プロジェクトに人をアサインする際に陥るよくないパターン | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

組織に割り当てられるリソースは限られています。

理想はプロジェクトやそこで求められる職能に応じて人員が柔軟に入れ替わったり成長したりすることでしょうがそんなことはなかなかできるものではありません。


今あるパイの中から適材な人を見抜いて割り当てていくしかなかったりします。

しかし、これも難しく実際の多くはその人の能力を考慮せずに不適材でもとりあえず埋めるべきポストに当てはめていってるのではないでしょうか。

やるべき事とその役割を今あるパイの中から誰が適材かを考えないといけないところを、そうなっていないことがよく見かけられます。



アサインする際に陥りがちなパターン


1つは、贔屓にしている人にその人の能力を考えずに役割を割り当ててしまうパターンです。

長年の付き合いから仕事がやりやすいんでしょうけど、その領域で能力が発揮できるかどうかは別の話です。

そういう人は元々能力が高い人も多いのですが、要は「あれができたからこれもできるだろう」という考えでアサインしてしまうのですが、担当領域が違うとなかなか本来のパフォーマンスを発揮できません。


また、仮に上手くこなせたとしても、その後も都合のいい人と扱われて色々なプロジェクトに参画させられ、本人がその中でうまくその経験を融合させていけば良い方向に向かうでしょうが、そうではない場合は中途半端な人材が育ってしまいます。

オールマイティってなんでもできるように見られますが、悪くいえば何れにも特化してないってことにもなります。


このパターンの派生系にはマネージャーの思い込みによるポストの固定化の問題もあります。

チームリーダーをしているあの子にしかできない仕事だろうとか、ドキュメントを書くような仕事であの人を使うのはもったいないとか、 マネージャーがこの仕事にはこのランクの人というのを持ってたりするわけです。

これではチャレンジングなことも出来ずに人はなかなか成長の機会を与えられないばかりか、既にその域の仕事をできる人材を活用できず、そして目的達成のゴールを忘れ適材と思い込んでいるリソースが空くのをじっと待ち機会を逃す羽目になりかねません。


もう一つが無理に今の人材からポストを割り当てようとして、教育しながら役割を担ってもらおうとするパターンです。

これは一見良いように見えますが、教育というのはかなり長い時間がかかりますし、成功するかどうかもわかりません。

今すぐそのポストを埋めないといけないという場合にこの方法は使いづらいうえに、今後必要な人材というのらなかなか見越すことができません。


もう一つ、この教育というのはコストがかかることなのでそれを嫌うマネージャーも多いということです。

ちょっと教えた程度でこなせる仕事ではないわけで、専門的な教育が要るわけなのですが、それを捻出することさえできなかったりします。

要は建前上は教育ということになっていますが、OJTと同等のことで専門知識を短期間に鍛え上げるようなプログラムにはなってなかったりするわけです。

プログラマの人にデザイナーの仕事(デザインのイロハである概念的なことも含めて)を片手間で担当してというのはかなり厳しい事だと思います。



強みを活かしたチーム作り


どの組織も求める人材と要員が不足またはミスマッチしてるケースはあるでしょう。

トラックナンバーと言われるような、その役割が一人に詰め込まれていることや、兼任することで負担が増加したり、本来の能力が発揮できてない人もいます。


少なくとも今いる組織に求められる職能はなんなのかを把握し、それが現在の人でどう割り当てられているかは分析する必要があるでしょう。

また、組織間の壁を取り払い柔軟に人を異動できる仕組みづくりもいるかもしれません。

何れにせよ、論理的に役割に応じたアサインをすることは、かなり人を客観的に見て判断する能力が必要です。そして、その決断も。


以前に読んだ、ドラッカーの「プロフェッショナルの条件 」の中にこんな一節がありました。


 人に成果をあげさえるためには、「自分とうまくやってけるか」を考えてはならない。「どのような貢献ができるか」を問わなければならない。「何ができないか」を考えてもならない。「何を非常によくできるか」を考えなければならない。特に人事では、一つの重要な分野における卓越性を求めなければならない。

アサインする人物が何を最も得意とする人なのかを考えればおのずと今あるパイの中でどういった要員配置を取るのがベストかは見えてきます。

それは、その人の今ある役職などを考えるのではなく、その人が持っている能力を他の参加メンバーと相対的に比べて判断しなくてはなりません。


先に書いた、自分とウマが合う人や役職に見合ったプロジェクトの役割なんかを考え出すととても正しいチームなんてできません。

それは時に非情な判断にもなりますが、チームが最も機能する形、そして目的達成のためには必要な判断になってくるのだと思います。