美濃桃山陶(黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部など)が生まれた聖地、
それが岐阜県可児市久々利(くくり)地区と言われています❕
そんな美濃陶の神聖なる久々利大萱の地で、
ひたすら本物の志野・瀬戸黒・・・造りに挑んでこれれた陶芸家さんのぐい吞の紹介です🍶
守谷宏一 先生の 「志野ぐい吞」 です🍶
このぐい吞は守谷先生のご自宅兼陶房に直接うかがい🚗頂いた逸品です✨
今回紹介する守谷宏一(もりやこういち)先生は、山形県出身の1944(昭和19)年6月生まれ。
東京の玉川大学で教員をしていた故 加藤十右衛門(1894年~1974年)先生と出会い、
大学卒業後に十右衛門先生に弟子入りします。
師である加藤十右衛門(かとうじゅうえもん)先生は、
荒川豊蔵や加藤唐九郎と同じ時代に活躍した美濃の陶芸家で、岐阜県重要無形文化財保持者に認定されていました。
主に茶陶を手掛け、志野や黄瀬戸、織部、美濃伊賀などに名品を多く遺されました。
岐阜県土岐郡笠原町(現多治見市)の町長もされていたそうです。
その後、国宝・志野茶碗の卯花墻(うのはながき)などの志野の名品を数多く焼いた岐阜県可児市久々利大萱の地で独立し、
桃山時代の志野や瀬戸黒、黒織部、美濃伊賀などの復興・再現を目指しました💪
2018年に 可児市重要無形文化財「志野」技術保持者 に認定されました👏
守谷先生は美濃桃山陶の聖地・可児市久々利で桃山時代の志野や瀬戸黒の再現に挑んでこられました❗
地元の美濃のもぐさ土、桃山の陶工と同じ手回しのロクロ、そして薪窯でじっくり時間をかけて焼く。
徹底的に古の桃山時代の陶工と同じ作り方にこだわっておられます🫡
この志野のぐい吞は、志野本来の色である白いを基調としたぐい吞で、
その白い釉に無数の小さな穴と貫入と言われるヒビが見えます👀
この肌合いが志野の持つ魅力のひとつです✨
鉄絵で正面には抽象的な二匹の千鳥🐤、
この👆の面には格子柄に○△の絵が描かれています❕
守谷先生は「何かわからないようなもののほうがおもしろい」と言っていました😁
白い肌にほんのりと淡いオレンジ色の緋色が美しいです🧡
この緋色は、薪窯の中で燃やされ、窯の火を止めて温度が自然にゆっくり冷まされていく過程で、
土の中に含まれている微量の鉄分が発色した、自然的で偶然性のあるものです😆
市販の顔料には出せない、優しい色合いが素敵です🧡
上から見ると飲み口になる部分にも緋色が発色していますね~👀
底も深く、たっぷりお酒が入ると思います。
使っていけばどんどん育って、いつかは桃山の志野になるんではないでしょうか・・・🥰
高台全体に釉薬が掛けられ見えにくいですが、わずかに見える白いもぐさ土は、
自ら40年以上前に地元の山の断層や、ゴルフ場造成時や宅地造成中の工事現場などから集めた宝の土を使い、
その原土に含まれる不純物を水簸と砂鉄を取り除く工程を何度も繰り返して真っ白な土を作られます❕
原土から土造りをするのは非常に手元と時間がかかります😅タイヘンダ・・・
もぐさ土の中でも真っ白な土は、希少で極上品だと言われています✨
桐箱も作品に負けない素晴らしい仕立てにしてくださいました😍
「今は日本産の桐が手に入れられなくなってしまって、外国産で申し訳ないけど・・・」
それでもできる限り上質な桐で仕立て、側面は組箱、フタは盛り蓋使用、
現在では最高級の桐箱となっています😂アリガトウゴザイマス
(現在、日本産の桐はほぼ絶滅、外国産の桐でも年々高騰しており、
外国産でも桐箱は高価となっています)⇐日本の象徴でもある桐なのに悲しいことですね・・・😢💧
神聖なる守谷先生の薪窯の写真を撮らせていただきました📸パシャリ
やっぱり薪窯は独特な雰囲気がありますね~
周りには今は使われていない窯道具などが、積み重ねられています👀❕
ご自宅の机の上に並べられた先生の瀬戸黒茶碗と黒織部ぐい吞・志野ぐい吞たち。
どの作品もまさに、古典的な桃山風な作品ばかりで感動です💚
ボクはこの中から、この 「志野ぐい吞」 をひとつ頂いてきました🥰
守谷先生と奥様はボクにこう言っていました❗
「志野や瀬戸黒なども、今では原料屋さんから買って焼けば簡単に志野も瀬戸黒も作れるが、
すべて自然の土や石から作るのは本当に難しい。
私の目指すものは、桃山の志野であって瀬戸黒なんです!
市販の土や釉薬ではやっぱり味気ないし、つまらない・・・」と。
師である故 加藤十右衛門先生から薫陶を受けた一派の方々でご存命なのは守谷宏一先生ただ一人となってしました😥
そんな守谷先生も病気を患い数年前に窯を閉じて陶芸家を辞めてしまいました💧
先生は弟子も後継ぎもいません💦
守谷先生の技術を伝承し、次の時代に継承し伝えていくことは、本当に難しくなってしまいました😨
とても残念なことです・・・
守谷宏一先生は紛れもなく幽遠なる桃山志野・瀬戸黒に立ち向かい、
そしてほんの指先だけでも触れることができた最後の陶芸家であったに違いありません❗
この 「志野ぐい呑」 には、守谷先生のこれまでの陶芸人生、
そして桃山志野への憧れと情熱が詰まっているんです😊😊😊
これは守谷先生がお土産にボクにくれた美濃産の水晶の原石です💎
昔、美濃の山で土や釉薬原料を取りに行った際に偶然見つけたものだそうです🥰
ありがとうございました😊