明日は組閣と首班指名ー民主党議員は本当に官僚を抑えることができるか
永田町にいると日常的に政治の動きに巻き込まれる。隣のビルに鳩山さんの事務所があるので、報道陣が道路を占拠して大変だ。警察に聞くと、明日まで我慢してくれとのことだが、明日はいよいよ組閣だ。民主党の公約である政治主導を実現するためには本当に力のある議員を配置しないと、官僚にうまくやられてしまうだろう。
ことほどさように、官僚は政治家を御するのがうまい。特に自民党の議員はほとんどが官僚のいいなりだった。そこに田中真紀子氏が出てきて、科学技術庁と外務省で大暴れしたのだ。科学技術庁では田中旋風が吹き荒れたが、外務省では逆に事務次官とともに解任される事態が起きた。
外務省では田中大臣が決まったときに、科学技術庁の官僚から詳細を聞くなど、かなりの田中シフトを敷いたようだ。官僚は大臣に「人事」(省内だけでなく天下り人事を含む)に口出しされるのを極度に嫌う。田中大臣は外務省の人事にまで介入してきたので、外務省側も必死の抵抗をしてきた。その時に田中大臣から「伏魔殿」発言も出たが、これは言いえて妙だった。
今度の民主党の政権構想どおりになると、官僚は単なる政治家の下請けになってしまう。これはプライドの高い官僚にとっては受け入れがたいので、相当な抵抗があると思われる。自民党時代のように、政治家を影であやつり自分たちに都合のよい政策をつくるのが優秀な官僚だし、事実そうしてきた。民主党政権になっても「夢よもう一度」と考えるのは当然だろう。
そこで、ここしばらくは大臣と官僚のバトルが頻繁に起こるだろう。組織的には大臣が勝つはずなのだが(そうしないと秩序が取れない)、官僚は実を取るのが非常にうまい。でも国民世論は間違いなく、官僚主導から政治主導へ、だ。民主党政権に期待するところ大である。
リーマン破綻から1年で金融はどう変わったかー大企業からブティック型へ
あのおぞましいリーマン破綻から1年ということで、マスコミ各社は「金融機関は反省していない」ことを一斉に報道している。確かにその通りだが、確実に変化は出ている。大きい組織がいいわけではなく、小さくていわゆるブティック型の会社が使いやすいという認識が広まりつつある。特にアメリカはそうらしい。
これはファミリーオフィスの流れと同じだ。ロックフェラーやバンダービルトといった大財閥のコンシェルジュとして始まったファミリーオフィスだが、今日ではアメリカで3000以上になっている。もちろんこれだけの数になると、主流は小さい、数人のファミリーオフィスとなる。小回りのきく、まさにブテッィク型のファミリーオフィスが使い勝手がいい、と経験的に学んだのだろう。
アメリカでも、どんどん小さな運用会社ができているようだ。大きくてもリーマンのように破綻したらどうしようもないし、スイスのUBSのように、アメリカの圧力に負けて顧客情報を出すようだと、もはや「大きいことはいいことだ」とは言えなくなる。時代は大企業(規模の経済)からブテッィク型企業(顧客重視)に変わってきているだろう。これは金融やファミリーオフィスの世界だけではなく、ほとんど全産業に通じるパラダイムシフトかもしれない。
そうなると、大企業から中小企業への時代の流れは、たまたまリーマンが破綻したから顕在化しただけで、実はかなり前から起こっていた動きかもしれない。日本経済にも応用できるなら、大企業の集団である経団連の力も衰えることになる。本日の経団連から民主党への要望も、日本全体のことというより産業界の利益誘導という側面が目立った。
時代の流れは小規模なファミリーオフィスにあることは、おそらく間違いなかろう。私もそういう時代の流れを感じて会社を大きくしない方針でやってきた。またお客様との関係は、あくまで1対1であり、企業組織のようにいろいろな人が対応するようになると、お客様も自然と離れていくだろう。なかなかファミリーオフィスの経営も一筋縄ではいかない。
菅氏主導の「国家戦略局」は機能するかー各省庁は最高の頭脳を出す予定
今回の鳩山政権の大きな目玉が「国家戦略局」だ。まだまだ具体像は見えていないが、官僚主導が政治家主導に国の政策を一元化するという目的のようだ。小泉政権でも経済財政諮問会議ができ、ここで政治主導で予算を決める、などといっていたが実際は骨抜きになった。
今度の「国家戦略局」は民主党の最大の公約である官僚主導国家を変えていく、ということが試される試金石だ。これに失敗すると民主党は次期総選挙で大敗するだろう。
これからの民主党政権、あるいは日本の今後を占う上で大変な国家戦略局だが、ここには各省庁から職員が出向する予定だ。その人事が週刊誌などで騒がれているが、経済産業省からは私の恩人である今井尚哉さんの名前があがっているようだ。財務省も事務次官候補を出向させるように、各省庁とも当然最も切れる人を派遣してくる。
民主党が彼らとの知恵比べで勝てるのか、ここは非常に難しいところだ。だが、民主党も公約している以上、必死のところで、他方、中央省庁も自分たちの存在意義 がかかるの、で死ぬ気で食い下がってくるだろう。
ここは一国民として、民主党の健闘を期待したい。いつまでも、官僚の天下りの話を聞くのも、いいかげん鬱陶しくなっているのが、今の日本国民の偽らざる心境だろう。今度こそ官僚の骨抜きに会わないようにしてほしいものだ。
自民党は再生するかーある自民党大臣経験者のつぶやき
自民党が混迷を続け、首班指名では若林氏を書くなど、外野からは理解できないことが起こっている。このまま、旧社会党のように崩壊するのか、底力を示して復活するのか、日本のためには2大政党制が望ましいと考えられるので、復活を期待したい。
しかし、現実には想像以上のことが起こっている。昨日、またまた同じフロアの某大物代議士に廊下で会い、立ち話をしたが、この方は今回の選挙で落選し、東京事務所も閉めようかという寂しい話をされていた。年齢的にも引退を考えているかも知れない。数ヶ月前の様子とは全く異なる顔を見せていた。
その中で、次の総裁選は河野太郎氏の出馬が取りざたされている。私の師匠格の方の親族であり、同年代で慶応の授業でも見たこ とがあるので、何度か話したことはある。政治家3世で今度こそ河野家から首相をと考えているかもしれない。でもまた時代は世襲に戻るような気もするので、2世、3世でない優秀な政治家はいないものか
と誰もが考えるだろう。自民党の世襲率は民主党に比べ圧倒的に高い。
民主党に勝たせすぎた、という感覚は国民の多くが感じており、今はむしろ自民党再生に期待する人が多いのではないかと思われる。私もその一人だが、日本にも本当の民主制が根付くよう、自民党と民主党が拮抗し、政権交代可能な2大政党制に早くなってもらいたい。
槙原さんと小林一三の接点ー山梨出身の大物
今日の日経「私の履歴書」を読んで驚いたが、槙原さんはハーバードの学生のころアメリカにきた小林一三(阪急、宝塚の創立者)をいろいろなところに案内したという。槙原さんとしては、久々においしいものを食べれると期待したものの、小林一三が毎日行ったのは「ファーストフード店」でがっかりしたという。
もちろん、小林一三の目的はファーストフードではなく、その「システム」を観察することだった。これは日本でも伸びるぞと直感したに違いない。さすがは甲州商人の代表である小林一三の面目躍たるエピソードだ。
私は山梨の韮崎市というところに実家があるが、ここはサッカー(中田英寿)と小林一三などの商人を生んだ街として知られる(その他には何もないというウワサもあるが)。たまたま当協会の広報担当をしてもらっている内藤忍さん(マネックスユニバーシティ代表、「分散王子」)の祖父も韮崎出身で内藤さんもよく墓参りに出かけるようだ。
関西の人は当然、小林一三という名前を知っているが、「山梨出身」ということを知らない人が多い。私も大阪で講演をする時には冒頭、「阪急、宝塚創立者の小林一三は甲府中学、慶応出身でここまでは私と同じだが、その後は無限の差がついた」というと、皆大笑いになるのだ。関西ではまず「おもしろいヤツが来た」と思われることが重要だ。
その小林一三も、最初は三井銀行に就職したが、まったく芽が出ずクビ同然で退職したという。アイデアマン過ぎて普通のサラリーマンは勤まらなかったのだろう。今日では当たり前の電車の中つり広告や駅ビルは小林一三が始めたものだ。小林一三のもとからは阪神電鉄の野田孝さんや東武電鉄の根津嘉一郎さんなどが育った。商工大臣のときに事務次官であった岸信介と意見対立し、岸さんを解任したのは有名な話だ。
ともかく、槙原さんの話はよく言われる「上の方は皆つながっている」ということの証明で、世の中は広いようで実は狭いものなのだ。
マスコミに多くでるのがいいのかーあくまでも「実務家」を基本に
最近、友人や経団連の元同僚から、相山はマスコミへの露出が少ないのでは、と言われた。確かにその通りだが、自分でも今までのいろいろな経験から露出の「仕方」を考えている。
マスコミでも、視聴率の高いテレビ番組の影響はものすごく、昨年テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の富裕層特集で弊社の活動が5分間紹介されたときには、その後何と1000通のメールを頂いた。その大半は保険代理店の方々からの「自分の」売り込みだった。超富裕層の顧客を紹介してほしいとの。
最近では、お話を頂いたなかで、「知る人ぞ知る」雑誌を選んで掲載してもらっている。例えば、8月には日経系の雑誌「ファンド情報」で「間違いだらけの「超」富裕層ビジネス」という記事を出した。その後、5通の質問メールを頂いたが、皆うならせる内容だった。一般誌に比べて読者の数は少ないだろうが、質が高いのだ。昨日は、この記事がきっかけでロイター社の取材を受けた。これも内容は非常に高度な話だった。
一般誌は読者数が多く、そのターゲットも広く、スポンサーとの関係もあるので、大抵金融機関の耳障りのいいことを書く「評論家」(結果には責任を持たないでいい人)の記事が載る。専門誌は読者数は少ない分、読者のレベルが高く、また内容的にも一般消費者寄り(バイサイド寄り)のことを書いてもOKだ。私のような実務家は後者の方を選ぶべきだと考える。その結果、知名度は上がらないが本当の記事は書ける。
そうはいっても、まだまだマスコミ戦略に関しては試行錯誤だ。超富裕層は紹介でないと顧客にはならないので、マスコミに多く出ることは顧客の獲得には直接つながらない。そういう意味では「目立つ」必要はない。他方、「日本ファミリーオフィス協会」の立場ではある程度「目立つ」ことが必要になる。どうバランスを取るかは、今後の課題だ。
槙原さんのハーバード入学時の驚きに同感ー今日の日経「私の履歴書」
今日の私の履歴書だが、槙原さんがアメリカのセント・ポールズ高校でいい成績を取り、ハーバードに入学するところだ。高校の中では数学が抜群にできたが、ハーバードにいくと上がいくらでもいたという話だ。これには非常に共感を覚える。しかも、できる人間はフィリップスアカデミーやチョートのような有名高校ではなく、地方の名もない高校出身だったそうだ。
私もハーバードに行ったときに、最初、同じ学科でどういう人間がいるか興味があり、いろいろと話しかけてみた。なかには、日本語をほぼ完璧に話す男もいて(1990年当時は日本が最も注目されていた時期で日本語を学ぶアメリカ人は非常に多かった)、寮に招いて一晩中アメリカの高校事情をきいた(日本語で話していたのだが)。
彼もそうだったが、○○州でトップだったというような高校生がハーバードとかエールとかにいくようだ。その中には天才ももちろんいる。槙原さんのいう地方の公立高校出身者でものすごいのがいた、というのは彼のような男だっただろう。しかもそれが一人や二人ではないのだ。数百人単位でいるのだから、とてもこの連中と競争なんていやになってしまう。
日本では会ったことがないような天才がゴロゴロいるのだ。その証拠に日本では一番できるといわれる東大医学部のトップ卒業生もハーバード留学組にいたが、彼が「とてもかなわない」と言っていたのだ。それを聞いて、他の日本人もうなづく悲しい姿がボストンの中華街の中華料理店にあったのだ。寒い1991年の冬に。
ともかく、世界は広いということが「実感」として身につくことが留学の一番の意義だろう。
官僚の中で気骨を見せる坂田東一事務次官ー政治家にも物申す
今日の朝は、ニュースの聞き覚えのある声で目覚めてしまった。文部科学省の事務次官の坂田さんの声だった。民主党は補正も基本的に凍結、見直しと言っているが、坂田さんはこれに対して、意味のあるものはやらなきゃいかん、と反論していた。まあ当然の発言だが、この官僚バッシングの中、スパッといえる人は少ない。民主党首脳にとってはおもしろくないだろうが。
坂田さんとは1995年前後の2年間、宇宙開発の仕事で随分といろいろなことをやった。坂田さんを座長にして、宇宙開発メーカーの若手を集めた勉強会を何度もやったことが記憶に残る。しかし、1994年夏に田中真紀子氏が科学技術庁長官になってから、雲行きがおかしくなった。その年の9月、忘れもしない「きく6号」の打ち上げ失敗により科学技術庁の宇宙班は苦しい立場になった。
私も当時はよく科学技術庁の宇宙企画課(課長が坂田さんだった)に足を運んだが、皆下を向いて仕事をしていた。そんな中でも坂田さんは筋を通す人なので、田中長官とも衝突があったのだろう。宇宙企画課から去ることになった。ちょうどその頃、驚愕の新(あたらし)官房長解任事件が起きたのだ。通産省からきていた新官房長が田中長官の逆鱗に触れ、解任されたのだ。まさに前代未聞の事態だった。
ともかく、坂田さんは筋を通すことで事務次官まで上がってきたので、今日の発言は面目躍如たるものがある。今は世論はとにかく「官僚は悪」だが、これだけではとてもバランスの取れた公平な見方はできない。今の官僚の中にも筋を通すためには権力と戦う人もいることを、坂田さんは示してくれた。これからもどんどんやってほしいものだ。
民主党の二酸化炭素25%削減案で経団連はどう出るかー産業界は大打撃
民主党の政策は経済界(経団連)には厳しいものが多い。政治献金の廃止など、政策面でもそうだが、最もきついのは二酸化炭素排出削減だろう。これは実際には炭素税などの税金の新設に他ならない。二酸化炭素は経済界の「自主行動計画」では全く減らないことが証明されてきているからだ。当然のことだが。
そもそも二酸化炭素を減らすには、まず省エネで燃料効率を上げることができれば、それほど実害はない。しかし、中国などこれから省エネを実施する国に比べて、日本はもはや省エネの余地はほとんどないそうだ。よく「絞りきった雑巾」に例えられる。その状態で二酸化炭素を削減せよ、というのは経済活動を制限せよという話だ。しかもこの不況時にそんなことを経済界として受け入れられるのか。
自民党はその点、かなりの程度、経済界に理解を示していた。これも長年の献金の成果か、それとも経済界代表の議員が自民党にいるからか、よく分からないが、ともかく「経済成長第一」が自民党の基本政策であったことは間違いない。それでこそ、日本の戦後復興ができたわけだ。しかし、低成長になってから生まれた民主党は勝手が違うだろう。
民主党は政治献金の撤廃は、現代表と全代表が献金でひどい目にあったので、必ず実施するだろう。もちろんマニフェストにも明記されている。となると、恐いものなしで炭素税とか本気でやってくる可能性がある。本日の報道では財務省が新しい炭素税に興味を示したそうだが、経団連はマイナスの意味でもっと興味を持っているだろう。
民主党政権になって中央省庁(官僚)も大変だが、経団連も大変だねと感じてしまう。御手洗会長の手腕、いや経団連事務局の真価がいよいよ試される局面になってきた。民主党相手に、温暖化対策でどこまで押し戻せるか。世論は間違いなく二酸化炭素削減だし、日本国民のためにはもちろんそうだが、経済界の利益を守るのが経団連の役割だ。
また実際に経済成長が落ちたら、このご時世に、国民全員が困ることになる。そのあたりのバランスを取った温暖化対策はないものか。いやないからこそ、人類最大の問題になっているわけだが。
日本の超富裕層はおカネを社会に還元できるかー本日の日経記事「富豪と世捨て」
今日は日経の文化欄に「富豪と世捨て」というタイトルで作家の島田氏のコラムが出ている。作家の観点から日本のお金持ちのカネの使い方を批評したものだ。この人のいうように、成金のお金の使い方は無茶苦茶であることが多い。これは、一応、成金は自己顕示欲の塊、ということで説明できるかもしれない。問題は、代々のお金持ちの使い方、社会への還元の仕方だ。
この点、日本のお金持ちは社会貢献しないと言われて久しい。しかし、実際には分からないように匿名で海外の大学に寄付していたりもする。必ずしも批判は正当ではないが、大まかにいえば、日本の超富裕層は欧米とくらべ社会貢献の実績が劣ることは間違いない。
他方、日本の超富裕層も「社会貢献したい」という気持ちは多くの人が持っている。ただし、その「やり方」がわからないのだ。私のお客様でも社会貢献や寄付をしたいのだが、どこにどうすれば意味のある寄付になるのか、全くわからないとおっしゃる方がいる。これは多くの日本の超富裕層の 本音ではないか。
超富裕層に意味のある社会貢献の方法をご指南するのもファミリーオフィスの重要な仕事である。弊社としても、この日本が圧倒的に遅れている分野を何とかすべく、具体的な活動をしなくてはいけないと再認識した。アメリカ人だと自分の出身大学に寄付をするのが一般的だが、日本ではどうもこういう寄付はピンとこない。何がピンとくる社会貢献活動なのか、、、成熟した日本社会の課題であるとともに、弊社の大きな課題でもある。