妊娠反応って何? | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 体外受精の胚移植後や自然妊娠で月経が来ないときに病院やクリニックであれば「妊娠反応を検査(妊娠判定)してみます」とよく言われますし、自宅でされる場合には「妊娠反応を検査(妊娠判定)してみてください」と言われます。

 

 では、妊娠検査について皆様はよくご存じですか?

 体外受精の胚移植後に2週間ほどして、外来で「妊娠判定、陽性です」と言われれば、天に上るような思いになられると思います。これまでの長い間の苦労が報われた瞬間であるかもしれません。

 

 それは間違いないと思います。妊娠反応が陽性にならなければ妊娠は始まりませんから。

そこで、妊娠反応陽性とは、いったい何を意味するのかを知っていただく必要があります。

 先のブログにも書きましたように、妊娠反応陽性(プラス)とは血中(ときに尿中)のHCG(ヒト絨毛由来ゴナドトロピン)というホルモンが陽性(検出される)であることを示しています。

 HCGは胎盤の元となる細胞(絨毛細胞と呼ばれます)から分泌されるホルモンです。人の受精卵は胚になり、胚は着床前には胚盤胞に育ちます。胚盤胞になると胎児の元となる細胞(内細胞塊)と胎盤の元となる細胞(外細胞塊)に分かれます(分化と言います)。孵化した胚盤胞の外細胞塊が絨毛細胞(胎盤の元となる細胞)となり、木の根っこのように子宮内膜に侵入(着床と呼ばれます)して行きます。この現象が起こると、子宮内膜と絨毛細胞の間で交通が起こり、絨毛細胞で作られたHCGが女性の体内(血中)に流れ込みます。

 この流れ込んだHCGを検査することが、妊娠検査(妊娠反応)です。

ですから、通常は子宮に着床して妊娠反応は陽性になりますが、子宮以外の場所に絨毛細胞が侵入したとき(子宮外妊娠)でも、妊娠反応は陽性となります。

 ただ、妊娠判定の時点では、子宮内妊娠か子宮外妊娠かの区別ができません。また、妊娠判定には陽性と陰性がありますが、通常では陰性では子宮外妊娠はありません。

 

 また、血中のHCGを測定する場合には、陽性と陰性ばかりでなく、陽性の場合にはその濃度が分かります。

その濃度(数値)が低い場合には、絨毛細胞の根っこ(胎盤の元)が十分に張っていないため、今後妊娠がうまく継続しない可能性が予想される事(低くてもうまく行くこともあります)もあります。とはいえ、正常妊娠では良好な数値を示し妊娠5週ぐらいになれば子宮内に胎嚢と呼ばれる、小さな円形の像が超音波エコーで観察されます。

 この時に、子宮内に胎嚢(英語の略語でGS:Gestational sac と呼ぶ医師も多いと思います)が確認できれば、子宮外妊娠はありません。また、胎嚢が2個みえれば双胎(双子)ということになります。

 

  以上のように妊娠反応陽性とは、あくまで絨毛細胞由来のHCGホルモンが測定(検出)されたということであり、妊娠反応陽性が100%出産につながるとは限らないことを知っておいてください。

 

 しかし、逆に妊娠反応陽性が無ければ、その次の臨床妊娠(赤ちゃんが大きくなる妊娠)もあり得ません。

ですから、妊娠反応陽性を喜ばしい印と捉えてください。ただ、手放しで喜ぶのではなく、その後の経過を見る必要があることを認識しておいてください。