インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ -18ページ目

第209回 「新たな資本時代の幕開け」

現在、欧州のドイツを始め、フランス、スイス、オランダ、ベルギー、フィンランド、イタリアといった国々がマイナス金利付きの国債を発行しています。ドイツでは、マイナス金利国債が、40億ドル全て完売したとのことです。
日本においても、1月28日の債券市場で、新発2年物国債の利回りがマイナスとなっています。
マイナス金利という言葉を、聞くことはありませんでした。先進国の資本主義は、通貨安の競争社会になったのか、銀行に預金すると利息を取られるということは、どういうことを示唆しているのでしょうか。近代資本主義社会が、限界に近づき私たちが知らない世界に入ったのかもしれません。

一方、3月11日、日本橋の東証ホールで、ニュービジネス協議会による第9回IPO大賞の表彰式が華々しく行われ、昨年上場した67社の企業から、CYBERDYNE株式会社が大賞に選ばれました。
世界初のサイボーグ型ロボットスーツによる、医療・福祉・生産現場などでの作業支援、災害レスキュー、エンターテイメントまで包括する人支援技術を展開し、世界から注目されている革新ベンチャー企業です。
創業した山海さんは、リベラルアーツを持つアートな起業家です。東証ホールで山海さんの語ったCYBERDYNEの未来構想は、ゾクゾクする素晴らしいスピーチでした。

ベンチャー企業は、スピードが重要な成功要因です。CYBERDYNEは、筑波大学院教授にして、大学発ベンチャーを起業した山海さんが、大和ハウス工業の出資サポートを得てスタートアップし、10年で上場し165億の資本が公開時株式総額3000億となり話題を呼びました。

大和ハウス工業は、CYBERDYNEのロボットスーツを独占契約によって買い上げ、介護・福祉施設・病院にリース・レンタル事業として拡大しています。

欧州では、CYBERDYNEの医療用のロボットスーツは、医療機器として認証され、ドイツでは公的労災保険が適用され、新しい産業として勃興しています。

マイナス金利国債と革新企業がもたらす資本の拡がりの対比は、新たな資本時代の幕開けなのかもしれません!




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第208回 「ハワイで、日本の未来を」

過日、久しぶりにハワイに行ってきました。
2月のハワイのホノルルの街は、抜けるような青空と青い海と様々な国の人々が集い、爽やかな風が流れていました。

ABCストアのペットボトルの水が1.5ドル(180円)で、街外れのベトナム料理店で人気のカニカレーが34ドル(4,080円)でした。円安によって、円の価値がかなり弱まったと感じました。

ハワイは1778年イギリスの探検家に発見されて以来、200年にわたり数奇な運命をたどり、日本にとってはアメリカに合併される30年前から20万人もの人々が移り住んだ地であり、太平洋戦争を始め深いかかわりを持つところです。

ホノルル美術館を訪ねた際、モネやピカソといった巨匠達のヨーロッパの絵画や装飾品、アジア各国の美術品、アメリカ、アフリカ、オセアニア、南北アメリカの伝統的な作品、そして、ハワイの素晴らしい美術品など、5万点以上がギャラリーにコレクションされており感動しました。
中でも日本のコレクションは、年代別の作品が数多く揃い、日本では見たことのない美しい浮世絵に心奪われました。

創設者のアナ・ライス・クック女史が、「ハワイに住む人々は多国籍、多民族に亘るので、それぞれの民族で受け継いだ文化遺産や、芸術を互いに共有し、ハワイ原住民と共に世界の芸術を認め合ったので、類のない美術館が出来上がった」と、よく語っていたと館内案内の方から聞きました。

多様な民族の文化が交流し融合したことによって、ハワイ独自の新しい文化が生まれ、ハワイ全体がアートな街へと変貌したのだと思います。

現在のハワイ州の経済は、砂糖キビやパイナップル農業から観光業へ産業が変化し、昨年は800万人の観光客が訪れ2兆円近い市場規模となり、4人に一人が観光業で働いていることを知りました。

ハワイ州の人口は、日本の青森県と同じ136万人です。経済規模は青森県の倍近く、GDP8兆4000億となり力強く成長しています。
日本は今、世界で類のない危機的な財政水準に陥り、年度末には借金が1100兆円を超え、国内総生産比が232%にまで膨らむと予測されています。
政府は、これまでも財政を健全化するといってきましたが、改善されることなく今日に至っています。
企業経営では黒字にしなければ、借金は増え続けいずれ破たんします。

日本は、これまで自動車産業を筆頭に輸出貿易産業を中心に成長し、円の価値を高め今日の豊かさを築いてきた国です。

2006年観光法が改正され、訪日外国人の旅行者を「2010年に1000万人」とする目標を掲げてきましたが、昨年ようやく1341万人に達し2兆1000億円を超える消費総額との発表がありました。

街を歩く笑顔の人々と変貌したホノルルの風に吹かれながら、これからの日本が富と雇用を創出していくには、日本古来の文化や遺産、医療、食、先端技術などの資源を活かしたツーリズムをインキュベーションし、オールジャパンで世界に誇るハイエンドな総合型観光立国にしてゆくことだと思いました。



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第207回 「起業国家へ」

1月22日、ホテルニューオータニにて、経済産業省主催の「新事業創造カンファレンス&Connect!」と日本で初めて総理大臣がベンチャー経営者を表彰する「日本ベンチャー大賞」の表彰式が華々しく開催されました。

会場は、千数百人を超える人の熱気で溢れ、日本ベンチャー大賞を手にした東京大学発ベンチャーのユーグレナ社長の出雲さん始め、受賞された起業家の皆さんのスピーチと会場に集った人々に触れ、起業社会への道が開かれた気がしました。

安倍首相が来場し、自ら内閣総理大臣賞を授与し、「日本が国際競争を勝ち残るには、果敢に挑戦する起業家達によって、新産業を創り出す起業国家になることにある」と語りかけ、会場は熱を帯び盛り上がりました。

明治維新以降の日本経済は、途中世界大戦で壊滅的な打撃を受けましたが、起業家精神旺盛な多くのベンチャー企業の勃興によって、世界でも類の無いスケールと速さで、一人当たりGDPが世界一の豊かな国になりました。

その後、豊かになったからか、起業家精神は薄れ、日本の開業率は米英の50%に満たない状況が続き、失われた20年といわれ世界一の債務国になっています。

これからの日本が活力を取り戻してゆくには、起業家が次から次へと誕生し、新しい産業が生まれ、好循環に回転することで成長し、雇用を拡大してゆくことが必要です。

私はニュービジネス協議会の理事としても、長年起業家の創生に関わってきました。今回のベンチャー創造協議会とタイアップした「大企業・ベンチャー・支援会社による、起業家を賞賛する大イベント」が、起業国家への試みの火種として拡がり、一人でも多くの人に起業家精神が芽生え、起業家が創生されていく機会になればと期待しています。

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第206回 「謹賀新年」





昨年は、アベノミクスの高揚感は消え、円安によって二極化が進み、デフレの出口は見えず、1000兆を超える債務を更新、第三次安倍政権が誕生し、これまで続いたパラダイムが大きな曲がり角を迎えた年でした。

皆さん、どんな思いで2015年をお迎えでしょうか?

昨年末、浅草で出会ったイギリス人から、次のようなことを言われました。
「日本は一番好きな国だ。本当に、素晴らしい文化がいっぱいある。日本の何処に行っても安心だ。食べ物は安くて美味しい。皆、笑顔で親切。こんな国は、日本だけ。日本でGDPの文字をよく目にするが、イギリスやEUでは使われていない。EUでの国の豊かさの基準は、GDPの成長率ではなく、暮らしの質の水準がどこにあるかだ。将来その水準を維持し、さらに高めてゆく能力があるかを基準にしている。例えば、若者の学力向上や、貧困者数減少など。日本には何度も来ているが、豊かな国。日本は、いいね!」

日本に訪れる観光客の目に、日本の景色がそんな風に見えるのだと教えられました。

GDP中心の経済成長率が豊かさを計る唯一の基準となって、日本は失われた20年といわれています。
日本は、財政再建を始め様々な課題を抱え、大きな曲り角を迎えています。
近代資本主義が、もう限界に近づいて来ているのかもしれません。

現実を直視し、憂えることなくひとり一人が健全な意識を持って、何をすべきか、今から自ら何をしておくべきか、問われる一年になりそうです。

世界中に同じ人が一人もいないように、心の豊かさや幸せの形はみんなそれぞれ違って、生き方も多種多様です。
幸せは、人と比べるものでなく自分の心が決めます。

本年も、一人でも多くの雇用に繋がる仕事をし、いい風に吹かれながら過ごしていきたいと思います。

平成27年が皆様にとって幸多き年でありますよう、お祈りしております。      
元旦





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第205回 「新渡戸稲造」

過日、岩手県盛岡市出身で5千円札に描かれた新渡戸稲造の記念室を訪ねました。

新渡戸稲造は、幕末に南部藩の武士の家に生まれ、生涯を「太平洋の架け橋」になろうと国際交流に尽くした教育者であり国際人です。

新渡戸稲造は、国際連盟事務局次長や太平洋問題調査会理事長などの要職を務め、「人類は一つ」との信念を持って、万国の民の平和と協力の理想実現の為に生きた人であり、「武士道」を著して世界に日本の侍の生き様と考え方を紹介したことで有名な人です。

「武士道」は欧米で好んで読まれ、英語のみならずポーランド、ドイツ、ノルウェー、スペイン、ロシア、イタリアなど、多くの国の言語に翻訳されてベストセラーになっています。

世界各国が認識した「サムライ」「武士」の姿は、新渡戸稲造の「武士道」に大きく影響されたといわれています。

私も、当社の創業時に監査役から「武士道」を紹介され、何度も読み返しました。









この書は、日本の道徳観念は封建制と武士道が根幹を成していることに気付いた新渡戸稲造が、諸外国に日本独自の道徳概念を紹介することを目的に著した書です。新渡戸稲造はこの著作を通し、東西の思想を比較、分かりやすく解説することで、人々の心をより深く結ぼうとしました。




「武士道」とは、「騎士道の規律」であり、「高貴な身分に付随する義務」があり、武士が守るべき信義、道徳の作法です。

「武士道」は、長い歴史を経て語り継がれ、日本人の心に深く大きく刻まれ「道徳」を作り出してきた日本人の魂といわれています。




 今、上映されている岩手の遠野市が舞台となった役所広司と岡田准一が共演した映画「蜩の記」は、10年後切腹を命じられた藩士が、武士道の信義を貫き美しく生きた様を描き、多くの観客の涙を誘い"涙活(るいかつ)"映画に認定されました。




最近、ダイバーシティという言葉がよく語られています。

日本人の生き方や考え方を持ちつつ、多様な考え方を取り入れ、グローバル社会は一つと捉え、万国の人々の平和と幸せの実現に努めた新渡戸稲造の精神が、ますます求められています。





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