Enterprise2.0その傾向と対策 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

Web 2.0の海に飛び込むエンタープライズ @ ITmedia エンタープライズ


Enterprise2.0の最大の懸案は、「2.0系ツール利用者に向いている人、向いていない人 」に書いたようにWeb2.0ツール導入を「阻む者」がいるかどうかという点に尽きると感じます。

その対策は、記事にあるように「やってしまう」ということかもしれません。


Serenaでワールドワイドマーケティング、パートナープログラム、オンラインサービスを担当するレネ・ボンバニー上級副社長は「無断イノベーション」を信奉している。
同氏によると、このモデルを推進しているのは、職場内のミレニアル世代(訳注:1970年代後半以降に生まれた世代)だという。

つまりは正規のフローを通すと却下されるなら、勝手に起こしてしまえと言う事です。

「あ~あのWikiならネット上で話題ですし、情報共有に向いていると思って導入してみました」と。

まずは利用用途の無いサーバーの空きスペースにでも突っ込んでみればよいかもしれません。

それがある程度効果が見えるようになれば、あとは上との掛け合いです。


この「無断イノベーションモデル」というのは、少し前までは情報システム部門にとっては目の上のこぶの存在で、何を勝手な事をしているんだと言う目でしか見てもらえませんでした。

しかし、Web2.0ツールに関わらず、社内の人たちは自分ができる事をやりたがるわけです。

プログラマなら自分がプログラミングしたシステムを広く自慢したい衝動に駆られる事はしばしばあります。

「無断イノベーション」モデルを推奨する(少なくとも見てみぬふりをする)のであれば、その結果が大きく広がるように、「とことん」やってくれというところです。


「無断イノベーション」を問題視して叩き潰す事はよくありません。

少なくともそれがイノベーションであるならばなお更です。

それが起こりえることを企業は望んでいるのに、その芽を摘むことは1.0企業のまさに典型と言えます。

叩き潰されないようにするためには、Web2.0が群集の英知により成り立つのであれば、まさにその群集が最大の支持者になりえます。


多くの人を巻き込めばそれは強固な武器になりえますが、次の問題は如何に多くの人を巻き込むかと言うことです。

1つ思うのは、2.0系ツールのありようを難しく考えず、イノベーション云々も良いけど、職場をもっと楽しくさせるツールと考えればよいのでは?と感じます。

日本人のWikipedia好きははっきりしている(※)のですが、あの楽しさは豊富な情報量と無限ループに陥る情報と情報のネットワークです。


※ 参考: 日本の「Wikipedia」利用率、利用頻度も米国を大きく上回る @ Bizma! ITニュース


例えばWikipediaを導入して管理をしている女の子に使わせてみれば?と素直に思ったりします。

そこで掲載する情報はあくまで業務に関係のある情報に限るわけですが、「あのWikipediaだ!」と喜んで情報の整理に励むんじゃないかと単純に思ったりもします。

(あなたの個人情報がそこに載る事はご愛嬌で)

これは、「じゃあ業務フローをPowerPointにまとめて」と指示するよりもずっと業務が楽しくなるはずです。

少なくともこだわっているのは「2.0系ツールに向いていない」人側で、明確な理由は無く単に文章化された資料が残っている状態にしたい、と言うだけの理由からの指示である場合が多いです。

そこでまとめられた情報は何れ、どこに行ったか分からずに消えていく事になり、同じ作業を誰かが指示される事になります。


もう一つ社内でのWeb2.0系ツールの導入が進んでいないのは、社外のサービスほど簡単にはいかないことにあります。

懸念としてセキュリティが出てきているように、社内だからといって安全に利用できる環境ではありません。

企業にとっては、提供するサービスの形態からお客さん先に常駐する社員を多数抱えているところもありますが、そういう人たちを無視したWeb2.0系のツールは意味がありません。

むしろそういった人たちと本社スタッフの架け橋になるべきツールであるため、社内と社外を安全に結ぶ通信路や利用方法が求められます。


と言う事は、単にオープンソースで公開されているWeb2.0系ツールをそのまま社内に持ち込んでそのまま展開すると言う事はできません。

Web2.0系ツールをフリーで手に入れようとも、それに何かしらの手を加えるコストが出てきます。

そこにこそEnterprise2.0系の製品の入り込む余地があるわけでしょうが、イノベーションという目に見えない定性的な効果に管理職の人たちはそれに疑心暗鬼になる事は明らかです。


少なくともそれほど大きな話ができるのは、2.0系のツールの効用を周りが認めだしてからでも遅くはありません。

Small Start 」で、まずは周りの人を巻き込み起こしてみると言う事が大事かと。

セキュリティがしっかりしたクローズドな世界であれば問題が少なくなります。

徐々にそのコミュニティの輪を広げていく、まさに2.0な進め方では無いでしょうか。