日本ファミリーオフィス協会 -55ページ目

エール大のマチュピチュ関連発掘物がチリに返還ー何と4000点

1990年にエールに行ったときに、学内探索をしていると(相当広く一日では無理だった)ピーボディ博物館という立派なものがあった。ちょうど上野の国立博物館のような広さだ。ここに入ると、まさに古今東西のものが集まっている。その中で一段と目を引くのがチリのマチュピチュ関連のものだ。


私もその時まで知らなかったが、マチュピチュはエールの探検隊が発見したものだ。100年以上前だけあって、探検隊が掘ったものは持って帰るのだ。資金を出してくれた人へのお土産という意味もあったろう。展示されているものはせいぜい100点くらいの記憶があるが、実は大小合わせて4000点もあるそうだ。


チリ政府もエール大に対して、かなり前から返還を要求していたようだ。時代の流れか、こういうものは返還するということになり、この度目出度く交渉はまとまったようだ。エールのピーボディ博物館がちょっと寂しくなる。


そういえばハーバードにも東洋美術のフォッグ美術館というものがあり、ここには何と、敦煌の壁画があるのだ。仏像も何体もある。私が驚いて学芸員らしき人に聞くと「はすばる敦煌まで行く必要はないだろう」とジョークを飛ばしていた。もちろん展示されていないものもあるので、ハーバードの調査隊は敦煌からかなりのものを持ってきたのだろう。


一つの大学でこれだけの調査ができるのだから、アメリカの大学の富は相当なものだ。また地域の美術館と共同で調査隊を組むこともある。ハーバードはボストン美術館と共同で敦煌に調査にいったようだ。ボストン美術館にも敦煌の壁画はある。敦煌に行ったことのない私としては本物が見れて嬉しかったのだが、現地としては大変な迷惑だろう。


まさに帝国主義の時代を彷彿とさせるが、時代の流れでこういう略奪物は徐々に返還となっていくのだろう。



今週の「週刊現代」に登場した石角莞爾さんー日系ユダヤ人

週刊現代の見出しで、「日系ユダヤ人」という単語をみた。これは石角さんのことではないかと読んでみたら、案の定そうだった。まず他に日系ユダヤ人が見当たらないことと、石角さんだったら出るだろうというのが私の根拠だ。内容はユダヤ人が優秀なのは常に問いかける習慣があるからだということだ。日本人は覚えるだけだ。


私もアメリカにいた2年間は随分ユダヤ人の方にお世話になった。まずエールでは寮で同じ階だったユダヤ人に英語を見てもらった。彼は東大に1年間留学しただけだが、日本語はほとんど問題ない。漢字も書ける。どういう頭脳なのか分からなかった。こういうユダヤ人と競争しなければならないのだから大変だ。


ハーバードではエズラ・ボーゲル教授にお世話になった。ボーゲル教授もエールにいたことがあるが、だいたいハーバード、エールは3割がユダヤ人だ。アメリカにおけるユダヤ人は約1%なので、これは考えられない数字だ。ボーゲルさんも言うように、ユダヤ人は「なぜ」ということを常に考える。ところが日本人、日本の教育は「覚える」だけだ。これでは差はますます広がる。


石角さんのようにユダヤ人に改宗する必要はないと思うが(男性にとっては割礼という恐いことをしなければならない)日本人が足りないものをユダヤ人が持っているのは事実だ。イスラエルの人が言っていたが、「日本人は1を2にするのは世界一上手だが、ユダヤ人は0を1にするのが世界一上手」ということだ。言うまでもなく、これからの世界で必要なのは0を1にする力だ。


日本人がユダヤ人に学ぶことはまだまだ多い。





ケネディ暗殺の日に映画「JFK」上映を思い出すー幸田シャーミンさんに中味をきく

今日はケネディ暗殺から47年目だ。思えば、オリバー・ストーンが「JFK」を発表したのが1991年11月で19年前だが、その時にオリバー・ストーンを招きハーバードで上映会を行ったのだ。当然、「日本語字幕」などあろうはずもなく、全て英語だが、ケビン・コスナーの英語がかなりわかりにくかった。


そもそも最初のオリバー・ストーンの英語も自分には聞き取りづらかった。500人以上が集まるホールでやったため、音も悪かった。3時間の映画だが、最後の結論にいたる理由が分からず、となりに座っていた幸田シャーミンさんにそこを伺った。さすがに子供のころから英語に親しんでいる方だけあって、ケビン・コスナーの早口英語を全て理解していた。


オリバー・ストーンの映画がきっかけで、今日ではケネディ暗殺のほとんどのことは分かるようになった。まあ坂本龍馬ではないが、既存システムを破壊しようとする人間は既得権益を受けている人から狙われるのは、洋の東西を問わず世界中共通だ。今と違うのは当時は全て東西冷戦を背景にしていたことだろう。


ダラスの暗殺現場にいくと、この都市は1963年当時に比べると街並みは相当変わっていて高層ビルが立ち並んでいるが、その現場周辺だけは当時のままに残されている。真犯人が打ってきたと思われるグラッシーノール(芝生の丘)の木の塀も、新しくなったとはいえ当時の高さのままだ。まあダラスの観光地はここしかないので、そこは大事にしていると思われる。


そういえば、10年ほど前に仕事で知り合った三井物産の方はダラス駐在の経験があり、その3年間でケネディ暗殺の現場周辺を100回以上案内したそうだ。最後の方はかなり苦痛だっただろう。


死後50年近くたっても、未だにアメリカ人から敬愛されている大統領は今後出ることはないだろう。

ハーバード・ケネディスクールの同窓会で蒲島郁夫・熊本県知事の話をきく

昨日はケネディスクールの同窓会があり、蒲島さんに久々にお会いした。ハーバードでは各スクールごとに同窓会があるが、昨日の会は100人が集まるという異例のものだった。参加者には「女性の品格」の坂東眞理子さんや20年ぶりにお会いした幸田シャーミンさん、元通産官僚でカーライルの伊佐山建志さん、桑田真澄の先生で元日本サッカー協会専務の平田竹男さんなど、お世話になった方々がおられた。


講師の蒲島さんは異例の経歴の持ち主だ。熊本の農業高校卒業後、地元の農協に就職し、ネブラスカ大学に豚の研究に行った。その後、ハーバードのケネディスクールで計量政治学を専攻した。当時は計量政治学を日本でやる人はいなかったので筑波大学が招き、その後東大法学部が招いた。異例の東大教授だ。2年前、その職を投げ打って熊本知事選に出馬した。


私もそのニュースを聞いたときに蒲島さん大丈夫かと思ったが、本人は冷徹な票読みをしていたのだ。自民党の推薦を得て、他の官僚出身候補の3倍の得票を得て圧勝した。


蒲島理論によると、選挙は①組織、②争点、③本人の人柄、の3つが大きく投票行動に影響するという。蒲島さんはその3つとも他の候補に勝てるので、選挙前から圧勝を予想していたようだ。一般のマスコミ報道は当初は違ったようだが。


ともかく、蒲島さんは人柄の小渕ではないが、人柄がいい。話していると何となくホンワカと楽しくなる人だ。自らの給与を100万円減らし(手取りは14万円だそうだが)熊本の財政の建て直しを成功させている。日本も官僚出身の知事ではなく、こういう知事が増えれば少しは地方の疲弊も緩和されると思われる。

中澤新一の「アースダイバー」ーその頭のよさと不思議な人柄

数年前、中沢新一さんの「アースダイバー」を読んで痛く感動し、しかもこの人が高校の先輩だと知り、会いに行ったことがある。高校時代の話をいろいろとすると思いきや(高校の110周年記念誌には投稿されているので)、全くそんなことはなく、むしろ高校時代の話をするのはいやな感じだった。


私は高校の東京同窓会の幹事をしている(いや、やらされている)関係で、中沢さんの同期の人ともよく話している。中沢さんは高校の時にはそれほど目立つ人ではなかったようだが、東大に入る最低限の勉強をして、余った時間は哲学書を読むふける高校生だったそうだ。ニーチェについてどう思うか、などの議論をしてくるタイプだったようだ。何となく分かるが。


こういう方なので高校の同窓会には出てこない。私も一応幹事なのでさそってはみたが、「いいよ」ということだった。ともかく、「アースダイバー」というタイトルとその内容は珠玉のものだ。今は大阪版のアースダイバーを書かれているようだ。大阪だとちょっとわからないが、甲府一高の中年世代エースの一人として、是非素晴らしい作品を残してほしいものだ。

中国人がアメリカ留学生のNO.1にーこの分野でもchina as NO.1

またまた日中の差が開いてしまった。アメリカへの留学生数だ。日本の約5倍にもなっている。私がアメリカに行った20年前はその逆くらいだった。当時は中国人にいろいろなことを聞かれた。今は日本人がアメリカに行って、一応同じアジア人なので中国人に教わる時代だ。韓国も日本の3倍の留学生を出している。


中国人は不思議な国民で、アメリカとはいろいろな分野でけんかをしているが、アメリカのいいところは吸収しようとも思っている。大学はまだまだアメリカの方が上なので、そこは素直に認め、北京大や清華大の学生がハーバードにはたくさんいる。私がいた東アジア科にも北京大出身で国務院に勤めるすごい男がいた。


20年前は中国人の留学生というと、親が政府高官であるのが通例だった。洪沢民の息子がシカゴ大に留学していたり、こういう事例は非常に多かった。今は普通の人でちょっとお金持ちの子息が留学しているようだ。日本のように職場派遣なんてことはないので、自費留学で奨学金をもらいながらだろう。


そうなると必死で勉強することになる。日本人のように職場からお金が出ていると必死さが足りなくなる。当時から中国人留学生のハングリーさには驚いたものだ。しょっちゅう徹夜をしていた。体力も日本人よりは相当あるように感じた。


中国ではアメリカ帰りの若手を処遇する傾向もある。日本からの留学生が減った原因は、企業が留学経験者の処遇を誤り、留学経験者がすぐに会社をやめ、その結果、派遣留学という制度をなくす企業が増えているからだ。完全に負のスパイラルに入っている。


企業も長い目で人材活用を考えないと、人材の枯渇を招きそうだ。他方、中国はどんどん人材が育っている。何とかこの悪い循環を早く絶たないと取り返しがつかないことになる。



初めてハーバードロースクール同窓会に参加ー法曹界の大御所がずらり

今日は、ハーバードのある先輩に連れられて、初めてロースクールの同窓会に参加した。ハーバードでは全体の同窓会と各スクール(プロフェッショナルスクール)ごとに同窓会がある。ビジネススクールやケネディスクールの同窓会には参加したことがあるが、ロースクールは初めてだった。


もっともハーバードクラブには頻繁に参加しているので、そこでお目にかかった人もいた。ハーバードクラブは日本の大学同窓会と違い、卒業年次や年齢での上下関係は基本的にない。しかし、そこは日本同窓会だけあって、自然に大御所は前の席に座っているものだ。今日は法曹界の二人の大御所にお目にかかった。


一人は浜田邦夫さんで、元最高裁判事だ。以前、ハーバードクラブで一度お目にかかったことがある。まことに気さくな方で、最高裁判事をされていたとは思えない。大手弁護士事務所の森・浜田松本法律事務所をつくられた方だ。


もう一人は今や日本一の法律事務所になった長島・大野・常松法律事務所の長島安治さんだ。今日、初めてお目にかかったが、長島さんがハーバード出身とは知らなかった。この日本で2大法律事務所と言われる事務所からは毎年、派遣でハーバードロースクールに若手を出されているようだ。


ロースクール出身者は、やはり大手弁護士事務所に所属する企業法務の弁護士が多い。ビジネススクールやケネディスクールのように企業に勤めている人は少ないので、雰囲気はかなり違う。今日は勉強会もあり、中国法務で有名な射手矢好雄弁護士から「中国法の最新事情」について伺った。


今後も中国の法律に関する勉強会を続けるそうなので、また参加させてもらおうと思う。こういう機会は他ではなかなかなく、その道の第一人者に自由に質問もできるので、非常に貴重な場だと実感した次第である。

ファンドの世界も中国ー特に内陸部が今後発展

一昨日の元大手証券の専務との話で、やはり中国の話がでた。私が上海、香港ですか、と聞くとそれは古いとのことだった。今後は内陸部、特に成都、重慶、武漢だという。とくに成都の話をされていた。成都というと三国志の世界になるが、ここは経済発展もすさまじく、またイトーヨーカドーが成功していることで有名だ。


先日の尖閣事件後のストで一躍有名になった成都であるが、1000万都市であり、イトーヨーカドー全店舗での第一位の売上高がこの成都の支店だそうだ。イトーヨーカドーも成都で相当な苦労をしたらしいが、今は何店舗もある。


また重慶というと「公害の街」というイメージもあるが、最近の統計では上海を抜いて中国第一の大都市になったようだ。中国が対外開放をしてから、海岸沿いは発展したが、内陸はまだまだという状態が続いていたが、ついに内陸部も発展するようになってきたようだ。


今までは中国でいいのは上海と北京と広州、香港と海岸沿いだったが、今後、内陸部も発展しだすとこの国はもうどこも対抗できない。おそろしいほどの経済発展とGNPになろう。


問題はいかに日本企業がこの巨大マーケットを活用するかだ。特に内陸部となると人種も変わってくるし、なかなか一筋縄ではいかない。それにしても宝の山だ。



大手証券会社の元専務と懇談ー証券会社の営業はまた逆戻り

昨日は某三大証券会社の元専務と懇談した。この方はプライベートバンキング部の担当もされたことがあり、富裕層ビジネスに対する意見交換を行った。この方は当然社長になられると思っていたが、リーマンショックが想定外だったようだ。仕事は結果なので、やはり企業のトップになるには実力はもちろん必要だが、「運」も非常に重要だ。


それはともかく、数年前は証券会社もだんだん「顧客のために」営業するように変わるきざしはあったが、これもリーマンショックで全て水泡に帰したようだ。「顧客のため」などと言っていれば自社の儲けが2の次になり、会社が立ち行かなくなるからだ。会社も余裕がないとなかなか顧客にまで目がいかないようだ。もちろん、それでは本末転倒なのだが。


今の証券会社は昔の営業姿勢にもどり、とにかく店頭に来た人に何かを買わせ、「その場で」手数料を取ることのみを考えているそうだ。例えば、為替をやるにせよ、相手の利益を思えば「一ドル=80円を割ったらドルを買いましょうね」とか言えなければいけない。しかし、「その場で」手数料を取るには「今の水準が絶好の買い時なので今すぐ買いましょう」と言わざるをえない。まさに昔の証券営業だ。


もちろん支店長の立場にたてば、上からノルマを課され、すぐに手数料を稼がないと自分の地位も危ない。でもそれでは「お客様」のためにはならない。こんなことは証券会社の誰でも分かっていることだが、もし誰かが「お客様のことを考え、すぐに買わせるのはやめましょう」などと言うものなら、一人の裏切り者、変人として組織からは抹殺だ。支店では矛盾を誰もが抱えながら、日々商品を売っているのだろう。


他方、トップとしても短期的な営業成績を挙げないと自分の地位も危ない。株主からの突き上げもある。口では「顧客第一」とか言いながら実際には全然別のことをしているのだ。でも、それでは誰からも信用されず、長期的には損になることは分かっているのだが、自分の任期中は何とかというサラリーマン根性が出てくる。


となると、やはり内部からの体質改善は無理で、外部からの圧力がないと日本の金融界はよくならないことになる。その一つの草の根からの活動が100%顧客の立場にたつ「ファミリーオフィス」なのだが、私の力足らずで道は遠しだ。だが、明治以来の消費者より大企業優位の日本の体質を変える話なので、もちろん一朝一夕にはいかない。一世代くらいの時間はかかるだろう。一歩一歩進むしかないと確信し、専務と別れた。



今日発行の「週刊ポスト」特集ー平成の金持ち「50の法則」

今日発行の週刊ポストで富裕層特集が出ている。私はマスコミに全く売り込みはしないし、雑誌の取材もお断りすることが多いのだが、担当記者からのメールで、どうやら日本の富裕層の意外な側面を取り上げるということだったので、私の考えとも合うためご協力させて頂いた。


雑誌の編集者はアイキャッチが全てなので、私の話の中で「マックやユニクロを愛用している財閥系名家の超富裕層もいる」という話をしたら、これがリードになっていた。普通の人には相当「意外」な話のようだった。まあ確かに意外だが、アメリカでも「となりの億万長者」に書かれているように、超富裕層(金融資産5億円以上)は質素な生活をしてお金を「生き金」として使っている。


「50の法則」の中で、私が言ったことは5項目だが、一つ非常に誤解される小見出しがあった。「日本の銀行は信用できない」というものである。私がよく言っている「金融機関は顧客軽視だ」というときの金融機関は「証券会社」をほとんどの場合指すのだが、一般的に金融機関というと「銀行」になるらしい。むしろ、日本の銀行は「信用」はあるのだが、顧客重視ではないというのが正確だ。銀行の方ごめんなさい。


この特集を見て気づいたのは、富裕層は2種類いるのにそれが混同していることだ。「代々の富裕層」と「成金」だ。ここは峻別して書かないと誤解を招く。また「超富裕層は決して表には出てこない」ことも書いてもらうべきだった(これはマスコミ的には書きたくないことではあるが)。「代々の」超富裕層の中でも社会貢献をしている人は多いのだが、「表に出たがらない」ので匿名での寄付をしていることが多いのだ。逆に「成金」は社会貢献の意思はないし、やっても「目立つため」に寄付をするのだ。


いろいろと反省点は多いが、最近、資産の二極化で再び「富裕層」に視点が向きつつある。これは当協会にとっても悪いことではないので、正確でいい記事にするという意味も含め協力していきたい。