第二十六章 ほどけないまま
アトリエにいると、
保たなくても
ほどけないものが
あると分かる。
気を配らなくても、
確かめなくても、
崩れない。
今日は、
それが
はっきりしていた。
何かを
続けようとしなくても、
終わらない。
つなぎ止めなくても、
離れていかない。
わたしは、
何もしない。
それでも、
場は
静かに続いている。
アトリエの外で、
関係は
手入れを求める。
連絡が必要で、
配慮が必要で、
説明が必要になる。
でも今日は、
その回路が
作動しない。
ほどけないということは、
固めることではない。
自然なまま、
形が保たれている
という感覚。
レナの気配は、
今日は
思い出さない。
思い出さなくても、
失われない。
意識の外にあっても、
壊れない。
アトリエは、
今日も
静かだ。
でも、
弱くない。
力を入れなくても、
形が残る。
ほどけないまま、
ここに在る。
今日は、
それを
確かめただけで
十分だった。