インキュベーター社長日記 | インターウォーズ株式会社 吉井信隆のブログ -16ページ目

第219回「ちゃぶ台」

私の家と会社には、「ちゃぶ台」があります。「ちゃぶ台」は、子供の頃から家族でわいわい言いながらご飯を食べたり、近所のおばぁちゃんが来て会話したり、父が新聞を読んだり、兄弟で勉強したり、家族でテレビを見ながら一日の出来事を話す生活の中心の場でした。 今も、我が家では「ちゃぶ台」が、コミュニケーションの中心となっています。

インターウォーズを創業する時、会社にも社員やブレーンの人達と皆でランチや、コーヒーを飲みながら賑やかに会話する場があったらいいな~と思い、「ちゃぶ台」を置くことにしました。足の低い「ちゃぶ台」は、オフィスでは使えないので、丸い大きな木のテーブルに丸ガラスを乗せ「ちゃぶ台」の代わりに使ってきました。
現在は、出島インキュベーションルームの真ん中に置かれ、常にお菓子があり、多様でオープンなコミュニケーションの中心の場となっています。

ここで、多種多様な人が集いオープンに語り合い、様々なアイディアが生まれました。この営みは、ハーバード・ビジネス・スクールで提唱された、オープンイノベーションの概念に通じるものがあります。 イノベーションを起すには、企業内起業家が、自社の経営資源だけでなく他との連携を積極的に活用することが有効です。 ここ数年、大学や他社の技術のライセンスを受け、外部から広くアイディアを募集するなど、社外との連携を積極活用するオープンイノベーションによって共同開発している企業が増え、様々な成果が出ています。

日本の原風景である「ちゃぶ台」は、区切りのない曖昧な空間を創り、多様なコミュニケーションの場を演出してくれます。
これまで、当社の出島インキュベーションルームに集った人々が、「ちゃぶ台」を囲んでオープンな語らいをした中で、様々な事業が生まれてきました。
これからも、「ちゃぶ台」が創りだす空間で、起業家の皆さんと共に、様々な事業機会を創り出してゆきたいと思います。


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第218回「謹賀新年」

皆さん、どんな思いで新年をお迎えでしょうか?
昨年の11月11日、日本の大空を三菱航空機の国産ジェット旅客機「MRJ」の試験機が飛んだニュースに、日本中が沸きました。
日本のメーカーが、民間旅客機の胴体や操縦システムまで開発するのは1962年の「YS11」以来、実に半世紀ぶりのことです。近中距離の旅客機市場で、三菱航空機は世界首位を狙うと発表がありました。

「600万人」この数字は、日本の自動車産業で働く人々の総数です。なんと10人に一人が、自動車産業で働いていることになります。自動車産業は「総合産業」といわれる裾野の広い産業です。完成車を構成する部品数は2万点から3万点になります。部品メーカーを含めた直接間接の雇用者が多く、森のような企業の生態系がないと成り立たない産業です。自動車産業の波及効果は、全産業平均に比べずば抜けて高く、自動車産業なくして日本はもちろんのこと、米国や欧州なども経済は成り立たない状況にあります。要は、自動車の売れ行きが良ければ、企業の経済活動の循環や雇用への波及効果が大きいわけです。
産業構造が大きく移り変わり、大空が一つに繋がるグローバル社会で、航空機産業は拡大する市場です。
航空機の産業は、自動車の100倍の部品が必要とされ、機種によって100万点~300万点の様々な部品で成り立っている巨大システムです。日本にとって悲願だった航空機産業が育つことは、多くの人々の雇用が生まれ日本の活力に繋がります。

かつて三菱航空機は、ビジネス機を開発し、評判も非常に良かったにも関わらず、米国のFAAから型式認定を得ることが出来ず断念したことがあります。
新たな産業を興す時、必ず様々な難題に直面します。今回の旅客機市場への挑戦は、日本の夢と希望です。
昨年末、ベンチャー企業のユーグレナが、「航空機向けのミドリムシ燃料を2020年までに実用化する」と、羽田空港で全日空と記者会見しました。オールジャパンの総力で、世界の空に羽ばたいて欲しいものです。

本年も、IoTやフィンテック(ファイナンス・テクノロジー)を始め、新たな潮流の波が押しよせてくると予想されます。森羅万象を感じながら、皆様と共に未来に繋がる機会を創り上げていきたいと思います。
希望に満ちた素晴らしい年でありますよう、お祈りしております。
2016年1月元旦


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第217回「ベンチャー企業と大企業の共創で日本の未来を創る」



10月21日、グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールで行われた、JNB10周年・NBC30周年記念イベント【ニッポンの未来を創れ!起業家スピリッツ!】新事業創出東京フォーラムに、全国から志を持つ2500人の人々が一同に集い、高円宮妃殿下を始め、菅官房長官といった要人の皆さんも来場し熱気に溢れる大イベントとなりました。

私は、「ベンチャー企業と大企業の共創で日本の未来を創る」のプレゼンテーターとして参加させていただき、当日のプレゼンテーションで、以下のスピーチをしました。

「現在、日本に100年企業が26000社存在しています。世界で類を見ない100年企業が多い国だ。企業内起業家が存続に向けて、経営資源を活かし次世代の商品やサービスやビジネスを創ってきた歴史の証明だ。
産業構造が変わってきている今、イノベーションできない企業は、いくら歴史のあるブランド企業でも存続できない。ここ数年、歴史ある大手企業が、ベンチャー企業と共同で事業を立ち上げているケースが増えている。

例えば、2010年にリクルートとベンチャー企業のOisixが共同で設立した「ごちまる」というネットで食品を販売する会社がスタートした。
リクルートにとっては、「じゃらん」や「ポンパレ」のリクルートポイントという経営資源を使い新たな事業領域へ進出できます。一方、Oisixにとってはリクルートポイントが付与された顧客から集客でき、顧客はポイントを有効活用できる商品の選択の幅が広がり、三方良の繋がりによって経済圏を築いている。

また、昨年の3月に上場し、公開時株式総額3000億となり話題を呼んだCYBERDYNEは、筑波大学院教授の山海さんが、大和ハウス工業の出資サポートを得て立ち上げたベンチャー企業だ。大和ハウス工業は、CYBERDYNEのロボットスーツを独占契約によって買い上げ、介護・福祉施設・病院にリース・レンタルする新規事業として取り組んでいる。日本では、ベンチャー企業が創生される生態系が未成熟なので、オープンイノベーションによる大企業とベンチャー企業をコネクトする共創は、ますます拡がってくると思う。」

NBCの大企業とベンチャーとの連携Connect!の活動が、これから日本の起業社会へインパクトを与え、目先の儲けだけを求める小粒なベンチャーではなく、社会を根底から変える革新的メガベンチャーが次々と創出される潮流になっていくことを期待しています。


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第216回「インターウォーズ設立20周年感謝の集い」

10月8日、帝国ホテルの富士の間にて、当社の「設立20周年感謝の集い」祝賀会を行いました。会場には900名を超える方々にお越しいただき、熱気に溢れた盛会となりました。これまで、本当に多くの皆様に支えられ今日を迎え、改めてすべての皆様に深く感謝申し上げます。

当日の挨拶で、御礼と共に、以下のお話をさせていただきました。

「インターウォーズがスタートした1995年は、歴史に残る年でした。年明け早々、阪神・淡路大震災が起こり株価は暴落し、その後、オウム・サリン事件が勃発し、連立村山内閣の基で就職環境は厳しく就職氷河期という新用語が生まれ、先行きの見えない閉塞感漂う年でした。

私は、当社を設立する前、リクルートで各企業の人材採用のお手伝いをする事業の営業部長をしていました。バブルが弾けた後、年を重ねる度に不動産業界を中心に採用をストップする企業が続出し、営業努力や商品開発ではどうしようもなく、事業も会社も国も大変なことになると危機感を高めていた頃、アメリカのシリコンバレーでは、ベンチャー企業が次から次へと誕生しており、新たな雇用の60%がこういったニュービジネスによって生まれ、この背景にインキュベーターがいることを知りました。
雇用ニーズがないなら、雇用ニーズを創り出す役回りを担いたいと思い、インキュベーション事業をやろうとこの時決意しました。 

一人の起業家の誕生が、地域や国を根底から変えることがあります。
起業家が誕生する最も大切な要素は、「事業機会」だと信じ、「事業機会の窓」になろうと思い、グローバル社会を見据え「国際的な事業機会の窓=International window of opportunities」として、社名をINTERWOOSと命名しスタートしました。

スタート時、事業環境も厳しく、インキュベーションという言葉はなかなか理解されず、様々な苦労もありました。未だ志半ばにもいっていませんが、皆様のおかげで、当社の縁で100人を超える経営者が誕生いたしました。また、900人を超える経営幹部の皆さんが様々な産業の企業に参加し、これまで130件の事業の立ち上げに関わり、何社か上場企業も誕生しました。
また、7年前、企業内起業家に向けてのイントレプレナー塾を立ち上げ、多くの皆さんにご参加いただき、多くの事業が育っています。
最近は、スタートアップベンチャー企業へ、少額投資ですが20社程投資もさせていただきバックアップしています。今後も可能性のある起業家の皆さんに投資して新しいインキュベーションの形を創ってゆきたいと思っています。

日本も世界も今、産業構造の転換期の渦中にあり、日本は1000兆を超える債務を抱え、課題が山積しています。

現在、当社には、誇りに思うメンバーとブレーンの皆さんが集い、プロ集団の「人の和」ができました。これからは、戦う競争社会だけでなく、繋がりを力にする共創社会であり、起業立国にしてゆくことがこの国の活路だと信じています。
これからも皆様と共に、未来の扉を開く事業機会を創り出していきたいとお願い申し上げ、御礼の言葉に代えさせていただきます。」

インターウォーズは、多くの皆様に支えられて今日があることを改めて感じる感謝の思いの日でした。これからも皆様のご期待に応えられるよう努めて参りたいと思います。





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第215回「エリートたちの起業」

過日、東大の大学院を卒業し、ベンチャー企業を創業した起業家と出逢いました。
2年前、ITの最新技術を活かし大手企業と共創していくビジネス計画に、エンジェル投資家から一億の資本を得て起業し、今年5000万の利益が出ると目を輝かせて語ってくれました。

1990年代、シリコンバレーで多くのベンチャー企業が急成長した時代がありました。
この背景には、大学で最先端の技術を学び、意欲とアイディアはあるが資金がなく起業機会がなかった若者たちに、富を得たエンジェルといわれるかつての起業家による投資や、インキュベーターの支援によって多くの起業家が誕生しました。
その後、ベンチャー起業家達によるニュービジネスで、新たな就業の60%の雇用が生まれたといわれています。
株式投資を得た起業家は有限責任なので、失敗しても債務を背負うことはありません。何度も起業に挑戦できます。こういった風土や生態系の仕組みが、多くの起業家が生まれる要因となって、ベンチャー企業の勃興の時代を迎えました。

この頃、日本では資金調達は銀行からの個人補償を伴う間接金融に限られ、経験のない個人や、失敗歴のある顧客は資金を得ることが難しい状況下にありました。 
また、運よく貸与された資金は、失敗すれば多額の借金を背負うことになり、次のチャレンジはできない起業家が大半でした。

日本は、先祖伝来の家業や中小企業の多い国ですが、ここ数年上場し富を得た起業家が、起業を目指す若者達に投資する流れが広がっています。
1社当りの投資額も1億円を超え、潤沢な資金を得てスタートアップするベンチャー企業が増えています。

産業構造の変化によって事業機会が生まれ、東大生をはじめとするエリート達が、「大志」を抱き挑戦する起業社会を実現してゆきたいものです。

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