日本ファミリーオフィス協会 -40ページ目

新閣僚では古川元久国家戦略担当大臣に期待ー経団連とも連携

野田新政権が発足したが、この国難の時期におおよそリーダーシップとは正反対の野田総理で乗り切れるか、大いに不安ではある。すぐに行き詰まりそうだが、閣僚の中で唯一期待できる人がいる。古川さんだ。この人はまず経団連に挨拶に行ったというから、これは近年にない珍事だ。しかし、以前からこの行動の伏線はあった。


ちょうど3年前に、大阪出張する新幹線の中で古川さんに会ったので、一時間ほど懇談した。その中で、日本は政界と財界がむしろ癒着していないのが問題という意見を述べた。要するに、アメリカ大統領が日本に来るときにはビッグ3などのトップと一緒に来る。フランスやドイツの首相も同じだ。ところが日本は首相が外国に行くときに財界人と一緒というのはまずない。これでは確かに「国益」には反するだろう。


しかし、古川さんは企業との一線は踏み外さない。愛知県が選挙区なのでトヨタに支援してもらっているらしいが、「支援してもらうことと、その企業の言いなりになることとは全く違う話だ」と公言している。献金とその企業のために働くこととは全くリンクしないように行動しているという。それで支援してもらえるのだからすごいことだ。


昔出ていた「朝まで生テレビ」に出なくなった理由も聞いた。テレビ番組は予めシナリオがあるので、そこが本人の意思と反することが多いので出なくなったようだ。自分のポリシーを持っていたら、マスコミ側と対立することもあろう。


古川さんは大蔵省出身で、私のハーバード同期の桜内文城さん(みんなの党)と大蔵省同期だ。桜内氏もこれに刺激を受けますます頑張るだろう。40代の若手がどんどん活躍できる政界になってきてほしいし、現下の閉塞感は若手が打破するしかないだろう。


山岡賢次さんが初入閣ー民主党副代表で小沢氏の側近

山岡さんが初入閣した。パレロワイヤルで部屋が近いのでよくお目にかかる人だ。昨年の民主党代表選で小沢さんの選対委員長をされたほどの小沢親派だ。地味な感じを受けるので入閣が遅れたのかも知れないが、長年民主党の副代表をしており、落ち着いた印象を常に受ける。


それもそのはずで、この方は小説家の山岡壮八の書生をしたほどの読書家で山岡さんの娘婿だ。当然、「徳川家康」などは全て読んでいるはずだ。政治家というよりも、学者か小説家という印象を受ける。語り口も物静かで、昨年の代表選敗退の後も、まだまだ小沢さんが必要な局面は来る、と静かに語っていた。今の混沌とした政界ではその通りだろう。


山岡さんはおそらく小沢総理実現をもっとも望んでいる一人だろう。戦略家のような風貌なので、小沢復帰後の戦略も当然考えているだろう。野田さんのような小粒で調整型の総理のもとで今の日本の難局を打開するのは難しい。乱世の小沢はいつ登場するのか。もう20年も二重権力の日本の政界は外国からは全く理解されないのではないか。


社会が混沌とすると強いリーダーシップが必要なのは当然だ。山岡さんにもまだまだ頑張ってもらって、小沢政権やそれと同じくらいの強い政権をつくり、日本を衰退から少しでも救ってほしいものだ。

ジョンソン社元日本社長の西川さんのお話ー企業は永続しないと社会に貢献できない

先日、SCジョンソン社の西川さんからファミリービジネスについてのお話を伺った。西川さんは外資系勤務の方には珍しくジョンソン社に骨をうずめた人だ。退任の時にもジョンソンファミリーから一族全員のサイン入りの大きな写真を頂いたというから、本社にとっても重要な人だったのだろう。


それもそのはずで、ジョンソン社にとって日本は大きなマーケットだ。ほぼ全ての家庭にはカビキラーがあるし、他にも我々は知らず知らずにジョンソン社の製品を使っている。しかし、何といっても私がこの会社に注目しているのは、その製品に「A FAMILY COMPANY」と銘打っていることだ。現在の日本のファミリービジネスの現状を考えると信じられない。


アメリカでは既に「ファミリービジネスは悪いもの」という段階は脱している。日本ではまだまだ「ファミリービジネスは古い」というイメージが広がっている。これは日本ではファミリービジネスの研究者も少なく、事実が正確に世に広まっていないことが大きな原因だろう。日本の古い企業はほとんどファミリービジネスであり、業績のいいのもファミリービジネスの方だ。この基本的な事実でさえ、ほとんどの日本人は知らない。


まさに長寿企業はファミリービジネスなのだ。西川さんによると、ファミリービジネスでないと「創業時の理念」が継承されにくく、企業は永続しにくい。確かに事実はその通りだ。もちろんファミリービジネスでもすぐに潰れてしまう企業も多いが、確率的にはファミリービジネスの方が永続する。


企業はもともと社会に価値を提供するのが基本だ。そういう企業は自然に儲かる。そうなると企業は永続する。それでますます社会に貢献できるのだ。ところがすぐになくなる企業は社会に貢献するどころか、債務などを通じて社会の害悪になる。西川さんは企業は永続してこそ社会貢献ができるので、永続企業=ファミリービジネスが重要というスタンスだ。


日本でも強いファミリービジネスが多くなれば自然にファミリービジネスの評価は高まるという。その動きを早めるには広報も必要だ。現在でも日本の多くのファミリー企業は大変な社会貢献をしている。しかし日本人の謙譲の美徳もあり、自社で広報をしないことが多い。そこで第3者が優良ファミリー企業の紹介、広報などをしてファミリービジネスのイメージを良くしてことも大いに必要だろう。

伊藤公一さんの社会貢献ー滋賀豊郷町の豊郷小学校の校舎保存

亡くなられた伊藤英吉さんの長男、伊藤公一さんは表には出ず「裏」で社会貢献をする人だ。表立って「自分は社会貢献しています」というのはご本人の得意のセリフ「田舎者のすること」だからだ。ご先祖の伊藤忠兵衛の建てた豊郷小学校の校舎保存にはかなり力を入れていた。


たまたま、伸助司会の最後の「何でも鑑定団」になった放送で、「出張鑑定」が豊郷町だった。その放送で修復された豊郷小学校が映った。数年前に、当時の町長がこの豊郷小学校の校舎を解体して新たな小学校をつくるという計画を立てたそうだ。それに公一さんは真っ向から反対して、修復させたのだ。ご先祖様のつくったものを壊されるのは堪らなかったという意味もあろう。


ダムにしても行政はとんでもない計画を立てて、住民が反対しても実行してきた。もちろん必要なことはしなくてはならないが、ゼネコンと結託してやってきた不要な事業もあろう。こんなことは我々の身近にもいろいろある。つくらなくてもいい校舎や道路をつくったりしている。新橋の「マッカーサー道路」などは今日的に必要なのだろうかと疑問に感じる人も多いだろう。


でも我々が何も言わなければ、国は厳しい財政事情にも係らず無駄な公共事業をするものだ。そういう仕事に携わっている役人がいる限り、その役人は自分の仕事をつくる。そうしないと自分が失業するからだ。国のためなら自分が失業してもいい、なんていう役人は誰もいない。


我々は国や地方自治体が血税を使って行う事業をもっと監視しなくてはいけない。ここは本当に日本人の弱いところだ。伊藤公一さんのようなアメリカで教育を受けた人にとって、税金を使う事業を監視するのは当然のことなのだろう。

伊藤忠元会長の伊藤英吉氏が死去ー100歳の大往生

今日は朝から悲しい知らせが入った。私がお世話になっている伊藤公一さんの父親で経団連の国際経済委員長もされていた伊藤英吉さんが亡くなられた。各紙に出ているが喪主は長男の公一さんということだ。伊藤公一さんは絶対に表には出ない人だが、こんなことで表に出るとは思わなかった。


経団連では、当協会の理事の三好正也(元経団連事務総長)が英吉さんにお世話になったそうだ。公一さんを通じて英吉さんに三好のことを聞いてもらったら、よく覚えていたそうだ。老衰で亡くなられたそうだが、頭ははっきりされていたようだ。公一さんは英吉さんに会うために毎週金曜日には神戸に帰っていた。最近は公一さんが忙しそうだったが、英吉さんの容態が悪かったようだ。


英吉さんは神戸商大を出たあとにケンブリッジ大学に留学した。昭和の初めの話であり、船での渡航だ。まあ伊藤忠、丸紅の創業者一族なのでお金に困ることはなかったのだろう。息子の公一さんや武さん(通称ピーターで金融界では有名な人)は全てエールかケンブリッジに留学している。伊藤忠の会長は英吉さんまでで、公一さんは伊藤忠には就職しなかった。


公一さんはエール大学日本同窓会の元会長だが、自らの家のことはあまり語らない。そういうことを吹聴するのは「田舎者のすること」というのが口癖だ。だが、伊藤家と政治家の河野家、麻生家が親族というのは有名な話だ。公一さんの話を聞いていると、明治時代からのいろいろな首相経験者や財閥系の人の話が出てきて、どうやら親族らしいが、はっきりは教えない。田舎者ではないからだ。


100歳の大往生をされた英吉さんのご冥福をお祈りしたい。


日経「こころの玉手箱」の渡辺利夫拓殖大学長ー高校の22年先輩

昨日からの日経夕刊「こころの玉手箱」は渡辺拓殖大学長だ。甲府出身と書いてあったので、甲府一高の先輩だと思い、卒業者名簿を見たら昭和33年卒のところにあった。この時代は甲府に普通高校は甲府一高しかなかったのだ。この方は慶応に行って日本化薬に就職したようだ。今日の夕刊によると、そこで品質管理を3年間していたようだ。


デミング賞を受賞したときには会社中が沸きかえったそうだ。昔はどこのメーカーもデミング賞を目標に品質管理を行っていたとはよく聞く。私も1992年から経団連でISO9000を担当していたので、メーカーの方から「うちはデミング賞を取っているほどの品質管理はいい企業なのに、なぜISO9000などというものを取る必要があるのか」とよく言われた。


もっとも、ISO9000というのはあくまでも物をつくる「システム」規格なので、結果としての品質には直結しない。

そのあたりがまた分かりにくいのだが、ともかくこれを取得しないとヨーロッパには輸出できなくなったので、日本のメーカーも取っていた。品質に関しては日本のQCサークルで十分とメーカーの方は考えていたので、当初はかなりの違和感があった。今ではメーカーのみならずサービス業でも役所でもISOを取っている。


経団連主導でISOに関する認定機関(JAB)というものを1993年につくったが、当初はISO9000をいかに広めるかが課題だった。これが広まらなければ認定機関にもお金が入らないという仕組みだったからだ。今思えば、とんでもない取り越し苦労をしていたわけだ。今では環境のISO14001や情報システムのISOもでき、企業でISOを取らないと「おかしいんじゃyないか」と言われる。区役所や学校でもISOを普通に取っている。


品質管理も戦後の家族的なQCサークルから、欧米的なISOに変わったが、やはり製品のよさは「人」に依存することに変わりはない。このあたりでは、まだ日本は欧米や中国に比べて一日の長はあるのではないか。ISO時代でも「ものつくり日本」の強みは不変だ。



ファミリービジネスの力の源泉「ファミリー力」とはー欧州での研究テーマ

ファミリービジネス(同族企業)は、直感的には利益が上がるような経営形態でないような気がする。これは欧米の経営学者も当初はそう思ったようだ。大経営学者であるチャンドラーなどは専門経営者が育てばファミリービジネスはなくなると予言していた。その予言は見事にはずれたのだが。


ファミリービジネスが予想に反して「強い」理由は、「ファミリー力」にあるという。これはファミリーであるがゆえに経営理念が継承されるとか、そういう話だ。欧州の研究では、この「ファミリー力」に焦点が当てられているという。スイスで「ファミリービジネスネットワーク」の事務局をしているロンバー・オーディエの河田さんの話だ。


経営がファミリーであることにより、実はいろいろなメリットがある。後継者が決まっているので、社員は出世競争をする必要もなく、業務に没頭できたり、日本古来の「家族的経営」もできる。おそらく欧州と日本ではファミリービジネスをめぐる状況はそんなに相違はないと思われる。この「ファミリー力」の研究こそが、ファミリービジネスの強さの原因だろう。


問題はこういう事実をいかに「広報」するかだ。日本ではほとんどの人がファミリービジネスと聞くと眉を潜める可能性がある。そういう人たちに「ファミリー力」の話をしても聞いてすらもらえないだろう。そこでまずはより客観的な「数字」を示す必要があろう。ファミリービジネスと一般企業の業績比較とかだ。これは日本はもとより、欧米、途上国ともファミリービジネスに軍配があがる。何か不思議な話だ。


日本でのファミリービジネスのイメージは長い期間をかけてつくられたものだから、一朝一夕には変わらないだろう。しかし客観的な「データ」を示すことによって状況は激変する可能性はある。まずはどういう媒体で広報していくか、マスコミも誤解している分野なので、入口で丁寧な説明が必要だろう。

ジョンソン社元日本社長の西川氏ーファミリービジネスの生き字引

来週はジョンソン社の元日本社長の西川さんにお会いすることになっている。この方は「ファミリービジネス」であることを誇りとしているジョンソン社の日本法人社長を長年勤められ、現在は横浜でファミリービジネス中心に経営コンサルをされている。ジョンソン社の歴代社長とも昵懇の間柄だ。


数年前にジョンソン社の「カビキラー」のパッケージを見ていたら、「A FAMILY COMPANY」と表記されていたので随分驚いた記憶がある。いうまでもなく、ファミリー企業ということを自らいう会社は日本にはないからだ。むしろ、そういうことは皆隠す。ところが、ファミリービジネスについて調べていると、欧米ではファミリービジネスということはむしろ「誇る」ことに変っていた。


日本でも早くこうならないといけない。何せ、日本の95%がファミリービジネスだ。もちろん私の「永田町ファミリーオフィス」もファミリービジネスだ。日本でもジョンソン社のような大企業で「自分の会社はファミリービジネスだ」と公言してくる企業が出てくれば本物だが、それにはまだしばらくの環境整備が必要だろう。


ファミリービジネスのイメージ向上は、今のところ日本では役所も経済界も旗をふるところがない。そんなことをすれば非難を受けるだけという現状が日本にはある。しかし、誰かが突破口を切らないと何も始まらない。そのヒントを西川さんから伺うことにしている。日本では「ファミリービジネスは本当はいいものだ」ということを言っている人は数名に過ぎない。この状況を早く変えて、欧米並みのファミリービジネスへの評価を日本でも得ていかないと日本経済も活性化はしない。


私が連載している日経「ファンド情報」でも8月号では「ファミリービジネスの誤解を解く」というテーマで書いた。しかし、そんなことでは当然誤解も解けない。大きなうねりに何とか持って行きたいと無い知恵を絞っている。

財務大臣をすると増税論者になる不思議ー官僚の説得のうまさ

自民党時代から思うのだが、財務大臣(大蔵大臣)になるとそれまでは増税に消極的だった政治家もコロット変わって増税論者になるのだ。最近では、菅さんや野田さんがそうだ。菅さんなどは首相になる前は「役人を使いこなせ」という立場だったが、首相になってからは役人に使われていた。あの「政治主導」とはいったい何だったのかだ。国民は自民党のみならず、いやそれよりも民主党に失望した。


私は経団連時代から、留学時代も大蔵、通産官僚と本音で話す機会が多い。彼らは政治家を全くばかにしている。まあ実際の政治家もばかにされて当然のような面々だ。官僚は自分たちの方が政治家より優秀で(確かに学校の成績はそうだっただろう)、大臣も意のままに操れると思っている。いや実際にもそうなっている。


財務官僚の大臣への「情報の上げ方」は全く戦略的なものだという。増税は本当に必要だ、というデータしか上げない。これを何ヶ月もやられたら誰でも洗脳されてしまう。例えば、このままだったら日本は破綻する。これを救うのはあなたしかいないとか言われたら、政治家だったら誰でも日本を救いたいと思うだろう。増税しなくても行財政改革で日本を救えるというデータも大臣に上げて然るべきだと思うが、自分に不利な情報は上げないだろう。


このあたりが省益あって国益なしの官僚の本領だろう。しかるに、経団連官僚(民僚)はどうか?全く官僚とは正反対だ。自分たちの利益など考えずバカ正直に国益や産業界のことだけを議論している。会長への情報の上げ方も「全てオープン」が原則だ。だから米倉会長が事務局の意図と違うことを発言してあわてたりしている。官僚の世界では有り得ないことだ。


まあどちらがいいかは人それぞれの判断だが、官僚の世界の評価は「あいつはワルだ」と言われるのが最高のほめ言葉だそうだ。ワルの意味は「省益のためにそこまで天下り先をつくるとは本当にワルだね」ということらしい。公僕のはずの官僚がこれでは、日本はどうなるのだろう。それを止めるべく期待された民主党もこの体たらく


次の内閣では官僚に洗脳されない財務大臣がほしいものだ。今増税路線に舵を切ったら、日本、日本経済の滅びは近いだろう。




海外留学が再び活発にー企業の採用方針に変化が

日本人の海外留学生数は2000年から減り続けていたが、2010年から再び急増しているという。本日の日経夕刊がトップで報じている。原因の一つは円高だ。海外の大学の授業料は高いので、為替の円高は助かる。もう一つは海外展開をしている企業の採用方針が変化したためであるという。


従来は日本の高校から海外の大学に留学しても、日本企業の採用が難しかったので外資系の会社に就職する人が多かった。海外で高いコストをかけて、かつ就職先が狭まるのだったら留学をすると損をすることにもなった。もちろん、日本の大学に入れないから全入のアメリカの大学に入り、そこでも当然ついていけないような人も多かったのは事実だ。そういうイメージが強かったので企業も海外の無名の大学を出た人は採らなかった。


ところが最近は企業がむしろ留学生に熱い視線を送っているようだ。もちろん優秀な学生のみだが、KDDIなどは留学生を一割採っているという。こうなると留学組が有利になる。日本の大学に行っても内定を取るのが難しいとなると、留学をしたほうが就職も有利になってくる。


さらに、日本の大学でも短期留学というシステムを各大学がつくり始めた。かつても「交換留学」というのはあったが、数名しか行けず、帰国子女のみが選考されていた。東大や早慶ではかなりの確率で短期だったら留学できるようになっているようだ。


日本人の若者も内向き志向が指摘されてきたが、就職に有利となると急激に外向きになるものだ。問題は海外の大学に行って、そこで十分に発言できるかだ。日本の大学のように、教授の話を聞いているだけではクラスへの貢献がゼロと評価される。若者が必死に世界標準の授業を受けて多くを吸収して帰ってくれば、日本の将来も捨てたものではない。