日本ファミリーオフィス協会 -53ページ目

法人税率下げは菅総理の言うように「雇用創出」につながるかー答えは否

今回の税制改正で最大のポイントとなった法人税減税。5%下げで決着し、その財源をまかなうために他の分野が犠牲になった(相続税など)。しかし、果たして本当にこれにより日本の「雇用」が確保されるのか?どう考えても全く関係ないだろう。その証拠に、菅総理が経団連会長に法人税減税で雇用を確保して欲しいと言ったら、経団連会長の方は明言を避けたという。法人税減税で浮いたお金は雇用には使わないようだ。


そもそも国際的に見て日本の法人税が高いことが問題の発端だ。仮に、日本の法人税を先進国中最低にしてくれたのなら、その浮いたお金を雇用に活用しますよ、リストラはしませんよ、とでも言える。しかしまだまだ先進国の中では高い税率では、とても雇用になで手が回らないだろう。


としたら、今回あれほど世間を大騒ぎさせた法人税論争はいったい何だったのか。経団連側の事情は簡単だ。今や業界ごとの利害対立は激しく、経団連で全会員企業が合意できる論点は「法人税の減税」だけと言われている。これが実現できなければ経団連の存在意義が問われる。退会企業が続出するであろう。ここは経団連にとって生命線だった。


他方、菅総理の方の判断は不明だ。おそらく経団連の要望を聞けば日本の最大の争点である「雇用」は産業界が何とかしてくれると思ったのではないか。しかし、事前に何の約束もなく、「法人税を下げたから雇用に回してくれ」などと言っても誰も同意しないだろう。企業はボランティア団体ではないのだ。利潤追求のみだ。


本当に一事が万事で、菅総理のしていることはおかしい。こんな時期に小沢問題を真剣に討議しているのも、あさってのことをしている感じだ。この人の旬は厚生大臣のときだった。日本の政治はよく言われていることだが、年功序列なので旬のときには総理になれない傾向にある。アメリカは年功は関係ないので旬のときに大統領になれる。日本の政治も経済も、暗い。



小沢一郎、与謝野さんに囲碁で2連勝ー最後の一手を知る男

日曜日に小沢一郎が与謝野馨さんに囲碁で大逆転したという。このニュースをみて私は「ハハア」と思ったものだ。最後に与謝野さんがワザと間違えたのではないかと。囲碁では相手に負けなければならない時に、時々使う手だ。私も昔、財界人の大物と打ったときに、最後に「その手」で負けたこともあった。


とはいっても、与謝野さんも小沢氏を前にあの独特のプレッシャーに負けた可能性もある。おそらく正確なところはその両方だろう。昨日、ある経団連の先輩の事務所にご挨拶にいったときに、民主党の議員が年末の挨拶に来ていて、小沢ー与謝野大局のことを聞かれたので、こう答えておいた。やはり政界では、囲碁は与謝野さんが頭一つ抜けているというウワサだそうだ。おそらくそうだろう。


マスコミはこの囲碁対局をみて、今度の菅ー小沢のバトルも小沢の大逆転ありと面白おかしく書いている。何か最後に秘策を持っているのではないかと。それはともかく、こんな予算の最終段階に政争とは何を考えているのかと誰もが思うだろう。国民生活より自分の延命が重要だと思っているのなら、菅さんに総理の資格はない。


昨日の民主党議員も同じことを言われていた。小沢派なのだろう(意外に菅派だったりして。民主党は本当によくわからん)。一国民としては、菅でも小沢でも誰でもいいから、どんどん苦しくなる日本人の生活を最後の一手で大逆転させてくれる人を望むだけだ。



ハーバードはアメリカの東大?-寺澤芳男さんの日経コラムより

寺澤さんが土曜日の日経夕刊に書いている「ハーバードは日本の東大?」は、日本ほど学歴信仰がある国はないという内容だが、果たしてそうか?私は今日ではむしろ逆だと考える。アメリカでは出身大学で初任給が違うのだ。これをアメリカ人は「フェア」だと思っている。日本でこれをやったら大変な社会問題になろう。もっとも戦前は日本でもそうだったらしいが、戦後はどの大学でも平等になった。


実態的に日本社会では、中央官庁以外では東大だから出世に有利という時代はとうに終わっているのではないか。帝国データバンクなどが出世率を出すが、たいていは一橋か慶応が一位である。私が勤めていた経団連事務局などは、東大法、経が数的には圧倒しているが、役員までいっている人はまれである。むしろ、2代目事務総長の三好正也(当協会理事)は早稲田だし、今の事務総長で副会長にもなった中村芳夫は慶応である。


ところがアメリカだとこうはいかない。何しろ入ったときから給与の格差が出ている。ハーバード、エールを出た人と地方の無名大学を出た人では2倍近い差だ。しかも出世率もかなり違うため、勤続年数が増えるにつけその格差は拡大している。これこそ「学歴社会」ではないか。ただし、アメリカでは学歴以外の面でも人を見る風習が確立しているので、無名大学だからといってトップになれないわけではない。そこでバランスを取っている。


まあまあ、どちらが学歴社会かは「定性的」な議論が必要であり、かつ感覚的な議論なので諸説あろうが、数字だけ見るとアメリカの方が学歴信仰は強いように思われる。その証拠に、日本では初対面の人にいきなり「私は東大卒です」などと言うと「この人頭がおかしい」と思われてしまうが、アメリカでは初対面の挨拶で「I went to

Harvard.」 「That's great.」という会話はごく普通だ。


それに加えて、日本では学歴の話は「タブー」という感じもある。一流大学に行った人は学歴のことを言うと威張ったヤツ、と思われるのが恐くて一切話をしないものだ。同じ大学だと分かれば初めて「何年卒ですか」とかいう会話になる。アメリカ人はフランクに話す。街中でもハーバードやエール卒だと「信用」があるようで、ジェントルマンと何度言われたか分からない。実際は全く違うのだが。。。日本では街中で「自分は東大卒」といってもいいことは何もないだろう。


寺澤さんほどの人がいうのだから、当然一考に価するが、私の経験ではアメリカの方が学歴信仰、学歴社会

が強いように思うのだが。


税理士法人タクトコンサルティング本郷尚代表の言葉ー「お札よりお礼が先」

有名な税理士に「二人の本郷さん」がいる。税理士の方々は皆ご存知だと思われるが、私がお世話になっているのはタクトの本郷さんの方だ。辻・本郷の本郷孔洋さんの方も、娘さんにあるパーティでお目にかかったことがある。おっとりとして非常にいい方だった。


本郷尚さんからは毎月「今月の一言」の葉書を送って頂いている。今月は「お札よりお礼が先」というものだった。最初、「お札よりお札が先」と読めたので何のことかと思ったが、「お礼」だったのである。自営業になると、思わず「この仕事がいくらになるか」とか考えてしまうものだが、それだけでは長期的な関係は築けないという戒めだ。


私もこの言葉を一週間考えていたが、この実行はまさに「言うは易く、行うは難し」だ。でも特に「ファミリーオフィス」といった顧客の立場にたち、顧客を全面的に長年サポートしなければならない職種では絶対に必要だ。自分が本当に基本的なことができているかを考えさせるのには十分な言葉だった。


本郷さんには2年前に当協会の研究会でお話いただき、「お金の使い方コンサル」を考えておられるとのことだった。これは私の仕事ともかなり共通する話題だ。しかも本郷さんは、なんといっても人柄がいい。困っているといえば助けてくれそうだ。仕事に対する基本的な姿勢を教わるという意味でも、今後ともご指導をお願いしようと思っている。

企業内弁護士、会計士の需要はなしー資格者増で業界は激震

10年以上前、経団連で弁護士の数の増加と企業内弁護士の有用性の議論があった。結局、前者は合格者3000人を目処に司法制度改革が行われたのは周知の通りである。しかし、後者に関する大企業に対するアンケート結果を土曜日の日経新聞でみた。


意外なことに大企業は企業内弁護士を必要としていないという結果だった。「資格給」を出すメリットはないということだろう。しかし、これは高々月2、3万円の話だ。有資格者にそれだけの価値もないということか。これでは新司法試験でかなりのコストと時間をかけて資格を取った人が本当に浮かばれない。


同様の現象は公認会計士の世界でも起きているようだ。企業が有資格者を取らないのである。会計のことをいくら知っていても企業業績は伸びないということか。まあ確かに、会計や法律の知識よりも契約を取るのに必要なのは人間性、人間力のような気もする。


しかし、実際に「よかれ」と思ってコストをかけてこれらの資格を取った人が非常に多い。ここ数年で数万人という規模だろう。これらの人が就職難で溢れているというのも、もったいない話である。日本経済発展のために活用の方策はいくらでもありそうだが、日本の役所や大企業では「前例」がないために難しいだろう。

なぜ本当の超富裕層は表に出てこないー嫉妬社会を知り尽くしている

最近でもまだまだ「セレブ」番組、雑誌での「セレブ」記事は後を絶たない。多くが出たがりの成金が自ら売りこんで出ているものだ。でも冷静に考えてみると、彼らが長年「セレブ」でいることはまずない。「昔はよく出ていたが、今はどこに行ったのか」という人がほとんどだ。なぜか?


成金の多くは貧困生活から何かのきっかけで一時的にお金を得た人だ。彼らは、自分がお金持ちになったんだぞということを人に言いたくてしょうがない。これは人間の心理として当然だろう。自己顕示欲の塊となる。マスコミもとりあえず、喜んで協力的に出てくれて、しかも高価な車やヨットなどを持っているので、「絵になる」から表に出すのだ。


しかし、ここからがいけない。テレビ、雑誌に出続けるために成金たちは無理をせざるを得ない。一時的に何億、何十億かあっても贅沢を始めるとお金は飛ぶようになくなる。誰でも「一億円を使ってこい」と言われれば、これを使うことにはそんなに苦労しないはずだ。


本当の超富裕層=資産を維持している人は、この成金とは対極的な生活スタイルだ。某財閥系の当主の方は、テレビで見る自称「セレブ」の数十倍の贅沢をしていると誰でも想像するだろう。ところが実態は逆だ。彼らは先祖の経験から、お金は使い始めれば何十億でもすぐになくなることを知っている。親からも金銭教育を受けているのだ。


またそういう「実質的」な意味の他に、日本社会が農耕民のDNAが生きているためか、異常な嫉妬社会なのだ。だから今回の税制改正でも、超富裕層には相続税など、厳しい改正になったがどこのマスコミもこれに反対していない。金持ちから税金を取る事はいいことだ、と言わんばかりだ。


だから資産を維持している超富裕層は表には絶対に出てこない。その実態は驚くほどベールに包まれるわけだ。よく日本の富裕層は社会貢献をしない、と言われるが、とんでもない話で、彼らは匿名の社会貢献や寄付を相当している。これも名前を出していいことはないと熟知しているので、名前を出さないだけだ。


この現状がいいかどうかは分からないが、ずっとこの状態は続くだろう。だから、本当の超富裕層の資産維持のノウハウはまさに秘伝になるのである。

日本の超富裕層の中核=ファミリービジネスオーナーは群れない?

先週、あるファミリービジネスの専門家にお会いした。ファミリービジネスというよりも、ファミリービジネスの協会をつくられたりされた方だ。今回の税制改正で主に超富裕層に影響のある相続税が強化されたことについても、一つの理由がファミリービジネスの方々が結束して政府に意見を言うことが少ないからと喝破されていた。


私も東京コカ・コーラの創業者一族である高梨一郎さんが理事長のファミリービジネスネットワーク・ジャパンの研究会に参加させて頂いているが、このメンバーの方々は皆、かなり個性が強く、皆で一緒に何かをまとめるようなことは難しいと感じた。


日本では先進国でほとんど唯一のオーナー一族の持株に相続税がかかる国だという。この持株は売ることができないのに、それに相続税を課税されたらファミリービジネスはなかなか続かない。まさに三代相続すると金がなくなるという嫉妬税制だ。


ところが、なぜこんな変な税制が未だに残っているかというと、ファミリービジネスが結束して何かをすることが少ないからだろう。しかし、経団連が法人税率下げにこだわっているように、「税」は本当に重要だ。いくら必死に稼いでも税金で持っていかれたら手元には残らない。


ファミリービジネス=同族経営は、まだまだ日本では創業一族が従業員を安く雇用し、自分たち一族だけがうまい汁を吸っていると考えられがちだ。だから「うちは同族経営です」などと自慢する人はまずいない。皆隠したいのだ。だから表には出て来れない。だが、私が見る限り、ほとんどのファミリービジネスは死ぬほど苦労して会社を保っている方ばかりだ。私のお客様は皆ファミリービジネスだが、精神的にきついと皆さんおっしゃる。


何とか日本でもファミリービジネスが正当に評価されるよう、私も微力ながら行動を起こしたいと考える毎日だ。

吉良上野介の再評価ー歴史の真実が徐々に明らかに

14日は赤穂浪士の討ち入りの日で、様々なマスコミでこの話題がとりあげられた。最近は吉良上野介の再評価も定着し、徐々にだが「吉良=悪者、浅野=被害者」という図式も崩れつつある。これはあくまで歌舞伎の忠臣蔵の話であり、小説と同じくつくり話だ。

私も幼いころ見た大河ドラマで吉良上野介を悪役の俳優が演じるのをみて、非常に悪い印象を持った。ところが15年前に偶然お会いした上杉家の当主、上杉邦憲さんから吉良は実は名君だったという話を聞き、ものの本を調べてみた。

吉良上野介は元々上杉家の人間で、吉良家に養子にいった。上杉さんも当然、ご先祖様として研究されていた。歴史学者の本を読むと、確かに吉良は名君だったという記述があるし、愛知県の地元でも非常に尊敬されていたようだ。

他方、赤穂の殿様は精神的におかしかったという研究もある。家系的に乱心を繰り返していたようだ。47士も果たして「義士」だったのだろうか?切腹の沙汰が下ったときにかなりの人間が切腹の作法を知らなかったという話もあり、まさか切腹にはならないだろうと思っていたふしがある。

最近の研究では、47士のこの行動は「求職活動」、今でいう就活ではなかったかとも言われている。当然、赤穂浪士は皆、浅野の殿様が精神的におかしかったことは知っていただろうし、その殿様のために死ぬだろうかという疑問がある。

物語は物語として、歴史は正確に伝える必要がある。名君だった人が悪者扱いされたら、その人は死んでも死に切れないだろう。

法人税は引き下げなのに相続税は強化のなぜー圧力団体の有無?

来年度の税制改正大綱もいよいよ大詰めだ。私も経団連に勤めていた時は、この時期、政治家への説明に永田町に足繁く通った。その結果、概ね経団連の要望は通っていたように思える。今は民主党には経団連の影響力は小さいと思うが、それでも法人税の5%軽減は通りそうだ。その財源は、主に富裕層対象の相続税課税強化により捻出されるようだ。


それにしても、大企業と富裕層は社会的にいえば共に「強者」の分類に入るだろう。ところが、今回の税制改正では明暗がくっきり分かれた。大企業が勝って、そのしわ寄せを個人富裕層が受ける形だ。この違いは政府に物申す機関(圧力団体)の有無によるところが大きいのではないか。


連日のように米倉経団連会長がマスコミで、法人税を下げないと日本は沈没する旨の主張を繰り返している。でも個人富裕層も日本にとって、例えば消費や社会貢献の面でかなり重要な地位を占める。しかし、残念ながら個人富裕層は政府にモノを言えないのだ。その団体もない。個々の富裕層が政治家に言っても、それは通らない。


「個人富裕層」というのは、また組織化が難しい人種でもある。それぞれ個性が強いので、まとまって団体をつくって何かをやろうということにはならない。これではなかなか彼らの声は政策に反映されない。由々しき事態だ。

大企業も個人富裕層も一般人からの嫉妬を受ける立場だが、大企業には経団連があって、個人富裕層には何もないのだから不利だ。今回の税制改正はそれが如実にでたのだ。


諸外国でも「個人富裕層」の圧力団体などは聞かない。もちろん、メンバーが個人富裕層というグループはあるが、そこで意見をまとめて政府に政策提言をしている例は知らない。おそらくないだろう。欧米でも日本でもそんなことをしたら「金持ちが何をやってる」と見られてしまうだろう。


個人富裕層の意見をいかに政策に反映させるかは、非常に重大な問題のように思える。日本からそういう人がいなくなったら、税金も消費も投資も社会貢献も貧弱になる。当協会としても考えるべきテーマかもしれない。

映画「ノルウェイの森」始まるー永沢のモデルはまだ異国に

昨日から「ノルウェイの森」が始まったが、何と私が一緒に見に行こうとしていた「永沢」のモデルの方は、まだ海外の大使をしていることがわかった。それにしても長い。もしかしたらそこの国が気に入って骨をうずめる覚悟をしたとか、、、それもないと思うが。


本人はこの映画のことをご存知かどうか、そのあたりも気になる。もっとも今はインターネット時代なので自分のことを玉山鉄二が演じることくらいは知っている可能性が大きい。小説の中で永沢がつきあっている「ハツミ」さんが今の奥さんかどうかは全くわからないが、ともかく奥様もいい方だ。


10数年前に最初に「永沢」さんのモデルに北京でお会いしたときには、なぜか奥様もお子さんも一緒に来られた。家族でハーバードに行かれたということで、ボストンの話もした。私は、もちろん「ノルウェイの森」上下を手に持ち、「永沢」さんが出ている箇所を付箋でいつでも開けるようにして、奥様に伺ったのだ。


奥様は村上春樹のことは全く会ったことがないということなので、「ハツミ」さんなのかどうかわからないが、ご主人が変なプレイボーイとして描かれていることに対しては「単なる小説よ」ということで全く気にしていなかった。ご主人が奥様を完全に掌握されているようで、さすがは「永沢」さんのモデルだと思った。「永沢」さんも村上春樹と新宿に飲みに行ったことはないようで、やはり「小説」なのだろう。


なんとも一緒に見に行けないのは残念だが、そのうちに一人で見に行って「永沢」さんのことを思い出そう。