インキュベーションマザー 北條夏旭 『Mother's Note-マザーズノート-』 -5ページ目

第193回「安分守己(あんぶんしゅき)」

「2025年には世界中で何十億人ものマイクロアントレプレナーが活動しているだろう」と英国のビジネススクールの教授がおっしゃっている。

2027年には米国内の労働人口の過半数がフリーランスになると予測している米の統計もある。

 

そうでしょう、そうでしょう。

人口が増え寿命が延び続ける中、地球の怒りが収まるまでに起こるあらゆる災害や事変が、社会の仕組みを根底から変えていくのだから、環境の変化に対応するべくスモールビジネスで生きるマイクロアントレプレナーやフリーランスが増えていくのは仕方がない。なにしろ、企業が永遠に続くことも、雇用が生涯保障されることも無いのだ。

 

思えばインキュベーションをビジネスシステムと捉えた言語として知った時から、マイクロアントレプレナーが増えるというイメージは持っていた。当時はマイクロとは付けなかったが。

もちろん、日本にもGAFAMのような巨大企業となる起業家が生まれて欲しいが、日本独自の企業体の在り方で、幸福な会社が増えて欲しいとも思っている。

小さくてもいい、幸せならばである。

 

 

スモールビジネスというと、一人親方というイメージを持つ方もいらっしゃるが、一人親方は限られた業種の技能集団を束ねる個人事業主を指す名称である。

 

フリーランスは、自分のスキルを活かして仕事を請け負う個人事業主である。スモールビジネスの代表者は、一人で業務全般をこなしながらも法人として登記し、必要な機能は保持している。

一般企業との違いは、社員の人数と準ずる諸経費の違いがあるだけだ。それに、一人でも、毎年高収益を上げている会社は珍しくない。

 

 

そうはいっても、誰彼と簡単に利益が上がるわけではなく、誰でもやればできるものでもない。なので、一時の気の迷いや、強引に勧められて等の起業は避けた方がいい。やはり、自分でやりたいことがある、自分流の働き方がしたい等、明確な意思がないと続かないし、迷いや勧誘は、失敗を他人のせいにするというお粗末な結果になる。

 

また、将来のイメージも大切だ、優位性のあるビジネスモデルで拡大成長を狙うなら、スモールビジネスではなく、事業計画に賛同する仲間とあらかじめ資本政策も練った上で始める事を

お勧めする。

 

拡大成長より、自分流の仕事で人生を送りたいという方は、スモールビジネス向きだ。

 

それにしても、最近はスモールという言葉が目立っている。

スモールイズビューティフルという仏教経済学を取り上げた方の本も再ブームである。

仏教経済学とは、仏教の教えに基づき、もっと人間を大事にする経済の在り方で、要するに、これまでの資本主義社会の成れの果てが地球温暖化に結び付いたのだから、それぞれが、身の丈にあった生活で、思いやりを持って経済をまわすべきという論。だと、いつものように勝手に思っているが、確かにこのまま資本家の利益の為に、自然破壊が続くやり方は人類の為にならないのは解る。

 

そもそも経済、つまり経世済民は、仏教用語だ。

人を救ってなんぼという本分に立ち返れという事ではないだろうか。

 

だから、これからは、安分守己なのである。

つまり、必要以上の拡大等求めずに、適正な限度を保つ強さを持つことだ。

 

スモールビジネスを長く続ける秘訣は、自分のできる事を自覚し、それを自分の強みとして磨きながら信頼できる仲間や相談相手を大事にすることだ。そして、スモールビジネスで、独立される場合にもう一つ大事な事も、この安分守己である。

相談相手といえば、インキュベーション施設を利用するのも一つである。今や、デジタル社会に沿ったインキュベーション施設も定着してきている。

人は、一人で考えるより、誰かに話を聞いてもらったほうがいい時もあるし、違う業界の知人は、新たな発見や自己の啓蒙につながる。

 

 

コロナ禍の後、新たな社会生活の始まりで戸惑うこともあるかもしれないが、幸福でいるための方法の一つにスモールビジネスもあるという事を頭の隅に残して欲しい。

 

スモールも集まると、ビッグになるではないか。

 

 

 

2021-1月

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第192回「私的SDGs」

今頃に、今更ながら、SDGsを考えた。
1.貧困をなくそう  2.飢餓をゼロに  3.全ての人に健康と福祉を

4.質の高い教育を皆に 5.ジェンダーの平等 6.世界中に安全な水とトイレ

7.クリーンなエネルギーを皆に 8.働き甲斐と経済成長 9.産業と技術革新の基盤を 

10.国、人の不平等を無くす 11.住み続けられる街づくり 12.作る責任使う責任

13.気候変動に具体的な対策 14.海の豊かさを守る 15.陸の豊かさも守る 

16.平和と公正を全ての人に 17.パートナーシップで目標を達成しよう。

という、2030年を目途に構成された世界的目標だ。

 

 

要するに、

世界中の人々が出来るだけ安心で、平等に、幸せに過ごせる事を17の目標(ターゲット169)にして、世界中の企業や行政や志ある団体が、それぞれのやり方で努力し施策をおこなっている今日この頃である。

 

しかし、この中の殆どの目標は、企業や政府の課題だけではない、世界中の誰もが日々の生活の中で、無意識のうちにでも当たり前に取り組むべき事のように思う。

 

 

 

例えば、ともかくゴミを減らす努力をするとか、燃料を大切に使う事からでもいい。

「リペア・エコノミクス」という考え方で、修理や修繕をして大事に使う事も一つだ。

また、「ペイフォワード」という、受けた恩を他者に返すという考え方も日々の生活でできる事だ。

大げさな事ではなく、自分の出来る範囲で親切を心掛けるだけである。

 

 

昨今の新規事業のテーマにも、SDGsの考え方は自然に組み入れられている。

そもそも、人類の苦悩や問題を解決する事で継続した営利を得る仕組みが事業だったのが、

拡大成長を求めるあまり、ついつい地球環境や世界平和に配慮が欠けていたことから、

今このような事態を招いたともいえる。

なので、この世界的な目標に貢献できることを前提とした事業モデルを構築し、実行していくのは、現代人の使命ともいえる。

 

 

 

今や、世界中の中心地でさえ多くの店舗の撤退や小売業始め多くの業種の倒産が相次いでいる中、新たに貧困に陥り、差別に苦悩し、健康を維持できない、学校にも行けないというSDGsの目標がより遠ざかるような事態に歯止めがかからない。

しかし、商売人は負けない、瞬く間のスピードで業態の変革を行い、近い未来の経済成長を彷彿させる光を見出している。

しかも、次々と現れる生活者向けの新事業をみていると、現代の技術を持って昔にタイムスリップしているような面白い感覚がある。

 

御用聞き配達、隣近所との時間シェア、簡易的下宿&長屋というコミュニティつき共同住宅、洋服、家具、台所用品の修理、量り売りの商品販売等、昔ながらのサービスがネット社会でより簡単に利用できるようになったという感覚だ。

店員さんがアバターになれば、高齢者でも家から出れない人でも販売や営業もできるという、感染予防の上をいく新業態まで動き出した。人の困りごとは、時代を経ても変わらない。要するに、その問題の解決方法が時々の情勢や技術の進歩で変化するだけだ。

 

世界中の人が、当たり前の暮らしをできる事を願いながら、今、自分が出来る小さな事から

初めて行く、これは、ビジネスも自分の暮らし方も同じだ。

本当に今更なんだけど、この目標は素晴らしい。

ということで、私も、人として生きる為に、私的SDGsを始めている。

 

2020-12月

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第191回「推しの力」

なんだかんだと時は過ぎ、

マスク下のこもった声での会話や、画面に映る己が姿に驚愕&落胆しつつも、

精いっぱいの気持ちでお話をするという事や、レジ前やエスカレーターで自然と距離を保ったり、

あちこちで頻繁にアルコール消毒したり、外食は極力少人数にしたり等、

慣れるというより何か妙な気持ちは底の方に沈めたままの新しい日常が続き、

未来への明るい情報にもそう巡り合わない中、

「推し」について特集した情報番組に元気の素になるヒントを頂いた。

 

そもそも推しとは「推しメン」

つまり好みのグループやチームの中のメンバーの一人を特別に扱うという推しているメンバーの略で、

昨今はそれをも略して「推し」というらしい。

その昔は、単純にファンといっていたが、ファンよりも特別な意味合いがあるようだ。

 

誰かを、何かを好きになるのは、とてもいい事だ、

特に尊敬の気持ちも込められた推しの感覚は自らをも鼓舞できる活力につながる。

番組内で取材された女性の一人は「人生に無駄なんてない」というあるグループの推しメンの言葉で

年齢に臆せず大学に通って資格を取得し、理想の仕事を持たれ輝かれていた。

元来の資質もあると思うが尊敬に値する好きは、人生も変えるということだ。

 

そういえば、私も半世紀を超えてファンを続けている。

今でいう推しメンのおかげで、事あるごとの孤独感や劣等感や無気力感を脱してきたのを思い出した。

曲調が好きであることは間違いないが、その在り方も推しが止められない理由だ。

 

 

若年の時は、単純にその音楽性やステージのパフォーマンスに興じていたのだが、時を経て共に中年、老年になっていくにつれ、

その自由で力強い生き様や、ひいては、ミュージシャンの領域を超え、

企業の経営者としても素晴らしい能力を持っている事に畏敬の念をも抱いている。

 

世界には名だたる著名なグループがあったが、彼らは50年を超えても解散をしていない。

 

 

 

その間、業界にありがちなスキャンダルやゴシップやデンジャラスな出来事に合いながらも、

私の推しは、メインヴォーカルとしての役割だけでなく、経営者としてマネージメントをこなしつつ楽曲を送り出し、

世界中でコンサートツアーを続けた結果、メンバー共々潤沢な資産を持ち、

アラ80になっても現役を貫いている。私にとっては、まさに神としか思えない人物なのだ。

 

とはいえ、私は遠い国から折に触れ感動している一ファンにすぎないが、

人間は年を重ねても、精神の衰えがなければ、可能性は続くということを現実に見て、教えの一つとしている。

ちなみに精神の衰えとは喜びの見つけ方が下手になるという事だと私は思っている。

その勝手に思っている教えのお陰もあるのだろうか、私は、なんにでも興味をもってしまう。

にもかかわらず情けなくも生半可なままで終わる事ばかりだが。

 

しかし、ニーチェ曰く。

「楽しみというのは、常に半可通の人の手にある」と。

つまり、知ったばかりの時が一番気楽に楽しめるという事だ。

 

そして、「興味から達人になって、何かの誰かの役に立つ日が来るかも」との補足付きだ。

半可通とは、知ったかぶりのことなので、他人には面倒な人間だが、それでも私はこれからも、

あらゆる事に興味を持って精神を衰えさせずに日々を過ごすつもりだ。

 

 

それにしても、推しは人生をお得にしてくれると思う。

推しの力は元気や勇気の素になるとも思う。

 

なので、こんな先の読めない日々だからこそ、遠い世界の有名人だけでなく、身近なパートナーでも、友達でも、仲間でも良いから、

自分なりの「推し」を見つけて、その言動や生き方を、素直な気持ち、

そう、素直に受け止めて自分が生きるヒントにされることをお勧めする。

 

いないより、いた方が数倍楽しく日常が送れるからだよ。絶対に。

 

 

 

 

2020-11月

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第190回「和の醍醐味」

日々、次から次へと押し寄せてくるカタカナ用語に辟易している。

仕事上の書籍は勿論の事、日常の会議においても横文字の割合が増えている。

その上英語をカタカナにするだけでなく、頭文字をつなげた略語も増える一方だ。

 

確かに、外国語、特に英語は資本主義経済の中枢にあるし、情報通信の発展の中心部を担っているので、この速さで進化や変化をしていくご時世、いちいち、日本語に変える手間も必要性も無いのだろう。

 

それに転勤や留学で海外生活をする人も増えた事で、言葉や文化の壁が低くなっているのも、日本語変換等必要ない一つだといえる。

なので、これから仕事人生を歩まれる方は、他国言語は当然のこと、情報技術言語もある程度習得しておかないと、業界を問わず、競争社会を生き抜くのは厳しいだろうと思う。

 

にしても、どこか寂しい気持ちになるのは、このままだと日本語が少なくなっていくという現実を感じるからである。

商売上は、地球規模の戦いだから仕方ないにしても、日本語と外国語を混ぜこぜにした、新たな言葉が日本語として日常会話になっていくのだと思うと、今更ながら古来からの日本語を大切にしようという気になる。

言葉や文字にはその国の文化や歴史や受け継がれた精神が宿っていると思うからだ。

 

そう感じたきっかけは、日本の文字や歴史を愛し大切にしている月野志保という書道家のおかげだ。

彼女は、言葉の表現力が高いので詩を詠む才能もあるのだが、もともと文字に対する想いがあったようで、

書の世界に入ってから瞬く間に師範になり頭角を現している。

日本の文化を書道を通じて、自分流の伝え方をしたいと独立して講座を始めた。

なにしろ教え方が上手だ。

数回の指導にもかかわらず、悪筆で文字を書くのが大の苦手だった私が書くことが億劫にならなくなったほどである。

それに、万葉集や古文、文字の成り立ちについても造詣が深く、

またそれをわかりやすく解釈してくれるので、その文字が読めたり書けたりすると優美な気分に浸れる。

 

 

時間の流れが変わるのだ。そう、優雅な時間の流れ。これこそ、和の醍醐味である。

出来れば、和室で着物姿でいたくなる。

 

着物といえば、再販売品や、個人売買のおかげもあって、本来は恐ろしく高額な着物が安価で手に入るようになり、案外気軽な装いになりつつある。着物も洋装の要素を取り入れたり、洋装の上着として着るなど、日本人ならではの発想が大正時代には群を抜いていたが、今、また若者の感性が新たな和装の形を築いている。

 

 

もともと、和の文化は、昔から他国の良いところをとりつつも和の魂を混合しつつ残ってきたものだから、

「和魂洋才、和魂漢才」等と言われてきた。

この先は、地球規模の時代なのだから、いろいろな国と融合した新しい文化が始まることはしかたがないとしても、

たまには古き良き時代に心を飛ばして和の醍醐味を味わっていようと思っている。

 

光のごとくの速度で物事が移り変わる時代だからこそ、

やをら時流る和は、今こそ必要な何かを与えてくれるかもしれないのでね。

 

 

2020-09月

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第189回「こんな時こそ好きな事」

「人の生き方の中に、やるべきことと、やってはいけないことがあるとして、その中間にどうでもいいことがあると思う、私は。

そのどうでもいいような事の一つをやり続けていたら地球の問題解決につながった」と、ある学者の方が話されていた。

確かに、好きな事しか集中できない人に対して特殊な人の括りに選別するという社会の流れがある。

そんな事をして、稼げるのか?社会のお役に立つのか?である。

 

しかし、地球の変動に伴う天災や、人の欲が招く忌まわしい人災により、人類は突然に生活の変化を強いられる。

そうなると、その時まで重要だと思われて稼ぎを得てきた仕事が、この先も生活を維持できるかどうか危うくなってくる。

 

 

数年前から、これからはAIに取って変わられてしまうような作業とか資格とか、自分の意思を無くして行う仕事等を、「くそ!どうでもいい仕事」と言い放ち、人間にとって、仕事とは何かを再考すべきと提唱する人類学者もいらっしゃる。

 

確かに、競争社会を生き抜く中、いつのまにか自分の仕事の意義や目的を見失った方もいるやもしれない。

 

 

 

とはいえ、我々人類は、知識や感性を豊かに出来る素晴らしい力がある。

そして、一人だけのDNAや容姿を持ち、自分らしく生きれるように創られている。

だからこそAIが(今のところ)唯一苦手な、五感と感情を駆使して個性を磨くべきだ。

機械的な作業を仕事としていたら、それはAIにはかなわないのだから。

 

良い方向に考えれば、より自分の人間性を生かす人生を考えられる時が来たのだ。

では、自分の個性を目覚めさせる為に、何から始めるべきかだが。

まずは、どんな事にも、純粋に興味を持ち、好きなものに対しては、あらゆる目線で追及していく、

そこには周囲の目や批判や諸事情なんぞ気にせず集中することだ。

そして、思うようにならない状況下におかれた時であっても空や樹木を眺めたり、

水に手を触れたりして、自然は素晴らしいというところに気を向けて感情を取り戻すことである。

 

 

今こそ、昔から好きだったことや、気になる事を日々追及していくことで、必ずや、これからの人生に役に立つ。

ともすれば、思いもよらない稼ぎにつながる可能性も秘めているのだ。

それに、もしもの時も、やるだけやったと後悔しないで済む。

まさに、日々の不安情報に脅かされるこんな時だからこそ、好きな事で稼ぐ事ができたら気持ちも上がるというものだ。

 

それが可能な仕組みや技術が、この時代にはある。

ある意味、このタイミングの良さに驚いてもいる。

 

 

ちなみに、私は、AIに変わられる仕事とかの括りにされる職種でも、本気で仕事している人のステージが無くなるとは思っていない。人間には感情というエネルギーチャージ機能があるからだ。

ただ、なんと、Singularity は9年後とか言われ始めているので、なるはやで、(今のところ)AIが苦手な個性を磨いて頂きたく思っている。


 

2020-08月

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