中朝事實(乾)
大正元年 素行会 發行
その6.印刷用原稿
 
少し長い時間(約1ヶ月半)を要したが、ようやくプリンターで印刷可能な「中朝事実(乾)」の印刷原稿が完成した。通勤電車の中で読んでいても、それほど見栄えが悪くないかと思います。
 
山鹿素行の「中朝事實(乾)」は、大正元年(1912年)に素行会が発行した文献を、下記の国立国会図書館デジタルコレクションからダウンロードして使用しました。
 
国立国会図書館デジタルコレクション(info:ndljp/pid/1241530)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1241530
 

 
解像度を重視したため、フルサイズのJPEG画像をダウンロードしたが、今回のデータも一般的な資料文献と同じように、見開きページが1ページ分として画像データ化されています。
 
2-11-1
①元の見開きページの画像

2-11-2
②半分に分割して裏表のデータをつなぐ

2-11-3
③二階調データに変換して残った汚れやシミを消去
この本だけではないが、本を開いた見開きを撮影またはスキャンすることが多いようです。撮影またはスキャンする方々も相当苦労なさっているのは解かります。見開きを撮影すると中央が山なりになって歪むことが多い。(図①)
 
では製本を一旦分解すれば都合よいのだが、実際には貴重な文献なので分解するなどもってのほかでしょう。
 
ところで原稿用紙などにも見られる、用紙中央の折り目マークを魚尾ぎょびというようだが、見開きの状態だと魚尾が左右の端に見える。これが和綴じ本の特長とも云える。
折角なので本物っぽくするために、1枚の用紙に表と裏を印刷して二つに折って「袋とじ」したいと考えた。
 
そのためには元データを一旦左右に切り分ける。前のページの表と次のページの裏を突き合わせて、新たに印刷用に一ページのデータを作る。ここで魚尾が中央に集まるので、折返しが可能になる。(図②)
 
更に、今回は「素読」が目的なので、読みやすいように二階調モードにデータ変換して文字をハッキリさせた。その後、できるだけ汚れを消去した。中でも本の手前にあたる小口は汚れが特にひどく、ここも消去したため折返し部分には隙間ができてしまった。(図③)
 
PDFデータに変換後、アップロードして細部を見ると気になる点もある。付き合わせ部分の汚れを除去した際にできた隙間、見開き画像で発生した外枠部分のダレ、折返し位置の精度など、まだまだ気になることは多い。しかし素読には問題なさそうなので、印刷用の原稿を下記「グーグル・ドライブ」からリリースします。
 

 
印刷するページ数は、表裏の表紙が2枚、山鹿素行の画像を載せたトビラ1枚、本文99枚、合計102枚に及んだ。印刷する用紙の厚さを仮に0.13mmとすると0.13mm×袋綴じで2枚×102ページ=26.52mmになる。
 
中朝事実(乾)は解像度を重視しため、全体のファイルサイズが《99.8MB》になってしました。データを収納するグーグルドライブがアップロードの限界を超えていたため、ファイルを「中朝事実(乾)web1.pdf」と「中朝事実(乾)web2.pdf」に二分割しました。それでも各々50MB前後あります。
 
また、圧縮をかけてもファイルサイズがあまり変わらなかったのでPDFのままでアップしました。閲覧またはダウンロードする機種のよっては時間がかかると思いますので、覚悟してダウンロードしてください。
 
 
この印刷原稿は袋とじなので、出来上がりをA4判(210×297mm)にするためにはA3判用紙を使用する。古書によく使われてきたB5判(182×257mm)を作るのであればB4判の用紙を使用する。
 
ただしプリンターがA4サイズまでであれば、最大でも仕上サイズがA5判(148×210mm)になる。A5判サイズは手軽に読むのに都合が良いサイズだろう。
 

 
これからプリンターで使えそうな和紙を買って、ヒモを使った和綴じ(四ツ目綴じ)製本に挑戦したいと考えています。表紙と裏表紙は和本らしい色合いの和紙を探します。表紙も工夫次第で見た目に良くなると思います。
 
オリジ
元の題箋
瀧明朝体
瀧明朝体
超極太楷書体
極太楷書体
龍門石碑体
龍門石碑体
唐風隷書体
唐風隷書体
また表紙には、本のタイトルにあたる「題箋だいせん」を貼るが、元々付いていた題箋が気に入らなかったので、ダウンロードのデータではフォントを「唐風隷書体」にした。
 
左端が元々使われていた題箋で、次がオリジナルに近いフォントで「瀧明朝体」、丁寧な毛筆に近い「極太楷書体」、龍門の石碑に刻まれた「龍門石碑体」、漢文書に使われる代表的な「唐風隷書体」を作ってみた。題箋を選んで差替るのも興味深いと思います。右画像をコピペして使って下さい。
 
手元には仕事で使っているレーザープリンターのみなので、和本風にするにはインクジェットの方が合っているかも知れない。いよいよ印刷する用紙と和綴じの道具を揃えて、次回は夏休みの宿題のつもりで、プリンターで印刷して、和綴じ(四ツ目綴じ)製本を行う予定です。
 
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中朝事實(乾) 連載リスト
  1.きっかけ     2.リアリズム山鹿流     3.漢文の訓点
  4.よく見る旧字     5.名詞の基礎知識   6.印刷用原稿
  7.和綴じの準備