ちゅことでナ。

煙草の銘柄、とくにシガレットの銘柄ちゅうのは、常に新しいのが生まれては消え、生まれては消えしてまっしゃろ。

せんの大震災のどさくさに、ひと知れず長寿名品が消えていったりしましたしナ。『キャメル・フィルター』とか『チェリー』とか『サムタイム』とか。

『チェリー』なんぞは、かなりディープな愛好者がおるさかい、まさか廃止になるとは思いませんでしたデ。

さて、現在のラインナップを見てみますると、どちらさんとも低タール低ニコチン、強メンソールの時代になってもうてますけど、よくよく見ると、「え? まだこんなやつ生き残ってたん?」ちゅうのが、ちょいちょいありまするのや。

せんだって買い求めた『ラッキーストライク』もそのひとつですな。

ということで、そういう銘柄をシリーズもんで買うてきて、美味しさを再発見してみよかと、こう思うた次第なんです。

条件はこゆことになる思います。

・わが国で発売開始されて十五年以上たつ銘柄。
・タール10mg以上のいかつい銘柄。

なんと簡単な条件やけど、この条件に合致する銘柄は案外ないさかい、すぐ終わってまう思いますわ。

で、一発目はこれです。

実装者流-JPS

『ジョン・プレイヤー・スペシャル・ボックス』

マレーシア製。キングサイズ四百十円。T11mg、N0.9mgちゅうスペックです。

こんなんまだ売ってたんやな。

残念ながらワタイの手まわしてきたボックスタイプは1995年発売で、まだ十七年しかたってまへんけど、ソフトパーッケージのやつがいまだに売ってるようで、それやとさらに十年古いんです。

ワタイの場合、シガレット時代にもいろんな銘柄に浮気しましたけど、さすがにこれは初めて買いまっせ。

どんな煙草かっちゅうと、『ラッキーストライク』より若干洗練されてはいるものの、バーレーキックがちょっと強いアメリカンブレンドですな。

もしかすると、若干バニラがまぶしてあるかもしれまへん。

あれ?

おや。

ひょっとしたらあれか?

この時代の洋モクちゅうのは、わざわざ試してみいでも、みな同じような味なんか?


ちゅう、ありがたぁい言葉ご存じでっか。

実際おんどれの目でそのものを見とうのに、対象事物に対して見識がしくうて、ちょっとも本質をよう見んちゅう意味です。

ワタイらなんか、喫煙極道一年九ヵ月もやってきてでっせ、煙草のことだいぶ分かってきたんちゃうかとうぬぼれてましてんけど、まだまだ修行が足りまへんわ。

というのがね、せんだって買い求めた『ラッキーストライク』なんです。

テキはかなり甘みがありまして、最初はてっきりヴァージニア葉の甘みや思うてましてん。

「ふむふむ。なかなかええ甘み出しとるやないけ」とか思うてましてんけど、実はそれはバニラの甘みやったんや。

しかも、バニラがまぶしてあることに、半分がた吸い終わるまでちょっとも気づかんかったんやデ。

頼んないがっきゃろ。

「なにが『ふむふむ』じゃ」ちゅやっちゃ。

なんでバニラまぶしに気づいたかっちゅうと、こういうことなんですわ。

せんだって、ラッキーストライク咥えたなり、火ィ点けんと雑用をこなしてたんです。

もちろん普段なればそんなことしまへん。

煙草をいただくときは、ほかのこと二の次で、それだけを真剣にやるんでやっさかいね。

たまたま煙草咥えてベランダへ出たおり、かかに「ちょとこちのひと。煙草のみに出るんやったら、ついでに燃えるゴミの袋ゴミ箱から出して、あたらしビニール袋入れといとぉ。出したやつは、しっかりゆわえとかなあかへんねんで。時節がらカザがひどいよってな」ちゅわれて、「うーい」てなもんで御用をこなしてやりましたのや。

ほったらね、口の中へさして、やたら甘ったるい味が、にわにわっと残っとったワケです。

あ。こらバニラやと。テキはなんとバニラまぶし銘柄やったんやと。

初めてそこで分かったちゅう次第です。

それ以降は、ラッキーストライク吸うおり、やたらバニラの味に鋭敏に反応するようになってまいましてナ。

おかしなモンでやっしゃろ。人間の五感ちゅうのは。
ここんとこの検索ワード第一位は断トツで『チェ・なんたら』やっちゅう話をさせてもらいましたやろ。

ところが、ここ一週間ちゅう短期スパンで、すぱーんと切り取ってみますると『チェ・なんたら』のヒット数をぐぐんとしきはなして、断トツも断トツの検索ワードがおまんにゃわ。

なんや思います?

え? なんとなく想像つきまっしゃろが。

そう。正解は、『カズベック・オーバル』ですわ。

そらそうでっしゃろ。

ワタイも、『この煙草は一体全体なんじゃらぽっぽ?』と、極めて不審に思いましたもん。

不審に思うたら、じきに買いに行くのがワタイのええとこでもあり、また悪いとこでもごんざりますわけやな。

いつぞやも、『輸入モンで国内最安値の紙巻煙草が出現したぞ! こら怪しい。こら不審や』ちゅうことで、慌ててウルグアイ製の『ブライト10』なる紙巻煙草を買いに行ったもんの、そのあまりの不味さに、なびだがウルっと出て、かだらのグアイが悪うなってもた、辛い辛い思い出があったりしまんの。さすがウルグアイ製や。

日誌の記事はサンプルでもろた六ミリのやつについての感想でね、十ミリのやつはさらにしどい味でして、日誌に感想を書く気にもならへなんだです。

いや、どこぞに書いたかもしらんけど、忘れてまいましたわ。

とにかく、なんも事前調査せんと買いにいくもんやさかい、かかる失敗もするわけですけど、『カズベック・オーバル』に関しては、急いで買いにいってよかった思うてます。

どないな煙草かっちゅうのは、先だっての記事を読んでいただくとして、とにかくいまどきの煙草やないことだけは確かです。

『煙草は葉っぱを燃やして煙を吸い込むものであるんやさかいに、喉にゴツンときたり、ベロにピリピリきたりして当然やが。そやさかいつべこべ文句ぬかすな。文句あるんやったら、とっとと煙草やめて、お母ちゃんのおっぱいでもしゃぶっとけ、このガキ』ちゅう主張がまかり通ってた時代を髣髴とさせる銘柄なんですナ。

それではこの『カズベック・オーバル』を美味しゅういただく方法おせたげまひょか。

まず、普通の煙草のむおりみたいに、いきなりちゅーっと吸い込んで肺まで到達させてもたらあきまへんで。

単にきついだけで、なんじゃこりゃちゅうことになりまっさかいナ。

煙を吸い込んだら、いったん口腔内に充満させますのや。ほんで、ベロを口ン中でいのかして味を確認します。

ここで、金属の表面をねぶったような、しんやりとした酸味を感じることができたら、あんたはんも一人前の喫煙極道や。

ほんで、煙の九十パーセントを吐き出すと同時に十パーセントを肺へ送り込んで、喉ごしを愉しみますのや。ここで余裕があれば、吐き出した煙をもっぺん鼻から吸い込んでカザを確認するとよろし。

そんな、キグレ大サーカスか、サルチンバンコみたいなことようしやんちゅうひとは、鼻喫煙はかんにんしたげまひょ。

これは葉巻やパイプ煙草の吸いかたでな、『カズベック・オーバル』だけやのうて、あまたの紙巻煙草を吸うおりにも、このやりかたをお薦めしますわ。味がよう分かるようになります。

で、中盤に差し掛かる前からかなりのピリピリがきますので、そうなったら燃焼速度をゆっくりにします。そうすればだいぶピリピリが軽減できまっさかい。

可能であれば、キセルに突き刺して吸うとよろしいナ。

楕円形やけど、ちょっとさきっちょ摘んだらまるぅなりまっさかい。

『キセルなんぞ、これだけのために準備でけん!』ちゅうかたは、百円ショップなとどこなとに売ってるミニパイプを装着しはるとよろしい。

といっても、タールやみなの有害物質をいくらかでも除去するために使うのんと違います。まあそれも少しはありまするけど、一番の目的は『可能な限り根っこに近いところまで吸う』ためなんです。

キセルやと、ほんまに根っこまで吸えますからナ。

『カズベック・オーバル』は、根っこまでゆっくりと吸いきりたい銘柄ちゅうことなんですナア。
なんなとしょもないこと思いつくもんでナ。

せんだって開封いたしました『キャメル・フィルター』が、あっとゆうまぁにのうなってしまいましたのや。

「美味いわーい、美味いわーい」ちゅうて吸うてるまぁにナ。

テキはほんまに美味しいですわ。また機会があれば手まわしてもらお。

で、美味しい煙草がのうなってまうのはさぶしいですし、さらに国内では手に入らんとなると悲しいですわ。

そこで、『代替品でなんとかならんか』ちゅう考えが浮かんでくるわけや。

ゆうときまっけど、『ハイライト』じゃあきまへんデ。

なまじ味が似てるだけに、よけい悲しゅうなりまっさかいナ。

で、ワタイがめっこつけたのがこのテキなんです。

実装者流-ラッキーストライク

『ラッキーストライク・ボックス』

マレーシア製。キングサイズ二十本入り、四百四十円。T11mg、N1.0mgちゅうスペックです。

ご案内のとおり、ラッキーストライクは、メリケンの老舗BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)のせいしんですけど、我が国で流通しとうのはマレーシアでこさえられたやつちゅことですナ。

このテキも歴史ある銘柄なんで、キャメルと同じように、昔の煙草のええとこ残してないやろか思いまして。

ラッキーストライクちゅうと、ワタイらなんかはどうしても『進駐軍』を連想してまいますわ。

もちろんワタイがこんまいおり、洟垂らしながら、

『しんちゅーぐんの、おったぁぁーん』

ちゅうて、パンパンガール両脇に抱えた米兵が乗ってるジープに駆け寄ってたわけやおまへん。

ワタイは昭和三十四年生まれでして、とぉに太平洋戦争は終わってますのでナ。進駐軍もアメリカへいんでます。

けど、太平洋戦争のなんちゅうか、記憶の残滓ちゅうのが身の回りにわりかたありましたのです。モロ戦記モノの漫画がありました。『ゼロ戦はやと』とか、『紫電改のタカ』とかナ。

モロ戦記モノでのうたかて、『ビッグX』なんぞも、かなりカリカチュアライズされてまっけど敵はナチスドイツやし、『鉄人28号』も、日本軍が日々悪化する戦局をなんとかしょうとて、極秘に開発していたしみつ兵器ちゅう設定やもんね。

神戸の新開地や元町なんぞの繁華街を歩きますとナ、腕や脚のなくなった傷痍軍人はんが道端でえらそうに物乞いしたはりましたしね。

両親とも昭和元年生まれでやっさかい、青春時代=戦争やったわけで、お伽噺がわりに戦争の体験談を聞かされたもんです。

「B29(有名な米空軍の長距離戦略爆撃機です)が接近してくるおりの、どんどろどんどろどんどろどんどろちゅう音は、二十年たっても三十年たっても忘れられん」

という回想をば、最低でも三百っぺんは聞かされましたので、二十年たっても三十年たっても忘れられまへんわ。

え? あれ? そもそもなんの話しょうとてここへ出てきたんやったっけ。

おう。ラッキーストライクの話ナ。

ちゅうわけでナ。ワタイらの世代やと、誰ぞがラッキーストライクを吸うてましたら、「あっ。進駐軍や!」ちゅうてんごが自然と出てくるわけや。

あれ。まだなんやポイントがずれた話になっとるデ。

そうそう、結局ラッキーストライクにキャメルの代役が務まったんかちゅう話ですわ。

結論から言うと、代役にはなりまへんでした。

そもそもラム酒漬けちゃうしね。

けど、ラッキーストライクは、まあゆわば『ちょっとも洗練されてない、荒々しいままのアメリカンブレンド』でして、それなりに趣はありますわ。

まあまあ美味しいと思いまっせ。

すけのうても、昨今のタール一ミリたら三ミリたらちゅう、なよっとしたやつなんぞにくらぶれば、百倍美味しいです。へえ。

ここ数か月、この日誌の検索ワード一位は、『チェ・シャグ』その他のチェ・ゲバラ煙草なんです。

もうそらダントツでやっせ。

検索エンジンでおそるおそる『チェ・なんとか』と入力して、ぶち当ってしもたんがこの日誌なワケやな。

ご愁傷はんです。

とにかくあのインパクトのつおいパッケージデザインでやっさかいね、『うおぅ。なんじゃこの煙草は。なにもんじゃこの煙草は? うおぅうおぅ』と興味をしかれますやろ。

残念ながら『チェ・シャグ』は、『ゲバラ黄金の味』とまではいきませず、不味いとはいえんまでも、ぶっちゃけなぁんの変哲もない味ですわ。

ヴァジ系無添加シャグであれば、『マニトウ』『スー』のほうが上やろ思います。

だいたいあんた、『ヴァジメイン&&引き立て役にオリエント』ちゅうやつは、巻いてしまうとあんまり美味しいことなくなるさかいね。

カピートみたいなちっこいパイプで吸うほうが、特性を生かせるのんとちゃいますか。

え? なんでやす?

「ファインパイプはどうですか?」

金属製の火皿はどんなもんかいナア。

木製の火皿ン中で煙草の葉を燃やかすと、当然火皿もいっしょくたに燃えてその味やカザが混ざりこんでまう。その点金属やと燃えることないさいかい、煙草そのものの味がようわかるのんとちゃうか思いますやろ。

ワタイも最初はそない思うてましてんけど、実際のとこ、木製の火皿も一緒に燃えたほうが美味しいように思うんですわ。

なんでかわかりまへん。

こう考えたらどうでやっしゃろな。

お吸い物。味噌汁とかおすまし。汁テキな。

あれを飲むおり、塗のお椀ですするほうが美味しいか、小学校の給食で使うようなアルミニュウムたら、アルマイトたらの食器ですするほうが美味しいか?

あんたどう思わはります? それといっしょちゃうかしらと愚考しますのや。

パイプの材質の話はこのへんでおいとくとして、やっぱしあんた、巻いて美味しゅうなるのは、アメリカンブレンドちゅわれてるやつでっせ。バーレーの混入度合いが高いやつ。

いままでワタイがチュービングしていっちゃん美味しいなと思いましたのは、まあどなたはんもあんまり気にしたはらへん、どうてことない銘柄ですけど、ベルギー製の『ブローアップ』ちゅうやつやったりするワケです。

チェ煙草一門で、ワタイのおすすめはともうしますと、『チェ・ブラック』なんです。フィルターつき紙巻のやつな。二十本入り四百十円のやつ。

全体的に大味ですけど、それでもこうばしい中にほんのり甘みもあってナ。

一般的にゆうときつめの煙草やねんけどね。この日誌に訪れはるよな人にとってはあんた、屁ェみたいなもんやと思いますからナ。