槙原さんと小林一三の接点ー山梨出身の大物
今日の日経「私の履歴書」を読んで驚いたが、槙原さんはハーバードの学生のころアメリカにきた小林一三(阪急、宝塚の創立者)をいろいろなところに案内したという。槙原さんとしては、久々においしいものを食べれると期待したものの、小林一三が毎日行ったのは「ファーストフード店」でがっかりしたという。
もちろん、小林一三の目的はファーストフードではなく、その「システム」を観察することだった。これは日本でも伸びるぞと直感したに違いない。さすがは甲州商人の代表である小林一三の面目躍たるエピソードだ。
私は山梨の韮崎市というところに実家があるが、ここはサッカー(中田英寿)と小林一三などの商人を生んだ街として知られる(その他には何もないというウワサもあるが)。たまたま当協会の広報担当をしてもらっている内藤忍さん(マネックスユニバーシティ代表、「分散王子」)の祖父も韮崎出身で内藤さんもよく墓参りに出かけるようだ。
関西の人は当然、小林一三という名前を知っているが、「山梨出身」ということを知らない人が多い。私も大阪で講演をする時には冒頭、「阪急、宝塚創立者の小林一三は甲府中学、慶応出身でここまでは私と同じだが、その後は無限の差がついた」というと、皆大笑いになるのだ。関西ではまず「おもしろいヤツが来た」と思われることが重要だ。
その小林一三も、最初は三井銀行に就職したが、まったく芽が出ずクビ同然で退職したという。アイデアマン過ぎて普通のサラリーマンは勤まらなかったのだろう。今日では当たり前の電車の中つり広告や駅ビルは小林一三が始めたものだ。小林一三のもとからは阪神電鉄の野田孝さんや東武電鉄の根津嘉一郎さんなどが育った。商工大臣のときに事務次官であった岸信介と意見対立し、岸さんを解任したのは有名な話だ。
ともかく、槙原さんの話はよく言われる「上の方は皆つながっている」ということの証明で、世の中は広いようで実は狭いものなのだ。
マスコミに多くでるのがいいのかーあくまでも「実務家」を基本に
最近、友人や経団連の元同僚から、相山はマスコミへの露出が少ないのでは、と言われた。確かにその通りだが、自分でも今までのいろいろな経験から露出の「仕方」を考えている。
マスコミでも、視聴率の高いテレビ番組の影響はものすごく、昨年テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の富裕層特集で弊社の活動が5分間紹介されたときには、その後何と1000通のメールを頂いた。その大半は保険代理店の方々からの「自分の」売り込みだった。超富裕層の顧客を紹介してほしいとの。
最近では、お話を頂いたなかで、「知る人ぞ知る」雑誌を選んで掲載してもらっている。例えば、8月には日経系の雑誌「ファンド情報」で「間違いだらけの「超」富裕層ビジネス」という記事を出した。その後、5通の質問メールを頂いたが、皆うならせる内容だった。一般誌に比べて読者の数は少ないだろうが、質が高いのだ。昨日は、この記事がきっかけでロイター社の取材を受けた。これも内容は非常に高度な話だった。
一般誌は読者数が多く、そのターゲットも広く、スポンサーとの関係もあるので、大抵金融機関の耳障りのいいことを書く「評論家」(結果には責任を持たないでいい人)の記事が載る。専門誌は読者数は少ない分、読者のレベルが高く、また内容的にも一般消費者寄り(バイサイド寄り)のことを書いてもOKだ。私のような実務家は後者の方を選ぶべきだと考える。その結果、知名度は上がらないが本当の記事は書ける。
そうはいっても、まだまだマスコミ戦略に関しては試行錯誤だ。超富裕層は紹介でないと顧客にはならないので、マスコミに多く出ることは顧客の獲得には直接つながらない。そういう意味では「目立つ」必要はない。他方、「日本ファミリーオフィス協会」の立場ではある程度「目立つ」ことが必要になる。どうバランスを取るかは、今後の課題だ。
槙原さんのハーバード入学時の驚きに同感ー今日の日経「私の履歴書」
今日の私の履歴書だが、槙原さんがアメリカのセント・ポールズ高校でいい成績を取り、ハーバードに入学するところだ。高校の中では数学が抜群にできたが、ハーバードにいくと上がいくらでもいたという話だ。これには非常に共感を覚える。しかも、できる人間はフィリップスアカデミーやチョートのような有名高校ではなく、地方の名もない高校出身だったそうだ。
私もハーバードに行ったときに、最初、同じ学科でどういう人間がいるか興味があり、いろいろと話しかけてみた。なかには、日本語をほぼ完璧に話す男もいて(1990年当時は日本が最も注目されていた時期で日本語を学ぶアメリカ人は非常に多かった)、寮に招いて一晩中アメリカの高校事情をきいた(日本語で話していたのだが)。
彼もそうだったが、○○州でトップだったというような高校生がハーバードとかエールとかにいくようだ。その中には天才ももちろんいる。槙原さんのいう地方の公立高校出身者でものすごいのがいた、というのは彼のような男だっただろう。しかもそれが一人や二人ではないのだ。数百人単位でいるのだから、とてもこの連中と競争なんていやになってしまう。
日本では会ったことがないような天才がゴロゴロいるのだ。その証拠に日本では一番できるといわれる東大医学部のトップ卒業生もハーバード留学組にいたが、彼が「とてもかなわない」と言っていたのだ。それを聞いて、他の日本人もうなづく悲しい姿がボストンの中華街の中華料理店にあったのだ。寒い1991年の冬に。
ともかく、世界は広いということが「実感」として身につくことが留学の一番の意義だろう。
官僚の中で気骨を見せる坂田東一事務次官ー政治家にも物申す
今日の朝は、ニュースの聞き覚えのある声で目覚めてしまった。文部科学省の事務次官の坂田さんの声だった。民主党は補正も基本的に凍結、見直しと言っているが、坂田さんはこれに対して、意味のあるものはやらなきゃいかん、と反論していた。まあ当然の発言だが、この官僚バッシングの中、スパッといえる人は少ない。民主党首脳にとってはおもしろくないだろうが。
坂田さんとは1995年前後の2年間、宇宙開発の仕事で随分といろいろなことをやった。坂田さんを座長にして、宇宙開発メーカーの若手を集めた勉強会を何度もやったことが記憶に残る。しかし、1994年夏に田中真紀子氏が科学技術庁長官になってから、雲行きがおかしくなった。その年の9月、忘れもしない「きく6号」の打ち上げ失敗により科学技術庁の宇宙班は苦しい立場になった。
私も当時はよく科学技術庁の宇宙企画課(課長が坂田さんだった)に足を運んだが、皆下を向いて仕事をしていた。そんな中でも坂田さんは筋を通す人なので、田中長官とも衝突があったのだろう。宇宙企画課から去ることになった。ちょうどその頃、驚愕の新(あたらし)官房長解任事件が起きたのだ。通産省からきていた新官房長が田中長官の逆鱗に触れ、解任されたのだ。まさに前代未聞の事態だった。
ともかく、坂田さんは筋を通すことで事務次官まで上がってきたので、今日の発言は面目躍如たるものがある。今は世論はとにかく「官僚は悪」だが、これだけではとてもバランスの取れた公平な見方はできない。今の官僚の中にも筋を通すためには権力と戦う人もいることを、坂田さんは示してくれた。これからもどんどんやってほしいものだ。
民主党の二酸化炭素25%削減案で経団連はどう出るかー産業界は大打撃
民主党の政策は経済界(経団連)には厳しいものが多い。政治献金の廃止など、政策面でもそうだが、最もきついのは二酸化炭素排出削減だろう。これは実際には炭素税などの税金の新設に他ならない。二酸化炭素は経済界の「自主行動計画」では全く減らないことが証明されてきているからだ。当然のことだが。
そもそも二酸化炭素を減らすには、まず省エネで燃料効率を上げることができれば、それほど実害はない。しかし、中国などこれから省エネを実施する国に比べて、日本はもはや省エネの余地はほとんどないそうだ。よく「絞りきった雑巾」に例えられる。その状態で二酸化炭素を削減せよ、というのは経済活動を制限せよという話だ。しかもこの不況時にそんなことを経済界として受け入れられるのか。
自民党はその点、かなりの程度、経済界に理解を示していた。これも長年の献金の成果か、それとも経済界代表の議員が自民党にいるからか、よく分からないが、ともかく「経済成長第一」が自民党の基本政策であったことは間違いない。それでこそ、日本の戦後復興ができたわけだ。しかし、低成長になってから生まれた民主党は勝手が違うだろう。
民主党は政治献金の撤廃は、現代表と全代表が献金でひどい目にあったので、必ず実施するだろう。もちろんマニフェストにも明記されている。となると、恐いものなしで炭素税とか本気でやってくる可能性がある。本日の報道では財務省が新しい炭素税に興味を示したそうだが、経団連はマイナスの意味でもっと興味を持っているだろう。
民主党政権になって中央省庁(官僚)も大変だが、経団連も大変だねと感じてしまう。御手洗会長の手腕、いや経団連事務局の真価がいよいよ試される局面になってきた。民主党相手に、温暖化対策でどこまで押し戻せるか。世論は間違いなく二酸化炭素削減だし、日本国民のためにはもちろんそうだが、経済界の利益を守るのが経団連の役割だ。
また実際に経済成長が落ちたら、このご時世に、国民全員が困ることになる。そのあたりのバランスを取った温暖化対策はないものか。いやないからこそ、人類最大の問題になっているわけだが。
日本の超富裕層はおカネを社会に還元できるかー本日の日経記事「富豪と世捨て」
今日は日経の文化欄に「富豪と世捨て」というタイトルで作家の島田氏のコラムが出ている。作家の観点から日本のお金持ちのカネの使い方を批評したものだ。この人のいうように、成金のお金の使い方は無茶苦茶であることが多い。これは、一応、成金は自己顕示欲の塊、ということで説明できるかもしれない。問題は、代々のお金持ちの使い方、社会への還元の仕方だ。
この点、日本のお金持ちは社会貢献しないと言われて久しい。しかし、実際には分からないように匿名で海外の大学に寄付していたりもする。必ずしも批判は正当ではないが、大まかにいえば、日本の超富裕層は欧米とくらべ社会貢献の実績が劣ることは間違いない。
他方、日本の超富裕層も「社会貢献したい」という気持ちは多くの人が持っている。ただし、その「やり方」がわからないのだ。私のお客様でも社会貢献や寄付をしたいのだが、どこにどうすれば意味のある寄付になるのか、全くわからないとおっしゃる方がいる。これは多くの日本の超富裕層の本音ではないか。
超富裕層に意味のある社会貢献の方法をご指南するのもファミリーオフィスの重要な仕事である。弊社としても、この日本が圧倒的に遅れている分野を何とかすべく、具体的な活動をしなくてはいけないと再認識した。アメリカ人だと自分の出身大学に寄付をするのが一般的だが、日本ではどうもこういう寄付はピンとこない。何がピンとくる社会貢献活動なのか、、、成熟した日本社会の課題であるとともに、弊社の大きな課題でもある。
三菱商事の槙原稔さんとハーバードクラブー今月の日経「私の履歴書」
今月の日経「私の履歴書」は槙原稔さんだ。この方は戦後すぐにハーバードに留学した数少ない日本人として知られている。三菱商事の社長、会長を経て経団連の副会長もされていたので、私も仕事で何度かご説明などさせて頂いたことがある。しかし、実際にお話をさせて頂いたのは専ら、ハーバードクラブの会合だ。
今でこそ、アメリカの有力大学はどこでも日本同窓会があるが、ハーバードで日本同窓会を組織化したのは槙原さんだ。初代会長で、仕事が多忙になってから、私が日常的にお世話になっている加藤祐一さんにバトンタッチされた。でもハーバードクラブではやはり槙原さんの存在感が大きい。
いつもウィットに富んだ話をされ、日経「私の履歴書」の初回にも書いておられたが、「誰も私が三菱商事の社長になるとは思わなかったが、社長就任を聞いて一番驚いたのが私だった」などといって周囲を笑わせている。なかなか日本で教育を受けていただけの人では出せない味だ。
日本の会社では、商社などでも国際派といわれる人はトップにはなれないことが多い。だから国際会議などでは困るのだ。三好正也(元経団連事務総長)がよくいうのだが、財界人で英語が流暢な人が昔はほとんどおらず、自分が代理でスピーチをすることもあったそうだ。財界人の英語使いの双璧は槙原さんと亡くなられたソニーの盛田さんだろう。
ともかく、槙原さんにもまだまだお元気で、後進のご指導を頂きたいものだ。
日本の政治は20年間小沢一郎に支配されてきた
かつて田中角栄が「闇将軍」と言われ、日本の政治を支配してきた。これは田中が総理になった1972年から中曽根政権の1986年くらいまでだ。しかし、その弟子である小沢一郎は自民党の幹事長になった1989年以来、20年間も日本政治を表に裏に支配しているといっても過言ではない。これだけ世の中、あるいは政界が激動する中で、ある意味、奇跡的な粘り強さだ。
これを東北人の粘りという人もいるが、彼は東京生まれだ。高校も小石川高校で、私はたまたま高校の同級生の方に高校時代の小沢一郎の話を聞いたが、全く目立つ存在ではなかったという。特に勉強ができたわけでもなく、有力政治家の息子がいるな程度の記憶しかないそうだ。政治家になってから伸びたのだろう。
かつての海部政権のときも、細川政権の時も総理より小沢の方が力があった。そのことは国民は誰でも知っていた。そして、今度もまた、鳩山首相よりも小沢幹事長の方が力があることは日本人なら誰でも知っている、という事態が起きているのだ。
小沢一郎の力の源泉がどこにあるのか、話しをしたこともない私には全く分からないが、その側近に聞くと実行力だという。確かに、経団連の元会長の平岩外四氏は小沢一郎を高く評価し、日本の政治を変えてくれると考えていた。「玄人好み」の政治家とも言われている。政界で最後に残った実力者であることは間違いない。
民主党のマニフェストに盛り込まれた、官僚主導から国民主権へという大改革は、まさに小沢が真剣に取り組まないと他の誰にもできない。官僚も小沢に睨まれたらさすがに恐いだろう。他の政治家は、官僚たちは基本的に
どうにでもなると思っているようだ。麻生首相がそうだったように。
今後、小沢支配が吉とでるか凶とでるか、吉とでることを祈るのみだ。
自民党大敗の理由ー天下りを廃止できなかった
「天下り」という言葉は何とも人を見下した言葉だ。役人が民間企業や団体に再就職することがなぜ「下る」ことになるのか。日本の役所体質を最もよく表した言葉だ。私の知り合いの官僚には、こんなことを考えている人間はいないが、役所の特に出世しない人は自分の拠り所として「民間より上」という意識を持っている人が多いことも確かだ。
日本が途上国だった時代はそれもよかったかもしれない。しかし、先進国の仲間入りをしてもずっと「天下り」は続いてきた。自民党は口先では「天下りの根絶」を言っていたものの、麻生さんを初め誰一人メスを入れた人はいない。田中真紀子が人気が高かったのも役人と戦ったからだ。しかし、最後はけんか両成敗になったが。それほど、官僚の上の方の人は権力闘争は上手だ。大臣すら辞めさせることができるのだから。あの小泉さんでさえ、官僚の見方だった。
ともかく、自民党は「天下り」をやめさせることはできず、むしろ天下り団体は増殖して国の財政赤字を膨張させる一因にすらなっている。もう限界にきており、天下り根絶を約束したことが、今回の民主党大勝利の大きな要因だろう。民主党はどこまで天下りを抑えられるか、お手並み拝見だ。
当然のことながら役所の抵抗は想像を絶するものだろう。若手はそんなことはないが、課長クラス以上だと天下りがあるからここまで安月給でやってきたのに、という人もいるだろう。そういう幹部は命がけで抵抗してくる。役所の出世の基準の一つに「天下り団体をいくつつくったか」がある。本当に国民をナメタ話だ。
もちろん自民党の若手議員でも、本当に天下り根絶をしなきゃいかん、と考え有力議員に働きかけをしている人もいる。しかし、幹部に抑えられ、結局は党全体の方針にならない。渡辺喜美さんのケースがいい例だ。
同様に、役所の若手がいくら上司に天下り根絶などといっても、飛ばされるのが落ちだ。
国民の民主党への「天下り根絶」の期待は大きい。我々の血税は有効に使ってほしいという思いでもある。
でも本来、官僚は国家のために働くべきだし、少なくとも入省の時は皆そう思っているはずだが、なぜ自分の利益だけを考えるようになってしまうのか。学校秀才だけでなく、本当に頭のいい人もいるだけに残念だ。ひいては国の損失になるだけに、国家公務員改革は是非とも民主党が成し遂げて欲しい。
民主党政権になって、超富裕層は増えるのか
民主党が予想通り大勝した。自民党の超大物も多く落選した。海部さん、久間さんは時々お会いしていたので残念だ。武部さんは比例で復活してよかった。ハーバードの同期では、大蔵省出身の桜内君は残念ながら落選、通産省出身の斉藤健さんは比例で復活したようだ。
問題は民主党政権になって世の中がどう変わるかだ。特に私の仕事関係では、民主党のマニフェストでは「超富裕層はどうなるのか」が気になるところだ。マニフェストを見る限り、関係あるのは「中小企業の法人税を18%から11%にさげる」という項目だ。
日本の超富裕層の中核は、いうまでもなく中小企業のオーナーだ。イメージとしては社員100人から300人くらいの中小企業オーナーで、資産は10億円から数十億円くらいだ。こういう人への影響はどうだろうか。言うまでもなく大歓迎だろう。
一口に中小企業といってもピンきりだ。毎年赤字続きで、何年かでなくなる会社が実際には多い。しかし、ここで問題になっているのは、儲かっている中小企業の話だ。そもそも、そうでないと社長は超富裕層にはなれないわけだ。税金は会社の「利益」に対してかかるので、万年赤字企業はもともと税金を払っていない(というか払えない)ので税率が変わっても恩恵はないのだ。
今度の民主党の方針は、儲かっている中小企業には願ってもない政策だ。格差は拡大し、黒字の中小企業オーナーにとっては超富裕層の仲間入りをするチャンスが増えるだろう。また、既に多くの資産を持っているオーナーは、ますます富むことになるだろう。