「元AKB岩田さんストーカー逮捕、芸能人が抱えるリスクにどう立ち向かうか」

というタイトルで弁護士ドットコムにコメントを寄稿しました。

 

https://www.bengo4.com/c_1009/n_8161/

 

お時間ございましたら、

是非閲覧ください。

 

ファンがいてこその芸能人ですから、

簡単にストーカーと決めつけることもできない、

というところが、

この問題を複雑化させているように思います。

 

ただ、いくらファンであっても、

芸能人の人格や平素の暮らしの安全を脅かすことは許されません。

ストーカーと熱心なファンの線引きは難しいかもしれませんが、

芸能活動の安全が担保されてこそ、

芸能人は輝くわけですから、

芸能事務所等の役割は大きいですね。

 

芸能人も一人の「人」であり、

仕事として芸能活動をしているわけです。

 

ですから、ストーカーとの線引きは、

芸能人の「人」としての部分を侵害する行為が行われた場合

と考えるとよいと思います。

 

たとえば、自宅に繰り返し郵便物を送付する、

執拗に個人的な付き合いを求める、

家族などに危害を加える発言をするなど

が行われた場合には、

程度に応じて措置をとる必要があると思います。

 

いずれにしても、

弁護士に相談の上、

弁護士の後ろ盾の元に行動するのが良いと思います。

 

相続人調査と遺言

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子のない高齢のご夫婦によくあることですが、

たとえば、夫名義の不動産があったとします。

そんな中、夫が先に亡くなってしまった。

 

そうすると、当該不動産の相続の話になります。

妻は、当然相続人になるのですが、

子がいないので、

次順位は、夫の両親になります。

しかし、多くの事例では、

夫の両親は先に亡くなっているので、

さらに次順位の兄弟が法定相続人になります。

 

兄弟くらいであれば、

まだ何とかなるかもしれませんが、

なにぶん、ご兄弟も亡くなられているケースがあります。

そうすると、ご兄弟の子がさらに代襲相続人になります。

 

今の高齢者世代は、兄弟姉妹がたくさんいるケースが多く、

そうなってくると、

法定相続人が10人とか20人とかざらに発生します。

 

法定相続分は、妻が4分の3、

その他の兄弟姉妹あるいはその代襲相続人で残りの4分の1をシェアするので、

場合によっては、1人当たり何十分の1などという法定相続分もありえます。

 

それでも権利者なのは変わりないので、

ハンコをもらわないと、

妻への登記の移転ができません。

 

それでもなんとか、法定相続人に連絡を取ろうと試みても、

どうしても連絡がつかない人がいれば、

家庭裁判所に遺産分割の審判を求めることはできます。

そうなれば、弁護士への依頼も必要になってくるでしょうし、

法定相続人への代償金の用意も必要になるでしょう。

いきおい、どうしようもなくなり、放置される物件が増えます。

 

この問題、実は、

昨今の高齢化社会において顕著になってきています。

空き家問題にも直結する社会問題といっても過言ではありません。

 

この解決方法として、

現行法上のルールにのっとっていくと、

お亡くなりになる前に、

遺言を書くしかないでしょう。

妻に相続させる旨の遺言があれば、

単独で妻の所有にすることができます。

 

また、兄弟姉妹には遺留分がありませんから、

後腐れもありません。

なお、遺留分というのは、

遺言があったとしても、

法定相続人は、

その法定相続分の半分の権利を主張することができる

という制度です。

この権利は、配偶者、子、親には認められていますが、

兄弟姉妹にはありません。

 

ただ、このような法的知識をお持ちの方は、

極めてまれで、

遺言もなくお亡くなりになって、

はたと困り果てます。

 

法定相続人の方も、

突然遠縁の親戚の相続問題といわれても、

困るだけのケースも多いです。

 

例えば、兄弟姉妹には代襲相続を認めないというような法改正がされれば、

この問題は幾分かはシンプルになりますが、

これは政治家の議論であって、

弁護士の議論ではあまりありません。

 

結局、遺言を書きましょうという話になるのですが、

高齢の方はあまりブログなど見ないですよね。

もし、

そういう方が周りにいるという場合には、

是非、教えておいてあげてください。

 

私には理解しにくい裁判例

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裁判所は、その判断を判決書で表します。

当然、判断に至る理由も記載されます。

裁判を受ける者にとって、

なぜそのような判断となったのかを知るために重要です。

しかし、ときに判決だけを読んでも、

弁護士であっても、

なぜそのような結論になるのかわからない裁判例もあります。

 

もちろん、訴訟経過のすべての記録を読めば、

判決を読み解けるときもあるかもしれませんが、

尋問の時の表情やしぐさ、

口頭でのやり取りなど記録化されていない部分が判決に影響を与えている場合も考えられ、

そこまではどこまでいってもわかりようがありません。

 

結局、判決を読んで何とも言えない気持ちになっても、

それのみで判決が不当であると批判するのは難しいわけです。

 

そういう前提で、

最近、私が何とも言えない気持ちになった裁判例

(強制わいせつ被告事件 名古屋地方裁判所平成29年9月5日)

をご紹介します。

なお、事案が、強制わいせつ事件ですので、

そういった事案を見聞きするのが苦手な方は、

ここでこのページを閉じてください。

 

 

 

 

被告人は、名古屋鉄道に乗車中、

座席に座っていたAさん(23歳)に対し、

キスをし、自身の陰茎を着衣の上から触らせたという事案で訴追されました。

 

被告人は、キスはしたが陰茎は触らせていない、

Aの同意があった、仮に同意がなかったとしても、同意があったと誤信した、

と主張したようです。

 

裁判所は、以下の事実を認定しています。

①Aは、事件当日、婚約者の実家にあいさつに行った帰りであった

②Aは二人掛け椅子の窓側にすわったところ、被告人が隣に座った。

③被告人は、Aに対し名前を名乗り、Aに対して名前や仕事先を聞いてきた

④Aは、すぐに答えなかったが、結局下の名前と仕事先については答えた。

⑤被告人は、Aに対し、さらに電話番号の交換を求められ、断ったが、最終的には教えた。

⑥被告人は、Aに対し、飲みに行かないかと誘ったが、Aは、仕事が急がしくていけないと断った。

⑦被告人が合計3回キスをした。

⑧Aは婚約者宛てに二度携帯電話で助けを求めたが会話には至らなかった。

⑨被告人は「もう僕こんなになっちゃったんだよね。」と言いながらAの右手を陰茎に着衣の上から触れさせた

⑩Aは駅に到着してすぐに下車し、帰宅後婚約者に被害事実を告げた。

 

さて、この事実関係の下、

皆さんは、どのようにおもわれたでしょうか。

 

裁判所は、以下の指摘をしています。

①若い女性が面識のない外国人の男性と夜間に約25分間隣り合わせとなり、

…動揺、羞恥心、恐怖心等から、キスなどを拒絶できなかったとしても合理的に理解できる。

②弁護人は、Aが結婚まじかな身でありながら被告人と意気投合しその場の雰囲気に流されてキスを許したが、婚約者の手前虚偽の被害申告をしたなどと主張しているが、電車に乗車中にも助けを求めていることからそのようなことは考えられない。

 

こうなってくると、当然、有罪と思うでしょう。

ところが…

 

裁判所は、

①被告人は、Aに名前を尋ねたりや電話番号の交換をもとめ、Aも最終的に応じていること

②飲酒に誘われた時、Aは「忙しいので行けない」という口実を設けたこと

③被告人は外国人であり、Aの婉曲な拒否の態度が理解できずはにかんでいるに過ぎないと受け止めた

④被告人が、被告人とAの顔を携帯電話で写真撮影していること

⑤通路を挟んだ反対側にも女性の乗客がいるなど、他の乗客に助けを求めることが容易な状況であったこと

⑥被告人が、Aへのわいせつ行為を他の客の目に触れないように細工をした形跡がないこと

から、被告人は、Aが自分に好意を持っていると誤信した可能性が否定できないと判断しています。

 

そのうえで、

キスをしたり陰茎にAの手を触れさせる行為は、さほど強い力で行われたものではなく、

「被告人が外国人であることをも考慮すれば、好意を抱き、

自分にも好意を抱いていると思った相手にまず接吻をし、

それが受け入れられたとみて更に接吻を繰り返し、それも受け入れられたとみて

更に性的な興奮を示す言葉を発しながら陰茎を触れされる行為に出ることは、

被告人がAとの関係を深めていくために行ったと解して、

さほど不自然なものではない」

などと述べています。

 

結局、結論としては、

被告人は、Aの同意があったと誤信しているので、「無罪」なのだそうです。

 

もともと一定の関係があり、

思わせぶりな態度をとって男を勘違いさせたという状況なら、

このような結論もあり得るとは思います。

 

しかし、電車の中で、初対面の男性からキスをされて、

女性がそれが受け入れるなどということが、

現実世界で起こるとは到底思えません。

すなわち、よっぽど楽観的な人間でも、

このような状況でキスしていいと勘違いするでしょうか。

 

そういえば、先日、香港に旅行に行ったとき、

バスの中で、若い中国人カップルが、

人目をはばからずキスをするなど仲睦ましげでした。

日本人の感覚では、苦笑するしかないですが、

香港では一度でなく何度かそういうシーンを見たので、

そういうものなのかもしれません。

 

裁判所は、外国人だから

女性が単にはにかんでいるだけと勘違いした可能性があるといっていますが、

外国人であろうとなかろうと、

この状況で、キスをしていいと勘違いするでしょうか?

 

私にはちょっとよくわかりませんでした。

強制わいせつやセクハラ

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強制わいせつやセクハラが世間を騒がせるキーワードになっていますね。

 

山口達也さんの件は、

びっくりしましたが、

不起訴処分になったとのニュースがありました。

一部報道ではアルコール依存症ではないかというものもありました。

 

示談が成立し、被害者側の処罰感情が和らいでいる場合、

刑事裁判までには発展しないことがほとんどです。

 

少し前まで強制わいせつ罪は、

親告罪といって、

被害者が刑事訴追を求めない限りは裁判になりませんでした。

ですから、弁護士は、被害者と接触をして、

なんとか告訴を取り下げてもらえるように活動していました。

 

しかし、法改正によって、

親告罪ではなくなりましたので、

示談をしたか否かというのは、

検察官の処分の判断の一要素の意味しかなくなりました。

とはいえ、示談が成立したか否かは、

検察官の判断を左右する最も重要な要素であると思います。

 

山口さんが、できることなら、

もとの活動に戻りたいと発言したことに対して、

批判的な言説が見られます。

 

過去には、芸能人で、

暴力事件を起こした人や交通事故を起こした人、賭博をした人、

公衆の面前で全裸になった人などがいたりしますが、

芸能活動に復帰されている方もいます。

 

他方、覚せい剤などの薬物犯罪、

強制わいせつなどの性犯罪を犯してしまった芸能人の復帰は、

かなりきびしいようですね。

 

山口さんがアルコール依存症の疑いがあるとのことですが、

この病気は、結構しんどいですね。

まずはゆっくり休んで、

心の洗濯をしてほしいなと思います。

 

ところで、セクハラについても、

財務省あたりでいろいろと話題になっていますね。

この件については、

録音があるのにご本人が否定している

というよくわからない事件だなと思います。

 

裁判でも、録音や録画は、

非常に証拠能力が高いと考えられます。

 

ニュアンスが違うとか、

真意ではないとか、

そういった主張はよく見ますが、

これは自分の声ではないですという

主張をする人はあまりみたことがありません。

 

ときどき、

秘密に録音しても問題ないでしょうか、

というご質問を受けることがあります。

録音したものを、

たとえばインターネットで不特定多数に公開した場合には、

プライバシー侵害などと認定される場合もあるかもしれません。

しかし、裁判の証拠とする場合には、

問題ないと考えられます。

 

久しぶりの更新で、

かなり雑多な内容になっていますが、

また時間を見て更新していきますので、

どうぞよろしくお願いします。

 

ドラム型洗濯機と死亡事故

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ドラム型洗濯機の中に、

5歳の男の子が閉じ込められ、

窒息死してしまったというニュースがありました。

 

これは、私の事務所のある、

堺市堺区の出来事で、

子供さんのいるご家庭では、

他人事には感じられないのではないでしょうか。

 

過去にもドラム型洗濯機内で、

子供が閉じ込められて死亡したという事例が、

複数存在するようです。

 

今回の堺の出来事は、

父親と一緒に昼寝をしていた男児が、

父親よりも先に起きて、

いたずらか遊びのつもりで、

洗濯機のドラム内に入ったところ、

ドラム内からはドアが開けられない構造で、

かつ、密閉構造であったために、

窒息死したものとされています。

ドアにはチャイルドロックがかけられる仕様であったとのことですが、

今回は、チャイルドロックまではしていなかったとのことです。

 

子供がそういった狭い空間に入り込んで遊ぶことは、

誰だって想定できます。

製造側もチャイルドロックを設置していることから、

そういったことがありうることを認識していたというべきでしょう。

 

そうなってくると、

自動的にチャイルドロックがかかる構造にすべきであったとか、

内部からドアが開けられる構造にすべきであったとか、

せめて窒息しないように酸素の送り込み経路を確保しておくべきであったとか、

より安全な構造にしなかったことに、

安全性の瑕疵があるのではないかという議論になるのではないかと予想されます。

 

すなわち、PL法による損害賠償請求の問題が浮上してくることでしょう。

 

弁護士のとても悪い癖で、

お金の話から入ってしまいましたが、

逆に言えば、弁護士に出来るのはお金の話だけです。

 

ただ、この事例もそうですが、

親は、もしチャイルドロックをかけていればとか、

もし、自分が寝なかったらとか、

もし、もう少し早く起きていればとか、

もし…もし…

と自分を責めてしまい、

立ち止まってしまいます。

 

世間一般の感覚でいえば、

子供を寝かしつけようと横になっていると、

そのまま一緒に寝てしまうのは、

よくあることですし、

まさか洗濯機が凶器になるとは思わないでしょう。

であっても、親の心理は、

自分を責めてしまうものです。

 

親御さんには、

時間の癒しに身をゆだねるという選択肢もあるでしょうが、

他方で、訴訟を選択される方もいらっしゃいます。

 

先ほど、弁護士に出来るのはお金の話だけと言いましたが、

正確ではありません。

実際、遺族が訴訟の選択をされたとしても、

お金が欲しくてという方はまずいらっしゃいません。

なぜ、息子が死ななければならなかったのか、

その究明をしたいという一念だけの方が多いです。

したがって、弁護士は、

お金のためだけに活動するわけではありません。

依頼者の立場で、真実を追求する、

という役割があるのです。

 

堺の出来事なので、

取り上げてみましたが、

親御さんの心中を察すると、

胸が詰まる思いがします。

5歳の男の子のご冥福をお祈り申し上げます。