『空空寂寂』 -142ページ目

変わらないもの

いつまでたっても

変わらない自分に

絶望することがたくさんある

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その一方で

いつまでたっても

変わらない自分に

嬉しくなることもある

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地球だって

同じかもしれない

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変わらないものを

大事にできたら

また新しい自分に出逢えるのかもしれない

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握手をした後、ばあちゃんとてもいい顔してるので写真撮ってもいいですか、と尋ねると
とても恥ずかしそうに、「あらあらどうすればいい」と顔を赤らめ両手を揃えた



仙台から北へ


大崎というところを走っていると

これぞ日本の原風景、という素晴らしい田園風景が広がった

思わず車輪を止めた


その先にある何かを期待して、少し上り坂になったわき道があったので、そこを抜けようとすると



田んぼで作業をしてたばあちゃんが、その手を止めてこっちへやってきた


なんだ?と思い、慌ててイヤホンを取ると

どうやら
「おめえ、なにしにきたっぺ」と言ってるらしい


雰囲気で察した...


そこは、抜け道ではなく、民家の入り口だったのだ!

これは悪い事をした。
とっさに合掌をするように申し訳ない、と訳を話した


ばあちゃんは顔を崩して、

「誰にでも間違いはあるっぺ、気にするな」と


不安げな顔が人懐っこい顔に変わり
警戒のシワが笑顔のシワへと変わった


「びっくりしだ、楽器みての持ってるし、楽団の人がうちに演奏しに来てくれたのかと思っだ」
と真顔で話す


どうみても普段、楽団が演奏しにくるようなお宅には見て取れなかったので、その動揺は計りしれない


この若き気ままな放浪者が、思慮の足りない一つのアクションで、一人の素朴なばあちゃんの農作業を中断させてしまったことに、ととも情けなく、申し訳なく感じた


「これから何処さ行くだ」

「この津軽三味線を持って弘前の大会に行くんです」
と話すと、まるで自分の孫を見守るように目を輝かせてくれた


「そりゃあ大したもんだ 一生懸命やれば いいことあるからな 優勝したら、またうちに寄って、教えにきてよ がんばってよ!」
と言ってくれた

僕は、すかさず軍手を外した

農作業で荒れたそのカサカサな手は、泣けるほど暖かかった


バックのチャックが空いてる、落ちたらあぶね、と一生懸命チャックを閉めてくれたり、ほんとに優しいばあちゃんだ


「遠い遠い道のりだが、一つ一つゆっくり進んでいけば、大丈夫 必ずたどり着くからな」


どんな哲学者の博愛論より、 どんな政治家の街頭演説より、どんなポップシンガーのラブソングより
その言葉一つ一つが熱を持って僕の胸に響いた



「ばあちゃんまたね」と優勝を誓う


東北弁のシャワーがあまりにも心地よくて、優しくて、僕の心は溶けた



その素晴らしき余韻が余計なものにかき消されぬように「無」を感じながら、次の目的地へとゆっくり車輪を進めた








ふと思い立って、ばあちゃんの田んぼを振りかえると


とおもろこしを作ってるというその老婆は



遠くで手を振ってくれていた
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仙台の牛タン定食

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味覚の歴史に新たな一ページを刻みました。

じょんがら節

津軽じょんがら節とは、大きく2つに分けて次のようなものになります。


①民謡...津軽三味線と太鼓の伴奏による、民謡(唄)。ちなみに津軽三味線で唄の伴奏をすることを「唄づけ」といいます。



②曲弾き...唄づけの前奏部分が発展したもので、津軽三味線の独奏。即興性が高く、奏者それぞれがアレンジをして演奏をする。十人十色。



今回大会で演奏をするのは、じょんがら節の「曲弾き」です。


とは言ってもじょんがら節とは、三味線を使う曲で最も難易度の高いと言われているほどの難曲。


僕はいままで人のじょんがら節を真似てそのまま応用してきました。コピーです。


でも今回の大会はそれではNG.


オリジナルのじょんがら節を披露しなければいけないのです!!しかも2分30分にまとめる、という縛りつきで。




続く





代償

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地方を走っていると

潰れたラーメン屋と

潰れたガソリンスタンド

この2点セットがよく目立つ

こういう景色が続くとなんだか悲しくなる

なんとか営業してるラーメン屋も立派な看板を掲げてるだけど、中はからっぽ
虫の息

虚勢をはっている、どこかの人間に似ている

そして、僕にも似てる


とにかく、どこも不景気なようだ


しかし、そんな寂れた街を走っいると突然現われる


巨大複合型デパート


輝かしいネオンを解き放つ

便利だ


そこには人が集まる

僕もよく利用する

そこには、商店街がまるまるパッケージされてある


全てあるんだ


でも、何かがない


街の息遣いを奪い取った巨大な虫食い


便利の代償は、あまりにもデカイのではないだろうか

時代のせい、で済ましちゃえばそれまでだけど