来、官僚は国家のために働くべきだし、少なくとも入省の時は皆そう思っているはずだが、なぜ自分の利益だけを考えるようになってしまうのか。学校秀才だけでなく、本当に頭のいい人もいるだけに残念だ。ひいては国の損失になるだけに、国家公務員改革は是非とも民主党が成し遂げて欲しい。

民主党政権になって、超富裕層は増えるのか

民主党が予想通り大勝した。自民党の超大物も多く落選した。海部さん、久間さんは時々お会いしていたので残念だ。武部さんは比例で復活してよかった。ハーバードの同期では、大蔵省出身の桜内君は残念ながら落選、通産省出身の斉藤健さんは比例で復活したようだ。


問題は民主党政権になって世の中がどう変わるかだ。特に私の仕事関係では、民主党のマニフェストでは「超富裕層はどうなるのか」が気になるところだ。マニフェストを見る限り、関係あるのは「中小企業の法人税を18%から11%にさげる」という項目だ。


日本の超富裕層の中核は、いうまでもなく中小企業のオーナーだ。イメージとしては社員100人から300人くらいの中小企業オーナーで、資産は10億円から数十億円くらいだ。こういう人への影響はどうだろうか。言うまでもなく大歓迎だろう。


一口に中小企業といってもピンきりだ。毎年赤字続きで、何年かでなくなる会社が実際には多い。しかし、ここで問題になっているのは、儲かっている中小企業の話だ。そもそも、そうでないと社長は超富裕層にはなれないわけだ。税金は会社の「利益」に対してかかるので、万年赤字企業はもともと税金を払っていない(というか払えない)ので税率が変わっても恩恵はないのだ。


今度の民主党の方針は、儲かっている中小企業には願ってもない政策だ。格差は拡大し、黒字の中小企業オーナーにとっては超富裕層の仲間入りをするチャンスが増えるだろう。また、既に多くの資産を持っているオーナーは、ますます富むことになるだろう。

依田紀基さん(元囲碁名人)の教育論

囲碁の世界で依田さんといえば、今年亡くなった藤沢秀行さんと同じくらいユニークで有名な人だ。私は高校生の時に、当時中学生で日本棋院の院生(プロになる手前の段階)だった依田さんに打ってもらい一戦一勝だ。囲碁の元名人に負けなしというのはおもしろい記録なので、以後(これからも)依田さんとは打たないことにしている。


依田さんが北海道の小学校時代に、オール1だったのは有名な話だ。それで囲碁の世界ではトップになれたのだから、現在の坂田三吉という人もいる。昔の囲碁や将棋のプロでは珍しくなかっただろうが、今の囲碁のプロと話をすると、普通のサラリーマンと変わりない人が多い。だから依田さんにはファンが多い。民主党の小沢副代表も依田さんのファンだと何かの雑誌で語っていた。


依田さんはそういう経歴から、いろいろな教育機関から講演を頼まれることも多いようだ。これも有名な話だが、その時には、「オール1の僕でも今は囲碁のプロとして稼いでいるのだから勉強などしなくていい」といって現場の教師をあわてさせるそうだ。


ある意味、ブッシュ元大統領(子供の方)がエールの卒業式で「自分は成績はCだったが大統領になれたので成績は気にしなくていい」と語ったのに似ている。しかし、もしブッシュの父親が大統領でなかったならば、ブッシュ(子供)が大統領になれたと思う人はいないだろう。


ともかく、教育には無限の可能性、選択肢があって、何が正解なのか藪の中だ。確かに、日本で一流といわれる大学を出ても、社会に入ってからの成功とはイコールに程遠い。とくに、これからはそうだろう。しかし、だからといって学歴不要論もまた違う気がする。成功する「可能性」が高いのはやはり一流大学を出た人であるのは、今後も変わらないと予想される。


教育論は、永遠に解のない哲学論争だ。

超富裕層と別荘ーなかなか使いこなせないもの

夏ともなれば、超富裕層といわれる人は皆、別荘に行っていると思われがちだ。確かにそういう方もおられるが、他方、別荘はなかなか行けずにカビだらけになっているよ、と言われる方も多い。私も山梨の実家のそばに別荘らしきものはあるが、つくった当初の2,3年はよく行ったものの、今では完全に飽きてしまい、全くいかなくなってしまった。友人でもこういうパターンは多い。


実際に、私の知り合いで別荘を使いこなしている人は、とんでもなく広い別荘を持っていて毎週管理のために行かざるを得ない人か、複数の場所に持っていて使い分けている人である(こうすればあまり飽きはこない)。中途半端だとどうしても飽きてしまい、何とか手放したいのだが、という相談をよく受ける。行かないのに管理費や固定資産税を取られるのは、いくらお金持ちでもたまらないようだ。


他方、お客様から軽井沢に別荘を買いたいという相談を受けることもあるが、いろいろな実例を説明し踏みとどまってもらっている。実際には、ホテルなどに泊まったほうがはるかに経済的であり、「所有」によって得られる満足感は当初だけだし、後からはズシリとその「所有」していることが重荷になるのだ。


昔から「妾と別荘は持つな」という言葉があったそうだ。別荘はそれほど保有するのにコストがかかるものなのだ。何か、リゾート不動産会社の敵みたいな話になったが、本当に「お客様のため」を思えば、別荘はお勧めするわけにはいかない代物のようだ。



誰もが無理だと思うことをやるー楽天・三木谷氏の戦略はファミリーオフィスにも通じる

今日は、久々に昔の経団連の講演録を読み直した。2002年3月に経団連で楽天の三木谷さんを招いて講演会を行ったのだ。この担当は私で三木谷さんを推薦したのも私だ。さすがに経団連で当時30代だった三木谷さんを講師とすることには若干異論もあったが、本人がおもしろい話ができそうだったので役員も納得したのだった。


私は、楽天の成功はインターネットショッピングモールという、誰もやらないことを初めてやったので成功した、と単純に考えていた。しかし、これは大きな間違いで、実はその前に丸紅やNECがやって、失敗したのだそうだ。大企業がやってダメなのに、最初は二人で起業した三木谷氏ができるとは誰も思わなかったそうだ。しかし、大企業にはない、失敗してもともとのチャレンジ精神が、大きな成功に結びついた。


翻って、私がやっている「ファミリーオフィス」も日本は超富裕層が少ないので難しいと言われてきた。事実、大企業でも富裕層ビジネスで成功している例は日本ではない。大企業でもできないことが個人でできるかーできることはいくらでもあるのだ。ニッチなビジネスはむしろ個人商店のほうがアドバンテージがあるのではないか。


ファミリーオフィスもニッチな分野なので、大きな組織ではむしろ難しいだろう。個人の超富裕層のニーズは個別具体的で、1対1で対応しなければならない。これは小回りのきく個人でないとできないだろう。冷静に分析していくと個人の方が有利なのに、誰もが「日本では富裕層を相手にした仕事は全て失敗している」という固定観念があり、なかなか参入できない。


これを経営戦略的に考えると、競争相手が少ない分野はむしろ有利、と見ることもできる。誰もが無理だと考え、参入してこないと、そのマーケットは独占に近くなる。ニーズがある分野であれば、成功できる確率はむしろ大きいのではないか。


私も経営戦略を考え、日本で誰もやっていない「ファミリーオフィス」事業をやってきたが、確かに超富裕層をファミリーオフィスの顧客にするのは相当難しい。超富裕層は用心深く、なかなか自分の状況を教えてくれないものだ。全てを聞き出すまでに2,3年はかかるのが普通だろう。でもそこまで相手の信頼を得られれば、やりがいも達成感も相当にある。


誰もが無理だと思ってやらないことを、敢えてやるというのは、実は経営戦略上は有効な手段なのだ。



民主党大勝なるかー与謝野馨さんの心配が現実化

今日、ある閣僚の秘書の方とお話したが、今までは楽勝だったが今回は何かおかしい、という話をされていた。落選まではさすがにないとは思うが、本当に現職閣僚や首相経験者でも落選する人が何人か出る情勢のようだ。与謝野さんが、民主党独裁になると心配しているようだが、4年前の郵政選挙の全く逆になる気配だ。民主党で出れば誰でも当選、ということになりかねない。


まだ投票日までは数日あるので、自民党が少しは巻き返すだろうが、大勢はこのままだろう。相変わらず自民党も失言する大物がいるので、とても逆転まではおぼつかない。でも、政治の世界は極端はよくないと日本人はさんざん学んできた。民主党が勝ちすぎても自民党のように強行採決が頻繁に起こったりするだろう。民主党の首脳のほとんどが自民党の旧田中派出身なので、そうそう変わるわけはないのだ。


日本人はバカではないので、今は多くが民主党が勝ちすぎても困ると思っているのではないか。理想をいえば、民主党が少し勝って、自民党の老害のような大物が落選してくれればいいと考えている人が多いのでは。私もそうなのだが、永田町に住んでいると結構、国政選挙は身近に感じたりする。


今も両隣は大物政治家の事務所だ。同じフロアにも多い。しかし、自民党の大物は軒並み苦戦のようなので、選挙後はどうなるかわからない。落選してまで永田町に事務所を構える必要もなくなるので、マンション内でも民族大移動が起こるかも知れない。ある程度、お話ができるようになった先生方が去っていくのは寂しいものだ。こうなるには何年もかかっているので。


投票日が迫っているが、結果を見るのが意外にこわい選挙になりそうだ。





間違いだらけの「超」富裕層ビジネスー雑誌「ファンド情報」へ寄稿

昨日発行の雑誌「ファンド情報」に、「間違いだらけの「超」富裕層ビジネス」という私の記事が掲載された。「ファンド情報」とは日経系の雑誌で、金融機関などのプロが購読しているものだ。書店では販売されていないものの、ほとんどの金融機関が購入しているらしく、昨日は知り合いの何人から「読んだ」という連絡を頂いた。


「ファンド情報」には昨年インタビューを受けて若干弊社が紹介されたが、今度は1ページで「一般には知られていないこと」を書いて欲しいという依頼だった。なかなか字数の関係もあって十分な内容を盛り込めなかったが、今回はイントロとして多くの人が誤解している以下の3点を解説した。


第1は、超富裕層(金融資産が概ね10億円以上)のニーズは資産運用ではなく、資産「保全」にあること。数十億の資産がある人は一生使う以上のお金を持っているので、危険を冒してまで資産を増やすニーズは少ない。それよりも次世代に資産を継承することが大事なのだ。むしろ、お金のことよりも家族の健康や教育のニーズの方が優先順位は高い。


第2は、超富裕層は「紹介」でしか顧客にはならないこと。資産規模が大きくなると、ありとあらゆる営業マンがやってくるそうだ。しかし、超富裕層はその経験から、営業マンの話に乗っていいことは何もないことは理解している。自分の信頼できる友人の話しか信用しないのだ。


第3は、超富裕層は現状の金融機関のサービスには満足していないこと。

特に金融機関は 2,3年ごとに担当者が代わるので、代わった時に自分の状況を一から説明し直すのが煩雑で、また新しい担当者と相性が悪い可能性もある。このことは多忙な超富裕層にとっては非常なストレスになる。


「間違いだらけの「超」富裕層ビジネス」というテーマでは、まだまだいろいろな切り口があるので、機会があるごとに情報提供をして、関係者の参考になればと考えている。






堀義人さんの子弟が囲碁の団体戦で優勝ー独特の教育論

堀義人氏(グロービス代表)が本日の日経新聞に広告を出している。自身の正面写真を大きく出しているのが特徴だ。いつも広告では顔写真を載せているが時々変わっている。さすがは、大学時代に「メンズノンノ」のモデルをやっていただけあって、顔を出すのは平気のようだ。


そもそも堀さんとはハーバードの卒業は1年違いで、同い年だ。たまたま住んでいるところが近いので、時々路上でお会いする。最初に会ったのは1992年だが、その後はしばらくお会いすることもなかった。何年か前に堀氏が

囲碁に凝っているという話を聞いてから、またコンタクトが始まった。


彼の特徴は何といっても子供が5人いることだ。小学校は公立がいいということで、公立小学校に通っている。教育方針は「囲碁と水泳と英語」だ。これ以外は全て選択科目というからおそろしい。ともかく全員が囲碁を習い、小学校の団体戦に出て、昨年は全国4位になっていた。今年も同じメンバーで団体戦に出て、優勝したのだ。


昨年の全国大会では私も日本棋院(市ヶ谷)に行き、その時に心配そうに見ていた堀氏の顔が印象的だった。そういえば、3年前に作家の本田健さんが「堀さんに会いたい」ということで、お連れしたときに、堀氏は経営大学院の「校長」も務めているだけあって、教育について語っていた。もちろん「囲碁と水泳と英語」の話はしたが、そのほかにグロービスの採用では、「中学、高校のときに何かに熱中していた人を採る」ということだった。そういう人が社会に出てから伸びる可能性が高いそうだ。本田健さんも興味深そうに聞いていた。


ともかく、堀義人さんは独特の教育論(校長なので当たり前だが)を持っているので、私も子供を持つ身としては、何かと参考にさせてもらっている。