前回に引き続き、東日本大震災に関する寄付金・募金をテーマに記載します。

 前回は、寄付金控除の話で、個人が東日本大震災に関する寄付金をする場合には、
ふるさと納税の適用を受ける住民税の寄付金控除の適用も受けられる寄付金をすれば、寄付金の額から5,000円を差し引いた納税額が減少する旨記載しました。

 よって、日本赤十字や「赤い羽根」で有名な中央共同募金会に寄付するのが、所得税だけでなく住民税でふるさと納税の適用を受けられることから納税額も減少することとなるので、税理士的にはお勧めです。


 しかし、私自身は、ボランティア活動として被災地に入っておられる特定NPO法人に寄付いたしまいた。
(ほんの少しだけですが)特定NPO法人に対する寄付は、住民税の寄付金控除を受けられません。よって納税額の減少という効果は、所得税のみにとどめることになります。
 ただ
阪神大震災を経験した者として、今ボランティアとして前線にたっている人へ支援したいと考えたからです。阪神大震災自体については、つらい思い出ですが、同時に翌日に初めておにぎりを食べた喜び、その後しばらくしてあたたかいカップラーメンを食べた喜び、そして2週間ぐらいして初めてお風呂に入った時の喜びなどは今でも心の中に残っています。
 よって、そういう食料や物資の手助けを行い、被災者を直接支援しているボランティアの活動に役立つよう寄付したいと考えました。

 阪神大震災で赤十字等に集められた被災者への義援金の主な使い道は、家屋が全壊・半壊した人に10万円配られ、その後、住宅再建支援として要件を満たした人に30万円配られたのみでした。阪神大震災の時も温かい義援金は各地からたくさん寄せられたのですが、被災した人があまりに多く、結局は一人一人への支給額は、それにより生活再建出来るという金額にはなりませんでした。(
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 今回は阪神大震災よりさらに被災した人数が多く、一人一人への支給額はそれほどの額にはならない気がします。また阪神大震災では被災後一月以内に最初の義援金の支給が開始されたのに、今回は
行政機関自体も被災していることもあり、支給は遅れています。

 かといって、赤十字等への義援金を否定するつもりはありません。少しずつの善意が積み重なり、大きな額の義援金が、迅速に被災者の手に渡ることを願っています。

 ただ個人的には、落ち着いてから支給される義援金より、被災者が、当面困っている生活支援に使ってほしいと思い、ある特定NPO法人に寄付をさせていただきました。

 なお、中央共同募金会への義援金・募金は、「被災者のための義援金」と「災害ボランティア・NPO活動支援のための募金」の2つに分かれています。(詳細はこちら )このうち、災害ボランティア・NPO活動支援のための募金は、所得税の寄付金控除は受けられますが、ふるさと納税には該当せず、住民税の寄付金控除が受けられない可能性があります。

 募金・寄付の趣旨をよく理解のうえ、寄付や募金をされることを、個人的にはお勧めいたします。