第85回 「学問をすすめたい」
人は、生まれたときは平等である。しかし、学問をするかしないかで人生が変わるという有名すぎるくらいの書籍がある。
学問とは、知識を詰め込むことではなく、意思を持って、将来人の役に立つための事を実践して学び取ることなのだという。それを世のため人のために活用すれば、気持ちの良い人生を送る事ができるというのだ。
本を読む事も、買い物に出かけることも、趣味を持つことも、旅に出ることも、家事労働をしていても、全て自分次第で学べる。
私なりの解釈なのだが、文字、数字という道具を持った上で、社会の為に役立つ「事」を常に自分で考え、実践することが、学ぶということなのではないのだろうか。また、自分の意思を伝える力の背景にも、学力が必要だ。それこそ本を読んだり、調べたりという裏づけが自信に繋がるからだが、その裏づけは、疑問があるから取るのである。何故、疑問に思うかというと、その疑問を見つけているからだ。
すなわち、学問が必要になる源は、興味、関心であり、それは、ものを観察することから始まる。物にも人にも、すべてに興味のない人間は、なにも発見できないので、本当の知識に結びつかない。なので、意思を伝える力にかけるのだと思う。
確かに、豊かに生きている人は、いくつになっても、子供のように純粋に、何にでも興味を持たれて、具体的に動かれる。
数日前、近い将来発電塗料が商品化されるというトピックスを見て、元シャープの副社長で、ソフトバンク孫さんの大恩人としても有名な、佐々木正氏を思い出した。
10年くらい前、当時も80歳半ばであったにもかかわらず、とても若々しく、輝く瞳で夢を語り、お弁当を食べながら仲間と議論をして、過密なスケジュールをこなされているのを目の当たりにしたことがある。
その時の会話で、「今、僕達が研究しているのは、画期的な発電だ。ナノ技術を活用して塗料で発電する。車の塗装に使えたら、環境にもいいし、すごく面白いでしょう?僕はそのために90歳でも起業しようと思っている、それも面白いでしょう?」と話されていた。
もちろん、素敵な話だとは思ったが、まさか現実になってきたとは、久しぶりに胸が熱くなった。10年前が、昨日の事のごとくつながった。
やはり、人は思った事はやり遂げられる。その発電塗料に、佐々木氏が直接かかわったかどうかはわからないが、佐々木氏は、全国的な技術者の交流を推進されている方なので、一つの流れを産んだのは確かだと信じている。
この事に触発されて、寿命という制限が無いかのごとくに、遠い将来への夢を追いかけている重鎮の方々の顔が浮かんだ。やはり学問を続けられている人々は、より楽しい人生を送り続けている。絶対に間違いない。
2011-08 |
インターウォーズ株式会社 常務取締役 Incubation Mother |
第84回 「陰陽太極図」
この図。ご記憶にある方も多いのではと思いますが、陰陽を一対の範疇で示した、中国の古代哲学理論を図で表したものの一つです。
この世の全ては、2極に分類される。しかし、その芯の部分にその逆のものが入っている。
つまり、世の中の全ては、白黒はっきりくっきりとわけられるのではなく、互いの良さを補完し合って、初めて均衡が保たれるという事を表しているように感じます。
丸の中の●が、なんとも存在感があり、細胞を連想させる動きを感じる不思議な構図で、見ていると妙に力が湧いてくるので、時々眺めては、世の中の理不尽に対して気を静めております。そう、悪い事ばかりは続かないのです。良い事ばかりも続かないけど。
悪いと思うときも良い事の始まりがあり、良いことばかりの時も陰りのあることの始まりはあるという事を忘れずにいると、多くの艱難辛苦も乗り越えられるし、今の幸福を素直に感謝し、他の人を敬い、慕い、恩を忘れずにいられます。
どちらかに偏るとかならず崩れるのですから、平衡を保つということがいかに大事であるか、古代から伝えられているのです。
人類の知能の発達も、偏れば天変地異の要因を造り、経済も偏れば悲劇が生まれます。なによりも、人の心の平衡を保つことは、健康という幸福への一番の近道です。
「人はどう生きるべきか」という事で多くの諭しを受けることも身になりますが、陰陽の理論に基づく、人生観、医学も為になると思います。
誤解がないようにしないといけないのは、陰が影で暗いから悪で、陽は明るいから善ということではありません。互いに必要なのですから、善悪の区別ではないのです。
そして、陰陽説に始まり、私の好きな五行説があります。
木・火・土・金・水、5種の基本物質間における運動変化、この5つの間の生・克関係による相互連繋を解釈し、いかなるものも、相生、相克する運動の中で、強調と平衡を維持しているという考えです。
自然界はもとより、会社の中の人間関係でも思い当たる事があるのではないでしょうか。もちろん、家族の中でも同じです。恋人同士でも、親子関係でも、突き詰めるとこの説で整理できることが多々あるのです。
あきらめるということではなくて、知ることで、自分自身の感情を制御できて楽になるということなのです。人間は、神様から感情という宝物をもらいました。生息本能に基づく喜びや悲しみではなく、もっと人と人との心の通い合いを、表情や言葉で表せる感情です。
人との繋がりは、心の繋がりだと思うのです。心を平常に保てるお付き合いは最高です。
前置きが長くなりました。この心のバランスを保つということで、思い出した方がいます。おそらく私がお会いしている経営者の中で、この方ほど、人に心地よい接し方ができる方はいらっしゃいません。
それぞれ個性があって魅力的な方は大勢いらっしゃいますが、お会いしている最中に感じる風が、緑のそよ風という方はこの方だけです。
どんなに寒い日も暑い日も、話しているうちに心が穏やかになってしまいます。おそらく、この方の心の平衡が保たれているからだと解釈しています。
その方は、東急ハンズの榊社長です。
榊社長とも長いお付き合いになりますが、初めてお会いした時から、榊社長は東急ハンズを見られたらいいのにと、吉井と共に、勝手な願望を抱いておりました。ご本人は、不動産開発の専門で過ごされていらしたので、小売業の事は、遠い世界に感じられていたと思いますが、吉井も、榊社長の、ソフトな雰囲気で人をひきつける魅力の中に、鋭い視点と胆力があることに、東急ハンズの改革者としての資質を感じていたのだと思います。
今や、東急ハンズは小売店の域を超えて、ヒントマーケットという新たな創造のサポート企業として変革してきました。もちろん、私はハンズファンで、週に一度位は通っています。毎回面白いものを発見するので、飽きることがないからです。東急ハンズのスタッフさんは、提供するというスタイルを崩さずに、誠意で接客してくださるところが魅力なのですが、それは、まさに榊社長そのもののスタンスに重なります。
榊社長の、優しさと厳しさを上手にバランス良く持たれているところ、いつお会いしても平常心でいらっしゃるところに、陰陽の図がはまってしまいました。
これからも、あらゆるバランスを保たれながらも、東急ハンズを世界に向けて成長させて頂きたく思っています。
2011-07 |
インターウォーズ株式会社 常務取締役 Incubation Mother |
第83回 「言葉」
Twitterや、Facebookを始め、様々なSNSの発展のおかげで、個人の生活や考え方を発信することが、日常的になってきました。盛り沢山の情報が気軽に得られるので楽しい時間が増え、仕事の効率も良くなりました。反面SNSに拘束されている感も否めませんが、世の中の殆どの物は、使う人次第で毒にも薬にもなるものです。
それにしても、つい最近(のような気持ちでしたが10年くらいたってます)までは、企画書を作成するのも、人手と時間がかかりました。資料集めは、専門店めぐりや図書館を活用し、デザイナーに依頼する予算が無い時は、雑誌や色紙の切り張りでイメージをつくり、複数冊必要になると、印刷屋さんにお世話になっていました。今や優秀なソフトを使って、形の良い企画書がすぐに出来ますし、ネットで資料を集めればあっという間に、しかも24時間、年中無休、いつでも出来ます。沢山の書類を持ち歩く必要もなく、小さな薄い端末一つに、あらゆる情報を詰め込むどころか、今や雲の中?を見に行くという気軽さです。このように、便利で効率が良くなった事で、多くの方々が簡単に企画書をつくり、すぐに提案できるようになりました。
ところが、同じ中味の企画書でも、いざ対面すると上手く伝えられる人と、そうでない人とがいらっしゃるのです。
ペンで走り書きしたような数行の企画書でも、意見が通ってしまう人と、何日も時間をかけて作成した企画書に、真剣に眼も通して貰えない方もいらっしゃる。内容には大差が無くてもです。
何故でしょう??
それは、まず、その人の持つイメージにあるのだと思います。
これは、私が聞く機会が多かった事から気づいたことですが、提案を聞く前から、殆ど肯定することを前提に話を聞き始めてしまうという場合は、その方の持つ雰囲気が大きく作用しているのです。
初めてお会いしたときに、その人のイメージは決まります。そして、いつまでもその印象は、変えられません。後に印象を変えても、初めて会った時はこうだったねと言われてしまいます。私自身も未だに指摘される失敗はあります。それは二度と取り戻せません。それほど、初対面は大事な機会なのです。
では、初対面に必要な要素とは、何でしょうか。
まずは、一番大事な事は、心からの笑顔と、はきはきとした声、そして感謝の表現を素直に出す気持ちを常に忘れないという「気」清潔を心掛けた身だしなみ。そして相手の話をしっかりと聞き、相手の目を見て話す事です。なによりも、脅えた様子や、緊張しすぎる態度や横柄な態度、デリカシーの無い表現方法もマイナスですが、遅刻や、間際のキャンセル、持ち物忘れ等は、これだけで、出来ない人の烙印を押されてしまいます。
実は、第一印象が良い方の共通点は、感じ良く見えるように気遣いをしています。身だしなみを整える事に始まり、おそらくいろいろな準備があってその場に臨んでいるはずなのです。だから、言動に自信がある。「気」が入っているので相手の目を見られる。
なので、企画書にのせる言葉も、その人のイメージ通りの言葉になっていて、提案する話し言葉も、印象通りになるものなのです。
半面、イメージの良くない企画書は不思議とどこかで載っていたようなコピーが並んでいます。話す言葉も聞いてきたような話で、それを読み始められてしまうので聞くのが面倒になり、つい聞く耳を塞ぎます。終わった後に中味を覚えていないという最悪の事態です。
では、どうすれば、いいのでしょうか。
残念ですが最初にできてしまったイメージの改善は出来ません。しかし、「変わったねぇ」と言われるほど変わればいいのです。
まずは、スタイルを変えてみたらいいと思います。企画書も、今までのタイプと違うものを書いてみればいいのです。真剣に、外見も生活スタイルも変えてみればいいのです。
吉井は昔から、成長を求める人には、まず、外見を変える為のアドバイスをします。その通りなのです。外見や生活のスタイルを変えることで、考え方も変わるものです。
自分の言葉で、はきはきと話さないと相手の心には響きません。
自分の言葉といえば、数十年に渡り、いろいろな方のスピーチを聞いてきましたが、アビックスの熊崎社長以上のスピーチには遭遇できていません。海外の大統領や有名人は側近にシナリオライターがいて、話す態度も指導されると聞いています。よもやそんな指導を受けていられるわけではないと思いますが、文字を読むことも無く、参加者を見て、 姿勢もよく、聞きやすい言葉と話し方で、周りを圧倒されていました。
でも、考えてみたら、初めてお会いしたときの印象が先に述べた条件に当てはまっておりました。
やはり、初対面の印象が大事だということは、間違っていないようです。
2011-06 |
インターウォーズ株式会社 常務取締役 Incubation Mother |
第82回 「天の教え」
キリスト教の7つの大罪は、邪淫、貧食、貧欲、怠惰、憤怒、高慢、羨望(嫉妬)。
羨望と嫉妬とは同じ括りに入るらしい。ただし、罪深いのは羨望の方で、持ってないものをただ羨むだけで努力もしないが、嫉妬とは、自分の持っているものに害が及びそうな時に出る感情であるらしいので、多少は仕方がないと思われているようだ。
仏教でも、生き物を殺さない。物を盗まない。嘘をつかない。不倫はしない。酒は飲まない。という5つの戒めがある。他の宗教でも、惜しい、欲しい、にくい、かわい、ねたみ、そねみ、欲、高慢は、初めは小さな思いでも、このくらいの事と放置すれば、いずれ大きな罪をつくるという教えも聞いたことがある。宗派は違えども、神の教えは、人間の生き方に対しては、ものすごく厳しい。
厳しくされる意味はわかるが、現代で普通に生きていて、これらのすべてを排除することなど、絶対に無理である。
すべての人類が、野菜と果物しか食べないということが可能だろうか。どんな嘘もつかずに、生きている人がいるだろうか。嫉妬や羨望の感情を覚えたことが無いといえる人が、人類の歴史上始まってからいるだろうか。人を一度も見下した事の無い人がいるだろうか。極悪非道な罪を犯さなくても、天の戒めには、かなりの罪を犯しているのが普通の人間ではないだろうか。
しかし、人類が進歩してきた背景には、こういう感情があったからこそと思う。その罪とされる感情を好転あるいは抑制させる為に、経済というルールができ、疑問を解決する為に学問が生まれ、それぞれの学問が進歩してあらゆる物が開発され、ルールにのっとってどんどん便利な時代になってきたのだ。
つまり、人間の罪というか、本音・本能があってこそ、人類は進歩したのでないかと思う。
しかし、まだまだ、未熟な感情を残して便利さを追求したあまりに、今回の有事のような2次的、3次的災害を引き起こし、日本は、大きな危機に瀕している。もちろん、幾度もの難関を乗り越えた民衆の力で、これから再興していくと信じてはいるが。
いずれにしろ、これからも生きている限り、なにが起きるかわからない。生と死は隣り合わせ。発展と衰退も隣り合わせ。もともと非力な人間が、天に立ち向かえるはずもないのだ。対抗できることがあるとしたら、自分の毎日を悔いなく生きることしかない。
出来れば、天の教えに少しでも沿うように、良き感情を失わず「ああ、今日も生きていて良かった」と思う毎日を過ごすことである。ちなみに、よき感情とは、嬉しい、楽しい、幸せ、ありがとう、愛している、大好き、等等言っても言われても気分が良い言葉を、さりげなく口にできるという気持ちである。本音でいえる気持ち。
人間は、神様に罰を与えられてしまうような、愚かな感情を沢山持つ弱い動物であるが、その代わりに生きる為の知恵と、その罪を軽減する素晴らしい感情も持っている。
こんな時だからこそ、本音で感謝しあって、人の役に立つ仕事をしていけたらと思う。
そして、さらに充実した日々を送るために必要なのは仲間だ。弱さをさらけ出しても互いに許しあえる、同じ目的を持った仲間がいたら、どんな時も楽しい時間を過ごせる。
インターウォーズと共同で仕事をしているスーパーエディション株式会社のメンバーは、まさに信頼しあった仲間と充実した仕事をしている人たちだと思う。
社長の竹田氏は、いつ出会っても感じがいい方である。
苦労がないわけがないのに、ご機嫌が悪いところを見たことがない。リーダーがそういう人物だからか、メンバーも、明るく愉快な性格の人たちなので、スーエディさんの部屋からは、いつも楽しげな声が聞こえてくる。
そして、インターウォーズの掃除日に、一番きつい仕事を率先して引き受けてくれているのも、スーエディさん達なのだ。
こんな、気持ちの良い人達が創り上げるホームページは、人心を打つという評判である。人が集うという事を、もっとも大事に考えている会社だからだ。やはり、仕事には、生き方が、心意気が映し出されるのである。
こういう時だからこそ、スーエディさんの人間味あふれるコンサルティングが役に立つと思うので、一社でも多くの企業の手助けをして頂けたらと願っている。
2011-05 |
インターウォーズ株式会社 常務取締役 Incubation Mother |
第81回 「正義の味方」
幼い頃、正義の味方と聞くと、頼もしく、格好よく、潔く、どんな時も無償の愛で助けてくれるというイメージを持っていた。多くの純真な子供たちは同じだったはずだ。
ところが、人生経験をしぶとく積んでいくと、そんな都合のいい正義の味方等いないと知る。結局、自分を助けるのは、自分。自分の心に正義の味方を住まわせるしかない。
正義といえば、ハーバードのサンデル教授の白熱教室は、面白い。
そちらを助ければ、こちらが助からない、さて、あなたならどうするか?という深層に迫る質問内容が、次から次へ出てくる。そして、Aさんの意見はこうだが、違う人は?と、意見を求め、議論を戦わせ、妥協点をそれぞれの中に気付かせてゆく。
講義を見ていて、著名な漫画のせりふで、「正義の反対はもう一つの正義」といっていたのを思い出し、その言葉の深さを改めて感じた。それは、正義というのは、権利の意味を持つという事を知ったからだ。なるほど、権利ならば、一人一人それぞれにある。だから正義の反対は悪ではない。反対の正義(不正義)というわけだ。
そもそも、悪の反対は、善であった。
では善とはなにか?それは、人の尊厳を脅かす事のないことだと私は思っている。
つまり、他人の命や生活を脅かさない事、それは無視ではなく、むしろ積極的に他人の命や生活を守るための行為を行う事が「善」と呼べるものだと思う。
今回の有事では、各企業の経営者の正義が明解になった。
震災即日、社員に費用を渡して、退避を命じた企業。個人資産を現金化し、社員の給料の当分の保全をした社長。不眠不休で救援物資を運ぶ社長。または、自分も被災しているのに地元民に物資を支援する社長。そして、苦しくとも、多くの民を助ける為に、あえて少数の犠牲を強いることも、その企業の正義であるし、会社の存続の為に社員を解雇するのもその会社の正義なのだ。評価や批判をしたいわけではなく、正義とは、それぞれにある事がとても良く理解できた。
日本は、世界の中でも、美しい景色を持ち、知識と文化に満ちた豊かな国だと思っている。日本を復活させるのは、大手弱小関係なく、日本全国の経営者の手腕にかかっている。
問題は、何も解決していない。これからが、本当の正念場になる。もちろん、多くの新たなチャンスも訪れる。だからこそ、共通の認識で対応策を持ち、社内を統一出来ているところは強いはずだ。この有事を機に、それぞれの経営の正義を貫いて、日本が世界の憧れの国となるべく活躍してほしい。
私も、心の中の「私の正義」を味方につけて、日本のこれからに、少しでも役立ちたいと思っている。
2011-04 |
インターウォーズ株式会社 常務取締役 Incubation Mother |