タコ船における釣り座の選択方法について、これまでの知見を踏まえて私の見解を書いていきます。
まず、私が好んで座る釣り座は画像の位置
左舷胴の間、操舵室出入口付近
風向き潮向きおかまいなし、いついかなる状況であっても空いていればこのあたりに座っています。
左舷を選ぶのは吉野屋さんの場合、お客さんが10人以下のときは左舷側で片舷流しをするためです。
吉野屋さんでは連チャンで乗る場合は翌日の席キープが出来るのですが、そのときもこの位置に連札を掛けています。
大半の方は四隅から席を確保していきますので他のお客さんにはいつも不思議がられています。
昨年一昨年とタコ船で大ドモ、ミヨシ、いわゆる四隅と呼ばれる釣り座で釣りした回数は
0回
※2023年は左ミヨシで2回釣りしました。
はたから見れば???かもしれません。
ですがこの釣り座を選択しているのにはいくつか理由があります。
理由①船上の状況把握がしやすい。
船のほぼど真ん中にいると他の方を視認できる距離が最も短くなります。
距離が短いとどの釣り座の方がどのポイントで何色のエギで釣れた、連発した。というような自分以外から得られる情報を確保しやすくなります。
それらの情報からその日の場の流れを見極めて攻略法に反映したり、脳内ライブラリに保存して後日の攻略に活用したりという感じです。
逆に四隅に座ると反対側(大ドモならミヨシ側、ミヨシなら大ドモ側)まで距離があるため情報を得られにくくなります。
理由②当たり筋を攻めやすい。
例えばあるタイミングで特定の釣り座の方が連発したとします。その時のポイントの位置、船の流れ方向からその日タコがたくさん居そうな当たり筋が判別出来た時に胴の間に居ればミヨシ、大ドモ両方の当たり筋に手を伸ばすことが可能となります。
ただキャスト出来る距離は限られていますのでミヨシ、大ドモ側に寄れば寄る程反対側のあたり筋には手が届かなくなります。
キャストする際には自分の正面が基本です。船の流れ方向(潮先 or 潮ケツ)、船の傾き、他の方の仕掛けの位置、釣り方(エギ or テンヤ、よく投げる方か船下メインか)を見ながら他の方の邪魔にならないよう船をずらして傾いたタイミング等を見計らって打ち込んでいきます。
考え無しに投げてしまうとオマツリ地雷になりかねませんので絶対にNGです。
理由③安定してタコが居るエリアに当てられる。
まず前提として、1日船を流してタコの前にエギを通せる回数は全員均等ではありません。
タコの個体数、密集度、日によってバラバラです。
船長は近日中の状況、これまでの経験からその日よいと思ったポイントを流してくれます。
ポイントに船をつける際は目視できる建造物との距離、魚探に映った水深、地形、ストラクチャーなどを見ながら船をつけます。
従って魚探に近い釣り座ほど船長が当てようとしているポイントに近いとも考えられます。
魚探がついているのはミヨシでも大ドモでもなく胴の間なんですよね。
船が多少前後してもタコがいるポイントに当てられる可能性が高くなるので結果的にチャンスが増えると考えられます。
理由④楽しい
今の釣り座を選択しはじめたきっかけはこれです。
この位置だと船長と雑談しながら釣りが出来ます。
船長と雑談しながら釣りをするととても楽しいです。
理由①②③についてはやりこんでいく内になんとなくわかったことです。
やっぱ楽しく釣りするのが一番ですから🐙🌟
釣り座の有利不利について
一般論として釣り座の優位性が語られるのは「潮先有利」です。
これは潮先側から新しいポイントに入るため、魚なりタコなりに最初にエサを見せられるというところから来ています。
船の流し方も大きく分けて2パターンあり、風向き、潮向き、流し方によってどの釣り座が潮先になるか決まります。
・エンジン流し
風上に船首を向けて潮なりに流す流し方。
まわりに障害物がない場合、強風時や潮の流れが速い場合に行われることが多い流し方です。
・横流し(ドテラ流し)
風向きに対して90°もしくは270°回転させ、船胴部を風に押させる流し方、もしくは岸壁に沿って流す際に岸川に向けて船首を0°もしくは180°回転させる流し方。
エンジン流しの場合は潮向き最先端側が潮先、横流しの場合は潮向きによって右舷もしくは左舷が潮先となります。
その日の風向き、潮の流れの速さ、船長の趣向、戦略によってその日どのポイントをどのように流すかは全て船長次第です。
タコ船においていつも潮先有利かと言うと必ずしもそのような状況にはなっていません。
一般論通り、潮先がよく釣れるときもあれば潮先が沈黙して潮ケツばかり連発するときもあります。
実際にどの釣り座の方が大釣りするかは日によって異なります。四隅がいつも好釣果かと言われればそうでも無く、なぜそうなるのか明確な答えは出ていません。
ただ潮ケツが連発するときというのは潮の流れが速い、タコの活性が低いときに起きているのではという説があります。
いずれも潮先のエギを見てタコのやる気スイッチが入り、次に泳いできたエギに飛びつくという考え方です。
確かにそう思えるシチュエーションも多々経験しましたが真相はタコの中です。
潮位と風向き、ポイントの特徴からその日がどのような状況になるかはおよその想定は出来ても実際は海へ出てみないとわかりません。自分の釣り座が有利だったか不利だったかは沖上がりの時点で初めて判明するわけです。
四隅はキャストして広範囲を探れるメリットがあると言われています。しかし、キャストしたとしても投げた先が有効なポイントで無ければ無駄に投げまくったがゆえに足元の当たり筋をスルーするということも十分起こりえます。
確かにポイントによってはある特定のラインに打ち込める釣り座が有利になることはあります。
特に水深5m以下の浅場かつ際よりの場合、船をミヨシ側から際よりに付けることが多いです。
その理由として、水上に浮いている船は前から後ろまで底からの距離が同一ではありません。水面を基準として船胴部が最も海底の距離が近く、ミヨシ側に向かうにつれて船と海底の距離が遠くなります。
これは座礁を回避するための安全対策と船の構造上仕方がないことです。
際よりのガリガリ場に🐙が固まっている場合はミヨシ側が有利になります。
しかし、1日中そうかと言われればそんなことは極めて稀です。
釣り船は客商売です。その日の釣果が翌日以降の集客率に影響するので基本的にどの船宿の船長さん達も全員に釣らせることを考えてポイントと流し方をチョイスしていると推察されます。
あるポイントで他の方が連発して自分が蚊帳の外であってもそれはそれとして次以降のポイントで挽回すれば良い訳です。私の経験上、1日やっていればどこかしらのポイントで自分の釣り座にチャンスタイムが回って来ます。いかにしてそれをものに出来るかどうか、そして場の流れを読んで意図的にチャンスタイムを作り出せるかどうかがその日大釣り出来るかどうかの運命の分かれ道になると考えています。
お客さんの数に合わせて等間隔に整列したとき、仲間内で乗ったときなんかは大ドモ寄り、ミヨシ寄りとど真ん中以外でやることもありましたが、1日の中で道中釣れる釣れない時間はあっても最終的にほぼ竿頭という結果は変わりませんでした。
※竿頭で無い日も船中3番以内には入っています。
結局のところ、ポイント、船の流し方に合わせて技術介入し、都度適切な攻め方が出来れば得られる結果に大差ないというのが私の持論です。
ただ、どうにも攻略出来ない日が存在するのも事実であり、その対策をどうするかはまだまだ課題として残っています。
これらのことから釣り座についてはエギと同様に自分が良いと思う釣り座を選択する程度の感覚でよいと考えます。
運ゲーとして楽しむ分にはあれこれ策を弄するより直感頼みの方が良い結果が得られるかもしれません。
どの釣り座を選んでもその日釣れた理由、釣れなかった理由というものが必ず存在します。技術ゲーとして取り組む場合は、それらを検証、考察して次に繋げていけば自然とスキルアップしていけると考えます。
その日釣れなかった理由を安易に
「潮ケツだったから」
という外部要因に依存した結論付けをした時点で次のステップに進めなくなります。
これは釣りに限ったことではなく、安易に外部要因で結論付けする方は仕事も出来ない無能というレッテルを張られるケースが多く見られます。
その日ダメだったとしてもその日の経験を次に生かせればそれで良い訳です。
「潮ケツだから」という理由については個体数がそれなりにいる状況では潮先側が全てのタコを釣り切ることが現実的に不可能です。
タコを掛けて巻き上げている最中はその間船が流れた間の🐙を回収することが出来ませんからね。
また、自分の経験上、点で見ればそのような「潮先潮ケツ」要因に起因する釣果の差が出ることはあっても、1日の流れを線として見れば挽回出来るチャンスも十分に訪れていると考えています。
情報収集、技術の習得によって外部要因によるアドバンテージを覆せる可能性は十分にあります。
自分の選択した釣り座でチャンスを見極め、
チャンスが到来した際にキッチリ回収する。
その意識を持てるかどうかがタコを安定して釣るために最も重要な心構えだと考えています。
次回はエギの誘いについて書いていきます。