第214回「遺伝子と社内起業」
前回、堀場さんがおっしゃっていた「アメリカのシリコンバレー型のベンチャー投資育成ではなく、日本では大企業から新規事業を分離独立させるあり方がうまくいく」という話をご紹介したところ、もっと知りたいとの声が寄せられました。以下、堀場さんが語っておられた内容です。
「人には、新奇性追求遺伝子というものがあり、アングロサクソン系のアメリカ人は、その遺伝子を100人いれば半分の50人が持っている。新奇性追求遺伝子が強い人は、ドーパミンが受容体にくっつきやすく、意欲がわきやすく、何か課題に直面するとそれを打破すべくチャレンジしたくなり、無鉄砲でもあり、そして飽きるのも早い傾向にある。
この遺伝子を持つ日本人は、100人中2人しかいない。政府が起業立国にするために多くの起業家を増やそうと長年取り組んでいることは良いことだが、様々な施策を打ってもなかなか思うように起業家が出現してこないのは、こういった遺伝子を持った人が少ないからなんや。
アメリカでベンチャーが成功し、なぜ日本ではうまくいかないのか、その解を求め続けてきた。1996年に、人間の気性に強く関係する新奇追及遺伝子が発見されたことを知った。
以来、日本では、新奇性追求遺伝子を持つ人が少ないので、それぞれの会社で社員が社内ベンチャーを起こしていった方がいいと思うようになった。
あんたが言うように、日本は世界で類を見ない2万6000社の100年企業が存在している。
それは次世代を担う起業家を社内で発掘し、機会を与え新規事業やグループ会社として起業をバックアップしてきたからなんや。
ただ、すべてうまくいくというもんでもない。失敗した例は何社も見てきた。親分がなんでもかんでもしょっちゅう口を出すと、本当にうまくいかん。間違ったことを言ってないこともあるが、何か言うこと自体が起業家を駄目にしてしまう。だってそうやろ?起業家は、自分の五感で考え自分で決断し、自分の責任でやりぬくことが大切なんやから。
親分の顔色や頭の中ばかり気にしてたら、取引先やお客さんの求めるものと離れてしまう。
僕は "絶対に、口を出さない"と決め、代表を離れてから一切何も言わないようにした。その結果、起業経営者が育ち、いくつかの事業が生まれ育った。
ベンチャーの勃興も大切や。それぞれの企業で、チャレンジしたいと思っている社員が事業を立ち上げる仕組みを作ることが日本ではうまくいく在り方だ。あんたが取り組んでいるインキュベーションを、もっと多くの企業が取り入れていけばきっと日本は元気になる。」
最後にお会いした際、今ではお店選びには欠かせない、グルメ情報サイトの「食べログ」も社内起業だと紹介したら、「そうや」と、うなずいた笑顔が脳裡に残っています。
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第213回「おもしろおかしく生きた堀場雅夫さん」
「おもしろおかしく」を社是として、自動車の排ガス測定装置で世界的な企業を育て上げ、早々に社長を譲り経営を見事に引き継ぎ、その後は多くの起業家を支援し、ノブレス・オブリージュに生きた堀場雅夫さんが、7月14日90歳で旅立たれました。
2009年9月にご来社いただいた際、「あんたの部屋、障子までわしの部屋とそっくりやな~。これまで30年以上ベンチャーの起業家を支援してきたが、シリコンバレー型ベンチャー投資ではなく、大企業から新規事業を分離独立させるあり方が、日本ではうまくいく。あんたのやっているインキュベーションのやり方は、わしの考えと一緒だ、アグリーや!」と、エールを頂きました。
起業家を支援する時に何を基準にするのか尋ねた際、「起業家は人間性が大事。チャラチャラした人、お金儲けが目的の人は、絶対にうまくいかない。
一回性という考え方がある。世の中、同じことは絶対に二度と起こらない。その瞬間、瞬間一回限り。いま、この瞬間を大切にしていること。人は、どういう発想や思想で生きているかによって90%物事が決まる。
人生は一度きり、今この瞬間を楽しく生きて、自分が好きなこと、おもろいと思うことにチャレンジし、フルスロットルで走れば、自分が想像していた以上のスピードが出る。そうすれば、世界で戦える。自分の力を信じることだ」との言葉が印象に残りました。
最近は、「これからは農業ビジネスがいい。もっと付加価値を出せばもっと面白いビジネスに育つ。みんな人口減少で大変だといっているけど、今の半分くらいでちょうどいい。住まいは、好きなところを選べて広くなるし、エネルギーも半分でいい。死ぬまで働けば、今のような医療費も介護費もいらない。ピンピンコロリが、家族も本人も幸せだ」と、通説にとらわれず語っておられました。
いつも軽妙で機知に富んだ語り口調で、人生観、世界観、事業観、経営観、起業観を明るく前向きに語り、人は皆毎日を「おもしろおかしく」生きた方が良いと信じて生きた堀場さん。
堀場さんと出逢え、勇気と希望を頂きました。 合掌


2009年9月にご来社いただいた際、「あんたの部屋、障子までわしの部屋とそっくりやな~。これまで30年以上ベンチャーの起業家を支援してきたが、シリコンバレー型ベンチャー投資ではなく、大企業から新規事業を分離独立させるあり方が、日本ではうまくいく。あんたのやっているインキュベーションのやり方は、わしの考えと一緒だ、アグリーや!」と、エールを頂きました。
起業家を支援する時に何を基準にするのか尋ねた際、「起業家は人間性が大事。チャラチャラした人、お金儲けが目的の人は、絶対にうまくいかない。
一回性という考え方がある。世の中、同じことは絶対に二度と起こらない。その瞬間、瞬間一回限り。いま、この瞬間を大切にしていること。人は、どういう発想や思想で生きているかによって90%物事が決まる。
人生は一度きり、今この瞬間を楽しく生きて、自分が好きなこと、おもろいと思うことにチャレンジし、フルスロットルで走れば、自分が想像していた以上のスピードが出る。そうすれば、世界で戦える。自分の力を信じることだ」との言葉が印象に残りました。
最近は、「これからは農業ビジネスがいい。もっと付加価値を出せばもっと面白いビジネスに育つ。みんな人口減少で大変だといっているけど、今の半分くらいでちょうどいい。住まいは、好きなところを選べて広くなるし、エネルギーも半分でいい。死ぬまで働けば、今のような医療費も介護費もいらない。ピンピンコロリが、家族も本人も幸せだ」と、通説にとらわれず語っておられました。
いつも軽妙で機知に富んだ語り口調で、人生観、世界観、事業観、経営観、起業観を明るく前向きに語り、人は皆毎日を「おもしろおかしく」生きた方が良いと信じて生きた堀場さん。
堀場さんと出逢え、勇気と希望を頂きました。 合掌
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第212回「挑戦者たちの社会を」
最近、銀座中央通りのラオックス本店前には、朝10時頃から夜の9時過ぎまで観光バスがずらりと並び、中国人で溢れ凄いことになっています。三越伊勢丹社長の大西さんから、訪日観光客が急増しており、銀座店は訪日観光客の購買が売り上げ全体の3割を超えたと伺いました。2020年に向け、ますます拡大していくことが予想されます。
過日、銀座の寿司屋で、中国人と不動産屋の日本人が隣のカウンターに居合わせました。その二人は「今日見たマンション、安くていいね。気に入った。買いたい。お金はいつ振込めばいい?日本は何処で何を食べても安くて美味しい。皆、笑顔で親切。日本はいいね!」「契約書、明日ホテルで交わしましょう」と、トロをバクバク食べながら、周りを憚ることなく大きな声で話していました。
観光立国を目指す日本にとって、訪日観光客が消費してくれるのはありがたいことです。
しかし、中国人の富裕層が日本の人気マンションを投資目的で買うので、住人がおらず、夜、明かりがつかないマンションが増えています。
中国では不動産投資が行き過ぎ、建設がストップし、完成しても入居することなくゴーストタウン化している「グイチャン=破棄された街」という言葉が、頻繁に交わされていると聞きます。
中国人の爆投資で、マンション価格が上がるのではと心配ですが、阻止するには、投資目的ではない日本の生活者の購買力を上げることが必要です。
これまで、次代を担う日本の若者たちは、目の前にビッグチャンスが訪れていても、チャレンジしない、先進国でも起業率は最も低い、このまま野心や志を持たない若者が増大すると、アジアの野望を持つ起業家達に、マーケットシェアーを奪われ、立ち上がれなくなるといわれてきました。
最近、私の周りの若いベンチャー企業は、勢いが増し元気です。上場した先輩経営者が、若い起業家達にエンジェル投資する流れが広がってきています。
2013年は、2000億近くのマネーが1,000社に投資され、2012年度に比べ投資金額は77.2%増加し、投資先数では21.4%の増加となっています。
1社当りの投資金額も1億8200万円へと前年度に比べ45.6%増えています。
上場企業も77社となり、5年連続で増大しています。
起業立国を目指す日本に、曙光が見えてきたような気がします。
産業構造が変化し、事業機会の窓が大きく開いている今、オールジャパンの力を結集し、一人でも多くの若者達が「大志」を抱き挑戦する社会を実現してゆきたいものです。
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第211回「北海道の起業家夫妻」
GWに、北海道の湧別川上流の白滝を訪ねました。5月に何度か北海道を訪ねましたが、いつも肌寒く桜も蕾のままで、稲作文化が根付かなかった極東の地を感じましたが、今年の北海道は、温暖化の流れもあってか抜けるような青空と緑の丘陵の大地に、爽やかな風が流れていました。
白滝の地で、真っ黒に日焼けした農業に夢を賭けた夫妻に出逢いました。東京でのサラリーマンを辞め北海道に移住し、2012年4月、北海道でアグリカルチャービジネスを起こした素敵な起業家夫妻でした。
話を伺うと、「起業にあたり、農家で研修をしながら計画を立て、大雪山を一望できる約42ha(東京ドーム約8個分)の広大な土地を取得し、「江面ファーム」として独立した。主に、国が生産量を確保するために力を入れている原料(じゃがいも・甜菜・小麦・スイートコーンなど)を中心に、地域のパートさんや住み込みの学生と共に大型機械を導入し、生産性を高めた仕組みを作り、価格の変動も少なく、仮に天災により被害があった場合でも9割は加入した保険で国がカバーしてくれるリスクヘッジをしている。SNSやインターネット通販を活用して、都内のスーパーでは見掛けることのないこの地でしかできない付加価値の高いじゃがいもの直販もしている。」とのことでした。
横浜にある大手食品・化粧品メーカーで商品企画の仕事をしていた奥さんは、付加価値の高い「白滝じゃが」を広めるために、じゃがいも料理コンテスト『じゃがりんぴっく』を年1回開催し、インターネットでレシピを募集し、入賞レシピをまとめたレシピ本を出版したり、農場女子として、農業の新しいフィールドのPR活動なども展開しています。
コンビニやスーパーが一軒もない白滝の地で、家庭菜園で収穫した作物を物々交換する文化が残る生活をしており、お金を使うことも少なく、東京にいた頃よりも生活が豊かになったとのことでした。冬の間には、仕事が休めるので海外旅行に出かけたり、3歳になる娘と毎日家族そろって食事をする生活スタイルは、日本人が忘れかけている日常の中に心豊かな幸せがあることを教えてくれるような気がしました。
今年の4月の地方選挙の大きなテーマは、地方創生でした。各地で起業を盛んにして産業を起こし、東京の一極集中ではなく、地方の雇用を確保し自立経済にしてゆこうとの狙いです。
北海道の大地で起業した夫妻が、かつての日本の農業ではなく、独自の地域の資源を活かし、付加価値の高い商品を生産性の高い新しいビジネスモデルで作り、心豊かな生活を営んでいる姿は、地方創生のあり方を示唆してくれました。
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第210回 「世界で戦う起業家」

当社のエントランスに、テラモーターズの赤い電動バイクが置いてあります。
今から5年前、ゴールデンウィークの最中、「アップルを越える世界ベンチャーを立ち上げたい」と、異色のスケールの起業家の徳重さんが訪ねて来ました。以来、「日本発のモノ創りメガベンチャーを創出する」という思いに共鳴し、創業時から株主として応援しています。
テラモーターズは2010年4月、渋谷の家賃6万の小さな部屋に梁山泊の様に人が集い、電動バイクメーカーとしてスタートしました。
その後、国内で3000台売り上げ、「世界で勝つ」ことを目指し、ハイスピードでベトナム、フィリピン、インドに支社を置き展開しています。
2013年の2月、ベトナムでテラモーターズの海外駐在員第一号の林さんとお会いしました。林さんは圧倒的な当事者意識を持ったロジックとパッションの企業内起業家でした。その後、ベトナムでは新工場ができ、ショウルームもオープンし、各小売店にテラモーターズブランドの電動バイクが並んでいます。
アジアは、世界のバイク需要の80%を占める大きな市場です。昨今、産業構造の大きな転換期の中で、EVへの関心が高まり、「メイドインジャパン」は、強い信用があります。
日本発メガベンチャーとして、先兵となって圧倒的な競争優位で市場を取り込み、インパクトを与えてくれると期待しています。
明治維新以降、日本は世界に通じる起業家達によって、類の無いスケールと速さで新たな時代を切り拓き、豊かな経済国を築きました。この頃は、日本全体が起業家精神溢れる、ホンダやソニーに代表されるベンチャー企業の勃興の時代だったと言えます。
日本は今、幕末、太平洋戦争に次ぐ、第3の敗戦といわれています。最近、日本のベンチャー企業は元気です。その背景には、起業で成功した経営者が出資する側になり、次の起業家を育てるエンジェル投資マネーの経済圏が広がってきていることが挙げられます。
13年度のベンチャー投資額が1818億円と12年度比8割増えています。
米国では、四半期で1兆円規模の資金が投じられていることから比べ、まだ小さな規模ですが、90年代のシリコンバレーの景色に日本も似てきた気がします。
過日、テラモーターズ代表の徳重さんとお会いした時、「やっとソニーの盛田みたいな日本人がきたな」と、インドで言われたと聞きました。
世界に打って出る21世紀生まれのメガベンチャー企業が、かつての日本を活気づけた様に、一社でも多く出現する機会を共創してゆきたいと思います。
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