最近は自分でブログを書くよりも、ブロ友さんのブログを読むことの方が多い。まぁ、選挙に出ないから、別に特に言いたいこともないし(って、本当は山のようにあるけど)、まぁ、別に読みたい人もおるまいし。。。という感じで。



この2-3日は、何故か、何人かのブログで「日本人と英語」関連が目に留まったので、改めて書いておく。余りに間違いが多いと思われるからだが。



まず、そもそもこのエントリのタイトルからして間違っているガーン



日本人が英語が出来ない、というのは、半分正解で半分間違いだから。



よく目にする国際機関なんかの各国の英語力評価だが、これがまた、ミスリーディングなところが多い。確かに日本は順位が下になって、何で?というところが多いのだが。



まず、当たり前の話だが、英語がほぼ公用語となっているところ、特に旧宗主国(要は植民地時代の話だ)がイギリスだったりするところは、英語が出来て当たり前である。こういうところと比較する方が間違い。


それから、英語じゃなくてもヨーロッパ語がベースの国と比較するのも間違い。元々英語はドイツ語の兄弟でゲルマン系の言語だし、さらにフランス語などと同様、ラテン語の系譜も持つ。また、もちろん、ヨーロッパ語ではないが、言語的には中国語も英語に近い。不思議なことだが、両者の文法は似通っている。簡単に言うと:


I love you と 我愛にぃ(?) は単語の入れ替えだけで成立するドキドキ


私、愛する、あなた


では如何にも外人さんの日本語である。文法的に近しい言語を学んで、手っ取り早く「外国語」をマスターしたいなら、韓国・朝鮮語かハンガリー語がオススメである(ハンガリーについては世界史で学ぶ民族大移動を知ると何故?が分かる)。



・・・そう、日本人は言語学的に全く異なる異質な言語として、英語を学んでいるので、その割にはよくやっている方なのだ。



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次の間違いが、日本人は発音を気にし過ぎる。別にエル(L)とアール(R)の発音なんて間違っても構わないのだ。どうせ、相手は所詮、日本人の英語で聞いていてくれる。何か文句を言われたら、だったら、お前が日本語で話せ、と言えばよい。



これは経験則で言うが、ある会社でNY研修をさせてもらったが、世界中(本当に世界中、だった)から新入社員たちが集められた。私がどうしても聞き取れないのが3人いたが、一人はオーストラリア人、二人目は香港の中国人、三人目がアフリカのどこぞの部族の部族長の息子(生きていたら、どこかの大統領になってるらしいが、残念なことに帰国して間もなく内戦で亡くなったそうだ)だった。さすがにオーストラリア人の英語は米英の連中は聞き取れていたらしいが(それでも時折聞き返していた)、あとは聞き取れないのは米英のnative達も同様だった(私が彼らに聞き返してると、隣で、「お前が悪いんじゃないよ」と目配せしてくれる)。そう、分からなければ聞き返せばいいだけである。何も悪いなどと思う必要はない。こちらは聞いてあげてるんだから、もうちっと聞き取り易く話せ、というだけのことだ。ちなみに、聞き返すのは、Excuse me? か Pardon (me)? で充分である。ちょっとかっこ付けたければ、Could you say that again (please)? もいい。



見習うべきはインド人である。発音は極めて悪い。おまけに、それでも構わず、超超早口である。それでも、何でお前は聞き取れないんだ?とこちらが悪いような顔をしている。なお、これは私だけではない。米英のnativeに対しても同様だ。ちなみに、喋っている内容も微積分だったりするので、余計手におえない。



また、これも経験談だが、昔ちらっとお仕事を一緒にさせていただいた先輩で、今はある大企業の社長さんだが、典型的なJapanese English、というか、カタカナ英語だった。隣で聞いている日本人の私には聞きやすいことこの上ない。しかし、このカタカナ英語で立派に取引先と交渉をこなし、ずいぶん難しい商談もまとめあげられるのである。



グローバルに活躍できる人材、などというが、英語はその程度でいいのである。小さいうちから発音に慣れておかないと・・・というのは、たいてい、英会話学校や英語教材のセールスマンに騙されている。



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しかし、発音がどんなに良かろうと、中身のない話は聞いてもらえない。逆に中身がある話に対しては、向こうは積極的に聞こうとする。



最後の間違い、というのは、「なぜ日本人は中学校で最低3年間英語を学んだ筈なのに、日常会話すら出来ないのか?」というものだ。



そもそも、考えてみても欲しい。あなたが、日本語の日常会話を話すために、「何年日本人やる必要があったでしょうか?」と



生まれてから毎日、日本人の両親の日本語を聞き、どっぷり日本人社会に浸かって育ったところで、3歳でちゃんと日常会話喋れる子どもは少ない。芦田愛奈ちゃんがしっかりと喋るなぁ・・・と感心したところで、愛奈ちゃんは6-7歳である。何の下敷きもなく、言語を一から習得するために掛かる年月はそんなもんだ。



中学で学ぶ英語は「英語(学)」であって、「英会話」ではない(近時の嘆かわしい教育劣化によって、段々ごっちゃになりつつあるが)。とうぜん、日本語が話せる、ということを下敷きにして、英語に訳すとどうなるか?を学んでいるに過ぎない。例えば飛行機の中で、あなたがスッチャデスさんに(というと、最近は問題でCAというべきか?)オレンジジュースを下さい、というときに:



I am orange juice.



で通じる筈がないのは、訳せば分かるだろう。いくら相手が元日本航空(いや、別にANAでもいいが)出身の日本人のCAさんだったとしても、これは通じない。何も急ぐ必要はないのだから、日本語でまず「オレンジジュースが飲みたい」「オレンジジュースを下さい」と考えた上で、



I want to drink orange juice. / Give me orange juice.



と言えばいいだけである(なお、細かい文法は無視している)。なお、後者のギブミー・・・は日本人が戦後直後にギブミー・チョコレートとして最も馴染んだ英語だと思うが(本当か?)、だからといって、彼らが英語が話せた訳ではない。



そもそも、誤解している人が多いのだが、「日常会話を話す」ことが一番難しい。履歴書などに書く、言語のところで、英語などのレベルとして、日常会話程度⇒ビジネス英語、とビジネス英語の方がレベルが上のように書かれるが、現実にはビジネス英語の方がレベルは下である。たいていがテクニカル・ターム(業界用語とか、術語)であって、表現方法も限られている。本当かどうかは知らないが、お医者さんなら、医療用語の英単語羅列で十分手術できちゃったりする(んだろう?近所の耳鼻科の先生はまぁ見事なカタカナ英語で外人の患者さんと十分やり取りしていた)。



私が英語の特訓、と思ってNYで何度か試したのは、コメディクラブ(早い話が、アメリカ版のルミネ・ザ・吉本、である)に一人で行って、とにかく聞いている、ということだった。残念ながらほとんど分からない。スラングが多いし、速いし。日常会話ほど難しいことはないのである。




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話が逸れたか?そう急ぐ必要はないので、まず日本語で話す内容をいったん考えてから、中学英語の文法レベルで訳してボツボツと話せばいいのである。



だから、野田総理が国連総会で演説しても余り聞く人がいなかったのは、彼の英語力の問題ではない(そもそも日本語で話して、通訳が訳していた筈だし)。どうせコロコロ代わる日本人の首相の話の中身などたかが知れている、と思われていたからに他ならない。