なぜ経済産業省(通産省)に異端分子が多いかー違うタイプをわざと採っている
最近は経済産業省の古賀さんが話題になっているが、古くから霞ヶ関の官僚で反乱分子はたいてい、ほとんどが経産省(通産省)の役人だ。財務省(大蔵省)は「省益より国益」などと反乱する人が少ない。これはなぜか?
一般的に言われていることだが、大蔵省は体育会系を好んで採用する。これに対して通産省は「いろいろなタイプの人」を採用している。昔の通産省の大物次官に直接聞いた話だが、通産省はキャリア25人、それぞれ違ったタイプを採っているそうだ。それによって組織を「活性化」させているようだ。
確かに経済産業省は他の省庁とは雰囲気が違う。上司の批判などは比較的自由にする。派閥もあるらしい。有名な「4人組騒動」は派閥抗争だ。また外に出て活躍する人も多い。サッカー協会の専務理事になった平田竹男さんや、村上世彰さん、「ユダヤ人になった」石角莞爾弁護士も通産省出身だ。まさに、いろいろな人を採っているのだ。
それでも、役所の枠は守っているようで、今回の古賀騒動についてはかん口令が敷かれているようだ。誰に聞いてもコメントはしない。やはり組織なので、組織の利益に反する分子のことをよくは言えない。それでも課長補佐クラスの若手は「国益と省益について」真剣に考え、悩んではいるようだ。
経産省は霞ヶ関の中では変わった人材が多い気もするが、やはり役所なので出世の基準は他省庁と同じだ。「予算を多く取ってきたり、天下りを増やした人」が評価される。役所用語でいう「ワル」だ。省益を太らせるためにここまでやるとは「ワル」だねというわけだ。この「ワル」のみが出世する役所のために損をするのは我々一般市民で、国の借金1000兆円は我々の肩にかかってくるのだ。
日本がいよいよ苦しくなってきたこの時期にこそ、公務員制度改革は急務だ。
経済産業省の古賀茂明さんの反乱に見る役所の論理ー国益より省益
経産省の古賀さんが7月15日付の退職勧告を拒否したという。まさに7月15日は経産省の幹部大異動の日だった。私の友人の課長複数も全員異動になった。古賀さん自身はもう4年くらい前から有名になり、私の経団連の先輩と麻布中高で同級生だったそうだ。古賀さんはその時から何かと目立つ人で「筋を通す」人ではあったそうだ。
古賀さんは公務員制度改革で、公務員でありながら公務員寄りではなく「国益」を考える提案をした。これは一般国民からみると至極当然だが、こと霞ヶ関の官僚の世界では「非常識、裏切り者」になるらしい。公務員は公務員の利益を追求すべきで、「国益」を考えるなどとはとんでもないという論理だ。公務員は「国益」を増すための公僕のはずなのに、おかしい話だ。
だから、「まともな」考えの持ち主だったら、こんな霞ヶ関を何とかしなければいけないと考える。私の知り合いでもそういう官僚は何人かいる。しかし、彼らは古賀さんのように「変人」扱いされ、徹底的に人事で干され、辞めざるを得なかった。古賀さんの賢いところは、「マスコミを使っている」ことだ。古賀さんの主張は一般人からは「当然」と見られるため、マスコミは古賀さんの方につくからだ。
古賀さんの著書「日本中枢の崩壊」で指摘されているように、中央官庁で評価される人物は「その省庁のために予算を多く取ってくる、あるいは規制をつくって天下り先を増やす」人だ。これは「国益」に反する行為で、日本が沈没してきた大きな原因だ。早く役所のこういう体質を変えないと、日本は「優秀」だと言われてきた官僚につぶされる。ここを変えられるには政治しかなく、今こそ政治の責任は重いのだ。
アメリカで同窓会組織が強い理由ー転職の多い社会だから?
私はアメリカにトータルで2年半いたが、大学の中で生活していたのでアメリカ社会について探求する時間はなかった。日本に帰国し、ハーバードクラブとエールクラブに入ったが、この会合の参加者はアメリカ人の方が多い。ほとんどが日本人の参加だと思っていた自分には、大変意外だった。日本にいる同窓生は、数は圧倒的に日本人が多いからだ。
また、アメリカ人は独立自尊、何事も人に頼らず自力で生きているようなイメージがあったため、日本人のように同じ大学出身者でつるんでいるような姿は想像しにくい。しかし、これは全くの誤解で、開成高の校長になった柳沢さんに言わせると、彼らは転職が多く、その時に同窓会組織が大いに役立つことを知っているというのだ。
そう言われてみると、ニューヨークのグランドセントラル駅の隣の大きなビルには、ハーバードクラブとエールクラブが入っている。私もそれぞれ中に入ってみたが、名前と卒業年をいうと名簿で調べてくれて、丁重な扱いをして頂いた。もちろん正式な利用は会員になる必要があるが、旅行者でも卒業生なら見学くらいはできる。
中に入ると、いろいろな紳士同士が話しをしている。その内容はわからないが、おそらく趣味のことや仕事の話だろう。こういう場で、今度こういう職場に移りたいのだが、適当なところを知らないか、、、というような会話もあるのだろう。アメリカ社会は意外な学歴社会で、政治家や大企業トップはハーバードとエール出身者の占める割合が非常に多い。現閣僚も大統領や国務長官などの主要ポストはハーバードかエール出身者だ。
日本では「学閥」などというと、何か閉鎖的なよくないイメージがある。これは長らく日本社会が転職の少ない、移動の少ない社会だったからではないか。そういう社会では就職のときは同じ大学出身者を探すが、組織に入ってからは転職でもしない限り、同じ大学出身者を探して何かをお願いすることもない。アメリカ人は逆で、よく名刺にハーバード何年卒とか入れている。日本でそれをやると変態扱いされるだろう。
一般のイメージとは逆で、アメリカ人ほど出身大学を強く意識し、その卒業生が集まり助け合っていくという習慣が強くある。慶応の三田会どころではない強い結びつきがあるのを感じるのだ。
出迎えなかったことを怒る財界人ー松本元大臣タイプは意外に多い
松本龍元大臣が知事に対して不遜な態度をして、それを放映されたことにより辞任に追い込まれた。テレビカメラが回っているのにああいう態度を取る政治家も珍しい。ところが、テレビカメラが回っていないと、ああいう言動をする政治家は多い。また、意外にも財界人にもいるのだ。
政治家や企業のトップは周りからチヤホヤされるので勘違いするのだろう。自分を相当「偉い」と思ってしまうようだ。自分が世の中にどれだけ貢献しているかを考えれば、偉いなどと考えないだろうが、人間の弱さで周りがヘコヘコすると何となく偉くなったような気がするものだ。
政治家でも松本元大臣のようなタイプは、私が知る限りでも10人はいる。実際にそういう場面を見たという意味でだ。大企業のトップは政治家ほどそういう人は多くないが、それでもその企業で「天皇」と言われるような人は勘違いする人もでてくる。
経団連での会合のときに、通常は会長であっても玄関で誰かが出迎えることはないのだが、某企業の会長は(経団連での役職はなかったが)担当役員が玄関で出迎えなかったために会議場にいくまでに迷ったということで怒ったようだ。
仮に、この会長の性格を事前に察知しても、私のようなペイペイが出迎えたのだったらやはり怒ったのだろう。少なくとも役員でなくてはだめだったようだ。このような財界人は数は少ないがいる。でもこういう人が経団連の会長、副会長、委員長などの役職につくことはないものだ。
やはり松本流はとても日本社会では受け入れられない。人間何になっても謙虚にならなければいけないということか。
ハーバードクラブで小室淑恵さんからワークライフバランスを聞くーこれを阻止しているのは経団連?
今日の夜は、ハーバードの同窓会で、小室淑恵さんをお招きし彼女の得意な「ワークライフバランス」について伺った。この人は年間250回講演をしているそうで、全く淀みない口調で整然とした筋道でお話をされた。個人的には議論がきれいすぎる感じも受けた。これは評論家的な人の特徴だ。得てして実務家からは「現場を知らない」といった批判をうけるきらいもある。
どうも実態もそういうところがあるようで、彼女はワークライフバランスが日本で大きな流れにならないのは「経団連の反対だ」と言われたのには驚いた。どうやら、大企業の役員が労働時間の短縮には意義をとなえるらしい。まあ今の役員クラスは、高度成長も経験し、日本の経済大国化は自分たちの私生活を犠牲にした労働によると考える人もいるのは当然だ。
他方、小室さんのいうように、育児や介護で時間が自由にならない人が今後激増するのも事実だ。従来どおりの仕事のやり方でいいと考えている大企業の役員はむしろいないだろう。間違いなく、効率を上げた仕事の仕方をしないと個人も参ってしまう。日本は滅私奉公という言葉が美化されすぎている。
私は、今がちょうど過渡期で、日本人はここ何年かで、誰から言われなくてもワークライフバランスを考えざるを得ない状況になると考える。特に、どの家庭でも介護の必要が出てくるだろうから、会社に終電までいるなどということは物理的にできなくなる。
小室さんの提案はいずれ日本でも浸透する。だた、それが何年後かは無理で、しばらく時間がかかるのではないか。その変化のきっかけは「介護」の増加にあるそうだ。親の介護をしていたら、働き方も見直さざるを得ないが、そういう「強制的」な環境変化で日本社会も変わっていくと考える。
組織のトップは落下傘がいいか、プロバーがいいかー名門高校の場合
先週、開成中・高の校長になった柳沢さんと話をしているときに、一言、難しい問題提起があった。トップが外から来るほうがいいか、内部昇格がいいかだ。これは結構、経営学上も大きな問題で、ファミリービジネスのあり方とも深く関係する。感覚的には欧米は外から来ることが多く、日本は内部昇格が多い感じだ。役所はその典型で、アメリカはポリティカル・アポインティーで大統領か変われば役所の次長級以上は全部変わる。日本は首相が変わっても官僚はそのままだ。
問題はその組織にとって、「どちらがいいか」ということだ。日本の名門高校の場合は現在までの進学面の結果だけだと、外から校長が来る開成、筑駒のほうは伸びて、内部昇格の麻布、武蔵は昔の勢いがない感じだ。考えられる理由は、内部昇格の場合は先生が社内政治の方に気をとられ、授業の方に実が入らないことだろう。
開成の場合は、先生が内部での出世などを考える必要がなく、エネルギーは、授業を工夫することに向かうそうだ。スペシャリストの誕生で、授業はそれぞれ工夫され、生徒はその時間内に内容が理解できるそうだ。その結果、進学面での成果が出るのは当然だ。
民主党政権になって、官僚もアメリカ風に猟官制のようにしようという動きが一時あった。しかし、菅首相が官僚になびいて、今ではそんな改革は全くつぶされている。企業でもトップを外から持ってきて成功している例も多くなってきた。世の中、全てが閉塞感に満ち満ちている今日、官僚組織もそろそろ明治以来の制度を変える時期に来ているような気がする。
東大がようやく秋入学に向けた動きー大学の国際競争に勝つために
東大が本当にようやく秋入学を本格的に検討出したようだ。この話は少なくとも20年前からあった話だが、東大も他の日本の大学も危機感はなかった。ここにきて、欧米や中国の大学との国際競争に晒され、いよいよ秋入学にしないと取り残されることに東大の上層部が気づいたのであろう。
東大が遅いといっても、他の日本の大学はもっと遅い。こういうことは役所の規制をより受けない立場にある私学が率先すべきであろう。慶応も早稲田からも秋入学の検討をしていることは、少なくとも外部には聞こえてこなかった。国際的な基準に合わせないと、学生が留学するのも「時期」の問題があり、難しかった。
東大は3年前からエール大と提携し、人材交流を始めている。これにも、やはり学期の違いがあり、スムーズにいっていない面もある。また秋入学が実現すれば、大学生も積極的に欧米や中国の大学の「サマースクール」に参加できるようになる。これは大きい。
「検討」を始めても日本の場合には結論が出るのに時間がかかるのが従来の傾向だ。 トップが決断し、早く東大も秋入学に移行してほしいものだ。
開成高躍進の秘密ー柳沢幸雄・元ハーバード教授が校長に
昨日は西日暮里の開成中・高の校長室に柳沢さんを訪ねた。20年前にハーバード大学院にいったときに「日本人で地球温暖化を研究している学者がいる」というウワサを聞いて会いにいったのが始まりだ。1年間は頻繁にお会いして、卒論の内容もいろいろと教えて頂いた。その後、柳沢さんは東大に戻り、この4月に定年退官となった。アメリカの大学に行くと思いきや、出身の開成から誘われ「校長」になったのだ。
開成は私立なので誰かオーナーがいると思ったが、そんなことはなく、理事長と校長の二人で運営しているそうだ。どちらも「卒業生で外から」くるのが決まりだ。柳沢さんも40数年ぶりに開成に帰ってきたのだが、ここが30年以上、東大合格者数日本一である秘密を語ってくれた。
まずはテストが多いこと。月1回ペースで何らかのテストをして知識を定着させるそうだ。先生方も「授業中」に分かるようにいろいろな工夫をされているようだ。次に、高校3年の5月の運動会で「高校生活」は終了し、その後1年弱は受験に絞って集中的に勉強すること。この間、学校の勉強と放課後の予備校でかなり実力が伸びるようだ。その前の中高5年間は意外にも運動部に所属している人が多い。俳句と数学オリンピックで日本一になることが多いようでトロフィーが飾ってあった。
地方の県立高校出身者からみると、大学受験の時点で2年くらい差がついていると感じた。これでは勝つのはかなり大変だ。開成から200人以上東大に入るのも分かる気がした。
柳沢さんにとっての今後の問題は、「留学」だろう。開成は東大200人でもハーバード、エールはゼロだ。最近は灘高が毎年こういう大学に合格実績をあげているが、なぜか開成はいない。柳沢さんを校長に招いた開成学園の意図もこの辺りだろう。だいたい開成の校長任期は10年くらいだそうなので、柳沢さんがいる間に実績があがり、日本にとって有為な人材を育ててくれるだろう。
ガラパゴス経団連ー去る者は余計なことを言うべきではない
楽天三木谷氏が経団連を退会した後に、なぜ経団連を退会したかを聞かれ「ガラパゴスのようだから」と答えたそうだ。これはすぐにいろいろな方面に伝わったが、従来の会長とはちょっと異なる米倉さんはどう聞いただろうか。まあ喜ばなかったことだけは確かだ。
昔、いろいろとお世話になった経済産業省の今井尚哉さんは、同省をやめてテレビ局に行った若手が同省を批判しているのを見て、「本当にやってはいけないことだ」と強く語っていた。その若手の言っていることは概ね事実のようだったが、問題は出身母体とけんかをしても損をするのは自分ということだ。
私も経団連をやめたときには、どこから聞いてきたのか、大手雑誌の記者が取材をしたいという。要は経団連の悪口を書きたくてしょうがないのだ。こういう場合、こちらの発言はあまり関係なく、できた原稿はいつの間にやら経団連批判になっているものだ。私は今井さんからの言いつけを守り、取材に応じることはなかった。
三木谷氏のケースは属する「団体」なので、これとは異なるが、それでも奥田元会長にはかなり世話になったと聞く。まず、経団連が旧来型の重厚長大産業を集めた団体であるというのは間違った認識だ。会長はそうだったかもしれないが、会員は既にサービス産業の方が多い。三木谷氏は経団連に期待するものが実態とは異なったかもしれないが、それならそれで静かに去ればいいだけだ。
どうも三木谷氏がホリエモン化している感じがして、経団連に入会を誘った一人としては、本人に自制を求めたいところだ。
浜田和幸とは何者かーまた「何になるか」だけの政治家登場
昨日は浜田和幸さんが世間を騒がした。本人の「目的」もまさにその一点だろう。「有名になりたい」ということだけで、この人は震災、防災には全く関係のない人で、自称、国際政治学者だ。この人には一度だけ、何かの折に会ってお話したことがある。当たりの柔らかい人だが、何をやっている人か、何がやりたい人かが全く分からなかった。
昨年の参院選で自民党から出馬したのは意外だったが、要は機を見るに敏なのだろう。昨年の状況下では、自民党から出ればパートのおばさんでも当選できたのだから。まあ地方区なので、それなりに選挙活動も大変だったのだろうが、鳥取のドン石破政調会長が相当苦労したようだ。今回の造反劇で石破さんの怒りも分かる。
それにしても、当選したばかりで「大臣」のポストをちらつかされたのなら、今回の変節も分からないではないが(特に浜田さんのような「有名になりたい」だけの人なら)、政務官でこんな誘いに乗るのは自殺行為だ。次はもちろんないだろうが、本人も国会議員をやって政務官までやった、ということを「ウリ」に今後一生、評論家をするのだろう。しかし、今回のような経緯で政務官になって恨みをかい、今後の人生が無事に済むとは思えない。「あいつだけは許せん」と考える敵を何人もつくったからだ。
亀井さんが自民党参議院議員10数名に話をして、誘いに乗ってきたのが浜田さんだけだったというから、相当抜けた話でもある。この一本釣りは、民主党、自民党双方にとって何のメリットもなく、浜田さんには「短期的」なメリット(一瞬有名になったという意味の)があったが、長期的にはメリットもない。
まさに浜田さん自身と同じく、「何をやりたいのか分からない」騒動だったのだ。