このところ大学付属の歯科衛生士専門学校で地域保健学の講義をしています。
ここ二回は成人・高齢者保健について講義しています。
本当に大雑把に言えば、心疾患、糖尿病等の医科的な生活習慣病と歯科疾患の原因となる生活習慣は共通項が多く、喪失歯数と発生率に統計的に有意な差がある医科的な疾患も複数存在することがわかっています。
例えば大腿骨の骨折、痴呆症の罹患率残存歯数が9本以下と、20本以上(あるいは20~28本)の群を比較すると残存歯数が多い方が有意に発生の危険度が少ないことは医療職でない皆さんの中にもご存じの方がいらっしゃると思います。
その講義の中で、年齢が上がるにしたがって読解力が低下するというデータを紹介しています。
入蔵の読書量がとても落ちているという事はすでにこのブログでも書いたかとも思います。
入蔵は夜読書をするのですが、夜でなくとも、本を開くとじきに眠くなってしまいます。
この事象の原因については諸説あり、インターネット上で「なぜ、本を読むと眠くなるのか」と某検索エンジンで検索したところ400万件近くの記事がヒットしました(もちろんインターネット上で検索をかけた時の常として上記の項目について、的外れの記事も入っていることでしょうが)。
そういった記事ではあまり指摘されていないようですが、入蔵には前述した「読解力の低下」がその一因になっているのではないかと思われて仕方がありません。
そうだとすると・・・どうしましょう?
今講義している単元の一つの重要な項目として、特定健診(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導があります。
この内容についてはいろいろなご意見があるようですが、この健診、指導が生活習慣病の早期発見と予防に有効な手段の一つとなっていることは確かだと入蔵は思います。
入蔵のように「どうしましょう?」となる前に何とかしましょう。
糖尿病専門のクリニックを開いていらっしゃる西田亙先生は歯科医学の論文もたくさん、きちんと読んでいらっしゃって、歯科と医科との両方の視点から、根拠となる論文を丁寧に示して、とても分かりやすく、読んで楽しいご本をたくさん書いていらっしゃいます。
この御本↓
は、いわゆる素人の方が読んでも面白いと思います。
上述の内容についても、この本で詳しく説明してくださっています。
この御本の中では歯科医師会の会員を対象にして行われた有名なレモネード・スタディの結果が紹介されています。
この研究では残存歯数と死亡危険度、歯間清掃と死亡危険度との間に統計的に有意な関係があるといったような興味深い結果も得られています。
残存数は多い方が、歯間清掃は回数が多い方が死亡危険度は低くなるのです。
読んでくださるとわかりますが、この研究には医師としては恥ずかしいデータ(例えば、歯磨きを1日1回以下しかしない歯科医が結構いるという事がわかるデータも紹介されています。結構がどれくらいかは読んでみてください)もあります。
でも、この研究で得られたデータは世界的にも貴重なものです。この研究の関係者各位(データを提供してくださった歯科医師会の会員各位も含めて)本当に頭が下がります。
また、この研究をわかりやすく、楽しく紹介してくださった西田先生にも心から感謝いたします。
もしかしたら、入蔵が紹介したご本はやはり素人のみなさんには難しいかもしれません。
西田先生は専門家の皆さん以外の方に向けの本もお書きになっていらっしゃいますので「西田亙」で検索して、皆さんの興味を引くご本があったらお読みください。
入蔵と違って皆さんは読解力がそれほど落ちていないでしょうし、楽しく、わかりやすく書かれているのでスラスラ読めると思います。
では、また(^O^)/