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第185回 「江副浩正の経営」



インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ 3月16日グランドプリンスホテル新高輪で、リクルート創業者の江副さんのお別れ会が行われました。

 2000人を超えるリクルートのOB・OGが、日本全国からお別れ会に集いました。




 リクルート創業の頃、江副さんと仕事をしていた80歳近い女性を始め、多くのOBの皆さんと久しぶりに再会し、江副さんの語ってきた言葉が蘇ってきました。




 江副さんの14年の長きに亘ったリクルート事件の公判判決が確定した後、経営者の集う会で、「リクルートのDNA」というテーマで講演をしていただいたことがありました。公の席での最後の講演となった江副さんの語る「江副経営」は、次のような内容でした。




・「今、社会に提供されていないもので、社会が求めているものは何か」ということをずっと考え続けてきた。ニーズを先取りし、お客様を創り、世の中が変わる仕事を求めた。

その結果、それまでなかった新しい求人情報誌や住宅情報誌を提供することで、社会、ひいては産業構造を変革する仕事に繋がったと思う。メンバー達の自分の仕事が、世の為人の為になっているという実感によって、人は働く喜びがふつふつと湧いてくることを知った。このことはいつの時代も変わらない。




・「わからないことはお客様に聞く!」このことを、経営に反映させた。




・情報を流通させることが業界を制すると考え、コンビニに、100円の本なら販売手数料を90円払い、徹底してリクルートの情報誌を並べていただいた。




・「我々のあとに続く人は我々より優秀でなければならない」というモットーを掲げ、採用は経営のもっとも重要な要素と捉え、起業家精神旺盛な人材をリクルートに集めた。

数千人のアルバイトの中から社員に登用した人材は優秀であり、今でいうインターンは40年前にやっていた。

女性を採用する際は、必ず女性が面接し、若い人を採用する際は、1~3歳年上の若い人が、何度も会って選考した。

やる気やリーダーシップのある起業家精神旺盛な人を、SPIを使ってセグメントした。

外国人やヘトロジニアス(個性的)人材をできる限り採用し、多くのフリーランサーに仕事を委託し、リクルートの仕事をしていただき、外との垣根を低くした。 




・自分はリーダーシップが弱いので、事業部制を取り入れ多くのプロフィットセンターを社内に創り、社員に経営の機会を与えた。今でいうカンパニー制の導入だ。会社の中に会社を数多くつくり、別会社にもした。社内に多くの起業家をつくり、その人たちが毎年努力と改善を重ね続けたことが、リクルートとグループが高収益会社になったひとつの要因と思う。




・未来は、メンバー達が築いていく。ハイスピードで変化していく社会のニーズを、フレッシュな感性で感じ取り、新しいビジネスにつなげていく為に、社員から新規事業の提案が上がるリングという仕組みを創った。リクルート内での起業家を発掘し「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」と語りかけ、年間300件を超える提案から2~3件選び、新しい事業にチャレンジする機会を創った。今では、ここから生まれた事業提案が成長事業となっている。




・自己申告制度を取り入れ、上司とうまくいかない弊害をなくした。相性がうまく合う様にすれば、人は生き生きと働き、大きな成果が上がる。




・誰をどの仕事に配置するかの人事を徹底し、機械にできることは、極力機械にふった。




・海外旅行や社内のキックオフのイベント・お祭りをよくやった。




・社内報やビデオをはじめ、社内情報の共有化を徹底し、情報共同体組織に努めた。




・社員持ち株制度を取り入れ、今では、ストックホルダーとして、社員持ち株会が筆頭株主となった。




・デザインは、人を魅きつける大きな力だ。デザイナーの亀倉雄策さんを経営陣に迎え、本や、ビルのブランディングに注力した。




・脅威と感じるほどの事態のなかに、隠された発展の機会があると捉え、自分が代表の25年間チャレンジし続けてきた。




 稀代の経営者江副さんが、精魂込めて育てたリクルートの情報ビジネスは、日本の産業構造を変える原動力となり、その後、事業承継はスムーズにいき、現在、リクルートグループの売上は一兆円規模となっています。

 そして、リクルートを離れたメンバー達も、さまざま分野で才能を開花させ活躍しています。

 江副さんは、晩年、日本が繁栄してゆくには、起業社会となることだと語っていました。江副さんの残したDNAと起業家精神が、ベンチャー企業の勃興の火種になることを祈念します。




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第184回 「ホーチミンにて」

 2月9日から4日間の日程で、ベトナム・ホーチミンを訪れました。
 12年前初めて訪ねた際は、自転車に跨った人々と道脇には牛や鶏が歩き、フランスパンを売る人を目にしました。今では、ニューヨークのようなガラスウォールの高層ビルや、ハイセンスなバイクで颯爽と走る人々の姿がありました。


 ホーチミンは社会インフラや地域組織は未整備とはいえ、ITインフラが整備された所では世界の情報をリアルタイムで共有し、先進国と交った新しい風が流れていました。
 ホーチミン在住のベンチャー企業のビジネスマンと会った際、旬の上質な情報を持ち、共通目線で交わす会話に、改めてIT革新による情報社会を肌で感じました。


 ITが進化した社会は、これまでの概念や価値観を抜本的に変化させ、境目のない大陸が出現し、世界のいたるところで起業家が生まれ新たな産業が勃興しています。


 日本経済は今、新政権によって活気が出てきましたが、ブームではない継続的な成長につなげていく為には、一人でも多く未来を切り開く起業家の誕生が不可欠です。
 昨年12月20日、バイオベンチャーのユーグレナが東証マザーズに新規上場し、話題になっています。今年1月~3月に上場する企業数は、13社と前年の約2倍となり、業種の裾野も広がっています。
 IT革新によって、何処にいても情報を共有でき、安価なクラウドサービスや、デフレが永年続いたことから創業投資コストが劇的に下がり、起業環境は整っています。
 多くの企業は、待ったなしのイノベーションが求められていますが、そのカギとなるアプローチには二通りあります。企業内で起業家を発掘し事業を育てていくか、有機野菜のネット販売のオイシックスにリクルートが出資し新たな成長エンジンを創り上げているように、ベンチャー企業への出資や提携によってイノベーションを加速させていく手段です。


 かつて日本が歩んだ昭和の高度成長期の展開ではなく、IT技術を活かし、垣根を越えたオープンスタンスでの共創によって日本を起業社会にしてゆくことが、為替だけに頼らない革新の成長戦略だと思いました。

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第183回 「地殻変動を」

 2013年がスタートし、早一ケ月が経ちました。ここ数年閉塞感漂う世相でしたが、政権交代を経て年明けのスタートは、円安(91円)、株価上昇(1万1000円)、2020年オリンピック招致活動など、雲間から曙光が射し気運が高まっています。


 一方、国債の発行増大による国家財政危機の拡大を始め、国家予算95兆と過去最大の政策自体が今後うまく機能し展開していくのか否か、確たるとは言えず変わらぬ緊張感漂う事態にあります。


 日本は世界最速で少子高齢化が進み、2050年には平均年齢が52.3歳となるといわれています。長期での国の経済は、人口動態と連動するものですが、この波に逆らうことはできません。


 多くの企業が、過去と今の延長線上にある近未来を想定し、経営計画や事業戦略を策定してきましたが、現在ではこれまでの策定手法が通じなくなってきました。 


 新興国の急成長とグローバル化、SNSデジタル化、少子高齢化、新たなO2Oを始め、これまでとは違ったマーケティング変化が連鎖し、あらゆる産業界に「不連続変化とインパクト」をもたらしています。


 未来の「産業構造の転換」を見通し、自らの創造的破壊によるイノベーションが、規模や業態を問わずあらゆる企業に求められています。


 JALをはじめ大手企業が経営破綻した主な要因は、短期的に物事を捉え、本質的な問題を先送りし続けイノベーションできなかったことにあります。
 大組織でトップに上り詰めた経営陣が、自分達の任期中は何とか帳尻を合わせ、後任へ問題を先送りした結果、経営破綻に追い込まれる企業が増大してきています。


 日本の総理と内閣は、世界でも類を見ない短期で変わり、長期を見据えた構造改革に向けて、イノベーションを起こせないどころか、法案を決断できない状況が続いている姿は、問題を先送りし経営破綻に追い込まれた企業の姿と重なって見えてきます。


 新政権は、デフレからインフレへ導こうとしていますが、出ていくマネーが増えていくだけのスタグフレーションになって、我々の生活が苦しくならないことを願いたいものです。


 企業経営は時代の洞察にあり、ダーウィンの進化論のように環境適応した企業のみが存続していく生き物です。


 起こりうる未来に向けて、富士フィルムが長期視点で化粧品や医療事業領域を定め、収益の構造変革に取り組み、イノベーションを成したように、国も企業も、曙光が射している今、長期的な視座に立って、果敢に挑戦し、イノベーションのマグマを活発化させ"地殻変動"を起こす2013年にしてゆきたいものです。


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これからの資本主義社会では、

先日、卓見豊かな方から「これからの資本主義社会では、お金があまり重要ではなくなる」という以下の様な話を伺った。



「これまでの社会は、物を大量に作り、消費する物資中心貨幣資本の時代で、物作りの為に投資金が必要で、資金を提供した株主の声が強い社会だった。



しかし、現在の情報化社会は、人の持つ知識や知恵やネットワークが中心にあり、企業は人が創造力を発揮できる場や時間、互いを高め合い共感し合った仲間が集う インフラを提供し、お金では買えない要素が有能な人を集め、繋ぎ留め活かすることが強みの要因となって来ている。



これまでのお金中心の資本主義での売り上げや利益の追求だけではなく、社会から尊敬され、お金だけの追求ではない価値を提供していくあり方が、成功するパラドックスを創出している。」



社会の新たな潮流を示す内容の話は、これまでと違った価値観であり、生活基盤の強弱によって理解や共感もされない方もいると思うが、こういったソーシャルな姿勢の企業に人が集い、人々の幸せの常識や定義が変わってきたのかも知れない。





第182回 「2013年にあたり」

 昨年は、年の瀬に政権交代、領土問題、貿易赤字、パナソニック7650億赤字、デフレ、円高、原発、財政が底が見え始め、政治も経済も出口の見えない一年でした。


 新年を迎え、皆さんどんな希望を抱いているでしょうか?
 世界も日本も産業構造が変わり、スマートフォンを中心としたSNS社会は、人々のライフスタイルを変え、企業は待ったなしのイノベーションが求められています。


 過日、8年前に月2億の赤字企業だった経営者から、次の様な話を伺いました。「創業期から世界一を目指し、企業習慣、制度、固定概念も外し、No.1になれる土壌で、皆で必死に働いた。誰も自分達を守ってくれない。商品・サービスも、すべて自分達で創った。結果、毎年150%成長し、現在、海外に1000人の社員を配置し、拡大してゆく。」と、爽やかに語っていました。
 この企業は2004年にモバイルマーケットへ参入し、収益構造システムを変え、現在、年間2000億の売上、600億の利益、2000人の社員を雇用し、時価総額は4500億円になっています。


 また、年末の12月20日、東証マザーズに微細藻類の「ユーグレナ」が株式を公開しました。初日は人気が殺到し、株価がつきませんでした。社長の出雲さんが来社した際、「世界の貧困と栄養問題を解決したい」と、熱く語っていました。
 かつての、ソニーやホンダといった企業の創業時、何もない時代で、「飢え」からのスタートであり、明日への「希望」がありました。 


 今、私達に欠けているのは、「飢え」ではないでしょうか?戦後、多くの起業家達は、飢えからスタートしてきた姿に、ユーグレナの出雲さんが、「バングラデシュで見た、貧困に苦しむ人々を目の当たりにしたことに始まる」と、私に語った言葉と重なって見えるところがありました。


 自民党に政権交代し、多くの人が新政権に期待し、新たな光を求めています。3年半前も新政権に期待しました。今回の選挙の投票率は59.32%で、戦後最低でした。
 選挙に行かない人が、国に頼り、批判している姿は、滑稽です。
 期待感が薄れ、自分一人が行かなくてもいいと行かなかったり、事情があって行けなかった人もいたと思いますが、国民の半数が選挙にも参加しない形で選ばれた議員が、この国を運営しています。今の現実を招いた原因は、国民にあります。
 一人ひとりが、現状の危機を直視し、人任せでなく、自らの力で生き抜いていかなければ、明日の光は見えてきません。


 今年も、グローバルな枠組みが変わり、私はこれまでの景況感とは種が違う展開をしてゆくものと思います。
 行き過ぎた隣の企業との競争による価格破壊や、人減しでの企業存続ではなく、本来の変化から生まれてくるニーズやドメインに的を絞り、経営者と社員と株主が一体となってイノベーションしてゆくことが、ゴーイングコンサーンの道です。


 今、国境を越えた構造転換の中で、世界的に通貨がパワーシフトしています。
 過去のケーススタディや、成長期の拡大戦略のフレームワークは、もはや通じません。自分の目で今起こっている事実を診て、一人でも多くの人達が、人任せでなく自ら機会を創り出し独自のビジネスを創り出してゆく年にしてゆきましょう!


 皆さんのこの一年が、健康で輝きに満ちた一年でありますように。
 本年もどうぞ宜しくお願いします。


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