日本ファミリーオフィス協会 -41ページ目

なぜ日本のファミリービジネスは同族ということを隠すのか?

日本の全企業数の99%が中小企業であるのは有名な話だが、やはり全企業数の95%が「ファミリービジネス(同族企業)」であることはあまり知られていない。確かに、中小企業のいわゆる「父ちゃん、母ちゃん企業」はまさにファミリービジネスだ。こういう企業は数的にも多いのは分かる。


しかし、上場企業の三分の一がファミリービジネスと聞くと、「あれっ」ということになる。雇用に目を転ずると、全雇用の70%をファミリービジネスが担っている。ここまで聞くと「それは大変だ」となる。しかし、日本ではその大変なファミリービジネスの研究やその実態に関する普及啓発が相当遅れている。未だに同族企業はオーナー一族がおいしい汁を吸って、従業員は安月給で出世もできずに働かされているというイメージが強い。


また、こういうイメージがあるせいか、ファミリービジネスが「不祥事」を起こすとマスコミはこぞって叩く。船場吉兆しかり、林原しかりだ。確かにこういう企業は酷いが、上場企業でも三分の一がファミリービジネスなので、千数百の企業の中では不祥事を起こす企業も複数出てくるのは当然だ。


ファミリービジネスは古い経営形態なので業績も悪いだろうというのが日本人の一般的な考えだ。しかし、業績はファミリービジネスの方がいいのだ。欧米でも事情は同じで、経営学上の格好のテーマとなった。今日ではなぜファミリービジネスの方が一般企業より業績がいいかは、欧米で研究しつくされている。一言でいうと、経営理念の継承などの「ファミリー力」が経営にいい影響を与えているのだ。


欧米でも、30年前は日本と同じようなイメージが浸透していたそうだ。ところが、大学でファミリービジネスが研究されてきて、意外な経営上の利点が解明されてから一般のイメージもよくなった。今日では、有名なアメリカのジョンソン社(カビキラーなどの製品がある)のように製品ラベルに「A FAMILY COMPANY」と誇らしげに表示する会社もある。日本では考えられないことだ。


早く日本でもファミリーであることを「売り」にする会社が現れて欲しい。まずは、イメージの向上が急務だ。



アメリカのトップ高校の教育ーノーブレス・オブリージュ

今日はアメリカのトップ高校といわれるフィリップス・エグゼター出身の山本君から高校時代の話を聞いた。彼のことは、ユダヤ人になった石角莞爾弁護士から聞いていた。青山学院中等部のときにTOEFLで満点を取った中学生がいるということで有名になったそうだ。それからエグゼターに行ってハーバードの学部に入った。


エグゼターはボーディングスクールなので全寮制だ。授業も教師一人に対して生徒12人で行っていたそうだ。授業では3年間、君たちは恵まれた存在なので(頭脳も家族も)社会に貢献する人にならなければいけないと言われ続けたそうだ。いわゆるノーブレス・オブリージュだ。


残念ながら日本でこういう教育をしている高校はない。エリート教育をしてはいけないのが日本だ。文部科学省からしてそういう方針なのだ。トヨタが愛知でエリート教育をするボーディングスクールをつくったときも、文部科学省が随分口出しをしたそうだ。こういう国だから、上の層がいないのだ。


その報いは今、我々国民が受けていると思う。政治家、官僚にも「社会に貢献する」という感覚のない人が非常に多い。単にペーパーテストができるだけで日本は官僚になれるのだから、これは危ない。経済産業省の古賀さんのように、国の税金で給与をもらいながら自分のためにマスコミに出るような人ばかりでは日本沈没は当然だろう。


日本でも早くエリートを養成する中高が出てきて、社会に貢献するような人々を輩出する学校ができてくれないと日本の将来は暗い。

世界一の高校、米国エグゼターにも日本人がー多くは駐在員の子弟だが

私が留学2年目でハーバードの東アジア科大学院に行ったときに、事務の方がクラスメート30人の出身高校と大学のリストをつくってくれた。大学は3分の一がエールだった。アメリカでは大学と大学院を別にすることが多く、アメリカ人で一番優秀な人は学部はエールで大学院はハーバードというのが「お決まりのコース」だそうだ。


問題は高校の方で、日本人には馴染みが薄いが、有名なボーディングスクール(寄宿制学校)のエグゼターとアンダバーが三人ずつが最大勢力だった。ともに甲乙つけがたいレベルのようで、実質的に世界一の高校の地位を争っている感じだ。こういうところには日本人はいないと思っていたが、最近ハーバードクラブの会合で日本人の若手で何人かエグゼター出身の人に会って驚いたのだ。


エグゼターというのはニューハンプシャーにあり、大統領選の予備選で最初に大統領候補が演説するのがこのエグゼターの講堂なのだ。どこかの役所の講堂だと思っていたが、何と一高校の講堂で大統領候補が第一声を発するのはこの高校がいかにアメリカ国内で認められているかを示す事例だ。


さすがに、日本の中学からエグゼターに入るのは至難の技だ。10年ほど前に青山学院中でTOEFL満点の帰国子女がいて、エグゼターに入りその後はハーバードに進学したそうだ。これは例外中の例外で、通常の日本人は親の仕事の関係でずっとアメリカで生活していて、アメリカの中学でダントツトップだった人が入るところのようだ。


それでも、こういう人がその後ハーバードに行って日本に来て仕事をしているというのは嬉しい話だ。彼らは英語の方がいいようだが、日本語も完璧に話す。翻訳を頼まれたときには不可欠の存在だ。こういう優秀な人は外資系金融にいて、翻訳の会社にはいないので、その翻訳の価値もかなり高い。


私などはアメリカの大学で2年間もがいていたが、日本人(日系人)でトップクラスの成績を残すこういう人々もいるのは心強い限りだ。こういう人を日本企業が使いこなせるようになれば、日本の競争力復活の道もまだまだあると考える。

NHKの「グリコ森永事件」を見て感じた警察のサラリーマン根性

昨日、今日とNHKのシリーズ未解決事件で、グリコ森永事件が扱われた。これは私が大学の時に起きた事件だが、時効が成立したときにたまたま経団連の囲碁同好会で、元森永製菓会長の高木貞夫さんと知り合い、田園調布のご自宅でこの事件の話も聞いたものである。


番組には出なかったが、高木さんは犯人からの終結文書にも「いい男」と名指しされた筋を通す人だ。この事件の闇は深いが、むしろNHKの番組はマスコミや警察への問題提起だったように思う。犯人を取り逃がしたのは間違いなく「警察の縄張り意識」にあり、広域事件では日本の警察は機能しないことを示したのだ。


滋賀県警の元本部長は自殺してしまったが、大阪府警の元本部長は意気軒昂で、自分の捜査の正当性について未だに強調していたのには驚いた。警察にとって「結果」は二の次で自身の「保身」が一番大事なことをこの元本部長は如実に語ってくれた。結果がでなくても言い訳ができればいいのだ。これを「サラリーマン根性」という。


このサラリーマン根性を犯人は熟知し、そこを突かれたのだ。今日の警察はこの時ほど縄張りはないだろうが、結果より保身や言い訳を重視するサラリーマン根性には、誰もがここに陥らないように注意したいものだ。

伊良部、掛布にみるプロ選手の勘違いーその分野以外は素人以下

伊良部選手がロスで自殺したらしい。まだ詳細は分からないが、現役引退以降の生活に行き詰ったことが原因の一つだろう。また時を同じくして、掛布の会社が倒産したという報道もあった。掛布についてかなり前から会社経営の失敗、現役時と同じようなハデな生活で首が回らなくなったという報道もあった。


この二つの事件で分かるのは、特定の分野で第一人者になった人間の現役引退以降の「生きていく力」のなさだ。大きな原因は「勘違い」にあると考える。要するに、自分はこの分野で日本一になれたのだから「何でもできる」という勘違いだ。冷静に自分を分析できれば、幼いころからほかのことをやってきていないので、「何にもできない」ことに気づくはずだが、周囲から煽てられるとついついその気になるのだろう。


スポーツ選手で引退後、会社を経営する人は多い。しかし、最初はうまくいっても「経営者」としての資質は何もないのだがら、いずれ破たんする。若乃花や掛布の例は一例にすぎず、むしろ成功している人がいたら奇跡的だ。また「お金の使い方」についても、お金がたくさん入ってきた現役時代と同じ使い方をしてしまうのだ。これでは誰でも破たんする。


プロはプロでも、私がよく付き合いのある「囲碁のプロ」は比較的まともだ。皆、「自分は学校もろくろく出ていないし、社会のことは何も分からないので、一生囲碁で頑張るしかない」とトッププロでもいう。まあ囲碁の場合はスポーツ選手と違って50代まで一流であることが可能なので状況はちがうのだが。


特定分野のプロはそれ以外のことは素人以下ということを自認すべきだ。逆にそれを認識したプロは、伊良部、掛布のような大きな間違いを起こすことはないのだろう。


また「ファミリーオフィス」を標榜する人が増えてきたー日本型ファミリーオフィスとは

先日、日本経済新聞社の方と話をしていたら、最近またファミリーオフィスを標榜する人が増えてきましたね、と言われた。確かに、○○ファミリーオフィスなどという名前の会社も増えてきた。しかし、残念ながらそのほとんどが相変わらず「ファンドを売る人」だ。


もっとも、アメリカ型ファミリーオフィスはヘッジファンドを売ることを主な業務とする会社も多い。でもこれでは証券会社と変わりはない。日本でも「ファンドを売りやすくするために」ファミリーオフィスといういかにも新しい名前をつける人が多いのは残念だ。当協会では10数回にわたり「日本型ファミリーオフィス」について研究してきたが、その結論はヨーロッパ型に近いものということだった。


ヨーロッパ型のファミリーオフィスとは、資産運用ではなく資産保持で、より重要なのは「家族の問題」を扱うことだ。これは子弟教育や結婚、相続・事業承継といったドロドロとした問題だ。日本の超富裕層が求めているサービスはこういうことであり、決して資産100億円を120億円にすることではない。


日本では「家族の問題」をやってくれる人はなかなかいない。それでお金が取りにくいからだ。「ありがとう」の一言で終わってしまったら「仕事」にはならない。確かにファンドを売って手数料を取ったほうが簡単にお金にはなる。しかし、超富裕層が本当に困っているのは家族の問題であり、うまくできれば必ず報酬は頂ける。人間は本当に困ったことにはお金を払うからだ。


おそらく、アメリカ型ファミリーオフィスは日本では広まらないだろう。個人でファンドを売って成功しているのが澤上さんだけという事実がそれを示している。特に超富裕層へのファンドの販売は澤上さんもピクテにいたときに失敗している。他の人が成功できるとはとても思えない。また「結果」も出せないだろう。


相当難関だが、今後は「日本型ファミリーオフィス」をやる人の出現を望んでいる。それをやっているのが私一人

では、超富裕層にとって日本はサービスの幅が狭すぎる。

よいファミリービジネス、悪いファミリービジネスー会社は常に二通り

最近、いろいろな人に「ファミリービジネスのイメージ向上の活動を始めた」というと、一様に驚かれる。やはり日本人のほとんどがファミリービジネス、同族企業は悪というイメージがあるからだ。またマスコミも、悪いファミリービジネスのことを喜んで書く傾向にある。船場吉兆や林原の件がいい例だ。


しかし、冷静に考えると日本の会社の95%を占めるファミリービジネスの全てがそんな会社であるはずもない。あくまで例外であったはずだ。その他の数百万に及ぶファミリービジネスのほとんどが全うな商売をしているのは当然だ。一つの例外で同族企業は皆そうだ、とか言われるのは堪らないという声を多くのまっとうなファミリー企業のオーナーから聞いている。


非ファミリー企業の中でも、当然のことながらいい企業も悪い企業もある。ただし、トータルで考えると欧米でも日本でもファミリー企業の方が業績がいい傾向にあるのは事実だ。特に、日本の場合は、業績のいいファミリー企業は日本的な家族的経営を辛抱強く行っているところが多く、個人的にはこれが日本復活のヒントになると考えている。一度は日本企業が捨てた「日本的経営」を復活させることが日本経済復興のカギだと考えている。


だからこそ、私は、いいファミリービジネスを伸ばし、その経営手法を日本全体に広めることが日本再生につながると考え、まずは誤解されているファミリービジネスのイメージを改善することに力を入れることにしたのだ。欧米でも30年前は今の日本と同様、ファミリービジネスは古い経営形態で悪と思われていたようだ。しかし、彼らは既にファミリービジネスは経営形態上、非常にいいと考えを変えている。一般人のイメージも変わっている。


遅れたものの、日本でもファミリービジネスのイメージを向上させ、ファミリービジネスのオーナーが胸をはって自社の経営のことを語り出せれば、それは非ファミリービジネスの参考ともなり、日本経済の復活の突破口になる可能性もあると考えている。




自民党の世耕幹事長代理の話ー選挙に強い=勉強時間がない?

おとといは自民党で世耕幹事長代理の講演を聞いた。グローバルタスクフォースという団体の主催で、私が20年前からお世話になっている青井倫一教授(慶応から明治に異動)が進行をつとめるという会合だ。世耕さんは日本の危機を強調。しかし、日本人全体としてみれば「まだまだ大丈夫」と思っているのではないか。このあたりの危機意識の共有は日本の大きな課題だと感じた。

次に、世耕さんは、なぜ整合性のある政策ができないのかについて解説。自民党も民主党も業界団体や労働組合の支援で成り立っている面があったので、それらの団体の利害に反することはできない。そこで場当たり的な政策が続けられてきたという説明だ。但し、世耕さんは「いかなる業界の支援も受けずに当選する」ことを身上としているようで、毎週末は選挙区の和歌山に帰り、3人からのミニ集会を開いて、自分の支持者を広げているという。

確かに、世耕さんは二世で地盤があり選挙に強いそうだが、他方毎週地元に帰って語らいあっているとなると、勉強する時間はほとんどないだろう。これは日本の政治家の大きな問題だ。政治家が勉強していないと役人にいいようにされてしまうからだ。現在の日本がまさにそうだ。

世耕さんがおもしろい話をしていたのは、自民党の部会でも政治家は「かばんを持たない」ので前回の資料を持ってくる人がいないという。これはサラリーマンでは考えられないことだ。だから、そのことを知っている官僚に上手に騙されてしまう。世耕さんはサラリーマン出身なので前の資料は全てファイルして持っていくが、そこで官僚の説明で「前と違う」と反論できるそうだ。こういう政治家が少ないというのは相当まずい話だ。

菅総理の現状を見ても分かるように、政治家の質を高めねば日本はどうしようもないのだが、国民は既に呆れて諦めているようにみえる。世耕さんのような政治家が何とか政治の世界を変えてほしいものだ。

「なでしこジャパン」命名の親、平田竹男さんの先見の明ー7年前に優勝を予見

なでしこジャパンの優勝には驚いた。しかし、これを7年前に予言した人がいる。他でもない、日本サッカー協会専務理事をしていた平田竹男さんだ。平田さんには私がハーバードに行く前にお世話になった。今でもハーバードクラブの会合で時々お会いする。


平田さんは通産省を退職し、当時の川渕チェアマンに誘われ日本サッカー協会専務理事になった。このことだけでも驚きだが、この人にはさらに特殊な「才能」があることが分かった。少なくとも7年前にはなでしこのワールドカップ優勝を予言していたのだ。そのときには私も「何をばかなことを」と思っていたが、日本女子サッカーがここまで伸びるとは個人的には予想していなかった。


特にアメリカ戦で勝てると思った日本人は少ないのではないか。まず、体格の違いは男子の比ではない。アメリカのパワーサッカーには力負けすると思った。唯一勝てるチャンスがあるとすれば、、、それはPK戦だと思ったがやはり勝つときはそれしかなかったようだ。PK戦になれば逆に器用な日本人の方が有利だと思った。


体の大きい相手に勝つには個人技しかない。なでしこジャパンがアメリカやドイツに勝てた理由はそこだろう。また日本的な根性、チームワークも今回はプラスに働いたと思われる。アメリカのキャプテンも実力で負けたとは思っていない顔つきだったが、実力以外のものが作用していた旨のコメントをしていた。


ともかく、暗い話しかない日本に唯一の光明が差した思いだ。日本の政治も経済も、古き日本のよさであるチームワークでこの苦境から少しでも脱するヒントをもらった感じだ。



原子力を一元的に扱う部署を新設ー時代は縦割りから「横割り」へ

今回の福島原発の事故で日本人誰もが思ったのが、原子力関係で政府の中にいくつも担当部署があることだ。経済産業省の原子力安全・保安院、原子力委員会、文部科学省も関係している。これらはどこも横並びなので、上下関係にはない。となると同じことをいろいろな役所や機関が行うことになる。東電もどこを見て仕事をしたらいいか分からないだろう。

細野大臣がこの状況を見かねて、来年4月から原子力行政を一元的に行う機関をつくるという。当然の流れだ。従来から日本の役所の縦割りの弊害は重ねて指摘されてはきたが、なかなか「横割り」の組織はできなかった。今回の原子力事故で誰の目にも明らかに縦割りの弊害が明確になったため、今回の措置になったということだ。


もちろん、日本社会の縦割りの弊害は原子力だけではない。政府のあらゆる分野で同じことを異なる役所が扱っている。役所自身もそのことを知っていながら、そういう部署をなくすとは死んでも言わない。役人にとって権限をなくすことは天下りポストを減らすことになるからだ。まさに日本の病理だ。


日本人のほとんどが縦割りの弊害についてはそろそろ認識している。横割りがいいと思っても具体的にどうしたらいいか「例」がないので分からない。私の行っている「ファミリーオフィス」は究極の「横割り組織」だ。なぜこれが日本でなかったのかは、もう改めて説明する必要もない。日本社会が全て縦割りだったし、横割りで「ワンストップで何でもしましょう」という感覚は日本人にはなかったのだ。


私が日本で「ファミリーオフィス」を始めたのも、日本社会を縦割りから横割りに移行するための「一例」を示すという社会的意義のためだ。何となく例があれば、日本でも横割りができるんだということにもなる。社会は法律や規制などの「上から」の改革で変化するものではなく、実態、草の根という「下から」の動きによって初めて変化するものだ。