エンタープライズ2.0を促進する環境 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

企業でWikiを活用する方法 @ ITmedia エンタープライズ


ステップ1とステップ2に関しては特に異論はないのですが、ステップ3に関してはどうだろう。

世代によってWikiを含む2.0系ツールへの抵抗感がある事は確かですが、単純な世代だけの判断はできません。

2.0系ツール利用者に向いている人、向いていない人 」に書いたように、世代を問わずその人を取り巻く環境によって、向いていない人というが出来上がってしまっています。

大事なのはその向いていない人を如何にして取り込むかということです。(少なくとも邪魔しない程度に)


そして、(この記事では触れていませんが)このインセンティブプログラムというのが何らかの報酬が得られるものとすると、結果は最悪なものになるかもしれません。

まずは、何を持って報酬を与えるかという事です。カキコの量でしょうか?

2.0系ツールの功罪の一つとして、情報が玉石混淆の世界へと変貌してしまった事にあります。

それと同様に、「2.0系ツールに向いていない人」の無駄な頑張りによって、社内の情報がごみ化する可能性があります。


社内にWeb2.0系ツールを広める上で、トレーニングなどのインセンティブプログラムより大事な事としては、「自然とそうなる環境」を作ることかと思います。

つまり誰かが書いたWikiの情報を否定しないとか、笑わないとか、当たり前に2.0系ツールが使われる環境に仕立てることです。


まだ社内には多くのレガシーシステムが存在しており、それに囲まれ満足している人たちから見て、先進的な社員が使う2.0系ツールというのは、笑いの種にしているところもあります。

「そんな事やって何になるの?」とか、「そんなのWordでまとめりゃ良いじゃん」とか、「メール使おうよ」とか。

こうした否定的な感情がぶつけられる事によって、新しい時代を生きる社員の心は折れてしまいます。


このことへの対応策としては、母数を増やす、または母数が確保できる環境に2.0系ツールを導入する事だと思っています。(参照: Enterprise2.0を作る人たち、支える人たち

単純化して言えば、否定的な人の割合を薄めてしまえという事。


もう一つ、何らかの報酬を与えるインセンティブプログラムを作ってしまう事の懸念として、あまりにそれを強調しすぎると、社内の権威とネットの権威がイコールとなってしまう可能性があるということです。

この偉い俺様はこれだけの情報を提供したんだ、ありがたく使いたまえと。

これも最悪な結果の一つです。

これでは、フラットな体制で情報を体系化しようとする意思が崩れ、イントラネット上にもヒエラルキーができてしまいます。


確かに遅々として進まないエンタープライズ2.0の現状を見ると、何か起爆剤となるインセンティブを与えたいという気持ちも分からなくもないですが、このツールを動かすのは人とそれらの意思です。

意識の変化には長い年月がかかるものです。

その年月の中で、そのツールが当たり前に使われる環境をゆっくりと浸透させていくことが大事かと思います。