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ルーフタワーでKW(仮)

再開局後、第一の目標だった1KW免許は無事にクリアしました。
今は、古い無線機のレストア?が面白くてたまりません。
こつこつ勉強し、失敗しながら少しずつ経験値を貯めています。
そんな過程を個人的な備忘録として記録していくブログです。

今回、悩みに悩んだ末にアンテナ系を一からやり直すことにして、ようやくシステムの全体像も見えてきたんだけど、実は一つだけ気がかりなことが残っていた。


それは、ローバンド用のロータリー・ダイポールについて。
今回、7/10MHz帯用にはミニマルチのRN4MCXを使おうと思っていた。
RN3MCX 
(この写真は同タイプのRN3MCXです)
このアンテナ、全長が9.8mあり、回転半径はその半分の4.9m。
ところが、うちの敷地は若干細長い長方形になっていて、その短辺はおよそ8.5m強しかないのだ。
ということは・・・。そう、アンテナの方向によっては、最大65cmほどはみ出すことになる。
領空侵犯警報発令だ(^^ゞ


もちろん、はみ出すのは方角にしてざっと南東~南西の90度と、北西~北東の90度、合わせて180度くらいなので、運用しない時はそれ以外に向けておけばいいのかもしれない。
最近の自分の運用状況といえば、平日は夜から深夜にかけての数時間を週に2~3日、土日は長い時で5~6時間だけど運用しない日の方が多い、という感じだから、アンテナを使用しない時間の方が圧倒的に長い。
まあ、お隣さんには「たまにアンテナがちょこっと領空侵犯することがあるけど、勘弁してね!」程度で済む話ではある。
しかし公道側にはみ出す分についてはどうかなあ・・・。
昨今うるさい方も多いので、通行中にたまたま上空を見上げた人に、「なんかはみ出してるぞ!」と通報されたりして。
実際のところ、12~13m上空のアンテナが、60~70cm程度はみ出ていたとして、地上から見分けられるかどうかははなはだ疑問だけどね。


実は、kWへの変更申請を出すときも、今回と同じようにアンテナの件でああでもないこうでもないと悩んだ挙句、公道上空の侵犯について仮定の話として役所に問い合わせたことがあった。
その時の回答では、「常時はみ出した形で固定されているならば、看板と同じで許可(道路占用許可)が必要。回転させる途中に一時的にはみ出すとかなら問題ない」とのことだった。
つまり厳密にいえばグレーゾーンなんだろうけど、実際にはまず問題になることはないってこと。
ただ、通行人からクレームが出たりすれば、役所としても放ってはおけないだろう。


というわけで、はみ出さないに越したことはないからいろいろ調べてみたものの、7/10MHz帯用のアンテナで、これより小型のものは見当たらなかったのだ。
どちらのバンドもあきらめたくないし、運用時以外ははみ出ないよう注意することにして、今回は一時的な領空侵犯には目をつぶろうか、と思ってたところにこの「7バンドHEX BEAM」の情報が飛び込んできたというわけだ。 
7band-hexbeam 

前にもふれたけど、仮にこのアンテナを使うことにしても、10MHzバンドをカバーするアンテナが別途必要になる。
その場合の候補としては、ミニマルチのRN3DS(エレメント長8.7m)、RN3MCX(エレメント長7.28m)あたりかな。
これらの機種なら、はみ出し量がせいぜい10cm以下、あるいは全くはみ出さないレベルに収まるだろう。
はてさて・・・。

ちょっと話は本題からそれます。


今回、ネット上で各ビルダーのサイトやら、個人のサイトやらあちこちを見て回って、HEX BEAMに関する情報を集めたわけなんだけど、その途中MW0JZEのサイトでちょっと気になるニュースを見つけた。
それがこちら。7band-hexbeam 


なんと、6バンドのHEX BEAMに40mバンド用のフルサイズ・ダイポールを合体させて、7バンドで運用できるというものだ。


詳しくはMW0JZEのサイトでご覧になっていただきたいんだけど、6バンド用のHEX BEAMよりは一回り大きくなっているものの、回転半径が4mちょっとでコンパクトに収まっている。
片側10mのエレメントを立体的に折り曲げた形から「MW0JZE 40M Twin Peak Di-Pole」と名付けられたこのアンテナは、パフォーマンス的には通常のダイポールとそれほど変わらないようだ。


うーん、なかなか面白そうだ。
全長、というか直径が6.5mから8mちょっとに大きくなるから、おそらく質量も12~13kgくらいになると思うけど、フルサイズのダイポールだと全長20mだからなあ。
これならなんとか設置できそう、というお宅も結構多いんじゃないだろうか。


ちなみに、現在最終のベータテスト中ということで、早ければ今年の10月後半にも予約を受け付けるらしい。
予想価格は£600~650程度だから、日本円では10万円台後半~11万円台半ばあたりだろう。
送料を加えると12~13万円になるから、決して安いアンテナではないけど、設置場所に制約のあるところでは非常に魅力的な選択肢になるんじゃなかろうか。


うちは・・・?値段的になあ・・・。納期もいつになるか未定だしなあ・・・。
それに、30mに出ようと思うと、結局もう1本ロータリーDPが必要になるし。


追記:やっぱり気になるので、直接MW0JZE(Anthony)にメールで聞いてみた。
その結果、ただ今3本のプロトタイプを製作してベータテスト中で、数週間のうちに行われるScilly Islandsへのミニ・DXpeditionでも使用してみるとか。
但し、まだまだ細かな改善点もあって、はっきりとした完成のめどはたっていないようだ。
Ant本人は、なんとか今年中には、と考えているそうな。
ちなみに価格は£600前後に収めたいとのこと。(日本円で10万5~6,000円くらい?)
「7MHzには出たいけど、10MHzにはこだわらない」という人には絶対のお勧めかも。

ということで、長々と比較検討を続けてきたHEX BEAMの機種選定も、ようやく佳境に入ってきた。
最終的に候補として残ったのは、いずれもUSA製のKIO TECとNA4RRの製品だ。


これまでの検討の中で、パフォーマンス的にはほぼ同等で、物理的なディメンジョンもNA4RRの方が若干重くて(1.2kg差)受風面積が大きい(0.06㎡差)ものの大差ないことが確認できた。
ネット上で得られた情報による限り、製品としての完成度、パーツの精度、、組み立てやすさ、総合的な品質についてもほとんど差はなさそうだけど、あえて言えば先発のビルダーで実績が豊富なKIOに一日の長がありそうだ。
価格的には日本への送料も含めた総額で、およそ2万円程度NA4RRの方が安くつきそう。


実績が豊富でネット上のレビューなどの情報も多く、サイト一つ見ても洗練されていていかにも完成度の高そうなKIOに比べ、NA4RRはまだまだこなれていない部分もあるし、サイトもいま一つの印象を受ける。
マニュアルも細かな部分で少々説明不足かな?と感じることも。
それに、最重要パーツである「ハブ・プレート」に関しては、見るからに頑丈でややもすればオーバー・クオリティでは?とも思えるKIOと比べると、アルミのプレートにパイプを溶接しているNA4RRは若干心もとなく感じなくもない。
これがほぼ同じ価格だったら、間違いなくKIOを選ぶところなんだけどね・・・。
2万円の差は(自分にとっては)決して小さいものじゃないから悩ましい(^^ゞ


 

さて、3機種ともネット上での評価は大差ない(素晴らしい)ということで、性能的にはどれを選んでも間違いではないだろう。
あとは価格や諸々の要素を含めて総合的に評価し、判断するしかない。


で、まず価格が一番高いMW0JZEについては、残念だけど見送ることに。
ちなみにこのMW0JZE(Anthony David)氏は、なんと以前TGMのMQ36を使用しておられたそうで、このHEX BEAMを製作するにあたっても、MQ36を越えるパフォーマンスを実現することを目標にしたそうだ。
同じくTGMユーザーの自分としては、なんとも心強いというか、購買意欲をそそられる話なんだけど(^^ゞ


残るはKIO TECとNA4RRの2機種だ。
HEX BEAMの形状からも容易に推測できるように、構造上最も重要なのは中心となる「ハブ」の部分。
ここにすべての力が集中するわけで、アンテナ全体の強度や耐久性はひとえにこれにかかっている。


これは、KIOの「ハブ」(base plate)。kio 

分厚い金属製(アルミ?)のプレートに、Uボルトでスプレッダーを固定する構造だ。
センター・ポストも金属製になっている。


こちらは、NA4RRの「ハブ」(base plate)。NA4RR 

アルミ製のプレートにパイプが溶接されており、そのパイプにスプレッダーを差し込んで、ボルトで固定する。
こちらもセンター・ポストは金属製だ。


いずれも頑丈に作られていることは間違いないし、十分以上な強度と耐久性を持っているんだろうけど、多少の構造の違い(特にスプレッダーの固定方法の違い)があり、一見した感じではKIOのハブの方がごつくてがっしりしているように思える。
あえて言うならば、限界を越えるようなとんでもない力がアンテナ・エレメントやスプレッダーにかかった場合、KIOではUボルトが破断するかスプレッダーが折れるだろうし、NA4RRの場合は、スプレッダー固定用のパイプとプレートとの溶接部が剥がれるんじゃないかなあ。
もしそうだとすると、KIOの構造の方が多少安心なような気がするが、果たしてどうだろうか。


また、それぞれの組立説明書もダウンロードすることができる。
どちらも写真を多用していて、説明も分かりやすく書かれているから、ステップ・バイ・ステップで作業を進めていけば、特に問題なく組み立てができそうだ。
あえて言えば、KIOの方が多少読みやすく、説明も親切なような気がするが、それほど違いはない。


ということで、これまで挙げてきた様々な要因から総合的に判断するならば、製品としての完成度の高さ、質量や受風面積の小ささから、若干だけどKIO Technologyの方が優位かな。
とはいえ、その差はそれほど大きくない。
一方価格的にはNA4RRの方が安く、その差はおよそ2万円といったところだろう。
うーん、これだけ悩んで比較検討した挙句、結局はこれだけの価格差を正当化できるかどうかに尽きるわけか。
なんだかなあ。

さて、これまで調べてきた限りでは、この3種のHEX BEAMは、スペック的には大きな違いはなさそうだ。
まあ、あえて挙げるなら質量と受風面積に多少違いがあって、いずれも大きい順にNA4RR>K4KIO>MW0JZEとなっている。
価格と照らし合わせてごく単純に言えば、質量・受風面積と価格は反比例する、ってことか。


このあたりをどう評価するかはなかなか微妙な問題だ。
強度やメンテナンス性、耐久性が同等だとすると、当然小型軽量な方がありがたいわけで、その分高価格になるのも十分うなづける話ではある。
ただ、実際に強度や耐久性が同等かどうか、比較したデータがあるわけじゃないからなあ。
その手掛かりになりそうなものをあえて挙げるなら、再三言及しているけどeHamのレビューというわけだ。


そのレビューで各機種の短所に触れているものを探してみると・・・
K4KIOについては、前にも書いたように114件あるレビューの全てが5.0/5.0(満点)で、短所らしきものがまるで見当たらない。
K4KIO 
構造や強度についてもほとんどが「excellent!」というコメントで、南フロリダのカテゴリー1のハリケーンにも耐えたとか、高く評価されているようだ。


N4RRについては、21件で平均4.9/5.0だから、これまた申し分のない評価だと言えるだろう。
1件だけ2/5の評価をしているレビューがあったけど、これは「スプレッダーの1本が正しく組み立てられてなかった!クレームを入れたらパーツを送るので自分で直してくれと言われた!」という内容で、本体の強度や耐久性についてのものではなかった。
NA4RR 
今回の検討機種の中では最も新しく開発されたものだから、まだビルダーを含めこなれていない部分があるのかもしれない。


最後のMW0JZEについては、58件で5.0/5.0の素晴らしい評価。
こちらも1件だけ4/5の評価があったが、内容は「特定のバンドでインシュレーターが不完全なためにコロナ放電を起こすことがある」というもの。
MW0JZE 
他に同じようなレポートはないので、構造上のものなのか、組み立てによるものなのか、このユーザーの特定の環境によるものなのかは分からない。
強度や耐久性については、悪い評価は見当たらなかった。


ということで、これらのレビューを見る限り、この3機種はいずれ劣らず甲乙つけがたい、高い評価を得ていると言えるだろう。
どの機種も、複数のユーザーから共通して指摘を受けるような短所は見当たらなかった。
なんか、調べれば調べるほど、良さげなアンテナだなあ・・・外観を除けば(^^ゞ