インキュベーションマザー 北條夏旭 『Mother's Note-マザーズノート-』 -8ページ目

第178回 「箸置きの効果」

 

 

仕事人間と自負していた頃は、食事の大半は軽食やスナックで小腹を補い、家庭での食事に至っても、そそくさと食べるので、来客でもないかぎり箸置きなんぞを使った記憶がない。

 

 

箸置きの効果

ところが、最近、知人の言葉をきっかけに、箸置きを使うようになったのだが、この箸置き、あるいはカトラリーレフトは重要なものだと気が付いた。

 

 

マットやナプキンの上に箸置きを最初に置くだけで、食事に対する姿勢が変わる。
漬物であろうが、総菜であろうが、調味料でさえ、きちんと器に盛りたくなる。
なんにしても、大した料理でなくとも、なんだかご馳走にみえるのである。
 

そして、箸を置く場があると、ゆっくりと食す気分になる。

日本の箸文化は、中国から伝わったと聞いている。その前は、主に手で食べていたようだ。
しかし、徐々に知恵がついて、今のような豊富な種類の箸ができあがった。
箸が伝わる前は、神様にお供えする物の道具としてトングのようなものがあったようだが、今のような棒で挟むというスタイルになったのは、6世紀の半ば頃らしい。
いずれにしろ、すごぉーく昔の事なので、日本をお箸の国といっても間違いではない。
なにしろ日本は、料理も食事も徹底して箸を使う。
それに、箸の種類も多い。
そして、箸を使った表現も多々ある。

箸が転んでも可笑しい年頃
箸が進む(食が進む)
箸にも棒にも掛からない
箸より重いものを持たない、とか。
無作法を戒める言葉としても、
迷い箸 料理の上で、食べものを選んで箸を動かすこと。
刺し箸 料理に箸をつきさして食べること。
そら箸 食べ物を箸でとったが食べずに元にもどすこと。
探り箸 箸で好きなものを探り出す。
持ち箸 箸と食器を同じ手で持つこと、とか。
 

箸置きの効果

このように、箸とは、和の魂の一つであり、その魂を尊重するのが箸置きなのである。 前置きが長くなったが、箸置きのある食卓は、心が豊かになると、言いたいのである。
それは、食事を頂くことへの感謝の表れでもあるからだ。

 

人生というものは、その人の持っている徳で進むものだと思い知らされているのだが、その徳は、感謝して物を食す事でも積んでいけるものだ。

 

 

 

なんだか、心が忙しいと感じた方は、箸置きを置いて食卓をつくってみよう。

自分がどんな人かわかるかも。

 

 

2019-07月

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第177回 「ベストファーザー」

もうすぐ父の日がやってくる。
父の日を始めたのはアメリカで、父子家庭の子供の願いがきっかけとされている。
その後、1972年に正式な国の記念日となり、徐々に世界に広がって6月の第3日曜日は父の日と定着してきた気もしている。

1972年といえば、日本では、田中角栄氏が総理になった年である。
あの頃の日本の父親像を思い浮かべると、現在のカッコいい育メンパパとの違いに時代の流れを感じてしまうが、どちらもお父さんに変わりはない。
その父の日にちなみ、理想の父親を表彰するベストファーザー賞を見学する機会を頂いた。
 

ベストファーザー

日本の父の日は、1982年に紳士服関係の方を中心に、父の日の文化を普及するために委員会が設立され、キャンペーンの一環でこの授賞式が始まった。なんと38年も継続されている。米国では薔薇を贈る習慣だが、日本の父親への感謝は、黄色のリボンで表す。
なぜ黄色なのかというと、愛する人への思いや願いを表現し、また、色の持つ特性が、暖かさや、幸せ、希望というイメージがあり、黄色は、社会貢献への関心度が強い人が好む色と言われている事から、父の日の象徴として相応しいと考えられたようだ。

1982年といえば、あのバブル好景気の前兆から絶頂期を過ぎ、1991年の崩壊次期も、更には、あのリーマンショック期も乗り越えて、毎年、毎年素晴らしいお父さんを表彰し続けているのだ。
まずは、その継続の力に驚き、かつ、歴代の受賞者を知り、更に驚いた。
そこには、大臣、財界人、有名俳優、役者、芸術、学術、スポーツ界の著名人のお名前があった。
確かに、このような著名人が父親でいてくださったら、さぞかし幸福な日々を送れるのだろうと納得するお歴々である。
 

ベストファーザー

今年の受賞者も、市長、大学教授、書道家、俳優、プロサッカー選手の方々だった。
他にも、ちびっ子が似顔絵で受賞したり、いくつかのテーマで数名の方々の表彰があったが、いずれも、父親への思いや、思い出が溢れて微笑ましく、家族仲良く気持ちが通じ合っている姿は見ていて気持ちが良かった。

それにしても、38年も同じ基準で選考するのは、中々大変だと思う。
今後、生活スタイルや価値基準が変革していくと、規格外れのカップルやファミリーが増えていく気がしているからだ。血のつながりだけが家族では無い時代も来ているのである。
ともかくも、子供を無償の愛で慈しみ、育む事が出来る人ならば、理想の親と言えるのだ。
もしかしたら、父だの母だのと分ける時代でもなくなっているかもしれない。
しかし、やはり、父親という役割は大事である。絶対的な家族の安心の源なのである。理想の父親とは、その役割をキチンと全うしているかどうかである。

父の日とは、家族から、黄色のリボンが贈られるベストファーザーであるかどうか、自分を見つめなおす日でもあるのかもしれないね。

 

 

 

2019-06月

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第176回 「家の事」

 

一口に家事と言っても、その内容は多岐、多様に渡る。
買い物、掃除、洗濯、炊事、育児、介護、修繕、裁縫、家計管理、冠婚葬祭
仕事場、親戚、学校関係、友人、知人とのおつきあい。
それこそ、24時間365日、あらゆる作業や諸問題に追われまくる。
しかも、ずっーと、終わる事は無い。料理一つとっても、献立、買い出し、調理、洗い物
そして、また、出すのに、棚にしまう。それを日に何度も繰り返す。
掃除も、室内だけではない、ベランダも、庭も、窓も、寝具も、家具も、家電も、洗面台、トイレ、風呂の掃除、換気扇、結露、氷結対策、隅々にたまる油断できないホコリやカビ、あらゆる虫達の対処。植物に優しい方なら、樹木の手入れ。菜園等あればもっともっと、手間がかかる。家の事は、この流れに沿ってほぼ毎日なにかしらに時間がとられる。
洗濯も、小さな物から大きなものまで、しかも、種類ごとに洗濯方法が違うので、区分けをし、ほつれやボタン取れ等の補修はもちろん、染みやがんこな汚れと戦う。そして、最後にアイロンがけをして、たんす等の定位置に戻す。


毎日の繰り返し。
この膨大な作業に介護や育児がともなうとなれば、とても一人で対応できるはずがない。
まず、なんといっても、時間が無い。
全自動洗濯機、食洗機、ロボット掃除機、電子レンジ等の助けがあったとしても、ほんの何分かが助かるだけである。それほど、家関係の仕事は大変なのである。
そのうえ、仕事で時間を取られたとしたら、思うようにこなす事など、出来るはずがない。
困るのは、出来ない事がストレスになって体調に影響して、益々出来ない負のスパイラルに
入ってしまう事である。それでは、働きに出ることが裏目になってしまうのだ。
そういう問題を解決するべくかどうか、最近はプロの家事お助け人が力を発揮してくれている。
巷にも、便利なグッズや家電が世の中に出回っているのである。
働いているからと言って、家事が疎かになるなんて絶対にいや!!という真面目で几帳面な方にとって時間を無駄にしない、時短家事のノウハウは必須なのである。
時短料理人、断捨離、収納名人、洗濯、染み抜き名人、お掃除名人等実に凄い方々が注目をあびている。
そんな中、知人で時短家事の勧めを10年も前から提唱している方が、また新たに「ゼロ家事」
という本を出された。ともかくも、困ったらこんな事で解決できるのだから、いざという時は、家電やサービスに頼ればいい。

 

ともかく家事を一人で抱え込まないで欲しいという思いが詰まった、家の事の効率をあげる情報満載の本である。
なにしろ、忙しい人ほど、そういう情報を知らないから、なんとかして伝えたいそうだ。
今の時代、費用対効果が良ければ、初期投資をしても満足できるし、第3者にフォローしてもらうのも、一つの解決法なのだが、そんな情報を知らないのである。忙しいから・・。

 

まあ、昔から忙しい家族には、お手伝いさんや家政婦さんがいたのである。
それほど、家の事は大仕事なのだ。最近は、あらゆるサービスや、有能な家電で解決できる事も増えている。

 

皆が外で働くにふさわしい時代の新たな家事スタイルなのである。

やはり、ここは、あらゆる、ノウハウを駆使して、家事をスマートにこなし、
時には、便利グッズや、時短につながるサービスに頼って日々笑顔で過ごす。

そして、その時間をキャリアアップに活用して頂ければ、結果社会貢献につながる。かもしれない。   
キャリアの為だけでなくとも、主婦業務改善としても、知的家事生活のノウハウは、是非取り入れて頂きたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2019-05月

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第175回 「陰平陽秘(いんへいようひ)」

数年前に、薬膳料理に興味を持ったり、菌類、特にきのこの菌に興味を持ったりしたことがある。
なので、上っ面で、薄っすらではあるが、いくつかの言語や理論を覚えていた事もあり、でも、実は給食という言葉に大きくつられて、薬膳と発酵食品のイベントに参加してきた。
主催の女性は、重い病の告知を受けた時に、自分で食事と生活を見直し、結果、現在も健康状態を保たれているという、とてもチャーミングでキュートな方で、繊細な体に潜む精神力に感服した。
発酵食品についての講師の方は、自身が起業家でありながら、多くの起業家を育成するインキュベーターでもあり、発酵の研究家でもあり、復興支援も続けている魅力満載の女性である。
私はといえば、勉強熱心で、行動力溢れる女性軍の渦の中に紛れ込んだ怠け者なので、大人しくしながらも、体に良いお料理をひたすら、たんまりと頂いた。
分った事は、食の知識があると、一つ一つの食材に愛着がわくので、料理が上手になるから美味しく出来る。そして、その知識と愛情こそが、養生に欠かせないものなのだということだった。

そう、養生とは、まさに「陰平陽秘(いんへいようひ)」を意識する事だと私は思う。
陰平陽秘とは、人体の機能と物質の関係は、陰陽の相互依存、相互消長関係なので、バランスが崩れると、人の持つ機能が低下、あるいは消滅してしまうという事を指している。そのバランスを保つために、養生、つまり、自身で食や生活スタイルを管理することなのである。
体にいい物、必要な物を摂取し、よく動き、ちゃんと休息をとる事だ。
なにしろ、食事は、本格的に知識を得ていくと、病気も治療できる。
昔から、食医は位も高く、重宝されていたのである。
そういえば、随分昔、体調を崩して食欲が落ちていた時に、中華店のオーナーが特製鍋を作ってくれた。知らない香りと見たことのない食材で躊躇したが、瞬く間に元気になったのを思い出した。あれこそ、本格的な薬膳鍋であったのだろう。
薬膳は覚えたら人助けもできる、と思う。
 

また、発酵に不可欠な菌の働きも、話し上手な講師さんのおかげで面白く楽しかった。そして、菌に対する意識も変わった。麹菌、酵母菌、乳酸菌、酢酸菌、納豆菌、の「菌さん」達が、人間の健康を支える大きな役割を果たしている事に改めて感謝したのである。
食品は分解しないと栄養にならないが、それが、彼らの役割だ。
食物繊維は、腸の運動を助ける。なにしろ、腸の調子がいいと気分がいい。
だから、腸を動かすために、食物繊維を充分に取る。
体調や体質に合わせた旬の物を食し、適度に運動し、適度に休む事である。
日々雑事に追われ、仕事に追われながら、そんな、のんびり出来るはずがないと思っても、毎度の食事の時に、できるだけ添加物がないものを選び、腸活によさそうだと思うものを一品足すだけでも効果はあるはずだ。休息は、ほんの隙間時間に、気持ちを変えるだけでも違う。
私も、菌さん達の為に、インスタント食品や、ジャンクフードは控えめにして、発酵食品と食物繊維を意識して食べる事にした。

命ある限り気分よく過ごすために「陰平陽秘」の状態を保てるように努力をするのである。
といっても、食べるだけなんだけど。

 

 

2019-04

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第174回 「人を想う」

新しいという字は立つ木に斧を入れるとか、創造は破壊からとか言われてきて、ともかく、新たな事を新たな事をとせっつかれると、何が何でも前と違う事、これまでになかった事を探そうとしてしまう。
その結果、今や便利すぎて戸惑うほど、様々なサービスや商売に囲まれている。
それでも、まだ足りずに、日夜これでもか、これでもかと便利になっていっている。
顧客の要求に応えるために。

しかし、顧客のニーズとは本当のところ何であるのだろうか。

より快適に、より健康に、より美しく、より賢く、より安全に、より美味しく。もっと、もっととキリがないのである。
結果、便利を追求し続けているITの世界は、益々進歩し、誰が、どこで、何を、どうしているかとか、何が欲しいかとか、いくら持っているかとかすべて見通されているし、あらゆる話もその場で検索されるので雑談も慎重になる。
正直、高齢の私には便利の中に不便を感じる時もある。
近未来の世界を風刺した海外ドラマにあるように、個々人の点数を周囲がつけて、点数によって信用度が決定し、新たな階層が生まれる社会も、人生全てを録画されるという事も、現実味を帯びてきているのである。

しかし、この現代における便利の背景には膨大なエネルギーが必要だ。
そして、この発展に貢献してきたのが原発でもあった。
ところが、今やそれがあることで世界は不安を抱え、時には大きな災害を起こす要因ともなっている。哲学家の梅原氏によれば、天災でも人災でもない、文明災害だと。
まさに、そういうことでもある。便利を追求するあまりに新たな災いをもたらすこともある。
だからといって、昔と同じ生活に戻すこともできない。
となると、未来の人々が困らないように、災いを減らすための努力をするのが、現代人の使命なのである。自然エネルギーの開発が進んでいるのは喜ばしい事だが、一般化するためには、個々人の努力しかない。自然を破壊するのではなく、自然と共に生きるという生活に、一人一人が戻さなければならないのだ。

 

先日、企業内新規事業塾生の一人が最後の挨拶時に、その日に参加いただいたゲスト審査員の方の教訓を受けたとの事で、素晴らしい言葉を残してくれた。
これからの仕事に「人を想う」という事を忘れないと。
驚くことに、その事も梅原氏は指摘されていた。

「われ思う、故に我ありではない」と。そう、これは私の勝手な解釈だが、人が生きる意味としても、「人を想う、故に我あり」でなければならないのである。
これから先、益々、技術の進歩があり、出来ないことが無くなっていくに従い、「人を想う事」を忘れてはいけないのだ。
人を想うということは、人類の証なのである。



2019-03

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